ゲヘナの気高き碧い猛獣 作:吠えろ青春!!
ワイのやる気が卑劣な術で飛んで行ってしまった………。
はい、すいませんでした。
『────イオリ!貴方はアビドスの生徒の制圧を!チナツは部隊を連れて便利屋の対処に当たってください!そしてその他の部隊はガイを包囲し、攻撃を加えてください!!』
アコの指示により風紀委員が、ガイの周りを円形に囲い、ガイの逃げ道を塞ぐ。彼女はここで一番の危険人物であるガイを確実に制圧した方が利と考えた為だ。
「アルちゃん!ガイ君がヤバいよ!!」
「社長!私たちもすぐに援護に────」
「悪いがここを通らせる訳にはいかないな!」
それを見たアビドスの生徒や便利屋がガイの元へと助けに向かおうとするも、イオリやチナツが彼女たちを阻む。
「ん!そこを退いて!!」
「さっきも言ったがそれは無理だ!!」
シロコが無理矢理押し通ろうと突進をするが、再度イオリによって阻まれてしまい、彼女とイオリは睨み合う形で向き合う。
「シロコちゃん右に避けてください!」
「………!!」
お互いに睨み合いが続く中、ノノミの声がシロコに後ろから届く。そして彼女が咄嗟に右に避けた瞬間、無数のミニガンの弾丸がイオリを狙って放たれる。
「そんな攻撃じゃあ私には当たらないぞ!!」
「速い………!!」
だがしかし、イオリはそれを素早いステップともに交わしていき、ノノミとの距離を一気に縮める。
「しまっ────」
「まずは一人………!」
「キャアッ?!」
イオリはノノミの目の前へと迫ると、彼女のミニガンを真上に蹴り上げ、その顕になった懐へ華麗なステップと共にそのまま回し蹴りを叩き込む。
ノノミは蹴りによる苦痛によって顔を歪ませ、蹴られた場所を手で押さえながら地面にうずくまる。
「ノノミ先輩に何してくれるのよ!!」
「クッ……!」
ノノミを庇うようにセリカが前に飛び出し、イオリに数発の弾丸を命中させる。
イオリはそれにバランスを崩したのか一時後退し、アビドスの生徒たちから距離を取る。
「アンタ等意外とやるじゃん」
「ん。そっちも以外とやる」
イオリは先程の少しの戦闘でアビドスの生徒たちが思った以上に戦闘能力に長けているのを見抜き、素直な関心を彼女たちに寄せる。
「ありがとうございますセリカちゃん………。おかげで助かりました」
その間にノノミは何とか立ち上がり、セリカにお礼を言いながら再度イオリの前へと立ち塞がる。
沈黙が続く殺伐とした雰囲気が彼女たちの間に渦巻く。
次の瞬間に再度戦闘を開始する。そんな雰囲気の中、彼女等の耳元に装着されたインカムから通信が届く。
『皆んな遅れてすまない!ここからは私が指揮をする!』
「先生!!」
戦闘に巻き込まれないよう少し離れた場所に移動した先生が、彼女たちの状況をシッテムの箱を通したドローンで確認しながら通信を入れる。
『私もここからサポートに徹します!!』
先生と一緒に居るアヤネからの通信も入る。
アヤネと先生が揃い彼女たちの闘心が高まる。そして彼女たちは先生を信頼しているからなのか、もう誰にも負けないと言いたいような堂々とした顔付きに変わる。
『皆んな行くよ!!」』
先生の指揮の元、アビドスとイオリがぶつかった。
▼▼
「あーもう!コイツら邪魔ーー!!」
ムツキが風紀委員数名を相手取りながらそう叫ぶ。彼女はこれを面白くないと感じ、小柄な身体に似合わない大量の爆弾が入ったバックを風紀委員目掛けて思いっ切りぶん投げる。
それを見た風紀委員は焦りの表情を見せて慌てて回避しようとするが、時すでに遅し。起爆ボタンは押された。
「うわあああーーー??!!」
ムツキが相手取っている風紀委員やその他周りを巻き込んだ大爆発により、場が乱れ戦況が大きく変わる。
「ちょっとムツキ?!少しは周りを見なさい!私ごと巻き込んでいるじゃないの!!」
「あははは!アルちゃんごめーん!」
ムツキの元に先程の爆発によって所々焦げたアルが怒りを顕にして歩み寄っていく。先程の爆発は流石の彼女でも堪えたのだろう。
「貴方たち規則違反者を制圧させて貰います!!」
そんなアルたちをチナツの引き連れた風紀委員たちが囲む。アルは即座に顔を引き締め、銃を構える。
「社長。パッと数えた感じ、相手は大体十人以上は居るよ」
「アル様、どうしましょうか………?」
アルの後ろを便利屋の面々が銃を構えながら続き、彼女たちは自分たちのリーダーである便利屋の社長の言葉を待つ。
