ゲヘナの気高き碧い猛獣 作:吠えろ青春!!
プロローグ
「────は?」
自分の姿を見て、俺が思わずそんな声を出してしまったのは仕方がない事なのだろう。
朝、何時もの様にアラームで目覚め、顔を洗いに行った時には違和感は何となく感じていた。でもそれは寝惚けているだけだと大して気にしていなかったが、その考えは洗面所の鏡で自分の姿を見た時に一瞬にして砕かれた。
「誰……?」
鏡に映る自分は、普段の知っている自分と大きくかけ離れていた。
黒髪のおかっぱ頭で、濃ゆい眉毛、自分とは違う別の誰かの顔、そして全身緑色のタイツを履いている。
そう今の自分の姿はまったくの別人となっていた。
「は?あ、え?、ん?」
今の自分に起きている状況が全く理解出来ず、俺は頭が混乱し、自分の顔をペタペタと触りながらこれが夢ではない事を理解する。
「それにこれって………」
おかっぱ頭、濃い眉毛、そして全身緑色のタイツ、そこで薄々とは感じてはいたが、今の自分の姿は正に………
「ガイ先生じゃねーか………」
そう、あのマダラに体術において最強だと認められた、あの木の葉の気高き碧い猛獣であるマイト・ガイの姿その物だった。
「しかもこれガイ先生が子供だった頃の姿じゃないか?」
身長の小ささや、骨格や体格、そして筋肉の付き方を見るに、完全に子供の姿なので、これは間違いないだろう。そして年齢は大体小学生ぐらいだろう。というか奥の方にランドセルが置いてある事から間違いなく、小学生だろう。
とりあえず、俺は今の状況を整理し、今の自分に必要になるであろう情報を集める為、近くにあった
(………あれ?)
スマホを取った所で、ふとある疑問が俺の頭の中に湧いた。
(ガイ先生が子供の時にスマホなんてあったっけ?)
そう、俺はガイ先生の子供の時の姿である事からてっきりNARUTOの世界に転生してしまったと思っていたが、ガイ先生が子供の時にスマホなんて物は俺の知る限りでは存在していなかった筈だ。
(もしかしてここはNARUTOの世界じゃなくて
情報がないまま調べても埒が開かないので、俺は早速スマホに電源を入れ、動画サイトなどから情報を探る。
そこにニュースのような物がLIVEで流れていた為、俺はそれをタップする。
『今日のゲヘナは────トリニティとの────により───』
自分の顔が引き攣り、冷や汗が流れているのが分かる。
先程のニュースから聞こえたゲヘナ、トリニティなどなど聞き覚えのある単語、そしてそれを報道している少女たちの頭に浮かぶ天使の様な光輪。
それらの要素から俺は嫌でもこの世界が何なのかを理解させられる。
「ここブルーアーカイブの世界じゃねーか…………」
俺にはヘイローが存在しない。
つまりは銃弾一発で重症になる身体で、銃弾と爆弾が飛び交うこのブルーアーカイブという世界に俺は転生してしまったのだ。
(これって俺、詰んだ?)
いやよく考えると、もし俺がNARUTOの世界に転生したとすると、俺はうちはマダラと戦ったりしないといけないかもしれないから、それよりはこの世界はイージーなのかもしれない。
どっちにしろ、それは自分が強くならなければいけないという前提条件が必須なのだがな。
「…………とりあえず外出るか」
▼▼
今日の俺は本当に運がないと感じる。
喉が乾き、コンビニに立ち寄ったのがそもそも悪かったのか、今の俺では分からない。
「────お前等!!手を上げろ!!そっから一歩も動くんじゃねーぞ!!」
ヘルメットを被った不良集団が強盗しに来たのか、コンビニに居る人たちに向けて銃口を突き付けていた。俺と一人の少女を人質として。
「……………?!」
「テメェ!何コソコソ通報しようとしてやがる!!」
今の現状をいち早く解決する為に、コンビニの店員が隠れてヴァルキューレに通報しようとするが、ヘルメットを被った不良少女の一人に運悪く発見されてしまう。
「テメェ、覚悟は出来てるんだろうな………?」
自分たちに隠れて通報をしようとしていたコンビニ店員が気に食わなかったのか、不良少女は激昂し、セーフティを解除し、銃口の標準をしっかりと定めて引金へと指をかける。
この世界の住民なら、その銃口から放たれる弾丸は痛いで済むかもしれないが、俺は一発で重症、もとい俺自身の死へと繋がる。
初めての隣接する死の危機に俺は身体が恐怖で震えて、ただ何も出来ず突っ立っていた。
「────!?」
そんな中、震える俺の手をギュッとその温かい手で握ってくれる人物が居た。
俺はそれに僅かながらも恐怖を忘れる事ができ、自身の手を握ってくれている人物へと目を向ける。
「大丈夫。私が居るから。大丈夫………」
そこには白くてモフモフとした長い髪が印象的な小さな少女がいた。
不良少女にバレないよう、小声で一人の少女が子供をあやすように俺の手を握りながら、俺の恐怖を取り除こうとしてくれている。
俺は少女に感謝を感じると同時に、酷く自分自身が情けなく感じてしまった。
今の自分と同年代であろう小さな少女に、精神的にも自分より幼いであろう少女に、俺はなんて情けない姿を見せてしまっているのだろうと。
彼女だって怖い筈なのにそれに立ち向かい、俺までの恐怖を取り除こうと尽力をしてくれている。それに比べて自分はどうだ?ただ恐怖に震え、あまつさえこんな小さな少女に慰められている始末だ。
情けない。本来なら男である俺自身がやるべき事だっただろう?
