真剣で私に恋しなさい!!S -四神の王-   作:慶次

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この幼少期と成長期編のあとに原作突入です。


幼少期 ―九鬼での1日―

Side 黄眞 龍一

 

 

 

 

PiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPバシッ!!

 

 

 

 

高い目覚ましの音と共に、おぼろげな意識が覚醒していく。時計の針は早朝の五時を指している。俺はベッドから出て、寝ぼけ眼をこすりながら洗面所へ歩いていく。

 

 

 

 

 

 

龍一「ふあ~~~~~あ、っと。早くいかねえとヒュームさんに『デストロイ』されちま

 

   う」

 

 

 

 

 

顔を洗い、うがいをしてタオルで拭いた後あくびをかみ締め一言呟いた。そして朝の鍛錬に行くためP○maのジャージに着替え部屋を出た。

集合場所に行く前にいつもすることがある。それは一つ年下の男「那須 与一」を起こすことだ。ちなみに与一が11才で、俺こと「黄眞 龍一」が12才だ。俺と与一、他にも三人ほどいるが俺達はただの人じゃない。世界有数の大企業九鬼財閥の推進プラン『武士道プラン』により生み出された過去の英雄のクローンだ。現在の人材不足を補い、また若い世代の能力向上が目的らしい。

 

 

 

 

『那須 与一』

 

 

 

 

彼は平安時代末期の武将「那須 与一(なすの よいち)」のクローンである。1185年の屋島の戦いで、平氏方に掲げられた扇の的を射落とすなどの功績を挙げている武将で、日本でも有名である。と考えているうちに、部屋の前に着いていた。「コンコンッ」とノックをしたが反応がない。俺は内心、いつも通りと思い「ハア」とため息をついた。

 

 

 

 

龍一「お~い与一。早く起きろ~。ヒュームの『メテオストライク』が飛んでくるぞ~。

 

   いいのか~?…いいんだな?もう知らないよ俺。今日が与一の命日か~」

 

 

 

 

しかし反応がない。中からも何かしている気配はない。あ~つまり寝坊ですね。いつものことだけど。そんじゃあ、勢いつけて『バン!!!!!!!』スゥ~、サンハイ

 

 

 

 

龍一「起きろコラァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

与一「!?」

 

 

 

 

 

部屋に響く俺の声と共に与一は「ビクゥッ!?」としながら、ベッドから起き上がった。

そして、おそるおそる俺の方へ顔を向ける。

 

 

 

 

 

与一「お、おはよう兄貴。…もしかしてまた?」

 

 

 

龍一「おはよう与一。兄貴分に毎朝起こされていいご身分ですね?(ニコッ)」

 

 

 

 

 

俺は少し怒った風を装いながら、ニッコリと笑いかける。与一いわく「死の微笑み(デス・スマイル)」らしい。ネーミングセンスが中二病だぞ。大丈夫かこいつ?

 

 

 

 

 

龍一「ほれ、さっさと準備しろ。弁慶に怒られたくないだろ。お、そうだ。あと5分でグ

 

   ラウンドにこなかったら、俺と弁慶でキン○バスターな。あれ、やってみたかった

 

   んだよな~」

 

 

 

与一「ゲッ!?マジかよ!?勘弁してくれよ兄貴~」

 

 

 

龍一「ならとっとと準備しろ。ほら、あと4分30秒しかないぞ。ってことで先行くぜ

 

   ~、あとでな~」

 

 

 

 

 

そう言って俺は与一の部屋を後にした。後ろの方ではバタバタと慌しく音がしている。少し駆け足でグラウンドへと向かった。

グラウンドに着くとそこには6人の人物がいた。一人は執事服を身に纏い、ジャージだったり、道着だったり動きやすそうな服をきている。

 

 

 

 

???「む、来たか龍一」

 

 

 

龍一「おはよう。ヒュームのおっさん」

 

 

 

ヒューム「ふ、柔軟でもしておけ」

 

 

 

龍一「はいよ」

 

 

 

 

 

 

