ゲヘナの気高き碧い猛獣 作:吠えろ青春!!
注意)この主人公はガイに憑依という形なので、普通にガイらしかぬ言動や行動とか普通にします。中身は全くの別人だしね!
────銃を持っていない生徒は裸で歩いている生徒より少ない。
そんな事を言われる程、このキヴォトスでは銃を持っているのが当たり前であり、そこで暮らす住人にとって普通の事であった。
自動販売機やコンビニでは銃弾や手榴弾を当たり前に販売し、園児や小学生ですら手榴弾を投げ、銃を持っている。それほどまでにこのキヴォトスでは銃を持っているのが当たり前で普通の事だ。
だがしかし、その当たり前で普通の事が彼女たちの中で突如として崩れる。
「みんなすぐに距離を取って!!」
「──── 木ノ葉大旋風!!」
カヨコの咄嗟の判断と指示により、彼女たちはすぐにその場を離れる。そしてその直後、アルたちが先程居た場所にガイの強烈な速さで繰り出された後ろ回し蹴りが炸裂し、それによって地面が砕け散り、その勢いのあまりか砂埃が高く舞う。
「うそでしょう………?」
その光景を見て思わずアルは驚愕のあまり言葉を漏らす。そしてそれは他の面々も同じようで、あのムツキでさえ目を見開いて驚いている。
ガイはヘイローを持たない人間だ。キヴォトスで暮らす自分たちとは違い、力も弱く、銃弾一発で重症に陥ってしまう。しかもガイの場合は銃を保持していないとまで来た。
彼はヘイローも銃も持っていない人間。
そんな思いがあったからこそ、彼女たちはまだ心の何処かで安心していたのだろう。あるいは油断をしていたのかもしれない。
────きっと大丈夫だろうと。
だがそんな安心も油断も、先程のように一瞬で消し飛んてしまう。
「はっはっは!!まだまだ行くぞ!!」
(速い………!!)
ガイは一瞬にして彼女たちとの距離を縮めて、その拳を真下へと振り翳す。そしてその拳はヘイローを持たぬ身でありながら、圧倒的な力によって地面を再度砕き、砂埃や土砂を辺りに散らす。
「お前たち次はちゃんと構えろ。次は本気で当てに行くぞ?」
「…………!?」
自分の事を彼女たちが油断しているのをガイは分かっていたのだろう。なのでガイはそんな油断を消し飛ばし、緊張感を彼女たちに持たせる為に、敢えて最初の二撃を外す。
そしてその事は、アルたちも先程のガイの発言と行動から読み取ったのだろう。そこから彼女たちは本気でやらないと自分たちがやられると理解し、すぐに意識を切り替える。
「それに一つ言っておくが…………俺は空崎ヒナより強いぞ?」
「きゃっ!?」
「アルちゃん!!」
だがその束の間に、ガイが力強く地面を踏みつけ、加速し、一瞬にしてアルとの距離を詰める。そしてその勢いを保ったままガイはアルに向けて掌拳を叩き込む。
「社長!平気!?」
「え、ええ、咄嗟に後ろに下がったお陰で何とかね………」
アルは咳き込みながらも何とか無事のようだ。
カヨコがガイを警戒しながらも、アルの元へと駆け寄りその背中を摩る。アルが咄嗟に後ろに下がって衝撃を和らげたとしても、どうやら多少のダメージを彼女は喰らっているようだった。
「よくもアル様を……!!許さない許さない許さない許さない……!!」
それを見たハルカがガイに向かって走り出してその銃口を向ける。だがそのまま発砲される訳にはいかないので、ガイは彼女の銃を真上に蹴り上げる形で、射線を真上にズラし、銃弾の直撃を避ける。
「ハルカ下がって……!」
その直後にハルカをフォローする形でカヨコが、隙の出来たガイに向かって銃口を向ける。そしてそのまま照準をを定め、トリガーに指を掛けて引金を引く。
「やるな!素晴らしいチームワークだ!」
だがしかし、ガイの驚異的な身体能力によってカヨコから放たれた銃弾はは全て変則的な動きによって交わされてしまう。
「あんまり私たちを舐めないでちょうだい!!」
しかしこのまま黙ってやられる彼女たちではない。アルは的確に照準をガイの胴体へと狙いを定めて引金を引く。
「おっと、今のは危なかった」
(あれも避けるって言うの!?どんな反射神経してるのよ!?)
