脳筋はゴリラ廻戦にて最強   作:藍嵐

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一気に飛んで交流戦前の日常パートです


正直灰原の扱いに困ってます。
せめて生得術式の有無だけはっきりしてほしい


あと夏油の強化案は思いついているのですが、離反させようか否か迷ってます


助走は足跡が化石になるほど強く

「センパーイ、俺らも混ぜて―」

 

 

敬意など全く感じない軽薄な声が耳に入る。

訓練を行っていたのは自分たちだ、とか雑魚とやりたくない、とかさんざん言っていたのは貴方だろうと言ってやりたくなるが口を動かすのも億劫だ。

今はとりあえず息を整えなければ。

 

 

呪いの世界に足を踏み入れて早一か月。一般出の私が同期の灰原とともに基礎から紡いできたものは、未熟ではあるが確かに己の力になっていると思っていた。術式が目覚めたときから鍛えてきた人たちとはいまだ大きな差があると分かってもいた。だが、確実にその差は縮まっていると思っていた。

 

 

認識が甘かった。その程度で縮まる差なら彼らはこんなにも自由に呪いを行使していない。眼だけ動かして隣で倒れこむ灰原を見る。意識はあるようだがやはり動けなさそうだ。

 

 

「いいよ、術式なしでいいなら。呪力強化のみの純粋な殴り合いだ。」

 

 

「いいね、乗った。」

 

 

「その前に後輩たちを安全な所へ避難させてくださいよ。悟ももっと後輩たちを心配してやれ。」

 

 

これだからこの人たちは、みたいな顔をしているが夏油さんも大概だ。呪霊操術という圧倒的な数のアドバンテージが売りの術式で徒手格闘も得意など詐欺が過ぎる。

 

 

「何言ってんだよ傑、俺とお前とセンパイでやりあうなら安全なとこなんてないだろ。」

 

 

「そうだね。遠くに行かれると守りずらいし、視界に入ってくれてたほうがいいかな。」

 

 

「というか私の参加って強制なんだ。」

 

 

軽く言葉を重ねてはいるが目は自分以外の二人をとらえて離さない。

手をポケットに入れながら、髪の毛をいじりながら、頭を抱えるしぐさをしながら、今この瞬間に襲い掛かられても対処できるように臨戦態勢だ。

 

 

そして誰だったか、足を動かしてグラウンドの砂がジャリ、と音を立てた瞬間ー

五条さんと夏油さんの拳を泉さんが捌いていた。

 

 

「負けっぱなしはムカつくからさ!、最初に降参させてやるよセンパイ!!」

 

 

「そういうことなんで、申し訳ないんですけど二対一だ。」

 

 

「数が増えれば私に勝てるって?力の差を教えてやるよガキンチョ共。」

 

 

五条さんの連打を埋めるように夏油さんが攻め、それを何も難しいことじゃないと平然と泉さんが捌いていく。

もはや組手の様相をなしていない、人など容易に殺せるであろうほどの威力の打撃が走っているが本人たちは気にも留めていない。

むしろ、とても楽しそうだ。

 

 

「わかってたことだけど、やっぱ先輩たちってすごいね七海。」

 

 

力の差を見せつけられながらも、灰原は一切折れた様子はなく純粋な尊敬の念のみ。

そして私もそうだ。多くの人が持たない特別な力を授かって生きてきた。家族や友人には見えないバケモノを倒して人知れず誰かを助ける立場に、酔っていたのかもしれない。

 

 

「…そうですね。」

 

 

天狗になっていたつもりはなかった。だがここにきて打ちのめされて良かったと思えた。

将来のことはまだわからない。だが此処に来たからには得られるものはすべて吸収してやる。私は私のためにしか呪いを使うつもりはない。

 

 

「強くなりましょう。私たちも。」

 

 

「うん!!」

 

 

直後、五条さんたちの術式に吹き飛ばされて、覚悟がちょっと揺らいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クッソ!なんでそんな簡単に避けれんだよ!」

 

 

「悪いね、先輩なもんで。」

 

 

悟と事前に合わせておいた連携もこの人には通じない。完璧にスキを突いたと思った打撃はニヤリと笑いながら躱され逆にカウンターを食らってしまった。今ので悟の被弾が3発、私が4発だ。いまだ被弾なしの先輩がにやけ顔でこちらを見ている。

 

 

