アイドル、ポケモン世界を歌う! 〜ポケットモンスターTen Colors〜   作:十二の子

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 次話投稿とは遅延を繰り返すもの、とはいえここまでおくれるとは正直思っていなかった...

〜前回までの転生ポケモンアイドルは〜

 ポケモン世界に転生せし、絶世のアイドル、言祝アリア。「シンシュー地方」に転生した彼女は、シンシュー戦乱の英雄たる”現人神”歌姫アリア・カナサシとともに、シンシュー10のジムを巡る旅に出ていた。

 2人のアリアがたどり着いた街、ワスレナタウンでは、市民たちがシンシュー地方からジョウト地方への鞍替えを図るムラサキ村に怒り、挙兵しようとしている。ワスレナジムのジムリーダーであるリンダウ女史は、「叶えたい正義やねじ伏せたい理不尽があるのなら、強くなって力で押し通せ」という類の力の信奉者で、進んで紛争を止めようとはせず、ワスレナタウン市民とムラサキ村のどちらが勝つか静観しようとしていた。

 争いを止めるため、2人のアリアはムラサキ村へ向かう。


♪24 隣の芝生は青い(そしてシンシューの花は血で真っ赤)

ー*ー

 

 細い峠道の両側に黒壁の古い家々が立ち並ぶ、昔ながらの宿場町。

 

 「村長、アリア・カナサシよ。

 

 こちらは旅の道連れのコトホギさん。

 

 急報のために、ワスレナタウンから来たわ。」

 

 さっきまでのほほんと、軒下のスバメの巣へと餌を投げていた村長は、2人のアリアに急須から茶を注ぎながら頭を下げた。

 

 「これはこれはどうも丁寧に…」

 

 村長の妻が、2人のアリアのポケモンたちへポケモンフーズを配っている。それを横目に、アリア・カナサシは切り出した。

 

 「単刀直入に言うわ。

 

 貴方達がワスレナタウンから、シンシュー地方から抜けようとしているのが露見して、ワスレナ市街がカンカンになって攻め寄せようとしているわ。」

 

 村長は村の長老らしく口ひげをさすり、急須をコトリと静かに置いた。

 

 「…歌姫様は、私共に、余計な血を流す分離独立をやめろと、そう諭されるわけですな。

 

 それは無理でございます。」

 

 なんで…もし言祝アリアに声が出せたら、そう叫んでいただろう。

 

 「私共ムラサキ村にとって、ジョウト地方はすぐ隣の地方でございます。

 

 ポケモン博士もいないシンシューではなく、子どもたちははるばるジョウト地方のウツギ博士からポケモンをもらい旅立ちます。

 

 出かけ、あるいは働きに出るとしても、ポケモンセンターもないワスレナタウンや、遥か北のフジナドシティではなく、ビル立ち並ぶフスベシティやヨシノシティに行きます。

 

 ましてシンシューは混沌のるつぼ。一つの地方としてまとまる気もなく、しまいには3年も戦乱して揺らぐ始末。

 

 ジョウト地方入りは見果てぬ夢なのでございます。歌姫様には申し上げにくいことですが…」

 

ー*ー

 

 「/Output村長さん、真剣でしたね…End」

 

 「ええ…

 

 シンシューはしょせん、田舎のくせにまとまることもできないで停滞し続けている…そしてその上に、争いまである。

 

 ムラサキ村にとって、ジョウトという隣の芝生は青すぎるし、シンシュー地方という花は血に塗れて真っ赤すぎるのよ。」

 

 10のシティ・タウンの豪族がそれぞれ好き勝手をする時代は、戦乱で終わった。けれど、ポケモンジム、シンシューリーグという新たな旗印の下で、依然としてシンシュー地方は前に進めないでいる…

 

 「/Output歌姫さん、あなたにとってそれは…End」

 

 「…統合の失敗なら言われなくても認めてるわ。それに、私の現人神としての力は時に争いを招くということもね。7年前に英雄歌姫アリア・カナサシなくば、懲罰挙兵なんて試みるほど今ワスレナタウンはまとまらなかった。」

 

 もっともアリア・カナサシがいなければ今頃ワスレナタウンはコーシュー地方の植民地だったわけだが。

 