それを見たアルはニヤリと、これが当たり前と言わんばかりの堂々とした様子で笑い、彼女たちに自身の背中を見せる為に前に歩き出す。
「そんなの決まってるわ!アウトローを掲げている者ならこのまま正面突破よ!すぐにこんな壁なんて乗り越えてガイの援護に回わって見せるわ!!」
アルのそんな何時もの様子を見たムツキたちは自然と口角が上がり、アルの後へと続いて歩いて行く。
「くふふ、やっぱりアルちゃんはこうでなくっちゃ!」
「わ、私もアル様に何時までも着いていきます!!」
「はあ……。相変わらず無鉄砲なんだから」
アルたち便利屋とチナツ率いる風紀委員がぶつかった。
▼▼
「────ッ!!」
四方八方からガイを狙う銃弾が宙を舞い、ガイ目掛けて数百発の銃弾が進んで行く。
ガイはそれを八門遁甲の第四傷門を開いた事による圧倒的な身体能力で、それら全ての銃弾を交わしていき、一人一人着実に風紀委員を戦闘不能にしていっていた。
だがその顔にはだんだんと多少の疲れが見え始めていく。
(数が多いな。倒しても次から次へと湧いてくる)
風紀委員の一人がグレネード爆弾のような物を投球する。
ガイはそれを見た瞬間に咄嗟に防御の姿勢を取り、身体を丸める。次の瞬間には衝撃に襲われるとガイは予想していたが、それとは違った物がガイを襲った。
「!!ッ……………」
光と音だ。先程投球された物が一瞬にして眩い光と強烈な不快感を齎らすキーンとした音をガイの目の前で放ち、一時的にガイの視力と聴力を奪い取る。
(これは閃光手榴弾か!?……油断していた!!)
ガイは周りの状況を八門を開いた事によって強化された超感覚により、上手い事着地し、すぐに体勢を立て直すが、視力と聴力を一時的にとは言え奪われた事は大きい。
「!?クッ……!!」
ガイの頭に何か固い物で殴られたような衝撃が走る。
それによりガイは膝を地面に着いてしまうのだった。
「このまま畳み掛けるぞ!!」
それをチャンスと見た風紀委員たちが一斉にガイを畳み掛けようと周りに集まるが、それは悪手だ。
「オオオォォォー!!!!」
ガイは思いっきり自身の腕を真上に振りかぶり、力強く握り締めた拳を真下の地面へと振り下ろす。
「う、嘘だろ?!」
爆弾が爆発したような轟音が鳴り響く。
ガイの有りったけの力を込めた拳が地面であるコンクリートを風紀委員を巻き込んで破壊し、巨大なクレーターを作り上げる。
「はあっ……はぁはぁ……」
(たったこれぐらいの事でこのていたらくとは………自分の事ながら情けないな)
ガイは自身の仕事に加えてヒナの仕事の半分を肩代わりし、ここ最近はほぼずっと暴動などの制圧を行っていた。そして今のガイは前のヒナほどではないにしろ激務に追われていた為か、疲労により身体にガタが来ている。
ガイの身体は八門を開いた事により、最初の方は良かったものの、時間が経つにつれ八門の負担が返って疲労したガイの身体の重しとなっていた。
『────流石の貴方でもここまで来ると追い詰められるみたいですね』
「アコか………」
視力より先に聴力が少しだが戻り初め、ガイはそんなアコの発言を耳に拾う。
『ガイ。貴方は確かに対人では強いかもしれません。それもキヴォトスでも屈指のレベルで………。ですが貴方は今回のような多数の集団との戦闘には弱い。しかもその疲弊した身体なら尚更です。幾ら強いと言っても一人で出来る事には限度がありますからね』
「………何を言いたいんだ?」
『ハァ……セッカチですね。貴方に勝ち目はない………つまり私が言いたい事はここら辺で投降しろという事ですよ』
アコはこういう事が有ろうかと、何度もガイと敵対した時のシミュレーションをしていた。
ガイが彼女たちの事を顧みず
ガイは必ず、キヴォトスの生徒たちと戦闘になった際、自身の攻撃にリミッターを掛けている。故に戦闘の報告でも脳震盪による軽い気絶だったりと比較的身体にダメージが残らない攻撃しかしてないという物しかない。
アコはこれを利用しガイに圧倒的な人数で挑んだ。
ガイは何らかの理由で本気の攻撃は出来ない。力の調整にはそれなりの神経を使う筈だ。ガイはそれをこの大人数の風紀委員にやる必要がある。つまりそこの隙をつけばいい。
ガイはなるべく相手を傷付けないよう調整しながら大人数と戦わないのに対して、此方は出し惜しみのない全力だ。
無論、ガイが彼女たちの安否を顧みず本気の攻撃をし始めればこの作戦は破綻する。所謂諸刃の剣だ。
