脳筋はゴリラ廻戦にて最強   作:藍嵐

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祝!呪術廻戦完!!

なのに原作に全く追いつかないこの作品ヤバいな?


いくら遅くても週一投稿にしたいところ


拝啓、少年よ

特別な目を持っていない自分にもわかるほど繊細に紡がれた呪力が紫色の光を放つ。かつて目にしたものよりも小規模で、それでも相当の殺意が込められた五条家の切り札をー

 

 

「いやそうはならねぇだろ!」

 

 

先輩が握りつぶしていた。やっぱこの人も大概だな。

 

 

「お前の茈は質量を作るんだろ?目に見えなくても実態があるなら難しいことじゃないよ。」

 

 

「できるできないかでいえばできるのかもしれねぇけど!一応俺の切り札なんですけど!?」

 

 

「ああ流石だな。もう七割近く呪具になったこの体でもきつかった。ほら指折れてる。」

 

 

栄華呪法。あらゆるものに呪いを込めることが出来る術式の影響で身体脳力が上がっていく先輩。一応常に呪力を流しておかなければ体を動かせないというデメリットがあるが、呪力量が増えるスピードの方が速いらしい。

 

 

「くそっ!次は手加減なしでやるぞ!そんな腕ぶっとばしてやる!」

 

 

「やめてよ。またグラウンド壊して夜蛾先生に怒られるよ?」

 

 

いい縛り思いついてさー、これなら先輩にも通じると思うんだよねーとは昨日の五条の談。正面から打ち破られて自棄になっている。…まぶしいな。

 

 

理子ちゃんを守れなかった日からはや一年。私は…親友との差を埋められないでいた。やれることは全てやった。大量の呪霊を取り込んできた。二体目の登録済み特級呪霊を取り込んだ私は悟とともに特級術師に任命された。現在私が取り込んでいる呪霊は3,036体。後輩からはすごいですね!!とか戦争でもするんですかと言われた。

 

 

呪霊操術。呪霊を取り込み使役できる術式。使役する呪霊を私の呪力で強化すれば三級の蠅頭でも脅威となる。そして先輩に取り合ってもらい冥さんに貯金をつぎ込んで作り上げた拡張術式。自信はある。特級呪霊数十体に囲まれても無傷で生存する自信が。

 

 

しかし…自信がない。それら全てをもってしても目の前の二人を倒す自信が。

悟は強くなった。優秀な矛と盾を持ち呪力操作と体術のセンスもずば抜けている。反転術式を常に回しており、無限と相まって防御面の隙が無い。最近領域展開を習得したらしく入ったら死ぬよーと言っていた。

そしてその悟を殴れる泉先輩。悟以上の体術センスを持つ呪具使い。あんな殺意の高い拡張術式聞いたことない。最近悟の無限を破る術を身に着けたらしく、天狗になっていた悟を高専がある山の麓まで殴り飛ばしていた。今教えてもらっているが、難航している。

 

 

どんどん先へ進んでいる親友に曇る心。そして最近悩んでいる、術師としての在り方。何度頭を払ってもあの時の気持ち悪い笑みと拍手の音が拭えない。私は…何のために術師になったのか。自答する日々。答えは未だでない。

 

 

そうやって何十度目かの思考に捕らわれる私は、見たことない表情で此方を見る先輩に気づけなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別に心の底から思っていたわけではない。ただ、最近メンタルに来る任務ばかりでもやがかかっていたのかもしれない。見えない呪霊に怯え、祓った自分たちをバケモノ扱いする非術師。これまでは流せていた。しかしあの一件依頼できた心の傷に、非術師の言葉が染み込んでいく。命を懸けて任務にあたっても感謝の一言もない。そんな状態だからこそ吐いてしまった言葉。100%の本音ではない。でも否定してほしかった。それなのに

 

 

「夏油くん、それはアリだ。」

 

 

止めてくれ。否定してくれ。そうしてくれないと私は、私の本音はー

 

 

 

「ナシでしょ。落ち着きなよ夏油。」

 

 

ハッと顔を上げた先にはこちらを見つめる泉先輩。…初めて見た顔だった。こちらを悼むような悲しむ顔。そういえば一番最近の組手でも顔を見てなかった。というか見れなかった。いつもの自信にあふれた顔を見てしまえば力の差を再確認してしまいそうだったから。

 

 

「宝火ちゃん。久しぶりだね。なんだい、気が変わったのかい?」

 

