おまたせです
6月9日火曜日 AM5:00
side 黄眞 龍一
「pipipipi!pipipipi!pipipipi!pipipiバシッ!」
慌しい転入から翌日、朝の鍛錬のために起床する。
龍一
「ふあっ」
寝ぼけ眼をこすりつつ、洗面台へ行き顔を洗う。
龍一
「(バシャッ!バシャッ!)ふ~、よし!」
眠気を覚まし、ジャージに着替え軽くストレッチをした後ランニングに出るため外へ向かう。外に出たところで義経と合流した。
義経
「おはよう、龍兄」
龍一
「おはよう、義経。行こうか」
そのまま二人でランニングに出る。この朝の鍛錬には清楚、弁慶、与一は参加しておらず自主的なものとなっている。
最初は一人で行っていたが、義経が知ると「義経も参加する!」と言い出しそれ以来一緒に鍛錬している。
ランニングは極東本部を5周。距離にして約10km。その後は基本的な筋トレに各々武術の型に10分間の模擬戦を行う。
朝の鍛錬では義経は刀ではなく無手で行う。刀が使用できない場合の時のために教えてくれと頼まれた。備えはあってもいいかと思ったので、了承した。
そして現在、徒手空拳の模擬戦真っ最中である。
「ガガッ!ガガガガガガガッ!」
素手ではありえない音を出し、額に汗を浮かべて攻防を続けている。
義経
「はあっ!」
龍一
「ふっ!せあっ!」
お互いに相手の攻撃をかわし、いなし、時には防御し、隙を見て拳や蹴りを繰り出す。いつまでも続くかに見えたその攻防は唐突に終わりを告げた。
「pipipipipipipipipipipipipipi!!」
龍一
「ふ~、時間だ義経」
義経
「む~、また一撃も当てられなかった」
龍一
「まだまだ負けてやらんさ。シャワーを浴びて朝食にしよう」
義経
「うん!」
朝食を済まして自室へ戻り登校の準備をしていると不意に大きな氣の衝突を感じた。
龍一
「ッ!!この氣は……ヒュームさんか」
なにがあったのは分からないが、ヒュームさんの氣が無くなっていないのでたいしたことはないのだと思い、学園に登校した。
side out
◇
川神学園 放課後 第二茶道室
side 直江 大和
俺は今宇佐美先生と将棋を打っている。予備の部室を私物化しているヒゲ先生に親しみがもてた。予備部室なので迷惑はかからないはず。
宇佐美 巨人
「あ~、小島先生と結婚してぇ、新婚旅行で湯河原温泉行きて~(パチッ)」
大和
「願望丸出しですね、全然進展してないのに(パチッ)武士道プランで疲れてるんじゃないんですか?」
宇佐美
「二人のときは敬語いいって……思ったほど疲れないな。義経は優等生だしよ、逆に気をつかってもらってるわ(パチッ)」
大和
「彼女は決闘希望者が後を絶たなさそうだよね(パチッ)」
宇佐美
「今も第一グラウンドでやってるぜ、相手生徒会長(パチッ)」
大和
「ギャラリーはそっち行ってるだろうね(パチッ)」
宇佐美
「だからこそまったりできるわけだ(パチッ)」
大和
「弁慶と与一は?(パチッ)」
宇佐美
「んー、あー弁慶は飄々としてるからな、川神水は飲むが大人しいいい子だよ。与一は終始ダルそうにしてるがやることやってるし問題はなさそうだな。直江は結構弁慶とか好きそうなタイプだな(パチッ)」
大和
「性格的に合いそう。仲良くしたいね(パチッ)」
宇佐美
「わかるわかる、お前と近そう(パチッ)」
そんな話をしていると廊下からスタスタと足音が近づいてくる。
大和
「誰か来るよヒゲ先生」
宇佐美
「通りすぎんじゃねー、こんな空き教室誰も来ないだろ」
龍一
「(ガラッ)ん?ここはなんの部屋なんだ?」
扉を開けたのは龍一先輩だった。ちょうどよかった、連絡先を聞こうと思ってたんだ。先輩は俺たちに近寄り、腰を下ろし将棋盤を見る。
龍一
「将棋ですか?……これは大和が優勢だな」
大和
「先輩はどうしてここに?」
