アイドル、ポケモン世界を歌う! 〜ポケットモンスターTen Colors〜 作:十二の子
ー*ー
「殿!かくなる上はお逃げください!」
ロクロウは、言祝アリアの指示には逆らえないながらも、言祝アリアを案内してきたその場所、コウジジム最奥の広い本丸中庭、バトルコートに着くなり叫んだ。
「私の声の危険性、ただ見境なくファンにするってだけじゃないんですよね…」
自分の意志に反していても、アイドルには逆らえない…言祝アリアという存在の魅了力を、自分のことながらドン引きしつつ…ロクロウの後ろから言祝アリアが姿を現す。…と、バトルコートの向かい、目があった。
「よくここまで来れたわね。まあ来れると思ってもいたけれど。」
「/Output歌姫さん大丈夫ですか!?End」
敵だし耳栓をしているから魅了を振りまいてきたが、アリア・カナサシがいるとなれば話は別だ。あわてて言祝アリアはタブレット端末を取り出す。
「貴女こそ大丈夫?中継を見せられていたけど、何度、龍神様を呼ぼうかと思ったか…」
縛られたままながらも余裕そうなアリア・カナサシを見て、言祝アリアはやっと肩の力を抜いた。
と、縛られた歌姫のその隣、くいっと杯を飲み干し、男が立ち上がる。
「…ポケモン毒を以てして、龍神は抑えきれんのか?くっく、掌で転がしとるのか転がされとるのかわからんわい、愉快愉快。
ロクロウ下がれ。」
「ですが殿!」
「小娘一人に負けたとあっては武門の恥じゃよ。
このオシロイ、尋常にバトルじゃ!サメハダーよ!」
「/Output…人を誘拐するのは恥じゃないんですか?
チルタリス、わずかな休息ですみませんが、ここからが本舞台ですよ!
メガシンカ&オーバーラップ!End」
「こちらもメガシンカ、そしてオーバーラップじゃ!」
ー*ー
「アクアジェットじゃっ!」
いきなりの
「/Outputコットンガード!End」
「どくどくのキバ!」
そりゃフェアリー対策に毒ワザくらい持っているか…言祝アリアは毒牙を振り払わせるために反撃の指示を出した。
「/Outputミストパージ!End」
霧はそのまま拡散し、
「ヒットアンドアウェイじゃ!もう一度アクアジェット!」
「/Outputミストパージ!回復を織り交ぜれば競り勝てます!End」
(ダメージレースで不利なのはオシロイは感じているはず、仕掛けてくる前に…)「/Outputチルタリス、ハイパーボイス!End」
アクアジェットで突っ込む
チルタリスはメガシンカによって特性がフェアリースキンへと変わる…あくタイプにこうかばつぐんのハイパーボイスを受けて、たまらず、
(…は?)
サメハダーは「あなをほる」を覚えない。仮に覚えたにせよ、浮いているポケモンであるチルタリスには効かない…ならば、いったい?
既存のワザに心当たりがないからこそ、答えは出ていた。
「/Output来ます、GXワザ!
チルタリス、声の続く限りハイパーボイス!End」
いつ、どこから来るのか分からない以上、それしかない…
たっぷり1分以上、ハイパーボイスが続く。
「じゃがいつまでもそうしてはいられまい?」
チルタリスは呼吸が必要なポケモンだし、喉にも限界がある。ハイパーボイスは出し続けられるワザではない…
「『そらをとぶ』でもあれば違ったんじゃろうな。」
歌声が、途切れた。
そして、地面から水音が鳴る。
【
…トーピードダイブGX!】
地面が水面と化し、水の砲弾、いや魚雷となって
目にも留まらぬ激突の直前。
「息切れじゃなくて…
息継ぎですよ!」
【
至近距離からのフェアリースキンハイパーボイスと、急所たる腹への溜め高威力GXワザ。
チルタリスとサメハダーは、爆煙の中からもつれあって落下し、起き上がれなかった。