こちら、世界征服推進部ソロモンである   作:兵隊

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 特別編のため、本編とは関係ありません。
 皆さん、良いお年を!


 ~ソロモンちゃんねる~

マイア「またアイドルイベントやるみたいですね。アンティーク・セラフィムのライブが楽しみです!」
アイドルに詳しくないオウヒ「……ふむ、マイアはアンティークとセラフィム、どっちが好きなのだ?」
アズサ「殿下、アンティーク・セラフィムはチャゲアスじゃない」


特別編 行く年来る年 2025年

 

 

 お正月。

 人によっては働いている人もいれば、のんびりダラダラと過ごしている人もいる本日。

 

 ワタシは後者である。

 今は、ミレニアムサイエンススクールの生徒会室にて、大きめの炬燵を用意して、ワタシ達はぬくぬくとのんびり過ごしている。

 

 ワタシ達。つまりは複数形。ぬくぬくと、炬燵に入り幸せを享受しているのは、ワタシだけではなかった。

 ワタシから向かって右にはリオ会長。左にはトキちゃん。そして真正面、炬燵の上にはコンサバティブちゃんが置かれている。

 

 ワタシ達は何するでもなく、生徒会室でまったりしていた。

 生徒会室から見た景色は暗く、もう夜であることがわかる。

 

 そう、もう夜。

 ワタシとコンサバティブちゃんが来た時は、昼頃だった筈。それなのに、もう夜なのだ。

 

 時が経つのは速い。

 もっと詳しく言うと、炬燵に入ってからぬくぬくし始めてから、時が経つのが早く感じる。

 だって仕方ない。それが炬燵というものなのです。

 

 しかし、最初は驚いた。

 あのミレニアムの生徒会室で、合理の化身たるリオ会長が座するこの場所で、炬燵なんて非合理なモノを見るとは思わなかった。

 

 平時のリオ会長なら「寒いのなら暖房を入れれば良いし、眠いのならベッドで横にになったほうが良いと思うのだけど」なんて言うに違いない。

 なんて、詫びも寂びも意見だろうか。しかも間違ってないからぐうの音も出ないのですぐー。

 

 ですが今のリオ会長は違う。

 

 

「………………」

 

 

 眼を細めて、どこか心地良さそうに、炬燵という温もりを享受している。

 その姿も平時と違って凛々しい姿ではない。どこかぽやぽやしており、抜けているようで、ほっぺももっちりしてて、何だか可愛らしく、めんこい。

 

 うふふ、リオ会長可愛い。めっちゃ可愛い。

 炬燵導入も、きっとトキちゃんが無理矢理置いたのだろう。グッジョブなのですトキちゃん。

 

 

『特別編だから許される暴挙ですね。リオ様のこんなお姿、朕は見とうなかった』

 

「えー、ホントでござるか~?」

 

『当然。スラリ手足のなげぇリオ会長以外、朕は認めねぇ』

 

 

 ワタシの問いに対し、どこか強い語気でコンサバティブちゃんが返す。

 

 どうやら地雷だったようです。

 埋まってるから地雷であるように、人は何が原因で怒りを覚えるかわかったものじゃない。

 

 ワタシも自分の発言には気をつけよう。

 

 

「……で、あるか。それはすまなかった、そこまでとは知らず茶化す真似をしてしま────」

 

『まぁ、それはそれとして、プリティーなリオ様も良い。でけぇ幼女、大いにありですね。全然あり。撮りましょう●REC』

 

「順応の天才か貴様は」

 

 

 ワタシの言葉に、コンサバティブちゃんは反応を見せない。

 ただひたすらに、ジッと。何も言わずに、ただ無言で。リオ会長を見つめている。おはようからおやすみまで見つめるどころじゃない。焼き付けるように、見ている姿は、どこか鬼気迫るものを感じる。

 

 

 対して、リオ会長は何も言わない。いいや、アレは多分だけど気付いていない。炬燵のぬくもりを感じて、癒されている。

 

 無理もないし、是非もないかも。

 本編では寝れない日々を送っているしね。完全にOFFってることがわかる。

 

 なんと幸せな事か。

 

 

「トキちゃんー、余にみかん剝いてー」

 

「わかりました。完璧なみかん剥きを披露致しましょう」

 

「白いやつ取ってねー、余、あれ苦手ー」

 

 

 ワタシの言葉に小さく頷いたトキちゃんは、速やかにみかんを剝き始める。

 その手際に無駄はなく、流れるような作業。あまつさえ、ワタシに向かって可愛らしくウィンクまでしてくるくらいの余裕を見せている。

 

 これがパーフェクトメイドというやつなのか、とワタシが感動しているのも束の間。

 

 

「どうぞ」

 

 

 お出しされる、ツルツルになったみかん。

 白い筋もなく、形も崩れてないみかんがそこにあった。

 

 

