脳筋はゴリラ廻戦にて最強   作:藍嵐

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待たせた割に量は少なくて申し訳ない

あとどんどんオリキャラとオリ設定出てるんですけど塩梅としてはどうなんでしょう
ちょっと多いかも?



パンドラボックス

このところ、両面宿儺は機嫌が悪かった。五条悟というふざけたクソガキに利用され、殺し甲斐のない呪霊の後始末をさせられている。当然宿儺からしたらいい気分ではないだろう。

 

 

特に呪霊の味方になった気はないが、このまま利用されるのならなにかしらの措置が必要とは考えていた。己を下らぬ些事に巻き込んだ代償として。

しかしそんな気は、咲かんとする新芽を見て一瞬で吹き飛んだ。

 

 

姉妹校交流戦。東京校と京都高の二校の生徒が実力を測りあう場は乱入した呪霊によって様相を変えていた。―それは文字列から想定される強大な敵からの撤退戦ではなく、おおよそ蹂躙といった形だったが。

 

 

釣り目の術師が手に血を集めている。圧縮のし過ぎか、その余波によって手は大きく損傷し、自身の指が根元からズタズタになっているが顔色一つ変えていない。自傷を前提といた術式行使。赤血躁術の術師が手を失うということにどれほどの意味があるのか、放たれた一撃が証明している。

 

 

「苅祓。」

 

 

ただ告げられたその技は、かつて手裏剣のようだった面影など無く、巨大な鎌鼬となって呪霊を拘束する。しかし流石は呪力量で言えば特級に分類される呪霊。拘束こそされているものの致命傷は避けている。術式を使用せず弱点である頭部に防御を集中させることで、全身に切り傷はあるが十分回復が可能な程度にダメージを抑えている。

ただ、相手は並みの術師ではない。

 

 

赤い竜巻の隙間から箒に乗った術師が突撃してくる。血を操る術師が作った一瞬のスキを通しての高速突進に呪霊もダメージを隠せない。体勢を立て直したときにはすでに空中に退いている、石突のようなものを装着した箒にまたがるのではなく両足で立つ金髪の術師。

 

 

「ふーん、あんまりダメージにはならないんだ。でも加茂君の攻撃を必死で守ってた感じ、どこも頑丈ってわけじゃないね。」

 

 

「なんだ、八つ当たりの相手としては物足りねぇか。」

 

 

狙うなら頭、という助言を聞き飛び出してくる白髪の術師と緑髪の呪力を持たない人間。緑髪の方は暴力的の一言。一瞬で飛びかかり呪霊の木の根を力尽くで引きちぎる膂力は獣のよう。白髪の方は緑髪のような攻撃力こそ持たないものの、呪具を用いた戦闘が上手い。なにより、

 

 

「『避けろ』」

 

 

上手いのは術式の使い方。呪言の対象を自身に限定することで反動を抑え、会費や防御を自身の意思ではなく簡易領域のようにオートにすることで死角からの攻撃にも対処している。

 

 

「『逸らせ』」 「よそ見してんなよ。」

 

 

五感を奪う呪言の使い方も面白い。本来呪力感知があるためそれほど効果は望めないが、だからこそ反動も少なく経験の薄い呪霊に対する初見殺しとして十分機能している。しかもこれは見せ札であり、呪霊は多対一をしながら次の可能性を考慮しなければならない。

 

 

そこへ考えなしに突貫を続ける宿儺の器。注目すべきはその内包する呪力の量。あの一件から覚悟を決めた男は、呪霊や呪物を積極的に取り込んでいる。拙い呪力操作でも押し切れるほどの呪力総量だったが、先ほどの黒閃の影響で呪力操作が格段に伸びている。呪霊も意識せざるを得ない。

そして、

 

 

「いくぞブラザー!」

 

 

突然戦闘中の全員の脳内に情報が開示される。自身が厄介な男の術式の範囲内にいることを。

『不義遊戯・真打』は拍手をはじめ、フィンガースナップや舌鼓など、音が発生する動作を起点に発動する。これにより戦闘中に両手をフリーにすることができるようになったが当然相応の縛りがある。それが『発動前の術式有効範囲内の対象への開示』である。

 

 

術式発動前、範囲内の対象には藤堂葵が術式を発動しようとしていること、またその範囲内に自身がいることが開示される。これにより以前のように術式を発動させようとしているというブラフができなくなった。しかしリターンはかなり大きい。

 

 

術式の対象になったことは確かに開示されるが、実際に自身がその対象となるかまでは不明だからである。また、その範囲内にどれほど対象がいるかも不明。よって大きなデメリットとはならず、新たなかく乱の一手として成立している。

 

 