龍一
「ん?ああ、校内探索と放課後の暇つぶしだな。九鬼に所属してるといっても義経達のことを考慮してその辺ゆるいからな」
大和
「そうだったんですか。それでここに行き着いたと」
龍一
「そういうことだ。いつも二人でここに?」
宇佐美
「オジサンは暇なときはな」
大和
「ヒゲ先生、俺が見つけて来るようになった後居なかったことないですよね」
宇佐美
「そりゃあれだ、仕事全部終わらせてるからな」
大和
「嘘くさ」
龍一
「なるほど、ここはだらける部室か」
宇佐美
「ま、そういうこと。お前は真面目そうだからな、入部拒否だ」
龍一
「ひどいですね宇佐美先生。俺だって人並みに手を抜きたい時くらいありますよ」
宇佐美
「んじゃ質問。休日に雪山に行きました。さて、何をする?」
龍一
「帰って寝る」
宇佐美
「山すら登らないとは……こいつの素質は最高だな」
龍一
「これからここに来てもいいんですかね?」
宇佐美
「ああ、オジサン歓迎するよ」
大和
「俺も」
龍一
「どうも」
三人で談笑しながら将棋をしているとまた廊下から足音が近づいてくる。
大和
「また誰か来たみたいだよ」
龍一
「この氣は弁慶だな」
宇佐美
「お前も人間やめてるよな」
龍一
「失礼ですね」
ガラッと扉を開いたのは先輩の言う通り弁慶だった。
弁慶
「あれ?龍」
龍一
「よ、どうしたんだ?」
弁慶
「んー、私決闘とかかったるいから逃げてきた」
大和
「それでここに行き着いた、と」
弁慶
「そ。龍がいるし、いてもいいよね」
宇佐美
「ここは三人の聖域だからな」
大和
「なんて薄汚いサンクチュアリなんだ」
宇佐美
「まー冗談だって、好きにしろや弁慶」
龍一
「弁慶、川神水くれ」
弁慶
「はいよ」
大和
「なんでこの二人初日でこんなに堂々としてんの?」
弁慶
「んっんっぷは~、直江気にしたら負けだよ」
大和
「なんの負けだよ」
宇佐美
「とりあえず入部テストだ。友達と温泉旅行に行きました。さてどうする?」
弁慶
「温泉に入って川神水を飲んでぼ~として温泉に入って食事をして川神水を飲んで寝る。翌日は午後1時に起きる」
宇佐美
「こいつもまた素質は最高だな。なかなかのだらけっぷりだ」
弁慶
「これからよろしく。(ごくごく)」
大和
「仲間の作法その1。連絡先は教えあいましょう」
弁慶の方に携帯を向ける。弁慶はチラッと先輩の方に目を向けた。
弁慶
「ん~、悪いけどそのうちね」
大和
「そっか。やっぱそういうの厳しいんだ」
弁慶
「まぁ事情が事情だしね。禁止ではないから」
大和
「仕方ないか、んじゃ先輩」
龍一
「ん?」
大和
「連絡先。交換しましょう」
龍一
「まぁいいか(ピッ)」
大和
「先輩はいいんですね」
龍一
「俺はただの護衛だからな。だからといってなんでもかんでも頼るなよ」
大和
「了解です」
先輩に釘を刺された後は、川神水に合うおつまみやらの話になり談笑して放課後の時間は過ぎていき、気づけば日が落ちてしまった。
大和
「じゃあ全員大扇島の九鬼財閥のビルに住んでるんだ」
弁慶
「楽しくやってるよ。門限もゆるめだし」
龍一
「一回諸事情あって遅れたことがあったがそのときはヒュームさんと乱闘になりかかったな」
大和
「そ、そうですか」
弁慶
「お?下駄箱に手紙が入ってたなう」
大和
「ラブレターか決闘状か、どっちもありそうだよね」
弁慶
「ラブのほうだ。三年生から……私彼氏いるから意味ないんだよねー」
大和
「え?弁慶彼氏いたの!?」
龍一
「どうした?」
弁慶
「あ、龍。ラブレター貰っちゃったよ」
龍一
「俺も入ってた。ラブレター3つに決闘状2つ」
弁慶
「む」
龍一
「なんだ弁慶妬いてるのか?」
弁慶
「まぁ一応ね」
龍一
「素直でよろしい」
そういって先輩は弁慶の頭をなでた。なんか弁慶頬染めてるし……ってちょっと!!
