【地球防衛軍6】2人のライカ   作:イエローケーキ兵器設計局

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 赤くなって久しい空の下、雲を踏みながら古巣跡……に相当する場所に向けて輸送用ヘリコプターで移動中。副機長にはストリンガー大口径狙撃銃を任命した。


8.犬も猿も飛べばくもを踏む

 

「機長、ランディングゾーンまであと1時間です。」

『了解。』

 この重量物輸送用(Mi-80)ヘリコプター("タランチュラ")は私の言う事を非常によく聞いてくれる。流石、ミーリ(Mi)先生のところのヘリコプターだと思う。

 

「エノスちゃん、緊張する?」

「いいえ。平常心、です。」

「エノスちゃんは強いね。」

 貨物室から会話がインカム越しに聞こえてくる。

 

「ヘリコプターにタランチュラなんてペットネームをつけるなんて、ロシア人の感性はよくわからないわね。」

『PzB39、パラシュート無しで飛び降りてみる?』

「ひっ!し、少佐!申し訳ありません!」

 いやまあ、名付け親は私じゃないしなぁ。

「機長、そうかっかなさらずに……。」

『チェリーたちは?』

「静か、に、しています。」

『無理もないか……。』

 戦車4台分のスペースと積載能力なので装甲車両はマルフーシャのObject195、スネジンカのObject292、アリビナの2S7、ビオンのBREM-84の4台だけ載せた。M1をビオン車等の代わりに載せても良かったが、反乱を起こされては困るし何より一台は装甲回収車が居るべきである。せっかく全員が有人車両になったからには……ね。なのでチェリー達には工兵用の資材と自衛用のSMG、カービンを持たせている。

『皆、使い方はわかるよね?』

 スネジンカにはSMGを、マルフーシャ、アリビナとビオンにはカービンライフルを修理した上で返した。エノスは……MG13が気に入ったらしく、修理が終わった元のカゾルミア製軽機関銃を機内に置いておくらしい。

『よーしよーし……。』

 

「ランディングゾーンまで30秒。」

『客室の皆様、聞こえたましたね?』

 

「ランディングゾーンに到着。」

『了解、降下する。降着したらマルフーシャから展開せよ。』

 わざわざ隠す理由も無くなったのでコールサインは名前で。

「総員、降機。」

『私達も降りよう。』

 時代が違っても、世界が違っても地形は変わらない。まあ、この世界がいわゆる現実で私の元いた世界が現実を元にした架空の世界ならそれもそうなのだが……。

 

『旧ノヴァヤゼムリャ空軍基地へようこそ!』

 核に消される前、つまり……オケアノスの言っていた通りだと5周目の世界、私がウイングダイバーとして散った周回ではこの基地はプライマーの地球侵略早々に放棄されてしまった。軍事基地バレンランドが比較的近隣にあって秘匿性を保持する為とかは聞いたことはあるが詳しくは私にもわからない。

「あれ……何でしゅか?巨大な……アリ?」

『侵略生物α……この世界でも増えてたのね。各員、アレの酸は私達を容易く溶かすから、被弾は禁物だよ。ストリンガーは知ってると思うけどね。』

「え。」

 体長10〜11mの黒蟻型侵略生物、正式名称"侵略生物α"が基地を巡回している。参ったな……今日はライジンを置いてきてしまったのだが。

『ストリンガー……は貫通力が高過ぎるか。マルフーシャ、ターゲットは体長10〜11mの黒蟻。30mmで1発だけ当てて、ある程度誘き寄せたら一気に殲滅しよう。』

「了解。」

 砲塔上部の30mm機関砲が大きく動いて黒蟻の腹を撃つと……。

「お、おお怒った!ルイーズ!グウェン!ダイナ!戦闘態勢!」

『チェリー、落ち着いて。まだ有効射程外。それに、一匹ずつ始末しないと後が大変。』

「そ、それもそうね……ごめんなさい。」

『話を聞いてくれる部下は好きよ。上官として。』

 

『距離250……230……。』

「まだなの!?」

『200……今だ!マルフーシャ、撃て!』

 弾種の指定をしていなかったがHEを撃ったらしい。

「ひっ……!」

 ばらばらになった黒蟻の脚が飛んできてチェリーの頭上を掠める。

 1匹ずつ釣り出しては一斉射撃や152mm、203mmで殲滅し、基地の外にいる黒蟻は殲滅を完了した。

 

 コンクリートはひび割れ、荒廃したようにしか見えない滑走路上を横切り、管制塔を目指す。撤退時に作ったバリケードは既に朽ちていて否が応でも時間の経過を感じさせ……ここって別世界だよね?なんで侵略生物が居て自分達で作ったバリケードがあるんだろう?

