アイドル、ポケモン世界を歌う! 〜ポケットモンスターTen Colors〜   作:十二の子

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♪53 悪党とアイドルの宴Ⅱ

ー*ー

 

 「/Outputチルタリス、戻ってくださいEnd」

 

 「サメハダー。そなたもようやった。

 

 ドンカラス、オーバーラップじゃ。

 

 先に言うておく。ドンカラスのGXワザは『アンフェアGX』…ヤミカラスを招集、統率し戦場をコントロールするワザゆえ、此度は使えぬ。」

 

 「/Outputそれでは私もGXワザは使わせないでおきましょう。

 

 けれどタイプ相性については文句はなしですよ?ジムリーダーとはいえ、タイプエキスパートなんてやっているほうが悪いのですから…オンステージ&オーバーラップ、アシレーヌ!End」

 

 「『そらをとぶ』、ドンカラス」

 

 ドンカラスGXの姿が空へと消える。

 

 「/Output薙ぎ払って!ムーンフォース!End」

 

 アシレーヌGXは、頭上に掲げたフェアリーエネルギーを空へと解放し、広く薙ぐようなビームで空を掃射しようとした。

 

 「ふいうち」

 

 ドンカラスGXが、アシレーヌGXの背後に出現し、唐突な一撃をみまう。そして再び空へ。

 

 言祝アリアは、閉口するしかなかった。ドンカラスGXを視認し攻撃することができない上に、攻撃すれば「ふいうち」を誘発する。

 

 PPなどというものがあるのはゲームの世界のみ、このポケモン世界では「ふいうち」に回数制限はない…タイプ相性のおかげで4回ほどは耐えられようが…

 

 (…ああ、だから、一発逆転の目を摘むために、こちらのGXワザを封じる言質を。)

 

 「/OutputアクアリングEnd」

 

 ドンカラスGXは現れない。オシロイは的確に、言祝アリアは変化ワザを指示すると、ふいうちは失敗すると読んでいた。

 

 「/Output…アクアジェットEnd」「ふいうち」

 

 アシレーヌGXが水を纏って跳び上がる…その瞬間、ドンカラスGXは背後へと急降下して痛打を加えた。アシレーヌGXが空中でのけぞる…

 

 「/Outputそのまま、ドンカラスを追ってください!End」

 

 それでも、アシレーヌGXはアクアジェットの推力で宇宙へと駆け上がり、舞い上がるドンカラスGXへ追いすがった。

 

 「飛べない相手がなんとか追いかけてくる…よくあることではあるがの。

 

 叩き落とせ、サイコキネシス」

 

 水の噴射が、クイッと方向をねじ曲げられた。

 

 アクアジェットで跳んでいたアシレーヌGXは、噴射の方向そのままに地面へと突っ込まされる。

 

 「さらに追撃じゃ。つじきり。」

 

 起き上がろうとするアシレーヌGXへ、ドンカラスGXが急降下、翼を叩きつける。

 

 「次で、しまいじゃの。」

 

 「/Outputどうでしょう?

 

 アシレーヌ、もう一度、水を出してくださいEnd」

 

ー*ー

 

 ポケモンが現実であるこの世界では、バトルのコツにはいろいろ違いがあります…が、同じこともあります。

 

 大事なのはタイミング。「ふいうち」のような、発動条件があるワザは、特に。

 

 ゲームでは、相手が攻撃ワザを使うタイミングを「読み」、ふいうちを使うことがミソでした。ですが、この世界のポケモンバトルはターン制ではなく、また相手のワザ指示を聞くこともワザの予備動作を見ることもそれから後出しすることも可能...そしてPPもないがゆえに、「ふいうち」は極めて強力な先制ワザとなっています。

 

 …受ける側にとっても、そう。

 

 誘発させた「ふいうち」を「みがわり」ですかしたり「アンコール」でこちらの猶予にしたり…相手の「ふいうち」を呼んでこちらにとっての隙にする...それは、相手にふいうちのタイミングだと思い込ませる巧妙な頭脳戦となるのでしょう。

 

 …人の心に働きかけること、人に何かを見せ、魅せること…ここで負けられないのです。

 

ー*ー

 

 「/Outputアクア」「ふいうちじゃ!」「リング!End」

 

 アシレーヌGXの身体を、水が包む。

 

 アクアリングはありえないーなぜならすでにアシレーヌGXはアクアリング状態だーと、オシロイがふいうちを指示する。

 

 ドンカラスGXが急降下してアシレーヌGXの背後に出現し...

 

 …そして、それ自体は無意味なアクアリングを纏ったアシレーヌGXが、振り向いてドンカラスGXを睨んだ。ふいうちは失敗したのだ。

 

 「ぬっ、イカン!ドンカラス、そらをとべ!」

 

 「/Outputうたかたのアリア!End」

 

 アクアリングの水輪が、細かく震動しながら音波を放出する。遠くへ飛び去っていないうちは、ドンカラスGXは射程内であり命中圏内であり...

 

 …ドンカラスGXは、これ以上はたまらぬと舞い戻った。

 

 「/Output仕掛けてきます!End」

 

 (もう一度「ふいうち」?なら、ここですかせば勝利は決まる…いえ、後がないのはドンカラスのほうがそうです!)

 

 …ジムリーダーとチャレンジャー、武士とアイドルの視線が交錯する刹那。

 

 「つじぎりッ!」

 

 「/Outputアクアジェット!End」

 

 ドンカラスGXの翼端が、超速で迫る。

 

 アシレーヌGXが、水を纏う。

 

 ドンカラスGXが、アシレーヌGXへ衝突の瞬間を迎える。

 

 アシレーヌGXが、跳び上がって突進をかわす。

 

 アシレーヌGXが、ドンカラスGXが過ぎ去りゆくその背後へ、回り込む。

 

 クラッシュ。

 

 「ド、ドンカラス戦闘不能!よって勝者アシレーヌ!

 

 殿、次のポケモンを出してください!」

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