大和
「龍一先輩弁慶の彼氏ってまさか……」
龍一
「俺だが?」
大和
「マジか……」
まさか弁慶の彼氏が龍一先輩だなんて……弁慶とはこれからどうなるか分からないし、もしかしたら俺でもと思ってたけど……先輩はSクラスだから頭もいいんだろう。それに姉さんくらいに強いしイケメンだし。
大和
「(――どう考えても勝ち目がないな)」
龍一
「そんなにショックだったか?」
大和
「まぁそれなりには」
弁慶
「ついでに清楚先輩と義経とも付き合ってるよ龍は」
大和
「は?ごめん、もう一回言って。耳が遠くなったかな?」
弁慶
「清楚先輩と義経とも付き合ってるんだよ龍は」
大和
「はあああああああああ!!!」
龍一
「はあ」
え?なに三股!?
大和
「えーと弁慶たちはそれでいいわけ?」
弁慶
「まあね。3年前から龍は私らの共有財産だから」
龍一
「まぁそういうことだ」
大和
「これが知れたら全男子生徒の敵ですよ」
龍一
「なにお前が黙っていればいいだけさ」
そういって先輩はグラウンドの方に足を向ける。はあ、とんでもないこと聞いちゃったよ。ガクトには言えないな。
side out
side 黄眞 龍一
グラウンドではギャラリーの大歓声が起きていた。
見ればまだ義経が決闘しているところだった。
大和
「まだ決闘やってたのか」
龍一
「あれは確か川神 一子だったか」
「キンキンキン!キンキンキン!」
刃を潰した刀と薙刀が甲高い音を立てて打ち合っている。義経は迫り来る薙刀をその刀で打ち払う。袈裟懸けに刀を合わせ切り払い、返す刀で振り下ろす。一子はそれをバックステップで回避する。
一子は義経の残心を見て薙刀を構え突進し横切りに振るう。義経はしゃがんで回避し、空いた体にしたから切り上げるが、一子は後ろに跳びながら身を捻って何とか避ける。
義経
「なんという激しさだ!義経は驚愕した!」
ワン子
「この一撃はガードできないわよ!」
一子の一撃を義経は体を左に半身で避け瞬時に接近し刀を振るった。
ワン子
「うあっ!」
隙を突かれた一子に義経の一撃が直撃し一子は倒れた。
京
「頑張ったけど、最後焦っちゃったねワン子」
クリス
「義経は身軽だなあ。飛燕のごとく、というわけだな」
―――30分後ギャラリーは解散し、ポツリポツリと人が残る程度になった。
龍一
「お疲れ義経。どうだった川神さんは」
義経
「すごくいい試合だった。義経も得るものもあった」
龍一
「そうか」
俺は義経の頭をなでた。義経は頬を染め気持ちよさそうにしている。
クリス
「ん~、義経と犬の手合わせは凄かったな」
大和
「こんなに早く決闘できるとは知らなかった」
クリス
「義経がどんどん挑戦者を片付けるから予定が繰り上がってな」
ワン子
「いやぁ~負けちゃったわ。でもでも得るものも多かったわ。悔しいけどまだまだ強くなれる!」
京
「挑戦者の中では一番粘ってたよ。生徒会長なんて骨法出す前に終わっちゃったし」
義経
「実にいい汗を流せた。また戦おう一子さん」
ワン子
「今度は負けないわよ。覚悟してよね」
龍一
「クリスは戦わないのか?」
クリス
「連戦で疲れてる義経と元気な自分とではフェアではないからな。この波が落ち着くまで待つつもりだ」
ワン子
「確かに義経疲れてたかも」
クリス
