アイドル、ポケモン世界を歌う! 〜ポケットモンスターTen Colors〜   作:十二の子

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♪54 悪党とアイドルの宴Ⅲ

ー*ー

 

 「それでは、真打ちといこうかの。

 

 ゾロアーク、ゲッコウガ!」

 

 オシロイが、2つのモンスターボールを同時に投げる…縛られたままのアリア・カナサシは、呆れ半分に抗議の声を上げた。

 

 「ちょっとそれはないんじゃない?確かにポケモンGX2体だから4体換算で、出せるのは残り2体だけど...同時に2体出して袋叩きって言うのは、アウトでしょ。」

 

 「たわむれを。

 

 儂がこのバトルを始める時、シングルバトル6対6といつ言ったかの?」

 

 「/Outputなんでもあり、というわけですね…あくにルールはおろか道徳もない、とEnd」

 

 「儂も、騙し騙され騙し返し、そうやって生きてきたからの。

 

 むろん、ダブルバトルというわけでもなければ、6対換算で終わるというわけでもないが。」

 

 オーバーラップでももう1体分増える...そう匂わせるオシロイ。アリア・カナサシは「それはどう考えてもアウトでしょ!」と叫んだ。

 

 「最後の1体にオーバーラップさせて7体換算、それが許されているのは、ポケモンEX、GXが2体換算と言っても実際には1体で分かちようがないし、5体倒すことで最後の1体のオーバーラップを封じる戦術が成立してしまうから…

 

 …でも最後の2体のうち1体をオーバーラップさせて1体換算分溢れさせるなら、オーバーラップしない片方1体を戻して6体換算になるじゃない。」

 

 「誰が、片方しかオーバーラップしないと言ったかの?」

 

 オシロイはGXマーカーを1枚手にし、「人の話は最後まで聞くものじゃよ」と言った。

 

 「…

 

 …まさか」

 

 【ゾロアークとゲッコウガの可能性が 共鳴している…!】

 

 「GXオーバーラップじゃ!ゾロアーク、ゲッコウガ!」

 

 【ゾロアークとゲッコウガが GXオーバーラップしている…!】

 

 【ゾロアークとゲッコウガは

 

 ゾロアーク&ゲッコウガTAGTEAM_GXに オーバーラップした!】

 

ー*ー

 

 アシレーヌGXの体力は残りわずか。ワスレナジムで戦ったモクロー&アローラナッシーTAGTEAM_GXの圧倒的な強さを思えば、一撃すらも耐えられない。

 

 先制して押し続け、少しでも多くダメージを稼ぐしかない…当のアシレーヌGXも、トレーナーの言祝アリアも、考えはまったく一致していた。

 

 「/Outputアクアジェット!End」

 

 ゆらり、不気味に立つゾロアークとゲッコウガへ、アシレーヌGXが水を纏い突撃する…だが衝突の寸前、ゲッコウガがゾロアークを抱え、水霞と化して姿を消した。

 

 目標を見失ったアシレーヌGXが着地する。ゾロアークとゲッコウガは何処だと探せば、いつの間にか縁側の縁に肩を並べ腰掛けていた。

 

 「/Outputもう一度アクアジェット!End」

 

 ゾロアークとゲッコウガめがけ、再びの突撃…ゾロアークがニヤリと嗤い、衝突の直前、ゲッコウガともどもその姿が幻影のごとく消滅する。

 

 またもアクアジェットは空振り…そしてゾロアークとゲッコウガは、肩を組んで空から落ちてきた。

 

 「王手じゃ。」

 

 【ゾロアーク&ゲッコウガTAGTEAM_GXの ナイトユニゾンGX!】

 

 ゾロアークとゲッコウガの姿が分裂し、2体ずつに増える。さらに分裂し、3体ずつに増える。

 

 (かげぶんしん…?いえ、タッグチームGXのGXワザが、そのようなものであるはずが…)

    

 「あくのはどう」

 

 「/Outputムーンフォースで迎え撃ってくださいEnd」

 

 3対横並びのゾロアーク&ゲッコウガTAGTEAM_GXから、一斉に悪意の波動弾が発射される。ほぼ同時に、アシレーヌGXはフェアリーエネルギーのビームを発射した。

 

