楽しんでいただければ幸いです
第壱話 ―帰還―
―――3月末・香港国際空港
香港国際空港は約15k㎡の空港島で、年間約5000万人が利用し、ターミナルには世界各地の有名ブランド店や、レストランやカフェ、土産店など様々な店がある。
世界でも仁川国際空港、シンガポール・チャンギ国際空港に次ぐ世界3位の空港と評価されるほどである。
そしてここに、一人の男性の姿がある。
髪は茶色でセミロング。整った顔立ちで身長は180cmくらい。黒のズボンに白のTシャツにファー付きの黒いジャケットを着て、背には竹刀袋を背負っている。
彼は今日本行きの便に乗るために出発を待っている。
龍一
「(…3年か。…あっという間だったな)」
彼は見聞を広めるための旅に出ていた。そしてあるプランが近じか実行されるため日本に帰国するのだ。彼は携帯を取り出し、一見のメールを見る。そこには…
『武士道プランを実行する。至急戻られよ』
とあった。
龍一
「(ついに始まるか…。俺は傍観していればいいとはいえ少し複雑だな)」
彼もその計画の全貌を知る一人だが、彼が受けた命は傍観しろというものだった。これからのことに考え耽っていると…
アナウンス
「まもなく日本行きの便が出発します。ご利用のお客様は搭乗ゲートまでお越しください。繰り返します、まもなく…」
という放送が流れてきた。彼は携帯をしまい、座っていた椅子から立ち上がり搭乗口に向かった。
龍一
「(考えていても仕方ない。俺はあいつらを手助けしてやればいい)」
そう考え、彼は日本行きの便に乗った。…向かうは日本。この一年は彼にとって忘れられない一年になる。
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Side 九鬼 揚羽
―――PM13:25 日本・成田国際空港
成田国際空港は千葉県成田市の南東部三里塚地区にあり、敷地面積940ha、利用者数年間役2500万人。飲食店やコンビニ、銀行窓口などがあり、日本で第二位の空港である。
揚羽
「クラウよ。龍一はまだか?」
クサウディオ
「飛行機は到着しておりますゆえ、もうまもなくかと」
揚羽
「であるか」
我は今一人の男を待っている。一度として『武』において勝利することができなかった男。
そして我の心を奪っていった男を…
ヒューム
「揚羽様、どうやら来たようです」
その声を聞き飛行機の出口を見ると、黒い服に身を包んだ男が大き目のバックをもって出てきた。
気づいたのか、こっちに歩いてくる。
まったく、我が目を放した隙に勝手に世界を回りおって…。
龍一
「ただいいま。揚羽様」
揚羽
「うむ。おかえりだ龍一。それと様付けはよせと言ったであろう」
龍一
「ま、一応最初だけ」
揚羽
「確信犯か」
龍一
「ハハ、元気そうでなによりだ揚羽。それにヒュームやクラウディオ、マープルも久しぶりだな」
ヒューム
「貴様も随分と腕を上げたな。帰ったら久々に相手をしてやろう」
龍一
「相変わらずだなヒューム。楽しみにしてるよ。マープル、義経たちの様子は?」
マープル
「みんな元気にやってるよ。あいつらを脅かすために、あんたが今日帰って来るのはあいつらには伏せてある」
龍一
「お前も人が悪いな」
マープル
「ありがとよ」
龍一
「ほめてないぞ」
揚羽
「立ち話もここまでにして移動するか。クラウよ案内せい」
クラウディオ
「畏まりました」
クラウを先頭にターミナルの方へ向かう。我は龍一に世界のことや武闘家たちのことを聞いたりした。龍一は楽しそうに話してくれた。世界で見たこと。武闘家たちのこと。この遺跡がすごかったとか、この技はこうだったとか。
我の気持ちに気づいていないのか本島に楽しそうに。
覚悟しておけよ龍一。必ず主を我に惚れさせてみせるぞ!
