アイドル、ポケモン世界を歌う! 〜ポケットモンスターTen Colors〜   作:十二の子

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♪52 悪党とアイドルの宴Ⅰ

ー*ー

 

 「殿!かくなる上はお逃げください!」

 

 ロクロウは、言祝アリアの指示には逆らえないながらも、言祝アリアを案内してきたその場所、コウジジム最奥の広い本丸中庭、バトルコートに着くなり叫んだ。

 

 「私の声の危険性、ただ見境なくファンにするってだけじゃないんですよね…」

 

 自分の意志に反していても、アイドルには逆らえない…言祝アリアという存在の魅了力を、自分のことながらドン引きしつつ…ロクロウの後ろから言祝アリアが姿を現す。…と、バトルコートの向かい、目があった。

 

 「よくここまで来れたわね。まあ来れると思ってもいたけれど。」

 

 「/Output歌姫さん大丈夫ですか!?End」

 

 敵だし耳栓をしているから魅了を振りまいてきたが、アリア・カナサシがいるとなれば話は別だ。あわてて言祝アリアはタブレット端末を取り出す。

 

 「貴女こそ大丈夫?中継を見せられていたけど、何度、龍神様を呼ぼうかと思ったか…」

 

 縛られたままながらも余裕そうなアリア・カナサシを見て、言祝アリアはやっと肩の力を抜いた。

 

 と、縛られた歌姫のその隣、くいっと杯を飲み干し、男が立ち上がる。

 

 「…ポケモン毒を以てして、龍神は抑えきれんのか?くっく、掌で転がしとるのか転がされとるのかわからんわい、愉快愉快。

 

 ロクロウ下がれ。」

 

 「ですが殿!」

 

 「小娘一人に負けたとあっては武門の恥じゃよ。

 

 このオシロイ、尋常にバトルじゃ!サメハダーよ!」

 

 「/Output…人を誘拐するのは恥じゃないんですか?

 

 チルタリス、わずかな休息ですみませんが、ここからが本舞台ですよ!

 

 メガシンカ&オーバーラップ!End」

 

 「こちらもメガシンカ、そしてオーバーラップじゃ!」

 

ー*ー

 

 「アクアジェットじゃっ!」

 

 いきなりのМ(メガ)サメハダーGXの先制で、バトルは始まった。水をまといМ(メガ)チルタリスGXに突撃し、そのまま大きな口を開く。

 

 「/Outputコットンガード!End」

 

 「どくどくのキバ!」

 

 М(メガ)チルタリスGXの深い羽毛に、鋭い毒牙が突き刺さる。

 

 そりゃフェアリー対策に毒ワザくらい持っているか…言祝アリアは毒牙を振り払わせるために反撃の指示を出した。

 

 「/Outputミストパージ!End」

 

 М(メガ)チルタリスGXの羽毛が、妖精の霧となって吹き散る。あくタイプが苦手なフェアリー攻撃に、М(メガ)サメハダーGXはたまらず牙を離した。

 

 霧はそのまま拡散し、М(メガ)サメハダーGXにダメージを与えつつМ(メガ)チルタリスGXを回復させる。

 

 「ヒットアンドアウェイじゃ!もう一度アクアジェット!」

 

 「/Outputミストパージ!回復を織り交ぜれば競り勝てます!End」

 

 М(メガ)サメハダーGXが、フェアリー属性の霧の中へ突っ込み、再び毒牙で喰らいつく。М(メガ)チルタリスGXは再び羽毛を霧に変えて吹き散らしМ(メガ)サメハダーGXを追い払う。

 

 М(メガ)サメハダーGXは、もう一度身体をくねらせ、再突撃の姿勢を見せていた。

 

 (ダメージレースで不利なのはオシロイは感じているはず、仕掛けてくる前に…)「/Outputチルタリス、ハイパーボイス!End」

 

 アクアジェットで突っ込むМ(メガ)サメハダーGXは、結果的に、正面からハイパーボイスを浴びるハメになった。

 

 チルタリスはメガシンカによって特性がフェアリースキンへと変わる…あくタイプにこうかばつぐんのハイパーボイスを受けて、たまらず、М(メガ)サメハダーGXは墜落…そのまま、ちゃぷんという着水音とともに、地中へ消えた。

 

 (…は?)

 

 サメハダーは「あなをほる」を覚えない。仮に覚えたにせよ、浮いているポケモンであるチルタリスには効かない…ならば、いったい?

 

 既存のワザに心当たりがないからこそ、答えは出ていた。

 

 「/Output来ます、GXワザ!

 

 チルタリス、声の続く限りハイパーボイス!End」

 

 いつ、どこから来るのか分からない以上、それしかない…

 

 たっぷり1分以上、ハイパーボイスが続く。

 

 「じゃがいつまでもそうしてはいられまい?」

 

 チルタリスは呼吸が必要なポケモンだし、喉にも限界がある。ハイパーボイスは出し続けられるワザではない…

 

 「『そらをとぶ』でもあれば違ったんじゃろうな。」

 

 歌声が、途切れた。

 

 そして、地面から水音が鳴る。

 

 М(メガ)サメハダーGXの…

 

 …トーピードダイブGX!】

 

 地面が水面と化し、水の砲弾、いや魚雷となってМ(メガ)サメハダーGXが垂直へ飛び出す!

 

 目にも留まらぬ激突の直前。

 

 М(メガ)サメハダーGXの目が、М(メガ)チルタリスGXと合った。

 

 「息切れじゃなくて…

 

 息継ぎですよ!」

 

 М(メガ)チルタリスGXの ハイパーボイス!】

 

 至近距離からのフェアリースキンハイパーボイスと、急所たる腹への溜め高威力GXワザ。

 

 チルタリスとサメハダーは、爆煙の中からもつれあって落下し、起き上がれなかった。

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