最初に俺に気づいたのは執事服を着た男、名を「ヒューム・ヘルシング」

九鬼家従者部隊序列零位であり部隊のトップで、俺の武術の衣装でもある。武術は5才からやっており、武術を教えると言われ、オッサンに紹介され挨拶を交わした後に左側から横薙ぎの蹴りが飛んできたので、俺はそれに左手を合わせ勢いを殺さず、それを軸に飛び上がり一瞬足の上で左手だけで倒立したあと手を離し着地した。つまり大人の蹴りをただの5才児が避けてしまったのだ。これには一人を除き驚愕した。ヒュームはにやりと笑ったあと俺に武術の指導をした。それはもうハンパじゃない熱の入れようだった。それは…うん。思い出すのはやめよう。トリップから戻ると、俺は5人の近くにいた。そのうちの二人がこっちに気づいた。

 

 

 

 

 

???・???「「フハハハハハハハ!!龍一よ、おはよう!!」」

 

 

 

龍一「おはよう。揚羽、英雄」

 

 

 

揚羽「うむ、龍一よ。今日も元気そうでなによりだ」

 

 

 

龍一「おかげさまで。いいもん食ってるからな」

 

 

 

 

 

俺に挨拶してきたのは九鬼家の跡取り「九鬼 揚羽」と「九鬼 英雄」の姉弟だ。

本来なら「様」をつけ敬語で話さなければならないのだが、公的な場所や九鬼の人間、または本人が許可した場合において、こうしてフランクに話しかけている。

揚羽については二つ年上ということもあり「さん」づけで呼んだが「しっくりこないから呼び捨てでいい」と言われ、いろいろ言いあったが結局いうとおりにした。

 

 

 

「九鬼 揚羽」は九鬼家の長女で現在中学二年の14才だ。額にはバツ印の傷がある。何か九鬼家のしきたりらしい。髪型はセミロングで、綺麗な銀色をしていてカチューシャで前髪を上げている。顔も小さくパーツも整っているので美人といわれる部類だろう。道着を着ているが身に纏う覇気が野暮ったさを感じさせることなく、凛とした印象を見る人にあたえる。

 

 

 

 

 

英雄「うむうむ。九鬼家の料理人の腕は最高クラスだからな。フハハハハ!!」

 

 

 

龍一「わかってんよ。朝っぱらからテンションたけーなオイ」

 

 

 

英雄「それは我が健康である証拠よ。我は王になるもの。健康管理も万全なのだ」

 

 

 

龍一「さすがだな英雄。んじゃ柔軟すっか。英雄、一緒にやろうぜ」

 

 

 

英雄「うむ。我の友の頼みなら是否もなし。手伝おう」

 

 

 

龍一「サンキュー」

 

 

 

 

 

柔軟を手伝ってくれるのは「九鬼 英雄」揚羽の弟で俺の一つ下で小学五年の11才。

揚羽と同じく額に傷がある。髪は短めで逆立てていて、銀髪。容姿も整っている。揚羽と同じく道着。姉ほど武術に才はないが一般レベルでは高い。代わりに知略、政治面に強く九鬼家の仕事にたまに口を出している。柔軟を終えると三人の女の子が歩いてくる。

 

 

 

 

 

???「おはよう、龍兄」

 

 

 

龍一「ん?おお、おはよう義経」

 

 

 

???「おはよ~、龍」

 

 

 

龍一「弁慶もおはよう。いつも通りダラッとしてんな」

 

 

 

弁慶「それが私の持ち味じゃん。あ~早く川神水が飲みたい」

 

 

 

義経「こら弁慶。飲みすぎるのはよくないぞ。これかr「ダキッ!」うわわ!?」

 

 

 

弁慶「いいじゃん主~。やることやってるし、浴びるほど飲むわけじゃないいからさ~」

 

 

 

義経「それはそうだけど…う~、龍兄からも言ってくれ」

 

 

 

龍一「え?別に分量間違えなければいんじゃね?」

 

 

 

義経「まさかの期待の援護無し!?」

 

 

 

弁慶「さすがは龍。わかってる~」

 

 

 

義経「う~、自分の部下も説き伏せられないなんて」

 

 

 

龍一「ハハ!そんなに深刻になるなって。俺も弁慶もちょっとした冗談だからさ」

 

 

 

 

 

それを聞いて義経はパッと笑顔になる。弁慶は主のころころ変わる表情をニコニコしながら見ている。

 

話しかけてきたのは『源 義経』と『武蔵坊 弁慶』のクローンで名前もそのまま。

 

 

 

 

『源 義経』

 

 

 

