アイドル、ポケモン世界を歌う! 〜ポケットモンスターTen Colors〜 作:十二の子
【燃えるほのおの使い手。コーシュー=シンシュー最凶の危険人物】
ロクショウタウンは長野県佐久市です。
♪56 バカに花火と権力は持たせるな
ー*ー
「まさかこんなかたちで、ロクショウタウンを訪れることができるとはね…」
街のそこかしこに乱立する、マルヤクデの旗印。この街がコーシュー軍の占領下にあることを示すそれを睨みながら、アリア・カナサシはフードを被り直した。
ここにアリア・カナサシがいることがバレてはならないのだ。解放を待ち望むシンシュー派レジスタンスに見当違いな希望を与えかねないし、それに駐留するコーシュー軍にとっては彼らの主君マルスの仇敵でもある。
まさに敵中の街、ロクショウタウン。そんなところへアリア・カナサシが言祝アリアとともに来たのは、一通の手簡が理由だった。
ー*ー
オシロイ様へ
ロクショウジム、マルス様が一番の家臣、ドメスティカにございます。此度は喫緊の次第にて手簡申し上げます。
我が主マルス様が御乱心にて、ヤツガタケを噴火させようとしておいでです。
つきましてはオシロイ様に、我が主をお諌めすべく助太刀願いたい所存であります。
ー*ー
「オマエが、オシロイからの使者か?いつもとは違う面子見てェだが…
まァいい。面を上げろ。」
ロクショウジム、ジムリーダーの間。畳張りの大広間の奥で、隻腕の男が重圧を放っている。
とはいえここで負けるようではシンシュー1の食わせものの使者など務まらない…2人の使者のうち1人がプレッシャーにめげず、顔を下げたまま、1枚の書状を投げ渡した。
「ム?
ガッハッハ、顔を上げない、紙束は投げてよこす、コウジジムもなかなか愉快な礼儀じゃねェの?」
そう言って隻腕の男…マルスは書状を開き、一瞥…そしてやにわ、腰の刀を抜き立ち上がった
「なァ使者さんよォ。
一言も喋らずこんな手簡を投げ渡して、詰問のつもりかァ?裏切り者の家来のクセしてよォ。
なんか言ってみろよ、なァ。2人まとめてクビにしてやろうかァ?」
そこではじめて、2人は顔を上げた。
「…単に、使者ではないし貴方より格が上だからよ、礼儀を払わないのは。
久しぶりね、マルス。」
「/Outputどうもはじめまして、オシロイさんの最新の主君、アリア・コトホギですEnd」
ひっく、マルスの喉が鳴る。
「これはこれは…
龍神歌姫に、話題の自称アイドル殿...
ガッハッハ、俺の、俺の思った通りにィ!釣れたァ!」
街中にとどろくかと思うほどの大笑。
「/Output私たちを呼んだことが、バレて…!?End」
「待ちなさいマルス。だったらこの、オシロイに助けを求めた家臣は…?」
どこまでも陽気で、どこまでも残忍な笑み…マルスは、割れたモンスターボールを転がす。
同時に、側仕えの小姓が、蓋がされた木桶を持ち進み出た。
言祝アリアが、おそるおそる木桶を開け…卒倒する。大河ドラマに出演した時に見たよりも、圧倒的にリアルな、そうそれは。
「アイツか?アイツにはクビになってもらった」
塩漬けの、生首…戦国乱世の気風濃きコーシュー地方軍の、リアルな血なまぐささが、唐突にそこにあった。