ガイは目の前に迫ってくる弾丸を身体を傾けるだけという、最低限の動きで交わす。
「アルちゃん!離れて!!」
「…………っ!?」
そこにムツキが狙ったかのように爆弾の詰め込まれたバックをガイに向かって思いっきりぶん投げる。それにより先程までのガイの余裕の表情がここに来て崩れる。
「くふふ、バーン!」
ムツキが爆弾のスイッチを起動し、その直後、巨大な爆発音が鳴り響き、爆風が彼女たちを襲う。
「ハルカちゃん!やっちゃって!!」
「死んでください死んでください死んでください!」
そこに更に追撃するように、ハルカの持つ爆弾全てを投下し、更に爆風が彼女たちを襲い、轟音が鳴り響く。
そして爆風が収まり、辺りに舞った砂埃が落ち着くのを彼女たちはジッと待つ。
「…………終わった?」
砂埃が落ち着き、視界がクリアになってくると彼女たちは今の状況を確認しようとする。
「────まさかここまで追い詰められるとはな」
「うそで…しょ?」
だがしかし、砂埃が落ち着き、視界がクリアになった先に居たのは、砂埃と多少の泥は被りつつも、ガイが無傷で立っていた。
「………もしかして君って不死身?」
「俺は不死身ではない。………いやしかしここまで追い詰められるとは思ってなかったぞ。まさか
ガイが驚いたような嬉しそうな表情を浮かべて彼女たち便利屋68へと素直な気持ちを述べる。
「……それは賞賛なのかしら?」
「ああそうだ。お前たちは強い。誇りに思え」
「なら貴方を私たち便利屋68が倒して誇りに思わせてもらうわ!」
アルたち便利屋68のメンバーが闘志を燃やし、戦う意志をガイへと示す。ここで負けを認めるなど更々ない。
「ならば俺もその闘志に答えよう!」
ガイもそれに答えるように、自分の足首から太ももにかけて履いているオレンジ色の脚絆を捲り、自分の脚に巻いてある根性と書かれている重しのような物を取り外す。
「重し……?」
そしてガイがそれを地面に放り出すように投げ捨てると、その瞬間に勢いよく落下し、大きな衝撃音が辺りに鳴り響く。
「その重しどんな重さをしてるのよ?!」
地面には先程ガイが投げた重しがあまりに重い為か地面にめり込み、辺りにヒビを入れる。それによってあの重しがどれほどの質量があるのかは、彼女は一理解をし、驚愕の表情を浮かべるのだった。
「────では行くぞ!」
「速過ぎる……!?」
突然としてガイの姿が消える。
先程のガイのスピードを速いと彼女たちは表現したが、今のガイのスピードは更に段違いだ。目で追うのがやっとの速さで、少しでも集中が途切れたら姿を見失ってしまう。
「……来る!!」
ガイの姿が彼女たちの前に突如として現れる。
それをカヨコが対処しようと、自身の愛銃であるデモンズロアをガイへと向けて、銃弾を撃ち込もうとする。
「遅い!!」
「クッ……!!」
だがしかし、それはガイの圧倒的スピードによって、銃身を握られて逸らされてしまい、空を切ってしまう。
「今度は此方側から行かせてもらうぞ!!」
ガイが先程のお返しとばかりに反撃を開始する。
ガイはカヨコの銃をそのまま奪い取り、後ろに引こうとした彼女を先回り、逃げ道を無くす。
「…………!?」
「カヨコ!!」
カヨコの頭に衝撃が走り、軽い脳震盪を引き起こす。それによりカヨコは立っていられなくなってしまい、フラフラした足取りになってしまい、倒れてしまう。
「アアアアアアア!!!」
それを見たハルカが半狂乱となりながらガイへと突撃する。そしてその際に彼女のショットガンから放たれる広範囲な攻撃は近距離では脅威となるが、ガイに一瞬で後ろに周り込まれてしまい、頭に手刀を軽く入れられてしまう。
「アル様……す…いませ……ん……」
そしてカヨコと同様にハルカも軽い脳震盪によって立っていられなくなってしまい、武器を落として倒れ込んでしまう。
「これって絶対絶命のピンチってやつ………?」
「……降伏をするか?」
「そんな事する訳がないでしょう!これは私たちが挑んだ勝負よ!ならばそれを最後まで突き通すのが真のアウトローってやつよ!!」
ムツキがアルの発言を聞き、「やっぱりアルちゃんはこうでなくっちゃ!」と言葉を続けながら嬉しそうに笑う。
彼女たちは決着を付ける為、勝利を掴むため、お互いに武器を構えてガイへと立ち向かう。
「そうか……ならば、俺も最後まで全力でやり通すのが礼儀だな」
ガイは彼女たちとの戦いに、全力を出さなければ、それは彼女たちにとって無礼に当たると思い。今の自分が出せる力を解放する。
