青衣さんメンテナンス係の日々 作:──
時間があったりなかったりで返信を書けておりませんが目を通させていただいております。
タイトルの誤字を教えてくださった方本当にありがとうございます
読ませていただいた感想には既読代わりにグッドを付けさせていただいております
ある日の昼下がり、唐突にメッセージが送られてきた。
[突然すまぬ、時間はあるか?]
[今は特に仕事もないし空いてますよ]
[ならば少しルミナ分署まで来てくれぬだろうか?]
そんなメッセージのやり取りの後、ルミナ分署に入ると朱鳶さんが僕を迎えた。
「すいません、こちらまでお願いします」
「あっ、はい」
言われるままについて行くと、ぐでっとソファにだらしなく座ったような様子の青衣さんがそこにいた。
「……手足の動きが悪くてな、無理に動かすのも不味かろうと思い、動きを最小にしたのだが……いつも通り頼めるか?」
「了解です。少し待ってくださいね」
確認するとやはり手足のモーターが少し弱くなっていた。
「…いつも言いますけど、無理に使うとそうなるんですよ?今度はどんな無茶を?」
「相手取った奴らが人質を取った挙句、人質に手を出そうとしたのでな──」
「振り上げられたナイフを先輩が右腕で受け止め、さらに人質が残っていないかと容疑者の拠点を捜索して三人の人質を救出……結果として両膝と左肘の駆動系に侵食アリ。ですよね?先輩」
青衣は気まずそうに目を逸らしながら頷く。
「……はぁ、青衣さんの行動は正しいと思います。ですが、無茶するのもほどほどにですよ」
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(朱鳶視点)
彼に注意された先輩はまるで、駄々を捏ねようとして直前で踏みとどまった子供のような顔をしていた。
そんな先輩の表情を知ってか知らずか、彼は作業をしながら言葉を続ける。
「……ほら、この足の駆動系は青衣さんのパーツの中では10番目くらいに高いやつです。完全に壊れるまでは交換の費用は降りないんですからね」
その発言が少しだけ引っかかって質問をする。
「費用が降りないのなら……交換パーツはどこから?」
「僕の自腹ですよ」
彼はそんなことをさも当然のように言い放った。
その言葉に、先ほどまでしょぼんとしていた先輩も目を見開く。
「ち、ちなみに、どれくらいの額なんですか?」
「……数えてないです」
彼はあからさまに目を逸らした。
一方で先輩はすぐに検索か何かをしてその金額を理解したのだろう、みるみるうちに私が見たことのない表情へと変わっていく。
「それは本当に……本当か?」
「……?はい」
ワナワナと震え出した先輩を他所に、話しながらメンテナンスを終えた彼は
「じゃあ、終わりましたから一旦帰ります。無茶はほどほどにしてくださいね」
と念を押して、不具合があったら連絡するように言うとそのまま帰って行った。
しばらくすると、先輩が口を開く
「……朱鳶よ、我はどうやら自分で理解していたよりも、およそ780%ほど多くあの男に借りがあるらしい。……どうすれば?」
少し青いままの顔でそう言った先輩と共に少しの間頭を悩ませたが、異性に関しての経験が浅い私と人の機微には少し疎い先輩の二人では良い案は浮かばなかった。
ちなみに、先輩に聞いたところ、これまで小規模の破損のうちに交換したパーツ全てが彼の自腹だとしたら、新エリー都の中心に豪邸が立つくらいの金額が使われているらしい。
結局、話し合いの結果先輩は……
「……取り敢えず、休暇を取り、少し話をしてくる」
そう言って、休暇を申請するべく歩きだしたのだった。