地面が波打つような藤堂の踏み込みを起点として術式が発動。その勢いを継いだまま虎杖悠仁が距離を急速に詰めてくる。現状一番己にダメージを与えている術師が目の前に突然現れた状況に、呪霊の視界が狭まっていく。そしてそこを見逃すような、並みの術師はその場にいない。

 

 

「ガワが硬くても電気は効くだろ。」

 

 

加茂憲紀が固めた血と西宮桃の箒を足場として飛び込んできた、茶色の羽毛を被った伏黒恵の電撃をもろに食らってしまう。そこに合わせられる虎杖悠仁と藤堂葵の拳。禪院真希と狗巻棘は追い打ちをかけるため呪具を構えながら接近し、足場になった二人は逃げようとした場合に備えて距離を取る。

 

 

特級呪霊、花御は襲撃前に高専生の術式と戦闘スタイルを聞いていた。だからこそ、あまりに一方的なこの展開に冷静さを取り戻せない。呪霊としての自負、人間に対する負の感情。そして、初めて感じる己の命に他人の指がかかっている感覚、『死』の悪寒に思考が塗りつぶされている。

花御は今日初めて、人間に恐怖していた。

 

 

また、花御と現在忌庫に潜入中の真人の回収係である偲蚪(しと)も窮地に陥っていた。漏瑚たちと共に行動するようになってから、仕事は味方の逃走補助のみ。今回もその予定だったのに、訳の分からない術師に絡まれてしまった。

 

 

「あーもうほんとに、なんでこうなるかな。」

 

 

偲蚪は暗闇に対する恐怖から生まれた呪霊。その特性ゆえ、容姿と精神、術式にも影響が強く反映されている。ハロウィンの子供の仮装のような全身を覆う白のシーツと、そこからはみ出す魚を連想させるヒレの付いた尾とヤギのようなねじれた角。身長も120㎝ほどしかない。特筆すべきはその術式。

 

 

偲蚪の術式『冥鳴夜奇(めいめいよき)』は暗闇を生み出しそこから使役する怪物を召喚する術式。怪物の数は無制限であり、吐き出される暗闇も中は異空間となっており取り込まれると中にうごめく怪物たちに嬲られる。事前に設置した暗闇に短距離だが転移も可能。

 

 

ただし、暗闇に対する恐怖のほとんどが子供由来であるためか、生み出される怪物は落書きのようなデザインであり、恐竜の見た目を持つものもいれば、歩くことさえできない落書きのようなものまでいる。敵味方入り乱れる乱戦で輝く術式。

故に、少数精鋭相手だと真価を発揮できない。

 

 

「気持ち悪っ。俺の方が何倍も可愛いな。」

 

 

波となって迫っていた怪物たちがあっさり薙ぎ払われる。恥ずかしがり屋のお姉ちゃんの力を内側のみに限定して骨格の強化。外側のお兄ちゃんとぶつからないようその間を末っ子が担当する。このモードで放たれるドラミングビートは空間を奔り敵を中から弾き飛ばす。現在宝火によって鋭意改造中の呪骸パンダ。ファミリーモードをはじめ多くの新技を持っている。

そして、

 

 

「いいねぇ!当たったときみたいな快感だぜ!」

 

 

轟音と閃光をまき散らしながらパンダ以上の速度で怪物を殲滅する男。こいつが何よりも厄介。偲蚪の生み出す暗闇は、ある一定以上の音と光がある場所には存在できないという欠点がある。あたりを駆け回る男によって、偲蚪は思ったように暗闇を展開できない。自身の付近に限定して生み出した怪物も通りすがりに狩られていく。呪術界全体を取り巻く大きな熱に、秤金次は浮かされている。

 

 

秤の思い付きから発生した事故をといい、自分がじわじわと追い詰められていく状況に偲蚪の幼稚な精神は耐えられない。

 

 

「もう!何考えてんだよアイツ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まあ躾ってのが一番ニュアンスとして近いかな。」

 

 

高専術師に決して悟られない位置で、しかし戦闘の内容は把握しているかのような様子で語る闇役者とその協力者。

 

 

「彼らのコミュニティの中でも実力者の漏瑚と鐘驪(しょうれい)が負けて、彼らも頂点ってのを理解したつもりだけど、私に言わせればまだまだ甘い。」

 

 

「それほどに重いんだ。例え低位の番付だったとしても。加茂憲紀と夏油傑が組み手をしているということは。西宮桃と禪院直哉が鬼ごっこをしているということは。」

 

 

突然出てきた鬼ごっこなどという可愛らしい言葉に思わず協力者が噴き出し闇役者がつられる。だが言った本人も、笑った本人もすぐさま真剣な顔に戻っていた。そんな余裕は全くないので。