「お前たちとの戦い……いい勝負だったぞ」
その言葉を最後にアルとムツキの意識は暗闇へと落ちてしまうのだった。
▼▼
「────ん〜?」
「起きたのか?」
身体が揺れるような感覚と共にムツキは重い瞼をゆっくりと開ける。そうすると外は日が沈み出している頃なのか、紅に染まる太陽からの眩しい光が目に入ってきて思わずムツキは顔を顰めてしまう。
「ここって………?」
ムツキは現状がまだ理解出来ず、情報を手に入れようと今の自身の状況を考える。
「ってそれより何で私、おんぶされてるの?」
今の自分の状態を謎にムツキは思い、思わず疑問を口にしてしまう。
「気絶したお前たちをあそこに放置して置くのはどうかと思ってな。こうして一人一人運んでいる」
自分の事をおぶってくれている人が後ろからでは、寝惚けている為か分からなかったが、その声によってムツキは誰なのかを理解し、意外そうな表情を浮かべる。
「へ〜『ゲヘナのヤバい珍獣』って意外に優しいんだね」
「何だ?その変な名前は?それに俺は『ゲヘナの碧い猛獣』だ」
そんなたわいもないような会話を少しした後、ガイがふと思ったかのように口を開く。
「そういえば目も覚めた事だし俺から降りて歩くか?年頃の女がこんな熱苦しいような男に背負われるのも嫌だろう?」
「う〜〜ん………」
ムツキはそういえば自分はおんぶされているんだったと思い出し、改めてガイの背中を身体で感じ取る。
その背中はキヴォトスに居る女性たちとは違い、思った以上に広くて筋肉がある為か頑丈で、思わず他の人たちとは違う安心感を得られるような物だった。
キヴォトスで初めて触れる人間の男。しかもそれはヘイローを持たない身でありながら、私たちを打ち倒した強靭な男。
何故かそんな彼から離れたいとはムツキは思わなかった。
「足が動かないからこのままおんぶしてくれると嬉しいなかな?」
「ん、そうか?お前が平気ならいいんだが………」
「平気平気♪。それより碧い猛獣さん。これって今何処に向かってるの?」
「近くの公園だ。お前の仲間たちもそこに運んであるぞ」
「そうなんだ〜。てっきり私は負けたからって事で卑猥な事をやる場所に連れて行かれるかと思ったよ」
「一応、風紀委員である俺がそんな馬鹿みたい事する訳ないだろ」
「本当に〜?」
「本当だ」
ムツキは不思議な感覚と共にガイとの会話に花を咲かせる。
それは普段一緒に居る便利屋の面々と話す時の感覚と似ているようで似ていない、何とも言えない感覚だったが、気分は悪くない。むしろ良いとさえ感じている。
「そういえば、ちゃんとした自己紹介はまだだったよね?私は浅黄ムツキ。よろしくね♪」
「俺はマイト・ガイ。呼び方は気にしないから好きに呼んでくれ」
「くふふ〜そうさせてもらうねガイ君」
ムツキは便利屋の面々が居る公園に辿り着くまでその背中をたっぷりと満喫するのだった。
▼▼
とあるビルの一室にて、一人の男が目の前に映し出されている映像を見ながら怪しげに笑う。
「────クックック。ヘイローを持たない身でありながら、彼女たちと張り合う所かそれを上回る力。素晴らしい、ここまでの物とは………!」
それは先程のガイとアルたち率いる便利屋との戦いで、彼は何かを見落とす事のないよう、一つ一つ丁寧に映像を見通していく。
「それに戦いの中で一瞬だけ見せたあの力……神秘や恐怖とは違う全く別の力。素晴らしい!本当に素晴らしい!ここまで興味が啜られるとは………!!」
その不可解な探究者は怪しげに笑い、先程のガイと彼女たちの戦いを何度も何度も繰り返して観察をするのだった。
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おまけ
ガイがムツキをおぶっている時の会話。
「そういえばガイ君ってさ、モモトークやってる?」
「やっているが、それがどうした?」
「それならさ〜、私と交換しようよ!……そ・れ・に!アルちゃんのも私が連絡先あげるから繋がろうよ!絶対面白い事になるよ〜〜!」
後日、アルがモモトークを開くといつの間にかガイの連絡先が交換されており、思わず白目を剥いたしまうのだった。
そしてそれを見たムツキは腹を抱えて笑うと共に、白目を剥いたアルの写真をガイに送るのだった。
おかしいな……ヒナより先にムツキがヒロインムーブかましてやがる……。
良かったら感想、誤字報告や評価などよろしくお願いします!モチベーションに繋がるので是非是非。