こちら、世界征服推進部ソロモンである   作:兵隊

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 アリウスのみんな!! おめでとう!!!
 待望のメインストーリーです!!!!!!!


第28話 王と姫の円舞曲

 

 

 

 黒い影は奔り、八本の手足を屈指して走る。

 

 それは最早、人の形を為しているとは言い難い異形の怪物。

 

 凹凸のない胴体、体表は赤黒い触手が絶えず蠢き、その奥からは緋色の二つの瞳が見える。

 胴体から伸びる八本の手足は、まるで蜘蛛のよう。異形と称したのは、蜘蛛の如き姿もさることながら、何よりもそれには顔がなかったからこそ。

 

 顔がない、だからこそ、表情が読めない。

 

 緋色の双眸だけが、彼女が人だった名残りであるかのように、憎悪に満ちた視線はただ一点を見つめていた。

 

 

 その動きも、人のそれはとはかけ離れている。

 

 八本の手足を器用に使い、大地を、絶壁を、果ては天上を這うように動き回っていた。

 

 正に、それは全身を駆動させているその姿は、傍から見てもおぞましい。

 

 人として、根源的な部分で、受け付けないような動き回るソレ。

 

 

 ソレを見て、天上院オウヒは絶叫するように。

 

 

「うむ、うむ! 本当に気持ち悪いな! よりにもよって、何でその姿なのか!」

 

「気持ち悪いって、もしかして……」

 

 

 何か思い当たる節があるのか、肩を並べて対峙している聖園ミカは視線を異形の怪物に向けたまま口を開いた。

 

 対してオウヒは、うむ、と。

 力強く、自信満々に、怒りのまま。

 

 

「余は! 虫が!! 本当に無理である!!!!」

 

 

 ダメとか、嫌だ、とかではない。

 本当に無理、と断言する辺りで察する事が出来る。

 

 ミカは心の中で思う。

 あっ、これガチのヤツだ、と。

 

 人には得手不得手があるものだが、オウヒにとって虫こそが不得手の一つなのだろう。

 

 ソレを踏まえて、ミカはとある一つの可能性を口にした。

 

 

「クモっぽい姿も、それが原因なのかも?」

 

「どういう意味か、我が運命?」

 

「貴女が虫嫌いって知ってたから、この姿になった、みたいな?」

 

「…………もうホント、最悪、コイツっ!!!!」

 

 

 口調は軽口そのもの。

 共通の敵と対峙しているとは思えないほど、二人とも自然体であった。

 

 それが、癪に障ったのか。

 

 

「────────!!」

 

 

 人の咆哮とは思えない、さりとて獣のそれとも違う。

 既に、別のナニかとなってしまった怪物────ベアトリーチェは叫ぶように唸り、絶叫する。

 

 同時に奔るの、赤黒い触手が何本も重なり蠢き、構成された手足。

 

 それが、二本。

 伸縮しつつ、鞭のように撓り、オウヒとミカに向かって奔る。

 

 眼にも止まらぬ速さ、という訳ではない。

 

 他の生徒ならばいざ知らず、キヴォトスでも上積みの二人だ。

 緩急もついてない、ただ速いだけの攻撃。対処出来ないわけがなかった。

 

 転がるような必死、ということもない。

 

 大きく後退し、縦から振り下ろされる手足を避け。

 膝を抜くように腰を落とし、横薙ぎに振るわれた触手をかわし。

 地面を蹴りそのままの勢いで、空中で倒立するように回転し、重心を制御して魅せ、見事に再び地面に着地してみせる。

 

 まるで、舞踏(ダンス)のようだ。

 跳び空中で身動きが取れないオウヒを、ミカが手を引きベアトリーチェの魔の手から救い出す。

 逆も然りであり、ミカに奔る触手を逃がすべく、今度はオウヒが手を引き、無理矢理避ける。

 

 踊るように、舞うように、それこそ戯れるように。

 極めて自然体で、余裕を持って、オウヒとミカは回避していく。

 

 

「ははっ」

 

「ふふっ」

 

 

 ともすれば、自然と笑みも零れてしまうというもの。

 