Side out
Side 黄眞 龍一
俺は今空港を出て九鬼家の保有するリムジンで極東本部に向かっている。
迎えが来るのは知っていたが揚羽までいるとは…まあ嬉しいが。
揚羽にいろいろと話していたが、本題に入るためマープルに切り出した。
龍一
「マープル、プランの実行はいつだ?」
マープル
「6月の中ごろ。あんたたちは川神学園に転入させるから、それでいうと一学期の中がろさね」
龍一
「川神学園か…。確か武神といわれた川神百代がいたな」
ヒューム
「そうだ。あの赤子との試合の舞台は用意してある。まだ先だが、もし申しこんできたらそういえ」
龍一
「了解した」
マープル
「ああそれと、あんたのことは義経達のお目付け役としての転入になるからね」
龍一
「俺もクローンだがそれを知るのは帝様と局様のみ。ならば普通の人間としてプランの要である義経達のそばに置いたほうがいい…ということか?」
マープル
「そういうことさね。理解が早くて助かるよ」
龍一
「仕方がないか。義経たちには俺から説明しよう」
マープル
「頼むよ。あんたのことは帝様たちしか知らない極秘プランだからね」
龍一
「そんなたいそうな話じゃないさ」
クラウディオ
「皆様、極東本部が見えてまいりました」
運転しているクラウディオの声を聞き、俺は外の方に顔を向けた。
揚羽
「少しは懐かしいのではないか?龍一よ」
龍一
「ああ、何回も来てたからな。帰ってきたんだなって実感する」
外に顔を向けながら揚羽に答えた。
義経達はどんな顔をするのか楽しみにしながら支部へと向かっていった。
Side out
Side 源 義経
――PM15:10 九鬼財閥極東本部
義経
「フッ!セイッ!ハァッ!」
弁慶
「主~、そのあたりにして今日はもう終わりにしよう」
そう言って弁慶はタオルとドリンクを見せてきたので義経は振るっていた刀を腰の鞘に納刀した。これで今日の鍛錬は終了だ。
弁慶からタオルを受け取り汗を拭いたあとドリンクを飲んだ。
義経
「ぷは~、ありがとう弁慶」
弁慶
「気にしない気にしない。これも部下の務めさ」
言いながら弁慶は川神水の入ったビンとお猪口を取り出し、川神水を飲みだした。
義経
「いい加減飲みすぎだぞ、弁慶」
弁慶
「少しくらいいいじゃないか。人生の楽しみはいい酒「ギロリッ」…もとい、いい川神水といいつまみと少しばかりの刺激だよ」
義経
「そう言っていつも途中で酔いつぶれるじゃないか。いつも部屋に運ぶ義経の身にもなってくれ」
弁慶
「あはは、だから感謝してるよあるじ~」
義経
「まったくしょうがないな」
少しあきれた顔で弁慶を見た。楽しそうに川神水を飲んでいる。
飲んでいる途中弁慶が
弁慶
「そういえば今日重要人物が来るとか言ってなかったっけ?」
義経
「え!?そうなのか!?義経達も挨拶するのか!?」
弁慶
「ん~、九鬼にとってだから大丈夫じゃない?すれ違ったりしたらしないといけないと思うけど」
義経
「そうなのか?でも挨拶するときを考えると緊張するな。弁慶、義経はちゃんとできるだろうか?」
弁慶
「大丈夫だよ主。主ならできるって」
義経
「そうか、ありがとう弁慶」
会話を交わした後二人は汗を流すため訓練室を出た。
部屋に向かう途中で清楚と合流し、一緒に義経の部屋に行くことになった。
そして部屋の方から一人の男性が歩いてきた。
3年前に旅立ち夢にまで見た、義経の好きな人…
義経・弁慶・清楚
「「「龍兄・龍・龍君!!」」」
龍一
「ただいま。みんな」
Side out
Side 黄眞 龍一
龍一
「ただいま。みんな」
いい終わった後三人がものすごい勢いで抱きついてきた。義経と清楚は少し涙ぐんで、弁慶は川神水を飲んでいたのか顔が赤い。
義経
「ウワァァン!!おかえり龍兄~!!」
龍一
「ああ、ただいま義経。元気にしてたか?」
義経
「ああ!義経も弁慶も与一も清楚先輩もみんな元気だ!」
龍一
「そうか。弁慶も今まで義経達の支えになってくれたんだな」
弁慶
「部下として当然さ。それより今日は付き合ってよ?」
そういって弁慶は川神水を取り出す。
龍一
「相変わらずだな。いいだろう今日はとことんまで付き合ってやる」
弁慶
「さっすがは龍。わかってる~」
龍一
「ま、今日くらいはな。清楚も久しぶり」
清楚
「うん、おかえり龍君。病気とかにはなったりしてない?」
龍一
「健康そのものだ。お土産があるから部屋にもっていこう。義経の部屋でいいか?」
義経
「わかった。与一も呼んでおく」
龍一
「助かる。じゃ、またあとでな」
踵を返し部屋に向かう途中、まだあいさつをしていない人物を思い出しその人物の部屋に向かう。
龍一
「(この時間なら大丈夫なはず)」
部屋の前に着き「コンコン」とドアをノックする。
???