「ん?ああ、別に犬を責めているわけじゃないぞ」
義経
「できるだけ多くの人と手合わせするのが義経の役目だ。気を使わなくていい」
クリス
「これは自分のこだわりみたいなものだ」
義経
「義経は理解した。いずれ戦おうクリスさん」
クリス
「ああ」
今日はそこで解散となり各々が帰路についた。
護衛といわれても特にする事がないと気づいた一日だった。
6月10日 水曜日 登校時間 多馬大橋
龍一
「今日も朝から元気だな、百代は」
橋の上から百代が吹っ飛ばした相手を見ながら、こっちに歩いてくる百代達に声をかけた。
百代
「なんだ龍一じゃないか」
龍一
「なんだとは失礼だな」
百代
「まぁ気にするな。それよりもどうだ?ここらで一つ?」
そういうと百代は氣を俺に向けて放つ。
龍一
「やるわけないだろう。早くその氣を抑えろ」
百代
「ちぇ、ストレス発散できると思ったのに」
龍一
「都合のいい。そういうのは義弟の大和にでもしておけ」
大和
「ちょっ!?人柱にしないでくださいよ!」
龍一
「そういいながら、百代の胸の感触とか楽しんでるんだろ?ムッツリめ」
大和
「へ?なんで知って…ちょっ!やめて姉さん!ニヤニヤしながら当てないで!」
目の前で百代が大和に抱きつきながワザとらしくこれでもかと密着する。
ガクト
「くそ~うらやましいぜ畜生!松風、言ってやれ」
松風
「年上って響きはいいけど、早く年食っちまうんだぜ」
百代
「よし!今日はまゆまゆの部屋に泊まろうっと」
由紀江
「ええええ!私の部屋ですか!」
百代
「寝技の乱取りで上下関係を再確認しないとな」
モロ
「あ~、言い過ぎたんだねこれ」
龍一
「師岡、いたのか」
モロ
「いましたよ!さりげなくひどいこと言わないでくださいよ!」
龍一
「すまんすまん。冗談だよ」
雑談しながら橋を渡っていると、後ろから清楚が自転車に乗って来た。
清楚
「リンリンリリーン、リリーン♪」
ガクト
「おお見ろよモロ!葉桜先輩だぞ清楚だなぁ」
モロ
「ホントだ。見てよ、自転車から降りる姿も絵になるなぁ」
清楚
「龍君、モモちゃんおはよう」
龍一
「よ、清楚」
百代
「おはよう清楚ちゃん。おっ○い揉んでいいかな?」
清楚
「ええ///」
大和
「いつの間に仲良くなったんだ?」
百代
「ワタシ美少女にメガナイ、スグニ教室イッテ、口説イタ」
大和
「オーイエス……龍一先輩はいいんですか?」
龍一
「なにがだ?」
大和
「いや、ほら姉さんが口説いて」
龍一
「別に本気じゃないだろ。せいぜいがスキンシップ程度、何も心配いらんさ」
大和
「そうですか」
集団のほうでは岳人が百代に詰め寄っていた。
ガクト
「葉桜先輩を紹介してくれよモモ先輩!ハァハァ!」
百代
「えー」
ガクト
「紹・介・し・て・く・れ・よ!!」
百代
「分かった、分かったから!血涙なんか流すな!」
清楚
「楽しそうなお友達だね、モモちゃん」
清楚、あれを見て楽しそうな友達で済ますお前の胆力に驚きだ。
ガクト
「島津岳人です。ベンチプレスで190kg上げます。俺様と結婚を前提に付き合って下さい!」
清楚
「ごめんね島津君。私もう付き合ってる人がいるんだ」
その瞬間、周囲の空気が凍った。
ガクト
「…………………ちなみにその人は?」
清楚
「えっと///(チラッ)」
