【地球防衛軍6】2人のライカ   作:イエローケーキ兵器設計局

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 シミュレーション上のフランスから、プライマーの侵攻後数ヶ月という今日の日本に戻ってきて早々、急にライカ隊長が優しくなった。いつもなら整列が遅いとブツブツ小言を言うのに、今日は……。



EDF7(奇数話:レナ編 偶数話:補完視点編)
21.拍動


『みんな、おはよう。激動の連続だね。みんなも体調管理には気をつけるように。』

 と言った感じですぐに訓示が終わり、訓練に移った。意味が分からない。

 訓練メニューは昔より少し優しい。スクワットは回数が減ったし、長距離走も距離が1kmくらい短くなった。

「隊長、中佐、どうしたのかしら……。」

『それが分かったら苦労しないよ……。』

「しっかり休憩したらお昼だよー!」

「はーい!」

 

 昼下がりの食堂。昼ごはんも量が増えた。栄養バランスより味が少し見直された気がする。ただ、どうにも落ち着かない。気がついたら目の前に座る隊長が、手を止める私をじっと見ていた。

「どうしたの?」

『あっ、いえ、何でも……。』

「か……私に話してみなさい。」

 怪しい。こんな性格ではなかったはず……とりあえずご飯を食べよう。

「ひゃうっ……!」

 あ。隣のビオンの頭を撫でてる。

「しっかり食べなさい。食べられるうちに、ね。」

「アブレック姉さんみたい……。」

 アブレック……ビオンの姉……。

「……アブレックさん……ね、私が探しておくから、ビオン、今は食べなさい。」

 いつの間にか食べ終わっていた隊長が駆け足で廊下に出ていった。

 

 1時間後。探し回った末に事務室に隊長の姿を見つけた。

「おかえり、レナ少佐。」

「彼女の姉の手がかりが見つからなくてね。」

『アブレックさん……ですか。』

『知らないわね。』

 もう一人の私が勝手に喋る。舌がこんがらがるから黙ったほうがよさそう。

「そうだよな……レナ。」

「よいしょっと。ちょっと頭貸して。」

 勝手に頭が傾く。

「よーしよーし。」

 頭を撫でられる。手つきがいつもより少し優しい。

『何か思いついた?中佐。』

 また勝手に口が動く。

「……ええ。」

「2人とも、ちょっと私は基地を留守にする。ビオンの家族を見つけられるかもしれない。」

 事務室を出て行く隊長。廊下で追いかける。第3格納庫に着く。そこには爆撃機が止まっていた。

「……レナ、よりすぐりの兵士を4人集めて第1格納庫に連れて来て。」

 

 私は面倒見の良いベルカ、絶望を乗り越えたやや明るい顔をしているアリビナ、キョロキョロと周囲を見渡しているビオン、そしてマルフーシャの妹のスネジンカを選抜して第1格納庫に戻ってきた。

「集まってくれてありがとう。早速で悪いが作戦を説明する。」

「私はロシアの基地に帰らないといけない。が、制空権は敵の手にある。そこで君達に護衛をお願いしたい。」

「質問良いかしら?」

 すかさずベルカが質問をする。

「どうぞ。」

「なんで4人だけなの?物量で推してくる敵に少数精鋭では少し無理があるんじゃない?」

「確かにそれはそうだ。しかし、大部隊を動かすのは前線の戦力の減少と、被発見率の上昇を意味する。」

「そうね……。」

「ハイ、ハイ!」

「アリビナちゃん、何か気になった?」

「えっと……あたし達ってロシアに行って何するの……?」

「おっと、それを話してなかったね。」

 確かに集めるようにとは言われたけど、詳しい内容は聞いてない。

「うーん……ビオン。」

「ひぇっ!?あっ!はい!」

「君のお姉さん……アブレックさんの件についての作戦だね。」

「アブレック姉さんの……!」

「そう、もしかしたら……彼女の行方の手がかりが掴める……かもしれない。」

「……。」

 スネジンカが終始無言で、少し青褪めながら座っている。緊張しているのだろうか。

「スネジンカ、手を貸して欲しい。君が頼りなんだ。」

 

「作戦を説明する。」

 ライカ隊長が太平洋の海図と気流の分布図を開く。皆、椅子に座って食い入るように見ている。落ち着かない私以外は。

「太平洋上のジェット気流に乗ってアメリカ大陸を経由し、ロシアまで向かう。足らない航続距離はコース上の何処かに居る要塞空母並びに空軍基地に着艦、着陸することで補う予定だ。」

 作戦計画は荒唐無稽にも程がある、と思う代物だった。勿論立案者本人もそれを認めていたけれど、それでもやるしか無い、という。

『要塞空母……。』

 突然現れた要塞空母。前周回では言及すらされなかった海上戦力。もしかしたら……存在しなかったのかもしれない。

 

「ベルカ、アリビナちゃん、ビオン、スネジンカ、いつものEJ22に乗るように。レナ、私と第3格納庫に来て頂戴。フィドラーで旅に出よう。」

 

 えっ……私、あの爆撃機に乗るの……?

 

 




フィドラー
:"fiddler"。バイオリン奏者、もしくは詐欺師を意味する。ライカ中佐の言うフィドラーの機首には白いチョウセンアサガオの花が描かれていた。

作戦名"ペーパークリップ"
目標:技術の回収及び行方不明者の捜索
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