アイドル、ポケモン世界を歌う! 〜ポケットモンスターTen Colors〜   作:十二の子

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 すぐわかる! 第8祝 「令嬢姉妹を導くprobability」 最終話 「芝桜はユキコシのために ユキコシは世界のために」(「転生ポケモン令嬢」掲載です)

 フロックス家「7おみやと政財界へ 
 後援者ではなく同志としてお願いしたいことがあるのですが、一緒にコーシュー=シンシューの政情へ介入してくれませんか?

 不安定な南方山岳地帯の政情は、全土保証占領によってでしか安定化しえません。」

 7おみや&政財界「オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ 軍事力によって他地方の現状を変更しようって誘ってるのか?それって『侵略戦争』って事だろうッ!?」

 フロックス家「指揮するのはわたくしたちです… 責任は負うのであなたがたは戦力を出してくれるだけでいい」

 7おみや&政財界「ナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナアナア 
 戦力を出すだけだって…… 

 我々はユキコシの発展と国際秩序のために政財界を率いている人間だぜ… …国際的に少しは有名なんだ しかも!

 国際社会は平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐるッ!平和を愛する諸国民の公正と信義は軽視できない!!」

 フロックス家「『全面軍事侵攻』をします」

 7おみや&政財界「だから気に入った」

 フロックス家「よし そう言わせなければならないと思ってまいりました」



11祝 発動、オペレーション・ブリザードスルー
♪61 初雪計画


ー*ー

 

 ロクショウタウンの独立宣言、そしてコーシュー地方による対ロクショウタウン懲罰戦争の宣言...この一報を手に入れて即座に、ユキコシ地方対シンシュー平和維持介入軍(通称「介入軍」)総司令部は1つの指令を発出した。

 

 「コーシュー地方の挙兵は、対ロクショウタウン懲罰戦争を口実としたシンシュー全土侵攻の企図であることは明白であり、これをくじき深刻な人道危機を阻止することは、列島に冠たる我らユキコシの絶対的な使命である。」

 

 ...やたら尊大な前書きで始まる文書は、コーシュー地方に対しては宣戦布告を、シンシュー地方に対しては軍事介入の開始を、全世界に対しては開戦の発表を、そしてユキコシ地方民にとっては開戦の詔勅を告げていた。

 

 「我ら介入軍準備委員会は先ほど、シンシュー地方ウコンジムジムリーダーより、シンシュー地方の人々とポケモンを脅威から救うべく軍事介入の打診を受けた。またシラアイタウンを領するホープ団も、かねてより『シンシュー地方の安定化、及びコーシュー地方問題の最終的解決には、ユキコシ地方による介入が不可欠』という見解を同じくしている。」

 

 …文面の是非はあえて問わない。ウコンタウンからの要請も実際にあったことだ。ただむしろ問題はこの宣言文の早さ...コーシュー地方の対シンシュー宣戦布告から1時間もしないうちのユキコシ地方の対コーシュー地方宣戦布告、それはあきらかに「作文」されたものであった。

 

 後の記者会見で再三「コーシュー=シンシュー軍事介入は、そのような事態が起きうると考えた上で前もって軍を編成し、作戦を立て、文書等を用意したものである。」と述べられているものの...実際にはユキコシ地方が「コーシューによる侵攻が起きるのを待ち構えていた」かのようであった。

 

 その後、介入軍の司令部が置かれたワカナエシティ郊外...もといフロックス家ワカナエ別邸では、巨大な軍事力、そして経済力の動員が始まっていた。

 

 「コーシュー軍の予想兵力は10万!ロクショウタウン分離独立の『コード:ファイア』ですから、実行兵力は約8万、マルス麾下の2万と潰しあって7万弱でしょう。」

 

 「その7万は予備兵力を除いてだったはずでは?アオバ総司令官からは、秘密裏ですがコーシュー地方制圧までを下命されています。コーシュー本土70万が総玉砕のかまえをとってきたら?」

