~前回のあらすじ~
ネル「お前はゲームやらねぇの?」
オウヒ「うむ、やらぬ。案山子に徹し、貴様達を観戦しているとしよう」
アリス「わかりました! 勝負です、ネル先輩!」
ネル「(何を企んで……まさか、あたしと格ゲーするときのために観察してやがるのか!?)」>レバガチャ
アリス「(スターが見ているので頑張ります!」>アソビハオワリダ!ナケ!サケベ!ソシテシネ!
オウヒ「~♪(他の人がやっているゲームを見るの楽しいなぁ)」
授業も終わり、放課後となった現在。
つまり、学生全員が無敵となる時間帯となった今、ワタシはミレニアムタワーへと足を運んでいた。
今回もリオ会長からの呼び出し────というわけではない。
会長とは違う人物から呼び出しを受けて、ワタシはミレニアムタワーに足を踏み入れようとしていた。
呼び出し、というよりもお誘い。
お誘い、というよりも懇願に近い。
昨日、ネルちゃんとアリスちゃんとでゲームセンターに行ったワタシですが、その帰りにアリスちゃんから、お誘いがあったのです。
──アリス、スターにゲーム開発部に遊びに来て欲しいです!──
あまりにもストレートなお誘いだった。
満面の笑みで、まるで幼い少女のように、純粋無垢すぎるくらい真っ直ぐな。
それを聞いたワタシは断るはずもなく。
気付いた頃には「うん」と首を縦に振っていた。
いや、断れる筈もない。
断る理由もないけれど、これは断れない。
だって、アリスちゃん可愛いから。
あそこまで純粋な娘は今まで見たことがない、ってくらい。ああいう娘が、愛され体質というのだろう。純粋に羨ましい。ワタシは絶対に備えられない長所だから。
ネルちゃんがお世話を焼くのも頷ける。
それくらい、アリスちゃんは可愛い。
そんな可愛い子からのお誘いがあったんだもん。無碍にすることなんて、ワタシに出来る筈もなく。
「~♪」
そんなわけで、ワタシは気分が高揚としていた。
戦闘とはまた違った高鳴りが、ワタシの身体の中で鼓動していた。
素直に嬉しいのだ。
あんな可愛い子に懐かれて、しかも『スター』なんて素敵なあだ名まで付けてもらった。正直な話、どうしてワタシがスターなのかわかっていない。その辺りも、教えてくれるとありがたいのだが。
「~~~♪ ────……ん?」
スキップまでしそうなくらい浮かれていたワタシの眼に、とある人物の姿が映った。
その人物は車いすに乗っている。
ただの車いすではない。ハンドルを持ち押したり、主輪にあるハンドルリムを回して自走したりるものとは違う。
その車いすは電動で、あまり詳しくないワタシの眼から見ても、最新鋭の技術を用いて作られた車いすであることがわかる代物だった。
華奢な両肩、儚げに見える白い長髪。
寒がりなのか、身体を冷やさないためなのか、それともその両方が理由なのか、その膝にはブランケットが敷かれていた。
彼女は自動販売機を前にして、うーん、と首傾げる。
ワタシ足を止めて、彼女に近付いて声をかける。
「どうしたのだ、ヒマリ?」
おや、と。
彼女は────ヒマリさんはワタシの存在に気付いて、車いすの操作パネルを操作して、ワタシの方へと向き直り。
「ここで会うとは奇遇ですね、オウヒ」
「そうでもあるまいよ。余と貴様はミレニアムの生徒だ。生徒が学区内で会うのは当然ではないか?」
「えぇ、学区内であれば、私達が会うのは珍しいことでもないでしょう」
どこか含みのある言葉だった。
そしてワタシには、ヒマリさんの言う事が理解出来ないのか、上手く応じる事が出来ない。
それが表情に出ていたのか、ヒマリさんは苦笑を浮かべて。
「私がミレニアムタワー近辺にいることが、珍しい事なので」
「で、あるか?」
「ヒントは、そうですね。ここには“あの女”がいる、っていったらわかりますか?」
片目を閉じて、ウィンクするように。
茶目っ気溢れる口調でヒマリさんは言うけれど、ワタシは乾いた笑みを浮かべることしか出来なかった。
ヒマリさんは誰にも優しい。
ワタシにだって優しい、本当に面倒見が良い先輩だ。