 「私の歌に込められる力は、シンシューに眠る伝説ポケモンの力。…計り知れないほどの強さの可能性を与えてくれるけど、争いの可能性も同時に呼び込む。

 

 やはり使わないでおいて正解ね。」

 

 ここで、アリア・カナサシは英雄として動けない…かつての歌姫はそう告げる。

 

 「ただ、リンダウは力しか信じないし、ワスレナ市街もムラサキ村ももう止まらない。打てる手はそんなにないわ。」

 

 「/Outputそれでも、止めなきゃダメでしょう?争いはEnd」

 

 その時。

 

 ガヤガヤドタドタと、村を横断する街道のほうから騒ぎが聞こえてきた。

 

 ー「ついに来やがったぞ!」「迎えうつぞ!」「とりポケモンを飛ばせ!」「ジョウトに救援要請だ!」

 

 「…来たようね、ワスレナ市民。

 

 見に行くわよコトホギさん。」

 

 覚悟は、それからでも遅くない。

 

ー*ー

 

 カントーからジョウトへ、山を横切る街道。古来から多くの旅人がこの道を通過してきた。もちろん、少なからぬ軍勢もだ。

 

 そんな街道の歴史に、また1ページ…明るい山の中、野生ポケモンにこわごわ遠巻きに眺められつつ、ワスレナ市民数十人からなる先遣隊が街道を占拠している。

 

 そこへ、ココドラやサイホーンにポケモンライドした人々が、西からやってきた。

 

 「ムラサキ村村長のヤブですな。貴殿らは不法に街道を塞いでおる。ただちに退去するのですな!」

 

 負けじと、市民らは声を張り上げる。

 

 「あなたがたがワスレナタウンを裏切ろうとしている限り、退けんな。」

 

 「それほどまでに、ワスレナが、シンシューが私共ムラサキ村を引き留める義と利が、どこにあるのですな!?」

 

 「あっちが近いこっちが儲かると村々が勝手をすることを許していては、街も地方も空中分裂してしまうではないか!」

 

 「空中分裂大いに結構ですな!もともとシンシューは10に分裂しておったのですからな!

 

 私共の、足を引っ張らないで頂きたいですな!」

 

 「シンシューの足を引っ張っているんは、あなたがたのような分裂主義者ではないか!シンシューは一つにまとまり前進せねばならないというんに!」

 

 市民らが、ポケットからモンスターボールを取り出す。

 

 村人たちが、ライドポケモンから飛び降りる。

 

 「ええいごちゃごちゃと!

 

 かかれ、メガニウム!」「キマワリ、やっちまえ!」「吹っ飛ばせ、ダーテング!」

 

 「村を守るんですな!ボスゴドラ!」「ココドラ隊、サイホーン隊、突撃ィ!」

 

ー*ー

 

 「…見た?」

 

 眼下、ポケモンも人も、あっという間に傷ついていく。血が地面に染み込み、爆風の匂いがこびりつく。

 

 激闘の様子を見ながら、自嘲と諦観混じりにアリア・カナサシは言った。

 

 「みな、これが故郷のためだと思っている。幸せに続く唯一の手段と信じている。そうして、過ぎたる力で傷つけ合う。戦いが終わった後にはさらに深い遺恨が残る。

 

 これは、シンシュー地方の縮図よ。」

 

 それでも…言祝アリアは首を横に振る。

 

 「/Outputきっと路はあると思うのです。でなければ、夢がないから。

 

 夢を見せるのが、夢で魅せるのが、偶像(アイドル)ってものじゃないですか?

 

 チルタリス、メガシンカ&オーバーラップ!End」

 

 【チルタリスは М(メガ)チルタリスEXに М(メガ)シンカ&オーバーラップした!】

 

 「そう、貴女はそうするのね。

 

 なら、私も、ただの歴戦のトレーナーとして力を貸すわ。

 

 サーナイト!」

 

 【サーナイトは М(メガ)サーナイトEXへ М(メガ)シンカ&オーバーラップした!】

 

 【М(メガ)チルタリスEXの りゅうせいぐん!】

 

 【М(メガ)サーナイトEXの ようせいのかぜ!】

 

 木々を吹き倒し、容赦のない初撃が街道へと降り注いだ。 

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