やっぱり戦闘描写はむずい
―――グラウンド
Side 黄眞 龍一
俺達はグラウンドに移動した。ここにいるメンバーは、俺・義経・弁慶・与一・清楚・英雄・あずみ・冬馬・準・小雪・百代・大和・翔一・一子・ガクト・モロ・京・クリス・由紀江・マルギッテ・鉄心・ルー先生・クラウディオに、どこから聞きつけたのかヒューム・紋そして見物人の外野達といった感じだ。
紋はヒュームを連れこちらに向かって来た。ヒュームはじっと俺を睨みつけている。
紋白
「フハハ!龍よ、編入初日に武神と手合わせとはなかなかやるではないか!」
龍一
「あのままだとしつこく言われそうだったからな。早々に手合わせという形に持っていけば……まあ、この後もしつこく誘われるだろうが『適度に手合わせする』という落としどころまで持っていけるからな」
紋白
「なるほどのう。龍もいろいろ大変だな」
龍一
「ありがとう紋。ほら、俺のことはいいから英雄のとこに行きな」
紋白
「うむ、ではそうさせてもらうとしよう」
紋白は足早に英雄のところに向かっていった。残ったのはヒューム・ヘルシング。
護衛はクラウに任せるようだ。
ヒューム
「……どういうつもりだ?」
龍一
「理由は二つある。――俺の役目は義経達のサポート。ここで百代と戦って義経達に集まっている注目を学園内だけでも俺に向けようと思ったまでだ。編入初日にもかかわらず、勝負を挑まれてるからな」
ヒューム
「二つ目だろう?お前の目的は」
龍一
「そう、これはただの情報収集だ」
ヒューム
「ならば俺は何も言わん。格の違いを見せてやれ」
龍一
「これはただの手合わせだヒューム」
ヒュームの発言にツッコミを入れながら、俺はグラウンドの中央へと進んだ。
Side out
Side 川神 百代
私は今最高に機嫌がいい。話題になっている武士道プランの義経達とは戦えなかったが、代わりにそのすぐ傍にいる人物と戦える。名前を黄眞 龍一。
朝礼で私の後ろを取ったヒュームさんのさらに後ろを取った男だ。
ヒュームさんの言葉が頭をよぎる――
ヒューム
「こいつは俺より強いぞ」
あのヒュームさんをして言わせる人物。体が早く早くと攻め立てる。
大和
「姉さん大丈夫?体が震えてるけど」
百代
「な~にただの武者奮いさ。気にするな」
大和
「それならいいけど」
一子
「大和、これは手合わせなんだからそんなに心配しなくても大丈夫よ。いざとなったらお爺ちゃんやルー師範代が止めてくれるし」
大和
「まあ、そうなんだけどね」
キャップ
「でもよ~どれぐらい強いんだろうな?龍先輩は」
京
「普通にモモ先輩とやりあえると思うよ」
クリス
「マルさんは何かしらないか?」
マルギッテ
「……龍一は一時期私の隊の狩猟部隊と共に行動していた時期があります」
クリス
「なっ!?初耳だぞそれは」
マルギッテ
「なにぶん民間人の協力者という形でしたから。もちろん中将には包み隠さず報告していますが」
百代
「それで?お前が認める奴なんだ。自分でも勝負してみたんだろ?」
マルギッテ
「確かに勝負はしましたが……」
クリス
「マルさん?」
マルギッテ
「いえ……なんでもありません。結果から言うと、私の負けでした」
クリス
「そうか。マルさんでもだめだったのか」
百代
「ふふふ…そうかそうか。俄然やる気が出てきた!」
モロ
「うわあ……もうこれ絶対途中で止まらないよね」
大和
「大丈夫だろう………………………たぶん」
モロ
「間が長いよ!全然安心できない!」
大和
「そういえば、まゆっちは前から知ってたんだよな?龍一先輩のこと」
由紀江
「は、はい。国内を回っている最中に北陸に足を運ばれてその時にお友達になりました」
松風
「まゆっちのファーストフレンドだぜ!」
キャップ
「くう~羨ましいぜ、俺も早く旅に出たいぜ!」
ガクト
「キャップは気づいたらいなくなってんだろうが」
由紀江
「そ、それでですね、龍一さんは自分の鍛錬が終わった後は街に出たり私の家にある書物を呼んでいたりしていました」
一子
「なんかホントに『これぞ旅!』って感じね」
由紀江
「私も一緒に街に遊びに行ったり、模擬戦したりといろいろお世話になりましたから」
百代
「まゆまゆ手合わせしたのか。その時はどうだったんだ?」
由紀江
「私も負けました。当時は今よりも弱かったとはいえ圧倒的でした。……それから二年、龍一さんがどれくらい強くなっているのか正直想像もつきません」
百代
「くくく……ああ、早く戦りたいな」
モロ
「ヤバイよ…なんか火に油どころかガソリンとニトロ放り込んだよ」
大和
「混ぜるな!危険!」
キャップ
「いや…もう手遅れだな」
ああ、早く早く。私の渇きを満たしてくれ!