 

性別は女性で、すべてが過去の英雄と一緒という訳ではない。11才。

平安時代末期の武将で『源 頼朝』の弟。頼朝が伊豆で挙兵すると、幕下に加わり、「治承・寿永の乱」を皮切りに、一ノ谷、屋島、壇ノ浦の合戦を経て平氏を滅ぼした。最大の功労者であり、まさに甦った英雄としてふさわしいのだ。

長い髪を高い位置で一つにまとめポニーテールにしている。髪の色は黒。クリッとした大きな目が特徴で、かわいらしい印象を持つ。

 

 

 

 

『武蔵坊 弁慶』

 

 

 

 

義経と同じく性別は女性。11才。

平安時代末期の僧衆(僧兵)で義経に仕えた家来である。五条の大橋で義経に出会い最後まで仕えた。義経と共に頼朝の挙兵に参加し、平氏討伐で功名をたてた。頼朝に主が朝敵であるとされたが、義経の京入りに同行した。その後奥州入りし藤原秀衡のもとへ身を寄せるが、秀衡が死ぬと、子の藤原泰衡は頼朝の威を恐れて、父の遺言を破り、義経主従を衣川館に襲った。多数の敵勢を相手に弁慶は、義経を守って堂の入口に立って薙刀を振るって戦い、雨の様な敵の矢を受けて立ったまま死んだとされ、「弁慶の立往生」と後世に語り継がれており、彼女も英雄と呼ぶにふさわしい血をひいている。

髪は黒く長さは腰までありウェーブがかかっている。切れ長の目でキツイ感じがするが、飄々とした佇まいがそれを感じさせない。ちなみに川神水とは川神市で手に入る清涼飲料水で飲むと酔った気分を味わえる。だがアルコールではないので未成年でも飲める神秘の水だ。

 

 

 

 

 

???「おはよう、龍君。」

 

 

 

龍一「おはよう、清楚」

 

 

 

清楚「あんまり義経ちゃん、いじめたらだめだよ」

 

 

 

龍一「いや~、義経があんまり可愛いからさ~。ついな」

 

 

 

 

 

嗜めてきたのは『葉桜 清楚』性別は女。俺と同じ12才。

彼女については九鬼家でも一部の人間しか知らない。俺は知っているが…今は秘密だ。

 

 

 

 

 

義経「可愛い//////」

 

 

 

 

 

義経は頬を赤くして俯いてしまった。垂れた頭を撫でていると

 

 

 

 

 

弁慶「え~私は~?」

 

 

 

龍一「もちろん弁慶だって可愛いよ」

 

 

 

弁慶「//////」

 

 

 

 

 

そう言ってやると弁慶は頬を赤くしながら左腕に抱きついた。なに気に弁慶はスキンシップを求めてくるのだ。すると

 

 

 

 

 

揚羽・清楚「「じゃあ我・私は?」」

 

 

 

龍一「揚羽は可愛いし、年上だから綺麗ってのもあるかな~。清楚は…チクショウ!可愛いじゃね   えか!」

 

 

 

揚羽「むぅ/////」

 

 

 

清楚「もう/////」

 

 

 

 

 

揚羽は頬を赤くし顔を逸らしながら俺の頭を撫で、清楚は俺の背中に顔を埋めている。

何でみんな顔を赤くしてるんだろう?…とは疑問に思わない。俺はどこぞの『女性しか乗れないパワードスーツ』に乗れた男や『科学と魔術を打ち消す右手』を持った男のように天然でも鈍感でもないつもりだ。

ぶっちゃけ女のアピールにも問題あるし、気づかなかったら暴力や電撃ってなに?

いくら可愛くても「こりゃないわ~」しか言えねえ。

 

そうして和んでいると、不意に義経が

 

 

 

 

 

義経「なあ龍兄、与一はどうしたんだ?起きてなかったのか?」

 

 

 

龍一「あ~、俺がいつも通り叩き起こしてやったよ」

 

 

 

義経「うっ、いつもすまない龍兄。義経が言っても全然直らないから」

 

 

 

龍一「お前のせいじゃねえよ。気にすんな。起きないあいつが悪い。それにあと1分でここに来な   かったら罰を与えると言ってある」

 

 

 

弁慶「罰?」

 

 

 