 オウヒにとっては、共闘はこれが初めてではない。

 記憶に新しい、ビナーと呼ばれた白い機械仕掛けの怪物との対峙する際に、空崎ヒナと小鳥遊ホシノと肩を並べて闘ったばかりだ。

 

 彼女にとって、誰かと共に闘うのは、新鮮なことではない。

 

 それなのに、心が高鳴り、気分が高揚し、今なら何でも出来るような全能感に浸れるのは────ミカのおかげなのだろう。

 

 当たり前な感情だ。

 何せ、今のオウヒを構成する原因となった、世の中はツマラナイと冷めていた心に熱を通わせ、そうではないと教えたのは彼女なのだから。

 

 偉大なる先駆者、闘争と言う悦びを見出してくれた恩人、幼年期の始まりとも言える切欠を与えた者。

 そんな存在と肩を並べて闘える。オウヒが昂ぶるのも無理はないというものだ。

 

 対して。

 

 

「────────!!!!」

 

 

 一際、ベアトリーチェであった怪物は吼える。

 

 何を笑っているのか、と。

 苛立ちと不快感に滲ませた咆哮を、辺りに轟かせた。

 

 同時に、無数に蠢く触手が一本の束へと収束する。

 避ける余裕など与えない、必ず苦悶な表情に変えると誓ったそれを、オウヒとミカに向かって放った。

 

 しかし、二人の表情は変わらない。

 オウヒは、あまりにも雑な攻め手に拍子抜けだと言わんばかりに退屈そうに。

 ミカは、乾いた笑みを浮かべて困ったように零して。

 

 愛銃を構える。

 引き金は同時に引かれた。

 ミカのもつトリニティ製のサブマシンガン『Quis ut Deus』から乾いた音が連続で響き、オウヒの改造された『リク弐式』が轟音と共に絶え間なく弾丸を発射する。

 

 暴力には暴力で。雑な攻め手には雑な迎撃によって。

 オウヒとミカの身体に、ベアトリーチェの触手が届かない。

 

 むしろ。

 

 

「ククッ────」

 

「────っ!?」

 

 

 その雑な攻撃によって、ベアトリーチェは窮地に立ってしまった。

 

 悪寒。

 理由など説明する余裕すらないほどの、シンプルな悪寒をベアトリーチェは覚えた。

 

 既に理性などその身にないのに────脳内では溜めなく警報が鳴り響く。

 既に人の形を為していないのに────背筋に氷柱が突き刺さったような。

 既に憎悪で支配されているのに────今は引けと彼女の細胞が叫んでいる。

 

 見てしまったから、眼で捕らえてしまったから、それを認識してしまったから。

 

 『リク弐式』とは違う拳銃(ハンドキャノン)とも等しい銃────『アサ改』を構えている、オウヒを視界に、捉えてしまったから。

 

 

 先程の『リク弐式』とは比べられない爆音。

 耳を劈くほどの銃声が鳴り響き『12.7x99mm NATO弾』が大気を切り裂き、敵を撃ちぬかんと推進していく。

 

 同時に。

 

 

「────!」

 

 

 それは命懸けの跳躍であった。

 

 優雅さもかけらもない。

 全身の膂力を屈指し、手足八本を全力駆動させて、その場からベアトリーチェは離脱する。

 その様子はあまりにも必死。仕切り直すための行動ではなく、今その場にある脅威から逃走するだけに注力している。

 

 オウヒが放った弾丸は空を切り、壁へと着弾し、例外なく悉くを破壊した。

 

 動揺はない。

 仕留め損ねたという事実を粛々と受け止めて。

 

 

「理性がない獣風情が避けおった。余程、『アサ改』の一撃は堪えたと見える」

 

 

 再装填。

 オウヒはトリガーガードのスプールに指をかけて、長く重い銃身を血振りするように振り下ろす。

 瞬間、中折れ機構の薬室が開放された勢いで、空の薬莢が虚空へと弾き出された。

 

 そうして新たな弾丸を薬室へ。

 

 油断はない。

 いつも胸に抱く闘争への愉悦も出し惜しむ。

 

 今は、全力で。

 もはや害虫と化した、ベアトリーチェと呼ばれた蟲を捻り潰すのみであるのだから。

 

 

「それにしても」

 

 

 ミカは視線をベアトリーチェに向けながら、怪訝な声で純粋な疑問をぶつけた。

 