だがガイが決してそんな事をしない事を彼女は知っていた。何度も何度も喧嘩し、ヒナとは別に張り合っていたからこそ彼女は知っていた。
ガイの心情的な何か……よく言うガイが言う『自分ルール』というやつなのだろう。ガイは決してこれを破らない。
故にアコはガイを信じ切った上でこの作戦を練り、ガイをここまで追い詰める。後はガイがここで投降をするだけだ。
「────一つ俺から言う事がある」
『何ですか?』
「これは俺の好きな言葉なんだがな………」
『俺が諦めるのを諦めろ』
「……俺はまだやれるぞ?」
ガイが再度地面に思いっきり拳を叩き付け、ゆっくりと立ち上がる。ガイの身体から溢れだした緑のオーラが烈火の如く揺らめきを増す。ガイの身体に流れているチャクラが彼の疲労や負担などを無視して身体の強化にフルに使われる。
『まだそんな力が?!』
「困難を乗り越えた先に青春が待っているからな!!」
自身に向けて放たれた無数の弾丸を、ガイは先程の疲弊した様子を嘘かと感じさせる程の速いスピードで動き交わしていく。
「相手は一人だ!いくらあのガイさんでも数の暴力には勝てない!!」
「撃て撃てぇ!!」
そんなガイに対抗しようと風紀委員たちは数の多さで攻めていく。
だがしかし、ガイはそれを右左上下と自由自在に流暢なステップで交わしていき、彼女たち風紀委員の背後に回ったりしてどんどんと気絶させて行く。
「…あ、あれ?!ない!……さっきまで持ってたのに!」
そんな時だった。ある風紀委員の一人が何か気付いたように、焦った表情をしながら必死に自身の懐や周りを探し始める。その様子に周りの風紀委員たちがどうしたどうしたと集まり出しすが、それは失敗だった。
「────先程のお返しだ」
ガイが彼女たちの目の前へと超スピードで迫り、ガイの手元から何かが投球される。
それは弧を描くかのように彼女たち風紀委員の元へと向かって行き、強烈な眩い光と不快感をもたらす音が彼女たちに炸裂する。
「目がッ……?!」
「うぅう……?!!」
突然の出来事に彼女たちは対処する事が出来ず、自身の視力と聴力を奪われる。五感のうち二つも機能しなくなった彼女たちは状況がハッキリと収集が出来なくなってしまいパニックに状態になってしまった。
『クッ……!第8部隊は一度引いてください!』
「逃がさんぞ!」
目と耳が機能しなくなり無防備な状態の彼女らは撤退をしようと試みるも、それをガイに塞がれてしまい次々に気絶させられていく。
『貴方は毎回毎回私の予想を上回ってきますね!』
「それこそが青春だ!!」
『ですが貴方も本当はそろそろ限界なんでしょう?今はそんなに動けてもそれに限度がある筈です』
「限界なのはお前の方じゃあないのか?部隊の殆どを俺が倒してしまったぞ。それに………」
『ガイ!!』
「加勢に来たわよガイ!」
そこにイオリやチナツとの決着がついた先生たちアビドスやアルたち便利屋がガイに合流し、彼女たち風紀委員会は一気に不利な立場へと変わってしまう。
「先生たちも来たみたいだしな。……さあどうするアコ。まだ続けるか?」
『クッ……!』
風紀委員会の戦力の5分の3はガイによって戦闘不能にされ、イオリやチナツはアビドスや便利屋によって戦闘不能となってしまった。アコにとってこの状況は最悪と言ってもいいだろう。
戦況は逆転された。
「────アコ、ガイ。……これは一体どういう事なの?」
そんな時だった。
白髪の長い髪を風になびかせ、その紫色の美しい瞳で睨みを利かせながら一人の少女が現れる。
『ひ、ヒナ委員長?!』
「空崎…………」
戦況は闇に包まれた。
▼▼
おまけ
【質問コーナー】
Q なんでアコだけ呼び捨てなの?
A 最初は苗字呼びだったけど何回も言い争いだったり喧嘩をしたりしていて、気づいたら呼び捨てになってた。
Q ガイはなんで八門のデメリットを話してないの?
A 八門を開けば開くほど余計な心配を周りの人たちに掛けてしまうから。
Q なんでガイは生徒たちに本気で攻撃しないの?
A 女の子に拳や蹴りをやるのはちょっと………といった感じだから。
表蓮華とか裏蓮華とか他の体術を出したいけど、女の子相手にそれをやるのはちょっと………。
こんな感じでガイは自分ルールに則って基本は生徒と戦う時はリミッターを掛けています。オートマタとかデカグラマトンの時は別だけどね!!
良かったら感想、誤字報告、評価をよろしくお願いします。