 

 「コーシューには国家総動員ができる。シンシューにも、もしまとまることができれば、いやできなくてもジムリーダーごとになら。でもユキコシにはできない…70万なんてありえんぞ!」

 

 ユキコシ地方最大の強みが、コーシュー地方やシンシュー地方とは隔絶した文明力…このポケモン世界のほぼあらゆる最先端の品物を自己調達できる産業力と、輸出入できる貿易だとしたら、弱みもまたこの文明力…人々とそのポケモンを片っ端から動員して前線へ送り出すなどとうていできはしないのだ。

 

 「ユキコシ地方からは、各おみやからの義勇軍が数千ずつ、ホープ団から3万で5万…これにホープ団シラアイタウン駐留隊が2万で7万…足りないか。

 

 フロックスからは?」

 

 「カグヤ副会長からは、世界各地の民間軍事会社(PMC)からかき集めて5万、傭兵も集めるなら8万、と。」

 

 「傭兵なんて頼りになるか?PMCにしても今ユキコシにいない以上、間に合うかわからんだろ。」

 

 「事前想定の『コード:ハードファイア』ってわけか。損耗を抑えて着実に進めていくしかないな。

 

 兵站部っ!」

 

 作戦部から声をかけられた兵站部のほうも大変である。事前に紙上演習を重ね計画を立案してきたからと言って、それで実際うまくいくかは別だ。

 

 「ワカナエ港、埠頭開いてます!」

 

 「イッシュ発のアイテム便、空港へ急がせろ!中立宣言が出る前に!」

 

 「仮設ポケモンセンターセット、7つ異常なしとのこと!」

 

 「キタカミ、カントー、ジョウト領境、検問設置完了です!」

 

 「サンゴジュ方面、物資集積は予定通りの5千トン!これより輸送隊と啓開隊を出します!」

 

 「ユキコシ各社の株価下落中!介入急げ!」

 

 「ユキコシ全鉄道、これより戦時ダイヤへ変更します!」

 

 世界的大財閥フロックス・グループの資金とサプライチェーンをぶん回し、ユキコシ中いや世界中から食糧、アイテムを集めてワカナエ・サンゴジュ経由で前線へ送り出す…かねてより進めてきた兵站計画が動き出していた。

 

 物資とトレーナーが集められる先、ワカナエシティ南方の基地では。

 

 「あー、俺だ、ワカナエおみやぐうじ、オリザだ。なんか、介入軍ウコンタウン前線総司令官?なんてものになっちまった。

 

 集まってもらったてめえらには、なんでまたこんな?って気合が入ってねぇやつも多いと思う。」

 

 群衆の前に立つ暑苦しいその漢は、そこまで口にするとマイクを投げ捨て、生身で叫び始めた。

 

 「シンシューっーのは千年!俺たちの敵ホープ団が潜む得体の知れない山奥だった!

 

 5年前の軍事介入で、俺たちは戦乱を止められなかった!

 

 なんでシンシューの内乱なんかにって思うのはしゃあねぇ!だから今から、俺がてめえらに、情熱を授けてやる!

 

 いいか!てめえらはなんでポケモントレーナーになった!?

 

 何かを守りたい、共にしたい、あるいは上に行きたい…てめえらなりに熱意ってものがあってボールを握った!そうだろ!?」

 

 夏の暑さに負けない、暑い声。

 

 「今!シンシューの連中はこの想いってやつを踏みにじられようと、引き裂かれようとしている!

 

 てめえらが度胸なし根性なし意気地なしでなけりゃ、何をすべきかわかるはずだ!」

 

 熱気が、徐々に群衆に伝染していく。

 

 「勇気を振り絞れ!気合を叫べ!情熱を燃やせ!