龍一「そ、罰。俺と弁慶でキン○バスター。やってみたいから、できれば遅れて来てほしい。むし   ろ遅れろ!」

 

 

 

弁慶「へ~、それは面白そうだ」

 

 

 

義経「二人とも笑顔が怖いぞ。義経がもう一回言ってみるからちょっと待ってくれないか」

 

 

 

弁慶「何度も主に言われてるのに直さない与一が悪いのさ。主も部下を褒めるだけじゃなく、締め   るとこは締めないと」

 

 

 

義経「いや…だけど」

 

 

 

弁慶「主」

 

 

 

義経「うっ…わかった。でもちゃんと加減はするんだぞ。龍兄も」

 

 

 

龍一「まかせな」

 

 

 

 

 

俺と弁慶はとてもいい笑顔で義経に返した。そして、それから待つこと5分。ようやく与一が姿を見せた。

 

 

 

 

 

龍一「遅えぞ与一」

 

 

 

与一「勘弁してくれよ兄貴。いくらなんでも5分は無茶だって」

 

 

 

龍一「オメーがちゃんと起きりゃあいいんだよ。あ、遅れたから罰ゲームね。朝いったやつ。弁慶   にも話してあるから」

 

 

 

与一「え?」

 

 

 

 

 

弁慶の方に視線をやるとものすごくいい笑顔をしていた。義経に助けを求めるが「これも与一のためだ」といって聞いてもらえず、ちょっと青ざめていた。

 

全員そろったので鍛錬を開始した。まずはランニング。400mのトラックを20周…俺と揚羽以外は。俺と揚羽は九鬼家の外周を20周。俺は20kgのウエイトを、揚羽は10kgのウエイトをそれぞれ両手足に着けたまま。

 

ランニングのあとは場所をトレーニングルームに移して筋トレ。さすがは九鬼、あらゆるトレーニング機があるぜ。使うの初めてじゃないけど。

 

筋トレはクラウディオ(通称クラウ)が作ってくれたメニューをすることになっている。

クラウはその人ができる量を計って組まれているため、非常に効率がいい。

ん?なになに腕立て1000回、腹筋1000回、背筋1000回、スクワット、ベンチプレス、etc

おいおいクラウさん。なんか昨日より増えてるんですけど。あ~飯ちゃんと食えっかな。

 

筋トレの後は各々の分野に分かれる、義経は剣術、弁慶は錫杖なので棒術、与一は弓術。俺、揚羽、英雄の三人は拳の武術になる。清楚は筋トレで終わり。今頃シャワーでも浴びてるころだろう。俺も含め、英雄や才能のあるやつばかりで実力の伸びがハンパじゃない。ま、俺も負けてやる気はないんだけど。

 

今は揚羽と組み手をしている。だいたい15分くらいたっている。拳の応酬をし、お互い間合いを離し距離をとっている。だいたい3~4mくらいだ。

 

 

 

 

 

揚羽「やはり強いな龍一よ。今までおまえからは一本も取っておらんからな。今日こそ一本取らせ   てもらうぞ!」

 

 

 

龍一「ハッ!そう簡単にいくかよ。男が女に負ける訳にゃあいかねーだろ。守られんのは性に合わ   ねえしな!」

 

 

 

揚羽「なんだ、いざとなったら我のとこにくればよい。全力で守ってやるぞ?」

 

 

 

龍一「そりゃあ、ありがたい提案だ。けどま、遠慮しとくわ。好きになった女を守るのが男っても   んだろ?」

 

 

 

揚羽「それは我のことか?////」

 

 

 

龍一「アホか。お前『ら』だよ」

 

 

 

揚羽・義経・弁慶「「「/////////」」」

 

 

 

 

 

聞いていたのか、義経と弁慶も顔が赤い。あれ?今のでフラグたった?でもまあみんなのこと好きだし、嘘は言ってない。おっと、勘違いすんなよ。友人としての『好き』じゃなく、女としての『好き』だからな。どっかのへたれイマ○ンブレイカーとは違うのですよ。ま、ここにいない清楚含めて守れるように強くなればいっか。

 

 

 

 

 

龍一「おしゃべりはここまでだ。構えろ、揚羽」

 

 

 

 

 

言いながら構え、少し強めに殺気を放つ。

 

 

 

 

 

揚羽「ッ!?うむ、これでラストにしよう」

 