清楚が俺の方に視線を向けた。清楚よ、そこは誤魔化すところだろ。
ガクトなんか血涙流しながら「ギギギッ」っとこっちに視線向けてるし。
周りの視線も俺に集中してるし……どう収集しよう。
ガクト
「………先輩………本当に?」
龍一
「…ああ」
ガクト
「………清楚先輩の彼氏?」
龍一
「…そうだ」
ガクト
「………おおおおおーーーー!!イケメンは死ねーーーー!!」
ガクトは怒りに任せ拳を繰り出してくる。
それを上半身をそらして避けると、右から拳が飛んできたので、誰かと思うと百代だった。その百代の拳を右手で受け止めた。
龍一
「ガクトはともかく何で百代まで出てくるんだ?」
百代
「いや、なんかムカついたから」
龍一
「なんだそれは?まぁ、ドンマイだガクト」
ガクト
「チクショーーーーーーー!!」
ガクト強く生きろ。
大和
「葉桜先輩は自転車通学なんですね」
清楚
「うん、九鬼財閥が開発した電動自転車でね、坂道なんかもスイスイ進むからスイスイ号って言うの」
スイスイ号
「みなさん、おはようございます」
クリス
「おお、喋ったぞ!!これも腹話術か?」
由紀江
「人工知能のようですね。松風は九十九神ですが」
ワン子
「メイドイン九鬼なら喋っても不思議じゃないわ」
大和
「人工知能はクッキーで証明済みだからな」
スイスイ号
「はい、クッキーさんは私の先輩にあたります」
モロ
「この自転車トランスフォームしたりするのかな?」
スイスイ号
「師岡様、残念ながらそのような機能はありません。私はただの自転車ですので」
モロ
「ただの自転車は喋らないと思うけど」
キャップ
「しかしすっげぇ自転車だな。乗ってみてもいいか?」
スイスイ号
「すみません、拒否いたします。私に乗れるのは主のみ」
京
「おお、忠誠心が「もしくは美人な方なら歓迎します」と思ったらただのスケベだった」
スイスイ号
「ジョークですよジョーク」
キャップ
「じゃあ乗ってもいいんだな」
スイスイ号
「断固拒否します」
キャップ
「いーじゃん、いくぞ!」
スイスイ号
「汚ねぇケツを乗っけるんじゃねぇ!!」
キャップ
「うわああぁぁ、大和こいつ怖いぞぅ!!」
大和
「無理矢理乗ろうとするからでしょ。それにしても…」
クリス
「なんで九鬼の人工知能はすぐキレるんだ?」
京
「まさしくクッキーの後輩の感じがするね」
龍一
「一応威嚇機能がついてるんだよ。盗難防止や、清楚のために」
スイスイ号
「行きましょう清楚、余裕を持った登校を」
清楚
「はーい、じゃまた後でね龍君」
龍一
「ああ」
清楚は自転車に乗り颯爽と駆けていった。
その後、義経たちが合流した。
雑談しながら登校していると後ろからバイクが迫ってきた。
ひったくり
「いっただきいぃぃぃっ!!」
義経
「ああっ!!」
ひったくりは義経の鞄を奪って逃走した。
由紀江
「!?手加減したとはいえ刀をはじくなんて」
龍一
「そこそこ腕に覚えがあるみたいだが無意味だな……与一…撃て」
与一
「了解……」
大和
「ここから狙うのか?…京お前ならできるか?」
京
「さすがに遠いと思う……あ、大和がエネルギーくれるならいけるよ」
与一
「奥義……【金剛矢】!!」
放たれた矢は一直線にひったくり犯の乗るバイクに向かい……
ひったくり
「へ?」
ドガァァァァァァァン!!!!
