【地球防衛軍6】2人のライカ   作:イエローケーキ兵器設計局

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 日本に現れたマザーシップは空軍戦力を跳ね返し、ドローンを放出、自走対空砲隊と複数の歩兵部隊を壊滅させた。




12.母船来襲

 起床時刻よりも前。目が覚めたので身支度を始める。同室のエノス達はまだ起こさない。

 

「おはよう、レナ少佐。」

『司令官殿、お早いですね。』

「ああ、そうだ。君たちにライカ中佐殿から言伝が……。」

『ライカ中佐から!?』

「そうがっつくな、レナ少佐。君は自分の立場を振り返った方が良い。君は溶鉄小隊のエースだ、わかるな?」

『すいません……。』

 自分の知ってるはずの司令官ではなくて調子が狂う。もっとこう……嫌味な奴だったはず……。

「では読み上げる。新兵器を送るので溶鉄小隊にテストして頂きたい、だそうだ。おめでとう、レナ少佐。そこの3人、入っていいぞ。」

「失礼します!」

「失礼、します。」

「……失礼します。」

「これで全員揃ったな。レナ少佐、新型機の割り当ては君に任せる。1週間で動かせるようにしてくれ。無理を言っているのは分かるが前線はその新型機を要求しているんだ。」

『は、はぁ……。』

「じゃあ、頼んだよ。」

 会議室Cに取り残された4人。

「司令官が司令官じゃない……。」

 3人4揃ってこの見解が一致した。

 

 ハンガーに行ってみると……。

『……え。』

 見たことが無いはずなのに、なぜか見覚えのある機体が。

 コックピットカバーを開くと……急にデジャヴが……。

 全翼複葉戦闘機、コフィンシステム…………私は……ソラに……戻らない……と……。

 

 機内は広く、通常のコフィンシステムと同一のアビオニクス……置き手紙と張り紙で封印された小さな箱が置いてある。

『えーと……レナ少佐へ……?』

「レナ少佐、昇進おめでとう。この世界に来て2日しか経っていないのにもう5ヶ月以上は居る錯覚に君も襲われているね?もしそうだとしたら同志が居て嬉しく思うよ。もし違ったら……妄言だと破り捨ててくれ。」

 隊長、貴女もですか……。

「さて、本題に入ろう。この機体は君の記憶から今の技術の範囲で最適化された試作機だ。この機体を君に貸与しようと思う。」

 

 道理で見覚えが…………うっ……あっ……ここは……どこ……くらいよ……わたし……だれ……。

 

 ああああああっ……!

 わたし……

 むかし……

 むかし……

 (笑い声、滑落音)

 いやっ……

 (雑音)

 やめて……

 (打撲音)

 いたい……

 (雑音)

 たすけ……

 うっ……!

「すまな……おそ……く……た。」

 おね……え……さ……ん……。

「ゆ……くり……すみ。」

 

 目が覚めたら医務室のベッドの上だった。椅子に座り、足を組んでこちらを見ているのは……白衣を着た隊長だった。

「おはよう、レナ少佐。」

『たいちょぉ……。』

「あまり良い目覚めではなさそうだね。」

『うぅ……。』

「ゆっくり休むと良い。回復したら訓練開始だ。」

 

 

 あれは……なに……いや、覚えている。覚えているとも。私が8歳の頃、虐められていた同級生の男の子を助けようとしてイジメのターゲットが私になって……誰にも相談できなくて……。

「それ以上考えるな。君は君だ。」

 窓から飛び降りた私を受け止めた近所のお姉さんは話を全て聞いてくれた。無表情だったけれど、最後に「わかった。」とだけ呟いていたのを覚えている。翌日、恐る恐る学校に行ったら彼、彼女達は全員転校していた。親の仕事の都合で急にいかないといけなくなった、らしい。もしかしたら近所のお姉さんが関わったのだろうかと帰って聞こうと思って、家に行ったけれどその日は留守だった。明くる日もいつまでも留守だった。

 けれど、転機は中学校から高校に上がるときだった。

『もしかして……あのお姉さん……?』

 新聞の写真に近所のお姉さんが写っていた。ロシアから地球防衛軍のアジア地域の空軍と合同で訓練する為に派遣されてきたパイロットで、今回で3回目の派遣と紹介されていた。

「おーい、レナ、聞こえてる?」

『え?あっ、はい。すいません……隊長。』

 過去から現実に引き戻される。

『その……ああ、あの……あの日、助けてくれたのは……隊長ですか?』

「はぁ……ノーコメント。」

 ノーコメント……。

「私が言えるのはここは禁煙だからタバコが吸えなくて口寂しい、ということだけだ。」

 やれやれといった様子でジョークを言う隊長。非喫煙者でしょう?