 

 出陣っ!」

 

 「「「「「ウオォォォォ!!!!!」」」」」

 

ー*ー

 

 サンゴジュシティ南方、ハテヤマタウンでも、あまたのポケモントレーナーが集まっている。しかしワカナエの基地とは異なり、微妙な雰囲気が漂ってもいた。

 

 雑然と並ぶ、ユキコシ各地から集められたトレーナーたち。

 

 整然と整列する、ホープ団が率いる精鋭トレーナーたち。

 

 …ユキコシ地方と、ユキコシを千年も苦しめたゲリラ組織の因縁は、感情レベルでは解決していないのだ。

 

 「み、みなさん…注目して、く、ください…!」

 

 おどおど、儚げな声がマイクから伝わる。

 

 演台へと集まる視線。人見知りなサンゴジュだいぐうじチューリップは「ひっ…」とうろたえたが、第一の友たるアオバの願いをここで無下にはできない。

 

 「わ、私はシラアイタウン前線総司令官、サンゴジュだいぐうじのチューリップです。こ、今回はいろいろ、き、聞いてほしいことがあります。」

 

 トレーナーたちはもう、子どもを見守るような気分である。かつてユキコシ最強のポケモントレーナーとして知られたチューリップだったが、ポケモンバトルにパラメーターを振りすぎてコミュニケーション能力が壊滅的なことが広まってからは、親しみやすくもあると思われるようになっていた。

 

 「まず、ええと、ホープ団のみなさん…」

 

 弛緩した雰囲気が、一気に緊張する…8年前に和解した悪の組織だが、まだ信じていない者や恨んでいる者もユキコシには多いのだ。

 

 演台の脇、ホープ団三大将が並び…そして腰を直角に曲げ頭を下げた。

 

 「海軍大将、ウキクサだ。」「陸軍大将、ハッカよ。」「空軍大将並びに渉外役、アルソミトラです。

 

 改めて、私たちホープ団の1000年について、謝罪申し上げます。」

 

 どよめき。確かにホープ団のゲリラ活動は勘違いによるもので、ユキコシ地方は長い間迷惑を被ってきた…が、ユキコシ側とて、ホープ団の故郷への想いが並々ならぬことも、ユキコシ地方の反撃で受けた被害にホープ団が遺恨を持つことも、わかっているのだ。

 

 「水に流してくれ、などとは言えません。忘れることもできないでしょう。特に、家族やポケモンを殺し合う仲であったのですから。

 

 それでも、お願いします。この作戦のため、そして歴史と未来のため、どうか今、今だけでも、共に戦わせてください。」

 

 水を打ったように静まり返る群衆。そしてマイクがアルソミトラからチューリップに戻る。

 

 「わ、私からもみなさんにお願いします。

 

 世界はいつも動いていて、その中心でアオバちゃんは戦ってる。全貌は見えないし物事の裏なんて読めないけど、私だって力になりたい。

 

 私の信じる友だちが何か大事なことのために戦うんです。私も私にできることをしたい。だからみなさんも、私に、みなさんが貸せる力をください。

 

 ユキコシの人々が手を取り合うのは、シンシューの人とポケモンを侵略から救うのは、コーシュー地方を野望という夢から覚ますのは、きっと世界のために、アオバちゃんが世界のために何か果たすために、なるはずだから…!」

 

 2000年続く、フロックス家の高貴なる義務(ノブレス・オブリージュ)。その旗の下に、いつだってユキコシ地方の人々は生きてきた。だから、彼らはアオバ・フロックスの選択を、この戦争を信じてみようと思えた。

 

ー*ー

 

 作付が農場から集められ、生産力が工場で唸り、物流が海越え空越え山を越え、そして7人のぐうじ、3人の大将、それらに率いられた各2万のポケモントレーナーと10万を越えるポケモンが、2つの峠からユキコシ・シンシュー領境を越境した。

 

 最初に目指すは、進駐要請を発した街、ウコンタウンとシラアイタウン。

 

 

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