「隊長、大丈夫ですか?」

『ストリンガー、大丈夫。ごめんね。』

 俯いた私を覗き込んでくるストリンガーに礼を言ってまた歩き出す。謎は帰ってから考えよう。

 

 管制塔はめちゃくちゃになっている……電源も落ちているか。

「少佐……!外に!外に!」

『エノス、どうし……なっ……!』

 正規軍戦車……!美味しいところを奪いに来たか!

『マルフーシャ、スネジンカ、アリビナ、ビオン!各員、車両に戻れ!敵性戦車接近中!エンジンを切って隠れろ!MG42、PzB39、チェリー以下4名は戦車隊の援護!』

 参ったな、私は援護できない……。

「どれから攻撃しますか?」

『ストリンガー!貴女が頼りよ!ありがとう!』

「え……えぇ……。」

『まずは……あのレールガン。砲塔を撃て。』

 弾薬庫が爆発したのか砲塔がびっくり箱のように飛ぶ。

『歩兵が来るぞ……エノス、合図したら掃射しながら移動。』

「了解、です。」

『引き付けて、引き付けて……撃て!』

 敵の側面から銃撃を開始。反撃される前に撤収を開始。

『逃げろ逃げろ逃げろ!』

 エノスを引っ張りながら管制塔を降りる。下でも銃声が聞こえだした。急ごう。

「少佐!敵戦車来ましゅ!」

「離れて!」

 砲声。爆発音。

「こちらマルフーシャ、損傷軽微。全車行動可能です。」

『今から指示する場所に全車移動!』

 ある格納庫跡地に全員を移動させる。

『ビオン、瓦礫を除けてくれる?』

 ビオンの装甲回収車に跡地表面の土砂、瓦礫を撤去させ、地下格納庫ハッチを露出させる。

『ビオン、電源、借りるよ。』

「は、はい!ど、どどうぞ!」

 ハッチを開けさせて……よし、開き始めた。

「うわぁぁ……。」

『さて……ただいま、アンナ。』

 とても大きな"オオカミ"が中央で静かに眠っている。

『私の妹は寝坊助さんのようだ。』

「妹……少佐の妹様!?」

『うん、私は彼女を回収しに来たんだけど……劣化は思ったよりも深刻じゃない。簡単な整備すら不要……どうなってる?』

「少佐!後ろ!動くな!」

『……!』

 振り返ると大きなモンキーレンチを握りしめた少女が……レナ?

『レナ?君なのかい?』

「た、隊長……!?」

 

 どうやら彼女もこの世界にやってきたらしい。それも数日前に。フェンリアの整備を代わりにやっていてくれたという。

「でも、どうしても彼女が起きなくて……。」

『どれ……よっこいしょっと……。』

 コックピットに入る。おはよう。久しぶりね、アンナ。

「……!電圧が……上がってます!フェンリア、覚醒します!」

「姉さん、遅かったね。」

 あっ……これ、怒ってるわ。

『ごめん……。』

「今更、何しに来たの?」

『……貴女に会いに来た。』

「本当は?」

『……本当よ。』

「嘘ばっかり。」

「あわわ……姉妹喧嘩に……。」

「まあいいわ、基地に帰るんでしょう?連れてって。」

 レナを一人にはしておけないな。

『レナ、君は彼女達について行って。ストリンガー、君が今からタランチュラの機長だ。』

「ふぇ?わ、私ですか!?」

『そうだ。さあ、皆、彼女について行ってくれ。レナを頼むぞ。』

「……姉さんは変わらないね。」

『すまん。』

「もう、怒ってないよ。」

「行こ……EMP!伏せて!」

 急激な電流の変化によって身体が動かなくなる。そうか、私も人形なのか……。

「あぁぁぁぁ!」

「痛い!痛いよぉぉ!」

 頭が……痛い……!