 言祝アリアは脳内で、次の一手を必死に考えている…ポケモンGXのスペックは種族値にして元の2倍、ゾロアークとゲッコウガを足した2倍の特攻種族値は446であり、アシレーヌGXの252よりずっとまさる…それでもあくワザをフェアリーワザで迎え撃つことによってタイプ相性込みでやや優勢になるはずなのだ。逆に、これを耐えられて散開されたらもはやアシレーヌGXが正面切ってゾロアーク&ゲッコウガTAGTEAM_GXに対抗することは不可能ということでもある。

 

 計算と思考を展開する言祝アリア…集中しながらもバトルからも目を離さない彼女の見つめる先、あくのはどうとムーンフォースが激突し、競り合う。

 

 爆発。それはアシレーヌGXの直上で起きた。

 

 (…そんな、撃ち負けて!?)

 

 言祝アリアの計算は、はなから間違っていた。アシレーヌGXのムーンフォースは、1秒たりとも、ゾロアーク&ゲッコウガTAGTEAM_GXのあくのはどうを防ぐことはできなかった。

 

ー*ー

 

 「かげぶんしんと同じで、ホンモノが1つだけなら、まあ儂らが負けたじゃろうがの。」

 

 「まさかオシロイ、アレって、3対すべて実体なの!?」

 

 「そうであるし、そうでないとも言えるかの。

 

 ゾロアークとゲッコウガが水と光で生み出す、幻影の霞…じゃが、どれがホンモノかは誰にもわからぬ。

 

 ゆえに、どの像にもホンモノである可能性があり、ニセモノである可能性があるんじゃよ。可能性を引き出すのがオーバーラップじゃからな。」

 

 「は!?」

 

 あってはならない…あってはならないことだ。だってそれは、通常のポケモンの4倍の強さを持つTAGTEAM_GXをなんと3対を相手にしているも同然であるということのみならず、そのどれもが被弾時には虚像として振る舞いうるということ…

 

 「/Output…ジムリーダー戦としては考えられないおもてなしですね。カロスのジムリーダーなどメガシンカを使いすらしないのに。

 

 ですが、私に、諦めていい舞台なんてないんです。

 

 チラチーノ!End」

 

 仕様がわからない、地方限定の異常なすがた…攻略の糸口を見つけるため、言祝アリアは遥かに弱いチラチーノを繰り出す。

 

 「/Outputスピードスター!End」

 

 「あくのはどうじゃ。ひねりつぶせ。」

 

 チラチーノが尾をふるい、星屑が3対のゾロアーク&ゲッコウガTAGTEAM_GXへ飛んでいく。同時に3対は、禍々しい波動を撃ち放った。

 

 スピードスターは、3対のゾロアーク&ゲッコウガTAGTEAM_GXへと飛んでいったかと思えば、あくのはどうの放出が終わるやいなやそのうち1対のほうへ集中していった。

 

 言祝アリアがうなずく。

 

 直後、チラチーノは、3方向からの破滅的な威力によって、ボロボロの瀕死状態を余儀なくされた。

 

ー*ー

 

 「/Outputそうだと、思っていました。

 

 そうするしかないと、思っていました。

 

 そうじゃないかと、思っていることもありますEnd」

 

 「ゾロアーク&ゲッコウガTAGTEAM_GXの攻略方法が、わかったのかね?」

 

 「/Output…わかったかもしれません。それは攻略方法もそうですし、あなたに関してもですEnd」

 

 「…ふむ、なんのことやら…」

 

 「/Output私が勝ったら、教えてあげます。

 

 イーブイ!オンザステージ&オーバーラップ!最初っから、盛り上がっていきますよ!End」

 

ー*ー

 

 スピードスターは必中ワザ…すなわち、ゾロアーク&ゲッコウガTAGTEAM_GXへ放ち、3対すべてへ飛んでいった時には、すべてが命中目標であり…実体を持っていたということになる。そして、あくのはどうを放出し終わったと同時にスピードスターは一方向になった…

 