 

「どうして、あの人、あんな姿になっているの?」

 

「それは余が持つ神秘が原因であろうな」

 

 

 その問いに答えるのはオウヒしかありえない。

 自身が持つ神秘、そして、搾取され使い潰されている『万能の神秘』を観察しながら。

 

 

「アレも融通が効かない奴でな、あの年増の心、つまりは憎悪に反応し斯様な姿に変体したのだろう。なんとも悍ましい。見るに堪えぬとはこのことか」

 

「姿もそうだけど、あの触手からは嫌な感じがする……」

 

「それは余も感じていた。アレは厭なモノだ。毒、もしくは呪詛の類か?」

 

「貴女の神秘ってやつが原因じゃないの?」

 

「違うな。アレは余の神秘によるものじゃない。もっと()()の、()()()()だろう」

 

 

 呆れたように、オウヒはため息を吐いて。

 

 

「全く、形振り構わずにも程がある。余の神秘だけに飽き足らず、()()()()にまで手を出すとは。呆れるな。アレには身に余る力だというのに」

 

「それって……?」

 

「余も全てを把握しているわけではない。だが、このままでは恐ろしい事になる。汚染、いいや、どちらかと言えば反転か。どちらにしても、このままアレを放置しては、我々はアレに捕まり、恐ろしい者に変わり果ててしまう」

 

「それでどうするの?」

 

「無論、何もかもを消し飛ばす。()()()()()()()()()()()()()から力を供給されているとはいえ、基点となっているのは余の神秘だ。故に、大元を消し飛ばせば済む話であろう」

 

 

 特に気にすることなく、涼しい顔で、さも当たり前のように言うオウヒに、思わずミカは苦言を洩らした。

 

 

「簡単に言うけど、出来るの?」

 

「出来るとも。余が取れる手段はこれしかない。知恵者が寄ればもっとよい解決方法が思いつくかもしれないが……」

 

 

 自分で言った言葉、自分で否定するように、いいや、と首を横に振って。

 

 

「そんな猶予もない。アレに時間をかけてしまえば────本当に取り返しが付かないことになる」

 

 

 それは事実なのだろう。

 今まで笑みを浮かべていたオウヒは、神妙な顔つきで事実だけを伝える。

 

 でも確かに、とミカはオウヒの判断は間違いないと断じた。

 

 何せ、あの触手に触れればアウト。

 少しでも接触されたものなら、どうなるかなどわからない。

 

 わからないが、これだけは言える。

 触れたものなら、自分たちの身体は、意志は、思考に至るまで、反転するということが。それこそ、例外なく。絶対に確実に。

 

 そう断言できるほど、今のベアトリーチェからは嫌な気配がした。

 

 ある意味で、今しかない。

 大凶となる前に、災厄と言う蝶に羽化する前に、蛹である今こそが駆除すべき絶好なタイミングである。

 

 とはいえ、触れれば最後である事は変わらない。

 

 緊張感からの深呼吸。

 一つ息を吸い、そして吐いて、ミカはオウヒに問いを投げる。

 

 

「方法は?」

 

「なに、簡単な事よ」

 

 

 そういうと同時に、オウヒの頭上から。

 つまりは、ヘイローがある場所から、()()()と音が鳴った。

 

 まるで封を開けるような音。それが二回。確かにミカの耳に入る。

 

 何の音なのか、とオウヒに問おうと、そちらに眼を向ける。

 

 

「────」

 

 

 ミカは息を呑む。

 

 オウヒは変貌を遂げていた。

 とはいえ、それは些細な変化。

 

 文字通り、眼の色を変えて。

 右眼を紅いまま、されどその左眼は――――黄金に爛々と光り、輝いていた。

 

 本人は気にすることなく。

 

 

「『アサ改(こやつ)』に余の神秘を込めて放つ。折角の初陣での雑な扱い、不本意だろうが我慢してもらうとしよう」

 

「……簡単に言うけどさー。そんなこと出来るの?」

 

「あぁ。しかし、問題があるな」

 

「やっぱり……」

 

 

 だと思った、と呆れた口調で応じるミカに、苦笑で以てオウヒは応じて。

 

 

「そう言ってくれるな、我が運命。こればかりは、どうしようもない」

 