「だれだ?」
龍一
「龍一です。紋様帰還のご挨拶に参りました」
紋白
「何!帰ったのか!」
ドアの向こうから「ダダダッ」と聞こえた後ドアが開き中に案内され紋白はベッドに、俺は椅子に腰掛けた。
『九鬼 紋白』
彼女は九鬼家の三人目の子で、長女の揚羽、長男の英雄、そして次女の紋白となる。
正妻の局様の子ではなく妾との子である。
九鬼家に引き取られるさいに、認められるため自分で額に傷を入れた。
局様との中はあまり良好とはいえないが、母に認められるため頑張っている。
揚羽や英雄にはとても可愛がられていて、「目に入れても痛くもなんともないわ!」とは英雄の言葉である。
俺にとっても可愛い妹分だ。
龍一
「黄眞龍一ただいま戻りました。紋様」
紋白
「おお、ようやく帰ってきたか龍。我はとても会いたかったぞ」
龍一
「私のわがままを聞いていただいてありがとうございました」
紋白
「そう畏まらずともよい。昔のように紋と呼んでかまわないぞ」
龍一
「わかりまし…いや、わかったよ紋」
紋白
「うむ、それでよい。義経達には会ったのか?」
龍一
「ああ、さっきな。与一はまだだが。これから義経の部屋に行ってお土産を渡すんだが紋も一緒にどうだ?もちろん紋のもあるぞ」
紋白
「それは真か!?なら我も参加させてもらおう。土産のほう期待しているぞ」
龍一
「そういわれると恐いな。まあ紋に納得してもらえるものだとは思う」
紋白
「フハハ!であるか。楽しみにさせてもらおう」
龍一
「じゃあそろそろ部屋に取りに行かないと。一緒に行くか?紋」
紋白
「うむ」
紋の部屋を出て俺の部屋にお土産を取りにいき義経の部屋に向かった。
義経の部屋にはさっきの三人に加え与一がいた。
龍一
「久しぶりだな、与一」
与一
「ああ、おかえり兄貴」
龍一
「何だ?妙にそっけないな。なんかあったのか?」
与一
「一つの心理に気づいただけさ」
龍一
「一つの心理?」
与一
「ああ、人生なんて死ぬまでの暇つぶしにしかならないってことさ」
俺は弁慶に目を向けた。
龍一
「(どうしてこうなった?)」
弁慶
「(ここで働いてる奴の心無い言葉でね)」
龍一
「(…後で詳しく話せ)」
弁慶
「(了解)」
弁慶との目での会話の後、両手に持っていた紙袋を広げた。
龍一
「食い物系のお土産はみんなと食べようと思ってな。今は食うなよ、夕食が食べれなくなるからな。それでこれが個人的な土産…というよりプレゼントだな」
紙袋からプレゼント用に包装された三つの正方形の箱を取り出す。
龍一
「これは清楚・義経・弁慶のだな」
清楚
「開けてもいい?」
龍一
「ああ」
三人が包装紙を外し青い箱を開けると…
弁慶
「これは…」
義経
「ブレスレット…」
清楚
「きれい…それに内側に字が彫られてる」
箱の中身は小さなダイヤがはめ込まれた銀色のブレスレットでそれぞれ
『S.hazakura&R.oma』・『Y.minamoto&R.oma』・『B.musashibo&R.oma』
と彫られている。
龍一
「気に入ってもらえたか?」
清楚
「ありがとう龍君!!大事にするね」
義経
「わあ~ホントにきれいだ!!ありがとう、義経は着けたらはずさないぞ」
弁慶
「字を彫るなんてにくい演出するじゃないか。…でも、ありがと」
龍一
「気に入ってもらえたようでなにより。与一はこれだ」
細長い箱を与一に渡す。
与一
「こいつは…」
龍一
「どうだ?」
与一
「ああ、気に入ったぜ!!」
与一に渡したのは髑髏と十字架をあつらえた銀色のネックレス。
厨二くさかった与一に対して選んだのだが、酷くなっているとは思わなかったので今ではいいチョイスだと思う。
龍一
「最後は紋だな」
小さめの正方形の箱を渡す。
紋白
「どれ…中身は時計か」
龍一
「ああ。紋も忙しいと思うし、ヒュームやクラウがいるとはいえこういうのも持っててもいいと思ってな」
紋白
「我のためを思ってくれているのだな。感謝するぞ龍」
龍一
「これでみんなに行き渡ったかな。夕食まで時間があるし久々にみんなでゲームでもするか」
弁慶
「んじゃあ龍の旅の話でも聞きながらしますか」
龍一
「ああいいぞ。最初に行ったのは……」
その後ゲームをしながら旅の話をして夕食の時間までひさびさに楽しく過ごしていた。
夕食の後弁慶が川神水を持って俺の部屋で一緒に飲んだ。
肴をいろいろ用意していたので弁慶は俺の膝の上ですぐに酔いつぶれそのまま眠ってしまっい、しばらく一人で飲んだ後、そっと弁慶の頭をどかし毛布を弁慶にかけ寝顔を見ながら眠った。
こうして帰ってきてからの一日は過ぎていった。
Side out
いろいろと試行錯誤して書いていますので統一性がないかもしれませんが
今後は上記で統一するつもりです。
次回『第二話 ―武士道プラン―』です。
お楽しみに~。