黄眞 龍一!!
Side out
Side 葵 冬馬
私達は英雄とその妹である紋白さんといます。準はなにやら震えていますね。
それはそうと英雄に話を聞いてみますか。
冬馬
「英雄あなたはこの手合わせどう見ます?」
英雄
「ふむ、これは勝負ではない。手合わせだ。ゆえに龍一もそこそこのところでやめるであろうな」
冬馬
「では、仮に真剣勝負だった場合勝つのはどちらだと思いますか?」
英雄
「フハハ!それこそ愚問よ!勝つのは龍一だ!なにせあやつは姉上が現役を引退するまで一度も勝てなかった相手だからな!」
紋白
「うむ。我も龍が負けるとこなど想像できん」
井上
「紋様の意見に同意!!」
小雪
「龍兄が負けるわけないよ~☆だって僕のヒーローだもん!」
冬馬
「ふふ、そうですね。私達のヒーローですからね」
グラウンドには龍一さんとモモ先輩の二人が立っていた。
Side out
Side 葉桜 清楚
龍君も大変だよね。私達のサポートに百代ちゃんの相手までしないといけないんだし。
百代ちゃんのことは聞いていた。私達が学園に行けば、十中八九勝負を吹っかけてくることは用意に想像できた。
義経
「なあ弁慶、龍兄は大丈夫だろうか?」
弁慶
「ん~大丈夫だと思うよ。手合わせなんだし、ほどほどのところでやめると思う」
与一
「兄貴もたいへんだよなあ、初日にこんなことになるなんて」
清楚
「仕方ないよ。私達はいやでも注目されるし」
弁慶
「けど主はよく見ていた方がいいと思うよ?いずれモモ先輩と戦うことになるんだし」
義経
「そうだな、龍兄なら大丈夫だよな。そうと決まれば百代先輩の動きをよく見ておかないとな」
そう言うと義経ちゃんは集中し、これから始まる戦いを見逃さないようにしている。弁慶ちゃんは変わらずに川神水を飲んでるし、与一君は適当な感じでグラウンドを見ている。
一人を除き、緊張感のなさに思わず苦笑した。
Side out
Side 川神 鉄心
モモの奴めさっそくこれかい。ただでさえ義経ちゃん達のことでピリピリしとるというのに…
しかしまあ今回は多めにみてやるかのう。
黄眞 龍一
こやつは得たいが知れんからのう。全校集会の龍といい、ちょうどいい機会じゃわい。
鉄心
「ルーよ、どう見る?」
ルー
「今は氣を抑えているので一般人程度ですガ、恐らく百代と同等ぐらいしカ…」
鉄心
「ふむ、ルーよわしの意見はちと違う」
ルー
「では?」
鉄心
「恐らくわしと同等か…それ以上じゃ」
ルー
「まさカ!?」
鉄心
「わしでもあやつの底は把握しきれとらん。何しろ氣の遮断が絶妙すぎるからのう」
ルー
「では、彼は何のためニ?」
鉄心
「ただの情報収集じゃろう。聞くと見るとでは全然違うからのう」
グラウンドを見ればモモと龍一が立っていた。
では始めるとするか。
鉄心
「両者ともに準備はよいか?」
百代
「ああ!」
龍一
「こちらも構わない」
鉄心
「うむ、では時間は15分。それでは…はじめい!」
Side out
Side 黄眞 龍一
鉄心
「はじめい!」
学園長の声に反応し、百代は【縮地】でこちらに突っ込んでくる。
【縮地】
故事や伝記で、仙人や道士が使用したとされる特殊能力の一つで、短時間で長い距離を移動する術である。現在における縮地とは、瞬時に相手との間合いを詰めたり、相手の死角にに入り込む、武術における移動技術の一つである。名前は故事に由来する。
百代がこちらに向かって来るなか俺は棒立ちのままだった。
龍一
「(まずは一撃もらって威力の確認だな……しかし遅いな)」
百代は【縮地】でこちらに向かっているのだが、いかんせん遅く感じる。
周りからすればものすごい速さで、消えたように見えるだろうが……
そんなことを考えていると、百代が腕を振りかぶっていた。
龍一
「(ようやくか…やはり拳の速さも力も思っていた程ではないな)」