 

 

龍一「フッ!!」

 

 

 

揚羽「ハアッ!!」

 

 

 

 

 

掛け声と共にお互いの距離が一瞬でなくなり拳が衝突した。一瞬の拮抗の後、揚羽はすぐに左の拳をくりだした。龍一は右手でそれをつかみ、前に出ている揚羽の右足を、左足で踏み固定した後、揚羽の顎に肘打ちをくりだした。しかし揚羽は固定されていた足を強引に振りほどき、肘打ちを回避した。が、無理やり振り払ったためバランスを崩してしまう。龍一は揚羽の腹に蹴りをいれ吹き飛ばす。すぐさま揚羽のうしろに回り込み背中に右ストレートをぶち当てる。それで今回の組み手は終了した。

 

 

 

 

 

揚羽「むう、今回も取れなかったか。やはり強いなお前は」

 

 

 

龍一「いやいや揚羽も強くなってんぜ。背後に回ったときはちょっと真剣だったし」

 

 

 

揚羽「そうか!なに我もまだまだこれからよ!お前からは必ず一本取ってやるからなフハハハハハ   ハ!!」

 

 

 

龍一「おう!期待して待ってるぜ!」

 

 

 

 

 

そうして朝の鍛錬が終わった。ちなみに与一には鍛錬で疲れているところを弁慶と共に強襲し、俺と弁慶の合体技『プレミアム・キン○バスター(仮)』をおみまいした。

ピクピク震えている与一がすげー面白かった。

 

 

 

 

Side out

 

 

 

Side 九鬼 揚羽 ~シャワールーム~

 

 

 

 

 

揚羽「(今朝も一撃も当てられなかった)」

 

 

 

 

 

少し温めのシャワーを浴びながら昔を思い出す。

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

龍一とはじめて会ったのは今から二年前。我の鍛錬中にヒュームが一人の少年を連れてきた。茶色の髪に整った顔立ち、しかしなによりその赤い瞳が印象的だった。深い…まるでこちらの全てを見透かすような瞳。しかし不快ではなく、その瞳はとても澄んでいた。

 

 

 

 

 

ヒューム「鍛錬中失礼します。揚羽様こちらは『武士道プラン』の一人。名を『黄眞 龍一』と言     います。ほら、挨拶をしろ」

 

 

 

龍一「紹介に預かりました、黄眞 龍一と申します。お目にかかり光栄です。揚羽様」

 

 

 

揚羽「うむ。知っているとは思うがこちらも挨拶せねばな。我が九鬼 揚羽だ。…してヒューム    よ。なぜ龍一を連れてきた?」

 

 

 

ヒューム「はい。実は揚羽様と龍一とで、手合わせをお願いしたいのです」

 

 

 

揚羽「なに!?…我の実力は知っておろう。半端な力ではケガをするぞ」

 

 

 

ヒューム「その点に関しては、俺が直々に計りました。」

 

 

 

揚羽「ならばよし。我はすぐに始めても構わんぞ」

 

 

 

ヒューム「わかりました。この場は俺が立ち会います。龍一すぐにいけるな?」

 

 

 

龍一「ああ、いつでもいいぜ」

 

 

 

 

 

武道場の中央に5mほど離れて構える。

 

 

 

 

 

揚羽「ヒュームが認めるほどだ。全力で行くぞ!」

 

 

 

龍一「もちろんです。手加減なんてしたら許しませんから」

 

 

 

揚羽「フハハ!!言うではないか!それでこそ『漢(おとこ)』よ!」

 

 

 

ヒューム「それでは両者…始め!!」

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

揚羽「(あの時は一瞬で気絶させられたんだったな)」

 

 

昔を思い出し、苦笑する。それからは龍一を目で追うようになった。なぜあんなにも強いのか?試合を振り返ると、対峙したときの目には強い意志があり、それを成そうとする心の強さも感じられた。だがそれを聞こうとは思わない。それは、龍一の強さであり、自分の強さではなく、聞いて実践しても偽りでしかないからだ。

『強さ』とは人によって千差万別。まだ自分は足を踏み入れたばかり。これ以上は…と思い思考を止める。その時になっていつも気づく。

 

 

 

 

 

揚羽「(龍一を想うだけでこうも胸が高鳴るか。龍一よ、この代償高くつくぞ)」

 