見事に命中し、飛んだ鞄を空中でキャッチして着地。
龍一
「ほら義経」
義経
「ありがとう龍兄、与一」
与一
「はいよ」
龍一
「とりあえず一件落着だ、行くか」
朝からとんだ災難だったな。さすが多馬大橋。通称『変態の橋』といわれるだけあるな。
◇
川神学園 昼休み 屋上
多馬大橋で清楚が俺と付き合っているとの発言で、学園中の男子から敵意の視線で見られるため早々に退避してきた。
視線で人が殺せるなら俺はとっくに死んでいるだろう。
屋上の貯水タンクの上で食事をし、まどろんでいるところに大和がやってきた。
大和
「先輩も昼寝ですか」
龍一
「ここに来たのはたまたまだが、中々居心地がいいなここは」
大和
「なにかあったんですか」
龍一
「ほら、朝の清楚の発言でな。視線が目障りだから逃げてきた」
大和
「あ、なるほど」
龍一
「昼寝に来たんだろ?後で起こしてやるから寝てろ」
大和
「じゃ、お言葉に甘えまして」
そういうと大和は隣にゴロンと転がりくつろぎ始めた。
俺は持参した本を読み、時間を潰していると、不意にどこかで感じた氣を思い出した。
龍一
「(この氣は………なるほど、サプライズとはこういうことか)」
???
「や!久しぶりだね、龍一君」
龍一
「ああ、会うのは久しぶりだな燕」
燕
「およ?結構不意を突いたと思ったんだけどなぁ」
龍一
「不意を突くには気配の消し方が甘いな。今度教えてやるよ」
燕
「おお、ありがとねん♪」
龍一
「あぁ後、パンツは見えないようにな」
燕
「///………見た?」
龍一
「さぁ?大和も寝た振りして薄目開けても意味ないからな」
大和
「気づいてたなら声かけてくださいよ」
龍一
「いや~どこまでそのムッツリを出すのかなと」
大和
「ムッツリって言わないで下さい!」
龍一
「ははは!!悪かったって。それで?その制服着てるってことは転入ってことでいいんだよな?」
燕
「そだよん。今日は下見だね」
大和
「っていうか龍一先輩知り合いなんですか?」
龍一
「ああ、武者修行中に出会ってな。それからはメールのやり取りくらいだ」
燕
「そうそう。そのときに色々助けて貰っちゃってね」
大和
「なにかあったんですか?」
燕
「ま、そのうちね。んじゃまたね龍一君。とうっ!!」
そういって燕は屋上から跳んでいった。そのすぐ後に風が吹いた。
大和
「……なんだよ風吹くの遅すぎだろ」
龍一
「……(;¬_¬)ジー」
大和
「はっ!待って今の無し!」
龍一
「これは京に報告だな」
大和
「ごめんなさい!それだけは!」
龍一
「やっぱり大和はムッツリか」
大和
「グハァッ!」
なにやら心を抉ってしまったみたいだ。
しかし、燕が来るとまた騒がしくなるな。
どうしたもんかなと、これからのことを考えるのであった。
side out
6月11日 木曜日 朝のHR
side 川神 百代
カラカル・ゲイツ
「サテ、今日ハイキナリ転入生ヲ紹介スルヨ」
いきなりのことに、クラスがざわついた。
弓子
「この時期に?クローンで候?」
ゲイツ
「クローンジャナイネ、普通ノ人ダヨ」
百代
「どうせムサイ男とかだろ。ソースは私の感」
弓子
「なるほど、ありえるで候」
ゲイツ
「百代。直感ハ頼リニナルガ、決メ付ケハ駄目ダヨ。ソレジャ転入生軽ヤカニドウゾ」
百代
「まさかの美少女来たーーーーー!!!」
燕
「はじめましてーー!!」
男子連中から歓声が上がった。
3-F男子
「可憐だ…やったぞ皆の衆…ついに、ついに我らは美少女を手に入れた!悲願達成、大願成就!」
百代
「おいおい美少女なら私やユミがいるだろチミ」
男子
「ひいっ、川神さんはそれよりも恐怖が勝って」
百代
「失礼な。まぁそんなことより目の前にいる一輪の花だ」
私は転入生に近づいていく。
百代