実際はコンクリートが砕けるほどの速さと力なわけだが、彼が最後に全力を出した――と言っても5割ほどだが――のは旅に出る前のヒュームとの一戦であり、それからの三年で自分がどれだけ強くなったのかは比べる対象がいないので本人は分かっておらず「前よりは多少強くなっただろう」程度の感覚しかない。
閑話休題。
俺は百代の拳を顔面に受け勢いよく吹っ飛んだ。
龍一
「(やはりこの程度の威力……正直期待はずれだ。これなら上海で出会った『霞 拳一郎』の方が強い)」
そのまま校舎の壁に激突した。
Side out
Side 川神 百代
私は正直がっかりした。回避どころか防御もせず……と言うか反応すらできずに私の拳をくらい校舎に激突した。
あれをくらってはもう立つこともできないだろう。吹っ飛んだとき地面で何回かバウンドしたため土煙が舞い、本人の確認はできないがその必要もないだろう。
百代
「(ああ……またダメだったか)」
そう内心呟いて、みんなのところに行こうと背を向け、歩き出したところに後ろから声が届いた。
龍一
「どこへ行く?まだ始まったばかりだぞ?」
振り向けばそこにはさっきと同じ場所に傷一つ、服の汚れすらなく立っている龍一の姿があった。
百代
「ははは!なんだ随分と期待を持たせてくれるじゃないか!」
龍一
「そうか……では期待に応えるとしよう」
そういって奴は人差し指をクイックイッと手招きのように折り曲げた。
その行動にカチンときた。なめられている。それを直感で感じた。
瞬間、私の体からは氣があふれ出る。それでも奴は表情を変えない。
百代
「上等だ!!」
私は全力の【縮地】で駆け寄り、拳を突き出した。さっきまでの速さについて来れなかった龍一だ。今回も決まると思った。
しかし…………
百代
「なん…だと?」
私の拳は止められていた。
たった一本の左手の人差し指で―――
Side out
Side 黄眞 龍一
驚く暇があったらすぐに連続で攻撃するなり、距離をとるなりすることがあるだろう。なぜいつまでもぼけっとしている?一瞬の判断の遅れが自分の身に降りかかるというのに………待て?もしや………
龍一
「百代、回復系の氣功――そうだな、例えば内養功や瞬間回復といったものは習得しているか?」
百代
「……答えると思うか?」
龍一
「いや、今ので確認は取れた。答えてもらわなくて結構だ」
百代
「その余裕の表情を崩してやる!!」
言うやいなや百代は拳を突き出した。
しかしそれはまたも指一本で止められた。
百代
「チッ!!」
龍一
「これではさっきのリプレイだ」
百代
「ならば重い一撃を与えるまでだ!!その指へし折ってやる川神流【無双正拳突き】!!」
俺はまたしても指一本で止めた。
龍一
「どうした?俺の指をへし折るんじゃなかったのか?」
百代
「まさか【無双正拳突き】まで止められるとは……」
龍一
「………来ないのならばこちらから行くぞ」
瞬間、百代が後方に跳ぶ……しかしあまいな百代。そんな距離のとり方じゃ中途半端すぎる。もっと距離をとるべきだったな。
龍一
「行くぞ」
百代
「くっ!!」
【縮地】で駆け寄り、百代の腹を左手で打ち抜き、後方に飛ばす。
百代
「がはっ!!(なんて重たい攻撃だ!!)」
龍一
「考え事をしている余裕があるのか?」
百代
「っ!!」
すぐさま百代の着地点に先回りし、後ろから殴りかかる。
今度は反応できたのか、それとも戦闘の勘かとっさに左腕を上げる。
だがな百代………
龍一
「防御の上からダメージを与えることもできるんだぞ?」
拳の形を、左手の人差し指だけ出す形にする。
そのまま百代の左手首に狙いを定める。
百代
「ぐううう!!(なんだ今のは!?指で突かれただけで手首の間接が外れた!!いや、狙ったのか!!)」
龍一
「拳の形にもいろいろある。常識に囚われないことだな」
話しながらも攻撃の手は緩めない。
龍一
「脇があまい」
百代の右のわき腹を左手で突く。
百代
「がっ!!」
龍一
「視野が狭い」
百代の後頭部を右足で蹴り抜く。
百代
「ぐあっ!!」
龍一
「注意力が散漫。氣のコントロールが悪い」
吹き飛んだ百代の前に先回りし、かかと落としで叩き落す。