「ルイーズ!しっかりしろ!ダイナ!お前は動けるな!グウェンを頼む!」

「お、お姉ちゃん!誰か!動けるのは、レナさんと、ストリンガーさん、チェリーさんだけ……私にも人形のような姿があれば……!」

「レナさん、台車を。ストリンガーさんは外の状況を確認して!チェリーさんはストリンガーさんの援護を!」

「ストリンガーです!エノスさん、武器を借りますね!」

 駄目だ、意識を保たないと……皆……が……危な……い。

 

 目が覚めたら既に基地の上空だった。私は寝そべっていて、どうやら垂直着陸をするフェンリア機内に居るらしい。横を見ればMi-80(タランチュラ)が多少ふらつきながらも着陸している。

「お姉ちゃん、起きた?」

『皆は?』

「皆、無事だよ。欠員無し。」

『寝坊助さんは、私の方だったか。』

「レナさん、ストリンガーさん、本機は着陸するので、先に皆さんを修理ポッドへ。姉さんはもうちょっと寝たら?」

『また寝たら示しがつかないから、遠慮させてもらうよ。』

 

 

 

カゾルミア製電熱系武器の弱点

・EMPに弱い

・過熱に弱い

EMPに辛うじて耐えるも使える武器が無い→エノスのMG13で耐える、が可能

 

ストリンガーがEMPに耐えた理由

・核戦争後(EDF1〜EDF2)に開発された大口径狙撃銃である為、NBC防御がこの世界に来た時の人形素体の時点で考慮されていたから。

フェンリアがEMPに耐えた理由

・フェンリア自身が装備するミサイルの副次効果として電磁パルスを発生させる為、自滅しないように防護されていたから。

 

 

後日譚(?)

 それは食事を事務作業をしながら取っていたときに起きた。部下達は食堂で食事を取っているはずの時間に突然の来訪者。ノック3回。

『……?』

『どうぞ。』

「失礼します。」

『なっ……!』

「ただいま帰りました、姉さん。」

『アンナ……!いつ帰ってきたの……!』

 そこに居たのは確かに肉体の無くなったはずの妹だった。

「気がついたら格納庫に寝転んでて……匂いを頼りに来たら辿り着いた。」

 匂い?嗅覚がオオカミ寄りになったのか?

「その……昼間は、ごめん。」

『いいよ、別に。怒ってないし。私も、もっと早く迎えに行くべきだった。』

「お姉ちゃん……やっぱり変?」

『いや、変じゃないけど……あの機体を擬人化するとこうなるのね。』

 確かに身体は妹だけど、服装はフェンリアの特徴を掴んだ未知のものになっている。

『この部屋、確実に燃えるから絶対にエンジンを掛けないでね。』

「う、うん。」

 

『おいで。』

「うん、ただいま、お姉ちゃん。」

『おかえり、アンナ。よしよし……寂しかったでしょう?』

「うん……。」

 抱き締めて頭を撫でているとわかった。10〜15cmくらい背が伸びている。髪もウルフカットじゃなかったよね……。まあ良いか……。(狼耳と尻尾が生えているのはもうそういうものだと思うことにした)

 

 

 自分の知らない存在と抱き合う姉(のような存在)を偶然見てしまい、思考停止したエノスを目撃した。

 




追記
 どうやらあの装備は外せる、というか仕舞えるらしい。(狼耳と尻尾は身体の一部らしくどうしようもないんだとか。)それにしてもなぜ高校時代の制服がベースなんだ?

フェンリア(人形の姿)について
 アッシュアームズのARMS及びDOLLSの関係、そしてドールズフロントラインの刻印システムに近いかなと。
 DOLLSが(機密保持の為削除)によって生成され、人間たちがDOLLSに合わせたARMSを作る。というシステムがアッシュアームズでは構築されているが、フェンリアの場合は……DOLLSもARMSも自然生成なのであまり近くないかもしれない。(自己矛盾)
(服装のベース:SIREN2の矢倉市子等)


Q:元の機体状態に戻ることはありますか?
A:可能です(本人が望めば、という条件が付きますが)
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