「一応聞くけど、何が問題なの?」

 

「アレを消し飛ばすとなると、どうしても()()が必要になってくる。その間、余は無防備となってしまう。其方はその間────」

 

「────守りながら、時間を稼がないとならない、ってことだね」

 

 

 その言葉にオウヒは、然り、と頷いた。

 

 簡単に言ってくれる、とミカは心の中で愚痴る。

 

 触れれば終わり。

 痛みに耐えるだとか、そんな次元の話ではない。

 文字通りの意味で終わる。その後、どんなことになるのか。自分も違う存在に変わり果てるのか、そこまで断言できないものの、これだけは言える。

 

 アレは、一度でも触れたら、終わりである、と。

 

 そんなモノから、オウヒのみを憎んでいる怪物から、彼女を守り切り、尚且つ自分も無傷で相対しなければならない。

 

 なんて無茶な指示(オーダー)だろうか。無茶振りにも程がある。

 ただ不思議と、投げ出す気持ちにはならなかった。むしろ────。

 

 

「────上等」

 

 

 やる気が満ちるのを、ミカは自覚する。

 

 同時に、ミカの中で、ナニかが噛み合う。

 

 視界から入る情報を削ぎ落とし、目の前の敵に専心する。

 気分は高揚とし、しかし精神は落ち着いており、圧倒的全能感に身体が支配されていく。身体も軽く、十全以上の性能(パフォーマンス)を発揮する事を、ミカは断言できる。

 

 つまりは、集中極限状態(ゾーン)に入る。

 キヴォトスの中でも、限られた実力者。その中の選りすぐりの生徒達でも、入れるか分からない領域に、ミカは己の才能だけで到達する。

 

 

「大丈夫」

 

 

 そして、告げる。

 背には守るべきオウヒを、目の前には彼女を害する敵を見据えて、ミカは告げる。

 

 

「貴女は自分のやるべき事に集中して。ここから先は、誰一人として、貴女を傷つけさせない」

 

「────────」

 

 

 その背中を見て、オウヒは言葉を失った。

 

 いいや、見惚れていたと言っても過言ではない。

 今日で何度目か、再会してから何度目か、出会ってから何度目か。数え切れないほどの、胸の高鳴りをオウヒは自覚する。

 

 

 ──初めて闘ってから、今日まで。

 ──貴女は背も伸びて、綺麗になったけれど。

 ──輝きは、あの時のまま。

 ──物語に出てくるお姫様みたいで。

 ──眩してくて、輝いたまま。

 ──あぁ、なんて……。

 

 

「美しい……」

 

「えっ、なんて? 今、なんて??」

 

「いいや、戯言であった。わざわざ言の葉に乗せずとも、事実は変わらぬ」

 

「……言葉にしないと伝わらない事もあると思うけど?」

 

「ははっ、我が運命よ。その言葉は余にめっちゃ効く。積み重ねてきた実績がある故に」

 

 

 オウヒは笑みを零すが、その笑い方はどこか虚しく、視線もどこか遠くを見つめている。

 加えて、冷や汗を流しているのは、きっと気のせいではないだろう。

 

 その反応もしょうがない。

 何せ、これまでの状況を作り上げたのは、オウヒ達が自分の思いを最後の最後まで言葉にしなかったのが、原因の一つなのだから。

 

 それは踏まえて、オウヒは学んだ事を活かすために口を開く。

 具体的に、遠慮せずに、躊躇うことなく。

 

 

「しかし、朗報だ。心強い援軍が来る」

 

「え、それって────」

 

 

 誰なのか、とミカが尋ねる前に、石造りの壁が爆発する。

 

 粉微塵に、戦塵を巻き起こしながら、飛び込んでくるかのように、二人の人影。

 

 

「もー、アルちゃん。無茶しすぎ」

 

「しょ、しょうがないでしょ! アビドスの三年生が急に消えたから、何かあったと思って……!」

 

「気持ちはわかるけどね。後で、カヨコちゃんとハルカちゃんにお礼言わないと」

 

「わかってるわよ。それよりも────」

 

 

 その二人が誰なのか、オウヒもミカも知っている。

 