………俺は少し離れて様子をみる。
龍一
「(さて……瞬間回復がある以上この攻防はあまり意味がない。まあ、今回は百代に満足してもらうことが目的である以上15分相手をすれば、後は周りが止めるだろう)」
百代に目をやると、ゆっくりと立ち上がってきた。回復したのだろう、痣どころか傷一つなかった。
龍一
「期待に応えたが満足できそうか?」
百代
「……ああ!最高だ!お前は最高だよ!龍一!」
龍一
「……忘れていないとは思うがこれは手合わせだからな?」
百代
「ああ、分かってるって」
俺達は再び激突し、二戦目の幕が上がった。
Side out
Side 直江 大和
大和
「姉さんが押されてる?」
自分で言ってて信じられないくらいだ。姉さんは圧倒的な武を持ち、今までその力に助けられたことは両手の指じゃ足りないくらいだ。
その姉さんが押されている。その光景は少なからず動揺を与えた。
京
「うん。私も全部見えるわけじゃないけど、押されてるのは間違いない」
キャップ
「モモ先輩の拳を指一本で止めたとこまでは分かったけど、その後はどうなったんだ?」
モロ
「そうだね、気がついたらモモ先輩が倒れてたんだぐらいの感覚だよね」
京
「モモ先輩が防御に精一杯だって事くらいしか見えなかった。クリスとワン子はどう?」
ワン子
「ごめん、何にもわからなかったわ」
クリス
「自分もだ…マルさんは?」
マルギッテ
「全部ではありませんが大体は」
クリス
「さすがマルさん!」
大和
「それで?大まかでいいから説明してくれないか?」
マルギッテ
「(―説明中―)――と言う訳です」
ガクト
「マジかよ……」
俺達はその内容に驚愕した。それって……
大和
「話を聞く限りじゃ防御もさせてもらってないじゃないか……」
マルギッテ
「それに龍一は右手と左足を攻撃の際使用していません」
京
「なんていうか、あきらかに手加減してるよね」
一子
「お姉様に手加減だなんて……」
マルギッテ
「私の時も指一本しか使わなかったな」
由紀江
「私の時もです」
キャップ
「ひゃ~、どんだけだよ龍先輩」
グラウンドを見れば二人は距離を離して対峙していた。
そろそろ15分。次が最後の攻撃だろう。
俺達は固唾を飲んで見ていた。
Side out
Side 川神 鉄心
鉄心
「まさかこれほどとはのう」
わしは驚愕を隠しきれんかった。
最初に一撃もらったのにも驚いたが、その後の方がより驚愕した。
なにせ百代が何もさせてもらえんのじゃからのう。
鉄心
「ヒュームの奴め、どこで見つけてきたんじゃい」
ルー
「パワー、スピード、そのどちらもガ、百代を超えていル」
鉄心
「それだけではないぞ。あやつは攻撃の際、左手と右足しか使っておらんからのう」
ルー
「では手加減しているト?」
鉄心
「今回は手合わせじゃ。あやつも情報収集が目的な以上、それで十分と判断したんじゃろう」
ルー
「あの年でこれほどまでの実力……百代にも驚きましたガ、今回はそれ以上デス」
鉄心
「わしもじゃよ。ホントに世界は広いのう」
そこに一人の来訪者がいた。
ヒューム
「どうだ?奴の実力は?」
鉄心
「ヒュームか……おぬし、あやつをどこで見つけてきたんじゃ?」
ヒューム
「その様子を見るに驚いているようだな。まあ無理もあるまい、なにせあいつはこの俺に15で勝った男だからな」
鉄心
「なんじゃと!!」
それが本当なら今の百代では勝てん……
技術的なことに加え、精神・氣の操作で劣っているし、特に精神面では致命的じゃ。自他共に認める戦闘狂じゃしのう。
それゆえ熱くなりやすい。
鉄心
「む?そろそろ15分じゃな」
ヒューム
「次の一撃で最後だろう」
二人は距離を離して対峙していた。
わしは、恐らく駄々をこねるモモを止める準備をするのだった。
Side out
Side 黄眞 龍一
龍一
「破ッ!!」
百代
「ぐうっ!!」