「回復したら格納庫に来い。調整し直しだ。」

 

 

『隊長、お待たせしました。』

「来たか。」

 機体の横でタバコを咥えてライカ少佐……じゃなかった、ライカ隊長が待っていた。

『いつの間にタバコを?』

「吸うか?ありゃ、これが最後の一本だったらしい。」

 火を着けることなく箱に戻して機体を見る隊長。

 チラと見えた箱の中はタバコでいっぱいだった。

「彼女はナイトレーベン。あとは……わかるな?」

『は、はい。』

 タラップでコックピットに上がる。乗り込めた。

「私は練習機を引っ張り出してくるよ。」

 格納庫に走っていくのを尻目に小さな箱を……む?

「緊急時のみ開封……?」

 注意書きにはデカデカとそう書いてある。被撃墜時にだけ持ち出すようにとも書いてある。

『練習機ってこの基地にあったっけ……。』

 ん?このエンジン音……聞いたことがあるようなないような……。あれは……フラゴン?

「この機体の調整がやり直しになってしまったから訓練はお昼を食べてからにしよう。」

 

続く

 

 




「あれがライカ中佐か……殺人鬼と噂されている割には美人だな……俺もチャンスあったりしないかな……。」
「仕事をサボってお喋りですか?整備士君。」
「なっ!し、司令官殿!いつの間に!」
「口を動かす前に手を動かした方が身のため、ですよ。特に中佐に関しては。」
「はっ!」
「……彼女とその部下には変な気を考えない方がよろしいかと。」
「……!」
「この基地が半壊してしまいますからね……。」
「彼女がかつて居た部隊は酒に酔った隊員……何人居たのかはわかりませんが……彼女に手を出そうとしたことで怒りを買って壊滅しました。」
「なんだって……。」
「通報者の1人として忠告しておきます、彼女は独り身では無いですし、あの小隊から何かしら奪おうとすれば命はないと思ってください。まあ……真面目な君がそんな事を起こすとは思えませんがね。」


レナ
:2004年生まれ(現18歳)
 8歳頃、学校生活に馴染めず虐められていた所を近所のお姉さんに助けられる。(いじめっ子達が急に転校した)
 16歳頃、家族の財政が厳しくなり、成績優秀な志願者として地球防衛軍空軍に志願する。
 記憶に残る近所のお姉さんはライカ少佐似だったというが……若き日のライカ少佐(22歳)だった可能性がある。

Q:ライカ中佐は何に乗っていたのか?
A:スホーイ設計局のSu-15TM"フラゴンF"……の改造機。外見こそ似ているものの、性能は異なる。

Q:フェンリアちゃんは?
A:まだレナ達の居ない基地の下で眠っています。プライマー達の攻撃により基地を放棄せざるを得なくなってしまったので。

殺人鬼
:作者の描くどの世界においても、(一部組織の上層部における)共通の認識。一言で言うと「高度に制御されたキルマシーン」。アシュア世界(DOLLSが代理人を殺す話等)ではTB-3改良型が、EDF及びドルフロ世界ではライカ中佐が該当する。安全装置が重く、引き金が軽いスナイパーライフルを想像すると分かりやすいか。基本的に自分から引き金を引くことはそうない……のだが。
(艦これ世界だと……)
(殺人鬼隊と呼ばれていた本当の理由:ライカ少佐が元"殺人鬼"だから。元いた部隊において本人に対する集団性的暴行未遂への報復(本人は無自覚だった)として半数を殺害、半数を重傷に追い込み、血の海に立ち尽くしていたところを目撃されている。状況証拠しか無いため起訴されず本人の希望と賞罰の兼ね合いから懲罰部隊に放り込まれるも部隊全員で結果を残してしまい、大半がエースとして引き抜かれた)

Q:基地司令は何者?
A:……。
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