ドレスサオリ実装おめでとうございます!
時間軸はVol.2とVol.3の間くらいです
オペラハウス。
歌劇場とも呼ばれる施設。
それは、オペラ及びバレエの上演を目的とする劇場のことを指す。
歌唱を主としているためか、劇場の造りは音響特性の大変複雑な建築となっており、劇場の天井は高く、しかし客席の一部の床を低くする、といった造りとなっていた。
オペラハウスの外観は立派なもの。
ならば内観の作りもまた、大層な見た目をしていた。
ワタシとしては、オペラとか縁遠い。
多分、見たり聞いたりしても、途中で寝ちゃうかもしれない。いいや、見たこともないけど。
それよりも────。
「なんと、無粋な……」
オペラハウスに似つかわしくない爆発。
ビリビリと建物は揺れて、窓ガラスなんて今にも割れそう。立派で荘厳な外観が張りぼてに見えてくる。
けど、仕方ない。
爆音ならまだしも、耐爆性までオペラハウスに求めるのは、酷と言うものだろう。
「殿下」
どうしたものか、と考えるワタシに話しかけるのはサオリだ。
いつもの戦闘服ではない。
ワタシ達はオペラハウスに溶け込めるように、ドレスを着ていた。
ワタシは薄い桃色のドレス、サオリは純白なドレス。
それぞれ着ていた。というよりも、ワタシ達が自前で用意したものではない。今回の仕事、つまりはアリウスに依頼された護衛任務のため、依頼主より用意されたもの。
しかし、ドレスを用意するなんてなんて気前の良い人なんだ。
誰だったか。ドン・アッチーノさんだったっけ? その人を護衛する仕事なんだけど────。
「殿下、いかがなさいましたか?」
「あぁ、いいや」
返答がないワタシに、サオリは首を傾げる。
うん、正直に言うと、見惚れたんだよねサオリに。
いつもはカッコいい感じだけど、今のサオリは美人さんだ。白いドレスがビックリするくらい似合っている。
顔も良いし、スタイルも良いからだろうか。
凛々しくて美人とか、反則だと天上院思うわけ。
「ククッ、いいや、すまぬな。貴様に見惚れていた」
「で、殿下。お戯れを……!」
「戯れなものか。サオリよ、貴様は麗しい。ムードにかけるが、赦すが良い」
「勿体無きお言葉でございます……!」
サオリの白い肌が、紅く染まる。
頬は紅潮し、視線はワタシの方を向いてくれず、俯くばかり。
んー、シャイなのだろうか。
褒められ慣れていないのかもしれない。今度からたくさん褒めて、慣れさせてあげよう。
それはそれとして。
「サオリよ」
「はっ!」
「我らの仕事は、ドン・アッチーノの護衛であったな?」
「殿下、ドン・アランチーノです」
「そう、それ。それの護衛であったな?」
「はっ」
で、あるか。
それから直ぐに再び爆発。連続する乾いた音、つまりは銃声が聞こえる。怒号が聞こえて、鈍い音が聞こえて、再び爆発によってオペラハウスが頼りなく揺れ始める。
護衛、護衛かぁ。
「敵、多すぎじゃない?」
「……はっ」
ワタシ達はオペラハウスの廊下を歩く。
喧騒は鳴り止まない。
逃げる一般人とすれ違う事もあれば、銃器を持ったドン・アランチーノさんを狙う刺客らしき人までいる。
ソレを見て。
「サオリ」
「はっ!」
ワタシの言わんとすることを汲み取ってくれたサオリは、直ぐに愛銃を抜いて刺客を撃つ。
さすがの腕前。放たれた弾丸は頭部へと命中し、刺客の意識を刈り取った。
「ククッ、相も変わらず良い腕よ」
「ありがとうございます」
凛とした言葉とは裏腹に、どこか嬉しそうに可愛らしく笑みを浮かべるサオリ。
なるほど、これがギャップですかそうですか。ワタシには一生出来ないものです。
それはそれとして、これからどうしたものか。
ワタシ達以外にも、ドン・アランチーノさんは護衛を雇っていた筈だけど、これじゃやられたと考えてもいいだろう。
だからといって、そうですか、仕方ないですね、とはならないよね。
前金は貰っているし、ドレスは買ってもらったし、綺麗なサオリは見れたし、最低限のことはしてあげたいのが人情。
「サオリ、ドン・アランチーノさんの居場所はどこか分かるか?」
「確認します」
サオリは胸から取り出した端末を操作して。
「控え室付近のようです。いかがしますか?」
「愚問だな。こうなれば、是非もなし。後手に回っているが、ドン・アランチーノさんの護衛を続けるとしよう」
「はっ、お供します殿下!」
しっかりお金貰ってるしね。
前金と後金で、アリウスの皆に美味しいものを食べさせるためにも、ワタシは頑張らないとならないのです。
それに、護衛ってことは他者とも闘えるということ。
ワタシとしては、闘えるし、そのついでにお金貰えるしで、一石二鳥なのです。
「では、往くとしようか。護衛する相手が倒されては目も当てられぬ」
「承知しました。ですが……」
「どうした?」
「愉しそうですね、殿下」
「ククッ、わかるか。黙したところで抑えきれぬな。やはり、闘争は悦楽の一つよ。スキップでもしたい気分だがどうか?」
「殿下、足を挫きますので、ご自重くださいませ」
「ククッ、是非もなしかも」
確かにね、スキップ危ないもんね。ヒールだからね、足首挫くと痛いものね。
サオリの言葉に従います。闘いでの傷なら兎も角、こういう日常での痛みはいつだって慣れないモノなのです。
そんな浮かれていたワタシ。
でも直ぐに、冷や水をぶっかけられた気持ちになるのは言うまでもない。
そう。
刺客側に見知った顔がいたから。
それも、便利屋68のみんなが────アーちゃんとムーちゃんがいたのだから。
続かないのでよろしくお願いします