 突如として、爆発を伴って現れた乱入者。

 それが誰なのか、オウヒは理解すると本当に嬉しそうに笑みを浮かべて、ミカはこれでもかというくらい顔を不快そうに歪める。

 

 それはゲヘナ生徒だった。

 一人は赤髪で、その手にはスナイパーライフルが握られ、ゲヘナ生徒らしいといえばらしい二対の角を生やし、両肩でロングコートを羽織っている。

 もう一人は純白な髪の毛。小さな体躯であるものの、大きな愛銃と、これまた大きな黒いバッグを片手に持っている。

 

 赤髪の生徒────陸八魔アルは叫ぶように。

 

 

「オウヒ、無事────」

 

 

 そこまで言うと、アルは言葉を失う。

 

 視線の先には確かに、オウヒの姿があった。

 だが、ミレニアムの制服はボロ布のように擦り切れており、至るところで肌が露出されており、血も滲んでいる。片目も若干腫れており、とてもではないが五体満足と断じれるほど無傷な身体ではなかった。

 

 アルの視線とオウヒの視線が合わさる。

 衝撃に眼を見開くアルに、オウヒは安心したような笑みを零した。

 

 オウヒもまだ戦闘中であることは自覚している。何一つ終わってないのは重々承知。

 それでも堪えきれないように、心の底からホッとしたように、思わず泣きそうになりそうになってしまった。

 

 それだけで充分だった。

 何をされたのかなど、途中からこうして乱入してきたアルに知る術はない。だが、それだけで充分だった。

 

 

「このっ、私達のオウヒに、何してんのよっ!!」

 

 

 絶叫にも似た怒気共に、アルの愛銃から銃弾が放たれた。

 狙いは怪物と化している元凶、ベアトリーチェ。

 

 

「あーあ、アルちゃん怒っちゃったよ」

 

 

 対して白髪の少女────浅黄ムツキの口調は冷静だった。

 だが、心なしか。いいや、確実に。彼女の纏う空気は冷え切っている。

 いつものように、笑みを浮かべて、喜悦共に闘争に望むムツキはいなかった。

 

 アルが怒りを発散するのに対して、ムツキは怒りを溜めて溜めて、限界まで溜める。

 そして。

 

 

「気持ちはわかるけどね。うん、そうだよね。私達のヒーちゃんが、こんなになるまでされたら、もう、ね?」

 

 

 破壊した瓦礫を足蹴に、苛立ちを隠さずに素直に。アルと同じように、殺意をむき出しに。

 

 

「────こんなにされたら、ブチ殺すしかないよねぇ!?」

 

 

 黒鞄の中から大量の爆発物を放り投げる。

 

 それからは爆破物と、銃声が辺りを木霊する。

 

 時間稼ぎなどとんでもない。守りながら闘うなんて持っての外。

 アルもムツキも、自身の幼馴染に手を出した輩を、殲滅する勢いで蹂躙し始めていた。

 

 ソレを見て、オウヒは愉しそうに、本当に愉しそうに。

 

 

「ククッ、流石アーちゃんとムーちゃんである。素敵だ、何もかもが台無しだ。こうでなくては、そうではなくては、本当に素晴らしい」

 

「……どうするの?」

 

「余も肩を並べて闘いたいが、本当に口惜しいが、変更はない。一撃、それで何もかもを終わらせて見せよう」

 

「……そっ」

 

 

 それだけ呟くと、ミカも戦場に戻った。

 颯爽と、一息で、不機嫌そうな雰囲気を纏ったまま。

 

 

「……むむ?」

 

 

 オウヒには首を傾げる。

 ミカがどうして怒っているのか、わかりようもない。

 

 それに思考を割くこともなく、まぁいい、と断じると。

 

 深呼吸。

 一度大きく息を吸い、そして大きく吐き出して。

 

 

「――――限定解除開始。神秘、解放――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

 拙作も一周年を迎える事ができました。
 長いようで短かったです。飽き性の私がここまで執筆できて投稿出来ているのも、ハーメルンさんという投稿サイトがあるのは勿論ですが、読んでくれている読者さん達がいてこそでごじざいます。
 この場を借りて、お礼を言わせてください。
 
 本当にありがとうございました。
 これからも『こちら、世界征服推進部ソロモンである』をどうかよろしくお願い致します!!

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