アイドル、ポケモン世界を歌う! 〜ポケットモンスターTen Colors〜 作:十二の子
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シンシュー=コーシュー地方、エクリプスタウン、
大樹のような樹形図のようなアンバランスなタワーの根元で、この街の科学を率いるマッドサイエンティスト、バックレアは、2階展望席から全面ガラス張り実験室を見下ろしていた。
「EXエディッションプレート1024枚、配置完了しました。」
「よし!
回路の接続は?」
白衣の研究員たちがインカムへ声を吹き込み、展望席のスピーカーからその声が流れてくる。
「可能性拡張系、可能性観測系ともにドライブ状態に移行しています。」
「よしよし!
ターゲットの捕捉は?」
「現地諜報員がマーカーを設置済み、リアルタイムで追跡中です。」
「よしよしよし!
地脈の様子は?」
これに答えたのは、白衣の研究員ではなく…このマッドサイエンスの拠点に似つかわしくない、覆面の巫女だった。
「カナサシ湖湖底から本実験室まで、超高効率レイラインを通じ、安定的な御神力の汲み上げを継続させていますわ。」
「よしよしよしよし!
それでは実験を開始しましょう!
タイトルは、可能性拡張・併存・収束理論に基づく擬似GXワザを用いてのマクロ併存パラレルワールド実証。
メソッドは、カナサシ湖底に鎮められた伝説ポケモン通称『おひだりさま』の権能を用いてのEXエディッションプレート機能拡張による、非収束状態の実現。
マテリアルは、ユキコシ地方フロックス家家長、アオバ・フロックス。
さあ!実験の!時です!」
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「…なんでアオバ・フロックスが2人に増えているんですか?」
「げ、原理を考えれば、アオバ・フロックスのもう一つの可能性としか...」
「性別も年齢も違う、姿にしても冴えなさすぎる、あんな男が?」
バックレアは、無数のPDFをオートスクロールで流し見しながら、何度も何度も首をひねった。
「フロックス家の当主がもし男だったら…そんな可能性を引き寄せたのではないでしょうか?」
「それが、この現実に対して相補的だ、と...?
それで、現在の2人...2人?は、何をしているのです?」
「…結婚式、ですね…」
「一目ぼれとでも?」
バックレアはいい加減にしろと怒りかねない様子である。
「いえ、この様子だと男のほう…『アオバ・フロックスβ』、アオバ・フロックスと元から知り合いだったみたいですね。」
「二重人格...いえ、説明としては不充分、理論としては非合理的でしょう。もちろん虚龍事変の後遺症というケースも考えられます…未だにアレがなんだったのかまったく不明ですからね。
とにかく、矛盾現象が発生することは実証出来ました。
それでは、併存可能性の収束を。」
きわめてはた迷惑な人体実験をしたことへの呵責などみじんも見せることなく、ウルトラマッドサイエンティストは実験の終了を宣言したのだった。
「さて、これでユキコシを敵に回してしまったら…」
「…ま、その時は歌姫様にどうにかさせるということになろうかえ。」