百代の防御の上から致命傷の一撃を与える。本来なら腕の骨は粉々になっているだろう。すぐに回復するが百代は衝撃で飛ばされ、地面には百代が足で耐えたであろう二本の線が残っていた。
龍一
「さて百代、そろそろ15分だ。次で終わりにしよう」
百代
「なんだ~もう終わりか~」
龍一
「楽しい時間とはすぐに過ぎるものだ」
百代
「違いない。ところで一ついいか?」
龍一
「なんだ?」
百代
「なんで呼び捨て?」
龍一
「ああ、そういえば。なに、同じ年だしお前の名前を聞いてからずっとそう呼んできたからな。しかし失礼だったな……すまなかった」
百代
「まあ気に入らん奴だったら問答無用で殴っていたがお前ならいいだろう。これからいろいろ楽しめそうだしな♪」
龍一
「……お手柔らかに頼む。では!!」
掛け声と同時に氣を高める。今から出す技はコントロールがシビアだからな。
百代
「はは!!ホントに最後まで楽しませてくれる!!」
百代も氣を高め、お互いに構える。
互いに腰を落とし
百代は両手を右の腰あたりに
俺は右手を引き、左手を前に
百代
「川神流奥義!!」
龍一
「黒龍氣功奥義!!」
百代の氣が手の平に
龍一の氣が右手に集まる
百代
「【かわかみ波】!!!!」
龍一
「【炎獄黒龍波】!!!!」
百代の両手からは、さしずめ極太のレーザーが
俺の右手からは黒い龍が相手に向かっていく
そしてお互いの技が衝突した
百代
「ははははは!!なんだその技は!!」
龍一
「知りたければ真剣勝負で勝つことだ」
会話をしながら頭では別のことを考える。
龍一
「(肉弾戦は力に頼る傾向があるが氣功系の技は基本に忠実だ。これからの鍛錬しだいでは良くも悪くもなる。肉弾戦は基礎からやり直しだな)」
俺は思考をまとめて結論付け、攻撃に集中する。
百代
「ぐううっ!!」
百代も押されているのが分かるのだろう。俺はさらに力を込め黒龍が、かわかみ波を飲み込んでいく。
龍一
「破ッ!!」
百代
「うわっ!!」
黒龍が、完全にかわかみ波を飲み込み百代に当たる寸前に軌道を変更。
空中に向かい、四散した。
鉄心
「そこまで!!」
学園長の声に戦闘態勢を解いた。
龍一
「ふう……これで今回は手打ちにしといてくれ」
百代
「いや~やっぱり強かったな!なあ、これから川神院で試合しよう!!うん、そうしよう!!」
龍一
「人の話を聞け!!」
内心ため息をこぼしながらみんなの下に戻る。
英雄
「うむ、ご苦労であった」
紋白
「さすがは龍!!あの武神と互角とはな!!我も鼻が高いぞ!!」
龍一
「ありがとう、紋」
義経
「ホントにすごかった。やっぱり龍兄はすごいなあ~」
龍一
「義経には俺の動きが見えていたんだろ?」
義経
「うん。モモ先輩も凄かったけど龍兄よりも遅く感じたな」
龍一
「それだけ義経も強くなっている証拠だ」
義経
「そうか。うん!義経はまだまだ頑張るぞ!!龍兄の隣で一緒に歩くんだ!!」
義経の決意に嬉しくなり頭を撫でた。
龍一
「頑張れよ、義経」
義経
「うう///」
弁慶
「あ~あ、主ってば赤くなっちゃって」
義経
「うう、弁慶!!」
弁慶がちゃちゃを入れ和やかな雰囲気になる。
龍一
「なんだ?弁慶も撫でてほしいのか?」
有無を言わさず弁慶の頭を撫でる。
弁慶
「ん~、気持ちいい///」
少し赤くなりながらも気持ちよさそうに目を細める。
それを羨ましそうに見つめる清楚がいた。
俺は清楚に近づき頭を撫でた。
清楚
「あう///」
龍一
「捨てられた子犬みたいな目だったぞ」
清楚
「そんなんじゃないもん」
龍一
「そうか」
撫でていた手を頭から離す。
清楚
「あっ」
少し寂しそうだったがこれ以上はまずいので自制した。
冬馬
「お疲れ様です」
龍一
「まったくだ」
井上
「しっかしすっげー強ええな」
小雪
「当然だよ~☆なんたって僕のヒーローだもん」
龍一
「まあ無事に終わってなにより、だな」
小雪に抱きつかれながら冬馬達と話していると学園長とルー先生が歩いてきた。
鉄心
「ほっほ、お疲れ様じゃ」
龍一
「いえ、なかなかどうして楽しめましたよ」