 

「な訳。私が手術室にぶち込まれるのは死ぬ時だけなんで。」

 

 

そうか、こんな顔をしていたのか。随分と心配をさせたようだ。ふがいなさを感じる私の肩を先輩が叩く。

 

 

「ほら行くよ夏油。その人ヤバい人だから。初対面で腹開かせてとか言う人だから。」

 

 

「仕方ないだろう?君の肉体は世界で唯一さ。それこそ伏黒甚爾と同じレベル。血の通った肉体が呪具に変質するなんて聞いたことないからね。まあ仕方ないか。夏油君、さっきの質問だが、また今度ってことで。」

 

 

手を振りながら去っていく九十九由基。嵐のようだった。返事もせず後姿を見送る私の隣に先輩が座る。

 

 

「それで夏油、さっきの発言だが。」

 

 

「っ、それは「待て。先にお前の誤解を解かなきゃならない。」…何ですか。」

 

 

先輩に目をやる。やけに真剣だが、目元はゴキブリを見たときのように歪んでいる。

 

 

「これから私はひどい話をする。多分お前は座っていられないだろうが最後まで聞け。」

 

 

「なあ夏油。お前の自己評価は置いといて、今のお前は呪術界で三人しかいない頂点の存在だ。もちろんそこに至るまでに多くの研鑽があったのだろう。だが呪術界は才能が九割の世界だ。一緒に特級にあがった五条は御三家の人間だが、お前は一般の出だ。」

 

 

「そんなお前を生んだお前の家族が、上の連中に、なにもされないなんて思ってるんじゃないだろうな。」

 

 

言葉の意味を理解する前に、私は先輩の首を絞めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それはいつだったか、夏油がおらず五条と二人で組み手をしていたときの話。

 

 

「そういえば五条。夏油の実家にはちゃんと人をやってるのか?」

 

 

「あー何人か。なんか怪しい動きでもあった?もうちょい人数増やした方がいい?」

 

 

 

夏油が一級術師になった後から、ハニトラの類が急激に増えたと聞いた。まああの五条のお坊ちゃまの横にいる人間だ。五条に近づきたい人間からしたら格好の的だろう。

 

 

それを抜きにしてもあいつは的だ。最優の術式と名高い呪霊操術の使い手。本人の呪力量もセンスも高いとなれば自分の家に血を混ぜたいと思うのは当然だ。他にも俺様五条様が嫌いな人間は多くいるのだから、五条を殺せないならと最悪な嫌がらせに走るとこもあるだろう。だが如何せん夏油本人も強い。

 

 

となると次の標的は夏油の知人・親戚となる。本人が落とせないならと外堀から攻める奴もいれば誘いに乗ってこないことに腹を立てて報復を企てる奴もいる。夏油の家族に術師はいないらしいので、もし起きてしまったらひとたまりもない。

 

 

ここら辺のバランスは流石に五条が上手い。その汚い手口で狙われてきた本人だから、当然自分の親友とその家族にも配慮が出来る。だが夏油は出来ない。

良くも悪くも、夏油の術師の基本は五条だ。だが分かったうえで無視する五条と何も知らない夏油では対応に差が出る。

 

 

「いや。でも少しは本人に伝えたほうがいいんじゃないか。今後もずっとお前が守ってやる訳にもいかないだろう。」

 

 

「俺的には別にいいけどねー。傑にはいろいろ教えてもらったからそのお礼ってことで。親友の家族を人知れず守るとかかっこよくない?真の相棒って感じしない?」

 

 

「お前が直接守ってるわけじゃないだろ。」

 

 

その時はそれで終わり。本人が言うならと私も告げ口することはなかった。だがあまりにも無知だから、

 

 

「お前は呪術界をなめすぎだ。」

 

 

信じられないといった目で此方を見る夏油の腕を首から離しながら、私は隣の空席をポンポンと叩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の家族はな、端的に言って屑だった。」

 

 

落ち着きを取り戻した私に先輩がそう言って話を切り出す。目は何処か遠くを映していた。

 

 

「数百年ぶりの相伝術式持ちだからな。相当喜ばれて相当鍛えられた。最初は私も健気でな、両親の期待に応えようと頑張ってた。」

 

 

「だが、ある夜に私を禪院家に売り飛ばすという話を聞いた。私だけじゃない、土地から屋敷から書物から呪具から使用人に至るまで。全部売ってその金で一生遊び放題というのが両親の計画だった。」