「すっご、トキちゃん……」

 

「そうでしょう、そうでしょうとも。もっと褒めてください。あと撫でてください」

 

「撫でちゃう撫でちゃう。さすがパーフェクトメイドのトキちゃん!」

 

「むふふ」

 

 

 言われたとおり、ワタシはトキちゃんの頭を素直に撫でていた。

 それをどこか得意気に、誇らしげにトキちゃんは甘んじていた。

 

 

「しかし、見事なみかんよな。トキちゃん、写真送っても良いだろうか? アリウスのみんなにとかに」

 

「構いませんよ」

 

 

 ありがとう、とワタシは言うと、トキちゃんを撫でている手を止めて、端末を取り出す。

 

 いや、本当に見事だ。

 これは記憶として残しておかないと勿体無い。アリウスの皆に見せてあげたいし、ヒナや小鳥遊さん、それにアーちゃんやムーちゃん達にも見せよう。

 

 そこで、ふと。

 リオ会長は口を開く。

 

 

「アリウスといえば」 

 

 

 みかんを写真に撮っていたワタシに、リオ会長はぼんやりとした口調で問う。

 

 

「貴女、今年は行かないの?」

 

「なんだ、リオ。起きてたのか」

 

「えぇ。こんなところで寝るのは、合理的とは、言えないもの」

 

「寝そうだが?」

 

「そうですね。あの様子では、数分後にはおやすみになるでしょう」

 

 

 ワタシの指摘に、トキちゃんは断言をする。

 さすが、リオ会長の専属ボディーガード。何分後に寝るのか言い当ててしまうとは。これも日頃から、お世話している経験による賜物だろう。出来る人みたいで何だかカッコいい。

 

 

『朕だってそれくらいできるし』

 

「何を張り合っている貴様は?」

 

『朕は予告しよう! これより数分後! マスターは朕の自爆に巻き込まれると!』

 

「なんて?」

 

『朕は几帳面な性格なので、必ずやります。必ず自爆します。ふふっ、予告どおりになるのは、気分がいいですね』

 

「貴様のは、予告は予告でも殺害予告なのだが?」

 

『朕のマスターが爆破如きで死ぬとでも?』

 

「普通に死ぬが?」

 

 

 なぁに、言っているのこの子。

 いくらワタシが頑丈でも、爆発に巻き込まれたら普通に死んじゃうと思うのですが。

 

 ね、トキちゃん?

 ……えっ、なに、その眼。死ぬんですか?って首を傾げないでほしいのです。

 

 もしかして、みんなってばワタシが爆発如きで死なない系女子だと思ってる?

 いくら何でも死ぬよ直ぐ死ぬよ絶対に死ぬよ。ほら死ぬよ?

 

 

「オウヒ」

 

「なんだ、リオ?」

 

「私の質問に答えてちょうだい」

 

「マイペースが過ぎないか貴様?」

 

 

 リオ会長はちょっと拗ねている様子。

 

 もしかしたら、自分を無視して話が盛り上がっていたのが気に入らなかったのか。

 いやいや、まさか。あのリオ会長が、そんな理由で拗ねる筈もない。もっと違う理由があって、それが気に入らなかったに違いない。

 

 しかし、根掘り葉掘り聞いている余裕もない。

 これ以上、リオ会長の質問を無視するのは得策とは言えないだろう。

 

 なんだったっけ。

 あぁ、そうだ。アリウスには今年行かないのか、だっけ。

 

 

「大晦日には顔を出そうと思う」

 

『是非とも、行かなくては。今年こそ優勝してやりますとも』

 

「何かやるんですか?」

 

 

 トキちゃんの問いに、コンサバティブちゃんは興奮気味に。

 

 

『えぇ。アリウス大忘年おたのしみ会があるのです』

 

「大忘年」

 

「おたのしみ会」

 

 

 トキちゃんが言い、リオ会長が続く。

 どこか言いなれない調子で、困惑気味に二人が口にする言葉に、コンサバティブちゃんは闘志を燃やしながら。

 

 

『今年こそ負けません。敵はアリウスにありです』

 

「……無駄にやる気を出しているな?」

 

『何を言いますか優勝候補筆頭。マスターにも朕は負けないが?』

 

「余が筆頭なのがおかしいのと、出場選手になっているの、未だに納得してないからね?」

 

 

 ワタシのささやかな抵抗の言葉も虚しく、コンサバティブちゃんには届いていない。大晦日に開催される『大忘年おたのしみ会』に意識を集中させている。

 

 溜息を吐くワタシに、トキちゃんはひたすらに困惑する調子で。

 

 

「オウヒ、いいですか?」

 

「なにか?」

 

「その、コンサバティブちゃんはなんでやる気に満ちているのでしょうか?」

 

 あぁ、そうか。

 二人は知らないのだった。『大忘年おたのしみ会』の内容を。

 