 

 

 

 

赤くなった頬を誤魔化すようにシャワーを浴び、シャワールームを後にした。

 

 

 

Side out

 

 

 

Side 黄眞 龍一

 

 

 

 

 

鍛錬を終え、シャワーを浴びみんなで朝食を食べた後、俺は揚羽・英雄・清楚・義経・弁慶・与一の6人を学校に送り出した。本来12才である俺は、学校に通っているはずだが、これには理由がある。それは俺が持っている、ある能力による。

 

 

『完全記憶能力』

 

 

概要を簡単に説明すると

「今まで見聞きしたものを瞬時に記憶し、自身が死ぬまで忘れることなく、いつでも思い出せる」というものである。

この能力により現在の俺の知力はトップクラスの大学卒業レベルだ。そんなわけで「学校行ってもしょうがないんじゃネ?」という事で自室で知識を詰め込んでいる。

ちなみに今いる場所は、九鬼家が所有する島で、そこに住居兼仕事場のビル、ヘリポート。そして義経達の状態のデータを取る研究施設がある。義経達が行く学校とはこの研究施設のことで、理科室のような部屋で勉強している。ここに来た当初は俺も通っていた。

義経達はリムジン、揚羽たちはヘリで学校へ向かった。

揚羽と英雄は自分達も九鬼で仕事を手伝っており、忙しい中時間を作って会いに来てくれるのだ。揚羽にいたっては、俺との勝負を楽しみにしている節がある。

 

 

そんなこんなで文学書やら哲学書やらを読み耽っていると、お腹の虫が鳴った。時計を見ると昼の12時25分を指していた。腹も鳴るわなと思いながら、部屋を後にし食堂へ向かった。

 

 

食事を終え、部屋で紅茶を飲み、一息ついた後午後からの予定の九鬼の仕事に取り掛かる。なぜ俺が九鬼の仕事をしているのかというと、去年の五月ごろある研究チームが食堂でうんうん唸っているのを見つけ、話を聞いてみると、大容量のハードディスクを作っているようだった。大容量のハードディスクを作ることはさほど難しくない。しかし、彼らが目指していたのは携帯電話にも使えるような薄くコンパクトなものを目指していたのだ。マッドな研究員が1cm以下のものを作りたいと言い出しそれに乗って上司に報告したため後に引けないのだ。

 

 

話してくれるかは半々だったので、今はそうとう切羽詰っているのだろうと思い、研究資料を見せてもらい、流し読みした後、こうしたらいいんじゃないか?という自分なりのアドバイスをすると、資料と俺を交互にみて、先ほどの落ち込みっぷりが嘘のように歓喜していた。研究チームはやや興奮気味でその場を後にした。俺も口を出した以上中途半端はいやなので、手伝いを申し出た。それから半年後に

薄さ0.5mm 大きさ5mm 容量10TB(テラバイト)というチートくさいハードディスクができあがったのだ。

それ以来技術屋や研究者方面からの仕事がやってくるようになった。

 

 

 

 

 

龍一「あ~これは軍需部門に渡したほうがスムーズになるな。…宇宙に伸ばす軌道エレベーターの   設計はこれでいいな。農産のほうは…お、新しく作った肥料がいい感じ。野菜も甘みが増し   たと。んで、次はと…」

 

 

 

 

 

声に出しながらテキパキと机の上の資料やら報告書やらを片付けていく。

机の上の仕事は3時半過ぎに終わり、義経たちが帰って来るまで、読書書をして時間を潰し、5時過ぎに帰ってきた義経たちを迎えに行った。揚羽と英雄は、本島の極東支部に帰るようだ。

 

 

義経達と共に食事をし、弁慶の部屋で大富豪や麻雀をやり、10時を過ぎたところで解散となった。そのとき与一に、朝ちゃんと起きるように釘を刺す。

部屋に戻り、入浴後コーヒー牛乳を飲み、歯を磨いた後ベッドに入った。

 

 

 

 

 

龍一「(ああ、明日は休みだったな。なにすっか?あいつらに会いに行くか)」

 

 

 

 

 

目を閉じ明日の予定を考えながら、夢の中に堕ちて言った。

 

 

 

 

 

Side out

 

 

 

 

 

 




また長くなってしまった。
自分の文才の無さが恨めしいです。
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