「私は川神百代!よろしくな!」
燕
「武神だね。西でもその名は聞いてるよ」
百代
「ん?」
燕
「私は松永燕。よろしくね」
燕が手を出してきたので握手をした。
その瞬間私は感じ取った。
彼女は強いと。
百代
「松永と言ったか?あの松永か?」
燕
「うん、一応武士娘として決闘とかもやってるよ」
弓子
「聞いたことがあるで候。西に武具を使いこなす兵がいると…それが松永」
百代
「何故川神に?」
燕
「おとんの仕事の都合。これが関東へ来た理由。川神学園を選んだ理由は、賑やかで楽しそうだから…そしたらいきなり源義経だよ。いいよねぇ、破天荒で」
百代
「なるほど、分かりやすいな燕。では、川神の流儀でお前を歓迎してやろう。決闘だ」
燕
「う~ん、記録に残るような試合は許可が必要なんだ」
弓子
「西は家名を重んじると聞いたことがあるで候」
百代
「あー、家がうるさい系なのか」
燕
「ごめんね。でも稽古ってことならいいよ」
百代
「―――ははは!!よし、歓迎稽古だ!!」
私たちはグラウンドに移動した。
龍一といい、燕といいこうも続けて楽しめるとは。
百代
「さあいくぞ!!川神流【無双正拳突き】!!」
side out
side 黄眞 龍一
窓から外を見れば百代と燕が戦ってるのが見えた。
龍一
「あいつの転入今日なのか」
近いうちにとは思っていたが、昨日の今日とは……
清楚
「ねぇ、あいつって?」
呟いたのが聞こえてたのか、清楚が話しかけてくる。
俺は外を指差し、誰かを示した。
龍一
「百代と戦ってるのが松永燕。京都でちょっと知り合ってな」
清楚
「そうなんだ。すごいね、モモちゃんと戦えてる」
見ればたくさんの武器を使い百代と戦っている。
しかし器用貧乏。決定打にかける。たくさんの武器が使えるのは強みだが、一つ一つの練度が足りなさ過ぎる。
今回の戦闘に何の意味が………
龍一
「(燕は相手を調べてから戦う……今の燕じゃ百代に勝てない……今回決闘の放送は無かった。となればこれは手合わせ?……なるほど、今回は手合わせと称して目的は百代の分析。そうなれば、武器の多さにも納得がいく)」
一応の考えをまとめた頃には戦闘も終わっていた。
何かルー先生と話した後、マイクを持った。
燕
『皆さん、暖かいご声援、ありがとうございますっ。京都から来た、松永燕ですっ!これからよろしくっ!何故私が、川神さん相手に粘れたかといいますと!!』
カップ型の松永納豆(試供品)を取り出す。
燕
『バーン!秘訣はこれです松永納豆ッッッ!!!もちろんこれ食べれば強くなれるわけではありません。しかーし!ここぞという時に粘りが出ます!皆さんも、栄養満点の納豆を食べて、エンジョイ青春!試食したい人は、私がもっていまーーす!!皆さんも一日一食、納豆、トウッ!!以上、松永燕でした!ご静聴感謝します!』
燕……相変わらず商魂逞しいことで。
でもあの納豆は確かに美味しいんだよな。
side out
side 松永 燕
マイクでの納豆営業が終わってたくさんの歓声の中、漸く目当ての人物を見つけたので、大きく手を振れば、向こうも振り返してくれた。
百代
「燕は龍一とは知り合いなのか?」
燕
「うん。昔、いろいろ世話してもらったんだ」
百代
「ふーん」
燕
「?どうしたの?」
百代
「いや、なんかこうムカムカというかモヤモヤというか……よく分からん」
燕
「???」
百代
「まぁいいや、戻ろうか」
燕
「そだねん」
百代ちゃんに勝ったらこの想いを龍一君に言おう。
隣にいた女の子がすごい睨んでたけど。
そんなことを考えながら教室へと足を進めた。
side out
to be continude
次回「―歓迎会―」
応援ありがとうございます。
こんな駄文ですが楽しんでいただければ幸いです。
では次回!!