 殺伐とした事はしないよ。

 みんなで集まって、美味しいものを食べて、今年のあれこれをを語って、来年また頑張ろうって会なんだけど。

 

 

「大会をやるのだ」

 

「大会?」

 

 

 リオ会長が首を傾げて、ワタシは一度頷いて口を開く。口にするのも、何だか恥ずかしいけど。

 

 

「……『殿下そっくりさん大会』」

 

「それはつまり……」

 

 

 そこまで言うと、リオ会長は少しだけ考えて。

 

 

「誰が貴女に似ているか競うってことね?」

 

「流石リオである。話が早い」

 

 

 殿下そっくりさん大会。

 それは、毎年アリウスで大晦日に行なわれている、大忘年おたのしみ会の催しの一つである。

 

 ルールは簡単。

 どれだけ殿下、つまりはワタシに似ているか。それしかなかった。

 

 トキちゃんは、はい、と手を上げて。

 

 

「本人が参加していいんですか?」

 

「そこは余もどうかと思っている。お忍びで初回で参加してから、皆勤賞である。ちなみに二位だった」

 

「一位じゃないんですか……」

 

「ちゃんと二位である」

 

 

 何なんだろうねワタシって。

 初回はノリで参加したけどね。盛り上がればいいと思って。

 でも、二位って。一位じゃないんだ、ってなったよね。

 

 それから、何故か強制参加になっちゃったし。

 ぶっちゃけ、本人が参加するのってどうかと思うよ。最初だけでいいじゃん。なんでずっと参加しているのワタシ。順位も一位じゃないし。なんだろうね、ワタシって。

 

 

『皆さん、完成度高いですからね。中には美化しすぎだろ、って方もいますが』

 

「例えば?」

 

 

 興味本位で尋ねるトキちゃんに、コンサバティブちゃんは答える。

 

 

『去年の梯スバルですね、綺麗なマスターって感じ。そして恐怖を覚えましたね。あの方からは、マスターってああ見えてるんだって。愛、怖いなー!!!』

 

「他には?」

 

『そうですね、あとは戒野ミサキですね。マスターに素っ気ない癖に、意外と湿度高いんですよねあの方。まぁ、朕のマスターはクソボケなので全く気付いてませんが』

 

 

 失礼な。人をクソボケとか、しっかり悪口なのです。

 それはそれとして、ワタシは何に気付いてないのだろうか。

 

 

「…………」

 

「どうした、リオ?」

 

 

 難しい顔をしている会長に、ワタシは話しかけた。

 会長は言うか言わないか悩んだ様子で、意を決して口を開く。

 

 

「一応確認なのだけど、コンサバティブちゃんも出るのね。貴女そっくりさん大会に」

 

「らしいな」

 

「……どうやって?」

 

 

 ワタシもトキちゃんも、同時にコンサバティブちゃんの方へと見る。

 

 彼女は変わらずにやる気満々だ。大晦日に思いを馳せている。

 ククッ、と笑みを浮かべて『今年こそは負けませんとも。優勝は朕だ! このやる気、FateTRPGに参加したとき以来ですねっ! 聖杯戦争が君を待っている! これが朕の採集決戦。待っていろよ南極、待っていろよマリスビリー。それは未来を生きるための物語だマリス! うぉぉぉぉぉ!! 無敵貫通無敵貫通無敵貫通無敵貫通無敵貫通ぅ!!』

 

 ワタシ達はそれを見て。

 

 

「余達が信じる、具足を信じるとしよう」

 

「えっ、でも────」

 

「リオ様、みかんいりますか? 剝いて差し上げます」

 

「え、えぇ。ありがとうトキ。いただくわ」

 

 

 

 首だけのコンサバティブちゃんがどうやって参加するつもりなのか、そもそもそんな有様なのに優勝する気満々なのか、それを言ったら頭差別だ、と言われかねないし。

 

 そのうちワタシ達は、考えるのをやめた。

 

 炬燵でぬくぬくとすることを、選ぶのだった。

 




 
 ~ソロモンちゃんねる~

 アリウスの皆に殿下のASMRが欲しいといわれたけど、実際何をすればいいのかわからずテンパってしまったオウヒ「今から銅鑼を鳴らす」



 △特別編のリオ会長
 若干幼い。ほっぺはモチモチしているし、炬燵に入っているときだけ頭身も縮んでる。
 つまりは、公式マンガのようなリオ会長。通称助けてちょうだい状態。


 △アリウス大忘年おたのしみ会
 集まって食べたり飲んだりするだけの会。
 オウヒは毎年参加している。

 
 △殿下そっくりさん大会
 どれだけオウヒが似ているか競う大会。
 第一回はオウヒもノリでお忍びで参加した。二位だった。どうして?
 優勝候補は毎回スバル。なんか滅茶苦茶美化されていたりする。どうして?



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