 (…おそらく、「ナイトユニゾンGX」によって増えたゾロアーク&ゲッコウガTAGTEAM_GXは、ワザを使う時のみすべてが実体化し、そうでない時でも3対すべてが幻影というわけにはいかず実体が1つは必要なのでしょう。

 

 …けれど、三分の一の実体を探り当てるギャンブルはできません。想像を絶する威力に耐えられないことを考えれば、攻撃のチャンスは一度だけだからです。それに、攻撃されている対を幻影にするくらいはできそうですし。

 

 確実にやるとしたら、相手が攻撃をしてくるその瞬間!「実体ある幻影」を増やしても本質的には1つ、実体化中の3対のうち1対を集中攻撃して倒せば、まとめて崩れるはず!

 

 問題は、ただでさえ冗談のように強いタッグチームGXに、攻撃を押し通す方法ですが…)

 

 そんなことは決まっている。アイドルの声によるバフ「祈声状態」を使わないのなら、こちらもGXワザを使うしかない。

 

 「/Outputイーブイ、GXワザです!

 

 すべての可能性を手繰り寄せて!ナインエボルブースト!End」

 

 【イーブイGXの ナインエボルブースt…】

 

 GXオーバーラップの「可能性を引き出し、併存させ、現実に重複させる」パワーアップが、イーブイの身体に、進化系たちの可能性を重ね合わせていく。

 

 ブースター、シャワーズ、リーフィア、サンダース、グレイシア、エーフィ、ブラッキー、ニンフィア…8つの不明瞭な虚像がイーブイGXの周りに現れ、くっきりと実体化し、そして再び姿をぼやけさせて徐々にイーブイGXにダブっていく。それとともに、イーブイGXは能力が九重(ここのえ)に上がっていく。

 

 「あくのはどうじゃ。」

 

 重ね合わせた可能性の数だけ、イーブイGXが急速に存在感を膨れ上がらせている…危機感を覚えたオシロイが叫ぶと同時に、言祝アリアもまた告げた。

 

 「/Outputアタック!End」

 

 【ゾロアーク&ゲッコウガTAGTEAM_GXの あくのはどう!】

 

 3対のゾロアークとゲッコウガが、悪意の波動をビームへ収束させ、一斉に放出する。

 

 【イーブイGXの ナインエボルブーステッドアタックGX!】

 

 8つの進化系と自ら、計9つの可能性をかわるがわる浮かび上がらせ、イーブイGXは突進する。

 

 狙われている1対を幻影化すれば、イーブイGXの攻撃は無効化できる…が、あくのはどうを放出し終わるまで、実体化は解けない。ゆえに、イーブイGXへはゾロアーク&ゲッコウガTAGTEAM_GX3対からのあくのはどうが集中し、イーブイGXは持ちうるすべての可能性を携え、ゾロアーク&ゲッコウガTAGTEAM_GXめがけ吶喊した。

 

 コウジタウンの空、白い雲が、爆風で吹き飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コウジジム本丸の全体を壊さんばかりの大爆発。

 

 落下しながら消滅する、ゾロアークとゲッコウガの2対の幻影。

 

 絡み合って倒れている、ゾロアーク、ゲッコウガ、イーブイ。

 

 …と、ふらふらと、ゲッコウガが立ち上がった。

 

 「勝負、あったようじゃの。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「/Outputセトリはまだ、終わらないッ!End」

 

 イーブイ(ニンフィア)GXの ハイパーボイス!】

 

 「なぬっ!?」

 

 爆煙を吹き飛ばし、その中から、イーブイGXが秘めていた最後の可能性が…「あくのはどう」に耐性を持つニンフィアGXの可能性が出現し…そして、己の本体もろとも、ゲッコウガとゾロアークへ高音を浴びせかけた。

 

 ゲッコウガは今度こそ倒れ、ニンフィアGXもとうとう姿を失い、今度こそ、コウジジムを静寂が支配した。




 オシロイに勝利し、言祝アリアとアリア・カナサシはこのコウジタウン戦について問いただすことができるようになった。

 シンシュー一の食わせ者は、何をたくらみ、何を見出したのか?

 次回、転生ポケモンアイドル第55話「愛と真実で悪を貫け」

 みんなもポケモン、ゲットですよ!
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