鉄心
「どうじゃおぬしの目から見てモモは」
スウッと学園長の目が細くなり、鋭く光る。
それを感じながら、臆することなく言った。
龍一
「武神を名乗っている以上実力は申し分ありません。しかしこれより、上を目指すのであれば足りないものが多すぎます」
鉄心
「ふむ。してそれは?」
龍一
「まずは肉体面。接近戦で力に重きを置いているのに体ができていない……これはヒュームも同意見だろう?」
ヒューム
「ふん、朝本人に言ったのを聞いていただろう」
龍一
「だそうです」
鉄心
「ふむ、他には?」
龍一
「技術面では問題ないでしょう。ただ、やはり力に頼っている分大振りになりがちです。基礎をおろそかにしているわけではないでしょうが大技に頼る傾向が見えます」
鉄心
「耳が痛いのう。それでいてよく見ておる」
龍一
「ありがとうございます。そして氣のコントロールですが、こちらも問題はありません。瞬間回復を身に着けているので氣の量も多いと思います。これから効率のいいやり方を身に着ければさらに武術家として大成するでしょう。しかし問題は………」
鉄心
「やはり精神面かのう?」
龍一
「学園長も気づいていましたか……そう、問題はそれらを行う本人です。今はまだ仲間や友人といることでその精神はなんとか安定されていますが、今まで自分と対等な人物がいなかったせいか、常に強者の孤独に苛まれてきたんでしょう。それが現在の戦闘狂の要因の一つです」
鉄心
「もう一つとは?」
龍一
「これは恐らくですが……本人の性格です。この問題は学園長の方が正確に理解していると思いますが?」
鉄心
「確かにのう。しかしおぬし、たった15分でよくそこまでわかるのう」
龍一
「武術に関しては手合わせすれば大体は。内面に関しては聞いていた情報と実際に会って話し、見聞きしたものを統合し判断しただけですよ」
そういって苦笑してみせる。学園長は鋭い眼光を抑え、普段の飄々とした雰囲気に戻った。そこに百代達がやってきた。
百代
「さあ龍一!!川神院に行って勝負するぞ!!」
龍一
「は?」
まさか本気か?………いや本気なんだろう。呆然とした俺は悪くない。
龍一
「はあ、今日はここまでだとさっきも言っただろう」
百代
「いいじゃないか、勝負しよう勝負!!」
鉄心
「こらモモ!!まったくお前という奴は……すまんのう」
龍一
「いえ、ようやく自分と戦える者がいるんです。無理もないでしょう」
鉄心
「そういってもらえると助かるわい」
しかしこのままでは埒がいかんな。予定の落としどころで我慢してもらおう。
龍一
「百代、さっきも言ったが俺の役割は義経達のサポートだ。そこは理解しているな?」
百代
「ああ」
龍一
「そこで、だ。休日は手合わせという形で川神院で模擬戦を行うというのはどうだ?毎週時間が取れるわけではないがな。これなら適度にガス抜きもできるだろう」
百代
「ん~まあ仕方ないか。いいぞそれで。あ~早く週末にならないかな~♪」
鉄心
「………ホントにすまんのう」
龍一
「いえ、こうでもしないと収まりませんから。正式な試合は九鬼が用意するとのことですので、その時はご連絡します。それではまた明日」
そう挨拶をして俺達は下校した。いつの間にかクラウが呼んだリムジンが校門にいたのには驚いたが、なんとか編入初日を終えることができた。
百代との手合わせは予想内ではあったが、正直めんどくさいことになったと内心呟く。
そういえば燕がサプライズがどうこうと言っていた時期だな。
まさかとは思うが………
思考を中断し窓の外を見れば極東本部が見えてきた。
本人の予想が的中することになるとは、この時は知るよしもなかった。
Side out
to be continued
次回 「―納豆小町再び―」
上海の霞 拳一郎のモデルは「蒼天の拳」の霞 拳志郎です。
炎獄黒龍波は幽々白書の炎殺黒龍波がモデルです。
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