 

 

「それからは両親を超えるために力をつけた。術師としての能力は低かったからな。すぐ立場が逆転したよ。だが育てて貰った恩はあるから何も咎めなかった。一般社会に出るかボケるまで庭を眺め続けるか。それくらいの選択肢はやった。後者を選んだから部屋と毎日の飯もやった。」

 

 

「そうした生活が始まって数年。等級違いの任務が私に来る事件が起きた。呪霊の方は何とかなったが問題は誰がそれをやったかだ。まあどうせ両親だと確信しながら家に戻った。」

 

 

「酒を飲んで踊ってたよ。私以外の本家にいた全員が。女中も庭師も料理人も。」

 

 

驚愕と共に先輩の顔を見る。目線の先には何もないはずなのに、何かどす黒いものが映っていた。

 

 

「奴らは私を見てなぜ生きてるとか言ってたがな、無言で見ていたら勝手に自供しだした。」

 

 

「私の肉体が欲しいといった家があったらしくてな、死体でも構わないと言われたから罠にかけたそうだ。その家を調べたら死体を犯す趣味と術式を持った変態が出てきた。問い詰めに行ったら一目惚れですという言葉と共に刀を向けられた。そっちの家の処理は簡単だったが一番の問題は私の家の方でな。」

 

 

「五つあった分家のうち四つがこの事件に絡んでいるときた。合計で三百人弱くらいだ。もう笑うしかなかったな。今でも総監部は反吐が出るほど嫌いだがあの時は随分世話になった。あぁ直哉にも手伝ってもらったな。」

 

 

「それで…その人たちはどうしたんですか。」

 

 

「殺した。全員。親は私が直接首を落とした。だから今の呪術界に泉の家紋は無い。」

 

 

そういった先輩の言葉に特に感情は乗っていなかったと思う。人を呪うことを生業にする呪術師が過去の人間に捕らわれるなどあってはならないのだろう。だが自分の手をぼんやり見つめる先輩の姿は…あまりにも

 

 

「なあ夏油。お前の言うとおりだ。術師と非術師には同じ種とは考えられないほどの差がある。その差に苦しんでるお前は立派だと思うよ。」

 

 

「だがお前は呪術師を神聖視している。呪術師は人知れず世界を救うヒーローなんかじゃない。いいとこゴミを食うゴキブリだ。」

 

 

「だがお前は望んでなったのだろう。最後は負の感情に押し流され世界の隅っこで一人死んでいくと分かっていて、なお選んだのだろう。」

 

 

「揺らぐな。雑音に惑わされるな。お前は何のためにここに来た。お前の本音は何だ。」

 

 

立ち上がった先輩が胸ぐらを掴み体が椅子から離れる。先ほどまでとは違う、いつも通りの先輩の目が、自身に満ちた真剣な目が私を見ている。

 

 

「わ、私は…」

 

 

「……」

 

 

「私は…大切な人を守りたい。悟と、硝子と、後輩と、先生と、両親と。私のことを大切に思ってくれる人たちを…私が守れるようになりたい。」

 

 

「…なんだ、言えるじゃないか。」

 

 

手を離され椅子にドカッと座りこむ。そうだ、非術師のためなんてただのかっこつけ。私は、私の大切な人を守れればそれでよかったんだ。そんなことも忘れていたなんて。情けなさで、そして何故か無償に両親に会いたくなって、涙が出そうになる。

 

 

「泣いてる暇なんてないぞ夏油。気づいたんだろ自分の本音に。だったら行動だ。」

 

 

先輩の言葉につられて顔を上げる。腕を組んで勝気に笑う先輩がいる。

そうだ。やっと目的を見つけたんだ。こんな所で蹲っている場合じゃない。

 

 

「行くぞ。力の磨き方を教えてやる。」

 

 

振り返らずどんどん進む先輩に遅れないようについていく。まともに寝れておらず体も重いはずなのに、何故だか跳ねてしまいたいくらいに軽かった。




はいということで夏油君闇落ち回避です

結構迷ったんですが、せっかく考えた強化案を羂索に偉そうに語られるのが嫌だったのでこっちのルートで


今回先輩かなり熱血ですが、やっぱり生まれたときから呪いに触れてきた主人公からしたら五条と夏油のコンビはかなり眩しいので

あんな両親から生まれなかったら私もあんな風に大手を振って笑えたかな
なんて考えたりしてます

真依について

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