 

 

「選別を覚えた今の夏油傑と組み手が成立する相手が今この世界に何人いる?戦闘機を蛇行運転で追い抜ける禪院直哉と鬼ごっこが成立する相手がこの世界にどれほどいる?こんな奴らと正面切って戦うわけないだろ私は戦闘民族じゃないんだぞ。」

 

 

教え子との教練なので、彼らももちろん手加減している。問題は彼らの手加減に対する認識と、世間一般での手加減の認識との差異。四人でひたすら高め合った彼らは、気づけば下が見えないほど頂点へ登っていた。おまけに人でなし。ここまで聞くとまるで教師に向いていないことが伺える。当然だ、教師自体も五条の思い付きなのだから。

 

 

「今の呪術界の現状を認識すれば、多少無理な作戦を立てても歯向かってこないだろう。それしか方法がないんだからね。祓われる可能性もある賭けだが、この程度場代ですらない。」

 

 

「だから封印っていうのは理解できるんだけどさ、」

 

 

「五条悟は分かるんだけど、なんでもう一人が泉宝火なわけ?夏油や禪院よりもヤバいって思わないんだけど。」

 

 

その問いに暗躍者が笑みを浮かべる。味方に対してするようなものではない、不可解な行動を示す虫を観察キット越しに見つめるような、見下しているのが分かる笑み。この二人の関係をよく表している。

 

 

「言いたいことは分かるよ。彼女の戦闘スキルは大したものだが、確かに夏油傑や禪院直哉のほうが危険度が高いように感じるだろう。だが本質はそこじゃないんだ。」

 

 

「彼女が危険な理由は、その肉体さ。」

 

 

「思わないかい?人間の体を呪具にして、何か負荷がかからないのかって。当然、かかっているさ。それも尋常じゃないほど。」

 

 

「細胞一つ一つが悲鳴を上げ精神が一瞬で擦り切れるほどの苦痛を彼女は常時受けている。多分だけど、五感もほぼ機能していないだろう。しかしね、彼女はそれすらも利用しているんだよ。呪力の源の負の感情として。」

 

 

舌が回る。暗躍者の語りに身振りが乗り始める。

 

 

「全身から発生する痛みを源として呪力を生成。その呪力を使って肉体を改造。呪具に近づくにつれ必要とする呪力は増える。必要な呪力を集めるだけで肉体に大きな負荷がかかるが強化した肉体で抑え込みその負荷も利用して呪力の生成。以下無限ループさ。」

 

 

「もちろん彼女がこのまま人間としての形を保つ気なら上限は来る。しかし人間の細胞は呪具に変容した体を受け付けず、彼女が生き続ける限り負荷をかけ続けるだろう。ならば、それから生まれる際限無しの呪力はどうなると思う?」

 

 

「彼女の呪力操作ならば、おそらく毎日呪力を消費し続ければ爆発することはないだろう。それでも少しづつ溜まっていくけど、少なくとも爆発はしない。でもこれは、彼女が勝ち続けたらの話だ。」

 

 

「我々がちょっかいをかけて彼女の呪力操作を乱してしまえば一発アウト。仮に東京で爆発が起きれば本州はまるごと吹っ飛ぶだろう。虎杖悠仁なんて可愛いものさ。五条悟達とやってる組手は訓練だけじゃなく、発散の意味もあったんだ。」

 

 

「怖いのがその上限がいつ来るか私にもわからないことさ。肉体の呪具化自体はそんなに珍しい話じゃない。しかし彼女ほどの進行度となると後にも先にも出てくるか分からない。いつ上限に達するのか、どれほどの呪力でどれくらいの規模の爆発が起きるのか、何もかも情報がない。」

 

 

「正直興味は尽きないけれど、やるとなると最悪呪術自体の衰退を招いてしまう。私は押すなと書いたボタンがあったら自分で嬉々として押すタイプだが、死ぬのを分かっていて押すほど馬鹿じゃない。」

 

 

「ね?ここまで聞くと是が非でも封印したくなるだろう?」

 

 

思わず話に飲まれていた協力者がハッとする。確かに危険度は理解した。作戦に異論はない。ないが、

 

 

「そこまで言うなら、もうちょっと表情も取り繕えよ。」

 

 

必死にその危険度を伝え封印すべきと語った暗躍者だが、その顔はボタンを押す子どもの顔をしていた。




Q.あなたはパチンコの筐体の隙間に恐怖を感じれますか?
A.無理

主人公の秘密公開
仮に老衰で死ぬと、肉体はガッチガチだし下手に刺激を与えると爆発するしで国主体で丸ごと封印処理
それで封印できたらいいね
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