そんな彼女が辛辣に“あの女”と呼ぶ人。それはワタシには一人しか思い至らなかった。
どうして二人は仲が悪いのか。
それは当人同士でしかわからない。きっと、ワタシにはわからない見過ごせない何かがあるのだろう。
それでも、だとしても。
「ヒマリ」
「なんでしょう?」
「もう少し、こう。仲良くと言うか、うむ……」
二人が────ヒマリさんとリオ会長がいがみ合うのは、なんだか嫌だ。
これはワタシの我儘なのだろう。誰が聞いても、ワタシの勝手な感情である。
殴り合いの喧嘩や、喧嘩をするのならわかる。
競い合うのは楽しいことだし、その後に生まれる友情も中にはある。
でもいがみ合うのは、なんだか違う気がする。
それが二人のコミニュニケーションであるのならいいのだけど、見ている限り違うと思うのです。
嫌なものは嫌なのです。
二人とも優しくて、頼れる先輩で、お話してて楽しい人達で、ワタシが好きな人達。
その人達がいがみ合うのを見ているのは、悲しい気持ちになる。その程度の、子供のような、幼稚で、自分の気持ちに折り合いがつけられない稚拙な言い分。
それを、ヒマリさんは笑いもせずに、咎める事もしない。
どこか余裕そうな笑みを浮かべて。
「大丈夫ですよ、オウヒ。私は三年生ですよ。デリカシーのないリオの発言に、いちいち目くじらを立てませんとも」
「おぉ、何とも頼もしい……」
「ですが、えぇ。偶に、本当に極まれに、イラッとくることはありますが……」
「ヒマリさん?」
ほほほっ、と誤魔化すように優雅に、それでいて柳のような仕草で、ワタシの自然と出た問いにも満ちた声に応じる。
なるほど、これが大人なのか。
こういう受け流すスキルをワタシも身に着けるべきなのかもしれない。
「先ほどもイラッとしましたが。それはそれ。私達にはそれが当たり前なのです」
「先ほど、っというと……」
「話をしてきました。お互いの認識のすり合わせ、それと立ち位置を明確にするために」
「具体的に言うと?」
「決裂しました。喧嘩別れとは言いませんが、あそこまでスタンスが違うとどうしようもありませんね。絶賛、私とあの女は対立しています」
「……穏かではないな?」
ヒマリさんの強張った表情、それと言動から、どこか不穏なモノを感じ取る。
様子もどこか暗い。ため息を小さく吐いて、ヒマリさんは続けて言う。
「とはいえ、アレの言い分もわかります。よくあそこまで、一人で調査したものです。今のところ、あの女の言う方法しかなく、打つ手がない」
ヒマリさんのいう事は、どこか抽象的で、ワタシには意味が分からない内容だった。
これが、IQが違いすぎると会話にならないと言う奴なのか。
……自分で言っていて悲しくなる。
ヒマリさんもそんな哀れなワタシに気付いたのか、すみません、と一言だけ言うと。
「それはそれておして、オウヒはどうしてここへ?」
「ゲーム開発部の天童から、遊びに来て欲しいと誘われた故、赴いている」
「あの女の呼び出しではないと……」
ふむ、とヒマリさんは少しだけ考えて。
「オウヒ」
「なんだ?」
「ゲーム開発部に行く前に、私と少しだけお話しませんか?」
>>オウヒのゲームに対する姿勢
基本的に、自分からはやらない。やるよりも見ている方が楽しい派。
アクションゲームは下手だし、格ゲーは波動拳コマンドを出せたら「みた!?」っていちいち見てくるタイプ。
レースゲームも苦手。カーブする際に身体を傾けちゃう。
音ゲーなんて以ての外。リズム感が皆無なので、1テンポ遅れるし、少しだも間違えるとテンパる。
辛うじて出来るのはRPG。
>>「~♪」
アリスから誘われて浮かれている。
アリウスの生徒達とは違う感じの慕われ方が新鮮の様子。
このたび、キサラギ職員様より、素敵なイラストを賜りました!!
許可を頂きましたので、ここで紹介させて頂きます!
そう、あれは私の無茶振りから始まりました。
『三年生になったオウヒ』を描いてください、というお願いから始まりました。
そしてお出しされたのがこの素敵なイラスト。三年生オウヒ、エッチだ。太ももが特に……。
【挿絵表示】