自分自身がどうしょうもなく情けなく感じてしまう。俺はこの少女に力と心までもが負けてしまっていたのだ。
「────おい!ヴァルキューレの奴等に加えて風紀委員会の奴等が来やがったぞ!!」
「チッ、お前らずらかるぞ!!」
リーダー格の不良少女がヴァルキューレだけならまだしも、風紀委員会が居るとなると、流石に部が悪いと感じたのか、撤退命令をする。そうすると不良少女たちは自身が捕まらない為に、各地に散らばり逃走を測り出す。
俺はそれに死の恐怖から逃れられた為か心がホッとしたような感覚を覚えた。
「ふぅ、なんとかなって良かった………」
そんな中、少女に握られていた手が離され、俺は何故だか物寂しさを感じてしまう。
「じゃあ、私はヴァルキューレの人たちになにがあったのか説明してくるわ」
踵を返してヴァルキューレの元に向かおうとする、少女の小さな腕を俺は咄嗟に掴んでしまう。
「………何?」
「あ、えっと………」
なんで自分が少女の腕を掴んだのか、自分自身でも分からず言葉に詰まってしまう。そんな様子の俺を見て少女は戸惑ったような顔をしていた。
「な、名前を教えてくれないか?」
「私の名前?」
自分でもなんでこんな事を聞いたのか分からない。だけどこれだけは聞いとかないと後悔すると直感で感じたのだ。
「
▼▼
俺はあの日から強くなる為に鍛錬を詰むことした。
だが結果は散々でガイ先生がやっていたトレーニングを真似し、校庭500周にチャレンジするも、50周で挫折。
腕立て伏せ500回にチャレンジするも、100回を超えた辺りで腕が限界を迎えて挫折。
自分ルールでトレーニングに失敗した自分にデメリットを課すも、すぐに限界を迎えて挫折。
俺は気付いてしまったのだ。本来のガイ先生のあの強さは、血が滲むような努力を長年惜しまずに鍛錬していたからこそ、得られた力。………つまり、俺の様な甘っちょろいガキが少し努力をしたからといって、力を手に入れられる訳がないのだ。
「はあ………」
思わず溜め息が口から溢れてしまう。
それは、自分が如何に無力な存在なのかを分からされてしまったからなのか、自分が如何にも愚かだったのかを思い知らされた物から来るのかは分からないが、きっとそれは今の自分にとっては余り快い物ではないだろう。
俺はあの時に心に誓ったのだ。
あの少女、
その為には、こんな鍛錬は早くこなせるようにならなければならない。それは酷く辛く、苦しい物になるだろう。
「それでも、男なら強くならないとな………」
俺の忍道は決まった。
ガイ先生から受け継いだ、『自分の大切なものを死んでも守りぬく』。そして『空崎ヒナに胸を張れるような、誰よりも強い男になる』これが俺の忍道だ。
「さあ青春をしようじゃないか」
これはとある少年が、熱き炎を心に宿し、ゲヘナの気高き碧い猛獣になる前の
〜〜おまけ 《少し先の未来の出来事》〜〜
「────ダイナミック・エントリー!!」
「ヤバいぞ!!『ゲヘナのヤバい珍獣』が来やがった!!」
「わははは!!若き日の間違いは誰でも起こす物だ!だからしっかりと反省してこいよ!!」
「何が若き日だ!お前、私たちと年齢大して変わんないだろ!!」
「まったく! 青春してるなー! お前らーっ!」
やっぱり男なら誰かの為に強くならないとだね!!
良かったら感想とか誤字報告などよろしくお願いします!!