というかそんな威力のパンチをためらいなく顔に打ってくるな。私だったからよかったが後輩たちが食らえば最悪首が飛ぶんじゃないか?まあさすがに手加減はしただろうが。

 

 

「どうする悟。事前に決めておいたパターンはすべて試したが。」

 

 

「ぜってー一発決める。傑、あれやるぞ。」

 

 

「…術式なしじゃなかったか?」

 

 

「でも傑もムカつくだろ?あの顔。」

 

 

「…一回だけだぞ。」

 

 

ヨッシャとつぶやきながら悟が駆けていく。それと同時に呪霊を四体展開。発行する能力があるだけの等級の低い呪霊を先輩の背後の左右上下に配置する。

 

 

「術式なしって言わなかったっけ?」

 

 

「直接攻撃するわけじゃないからセーフだろ!」

 

 

そういいながら悟が大きく振りかぶった腕で先輩に向けて攻撃する。迎撃のため右手がほんの少し動くのを確認した瞬間右に配置した呪霊が光る。

 

 

「蒼!」

 

 

瞬間その呪霊を中心に発生する蒼。弾かれるように吸い寄せられる先輩の右腕。

 

 

悟の術式、無下限呪術は強力だがその弱点として六眼をもってしても困難な精密な呪力操作とその効果範囲が挙げられる。特に効果範囲については悟も悩んでいるところで、先輩ほどの強者と闘いながら指定したポイントに出力を絞りながら術式を発動させるのは困難どころの話ではない。

 

 

なのでそのプロセスの一部を私が請け負った。私が発現させるポイントを指定すればあとは悟がそこに術式を発現させるだけ。練習した甲斐あって無事成功した。

まあ呪霊や呪詛師相手ならわざわざ出力を絞る必要もないので、完全に組手での対先輩専用の無駄技なのだが。

 

 

弾かれた右腕に目線をやる先輩。その無防備な姿におもわず獲ったと顔をほころばせて

悟の顔に先輩の渾身右ストレートが決まった。

 

 

呆然とする私、その横をぶっ飛んでいく悟…は?

 

 

「悪いが、ソレをを使うのは分かってたよ。五条ほどじゃないがこっちも特別製でね。」

 

 

やられた。右腕に目を向けたのも釣りだったのか。先輩がよくやる体勢や視線のブラフ。というか特殊体質持ちなんて聞いてない。蒼を使うことを分かっていて話しかけてきてたのか。やはりこの先輩は…

 

 

「ちなみに左でも対処できたがあえて右で殴った。あの程度なら問題なく突破できるし、真正面から策を破られた方がムカつくだろ?」

 

 

…いい性格をしている。

 

 

「さて夏油。私は今から呪力のギアを上げてお前を殴るので、精々死ぬなよ。」

 

 

悪寒に思わず腕に呪力を集めた瞬間、その上からぶつけられた拳に防御を剥がされ、鼻先に走る鋭い痛みを知覚したところで私の記憶は途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハハ、流石は宝火ちゃんやな。」

 

 

報告書の一番上に書かれた字ずらに思わず笑いがこぼれてしまった。さぞ面白いことをしたのだろうなと読み進めていく。

 

 

なるほど、訓練中熱が入ってしまったのか術式を使った五条悟と夏油傑を呪力強化のみで殴り飛ばしたらしい。五条家相伝の術式なら如何に強力な攻撃であろうと効かないはずなのだが。まあご自慢のバリアは使わない程度の訓練だったのか。はたまたそのバリアの上からぶん殴ったのか。

 

 

「まあ宝火ちゃんなら無限を破る方法を持っとってもおかしくないけどな。」

 

 

己の術式と向き合い続け力を磨いてきた彼女のことだ。五条悟のバリアを知ったならそれを破るすべを模索するはずだ。いやするに違いない。そうやって試行錯誤して少しずつ力をつけていくところをまじかで見てきたのだから。

おもわず過去に浸りそうになったところで椅子が揺れる。さっきも言ってやったのに分からない奴らだ。

 

 

「なぁなんべんも言わすなや。椅子にもなれんとか君らここで何してきたん。」

 

 

下に積みあがる呪術高専京都高に在籍する二,三年生たち。しかし先輩に向ける敬意など持ち合わせていない。強めに蹴ってやるとようやく身じろぎしなくなった。

 

 

「君らが僕みたいにいいとこの出やないのは別にええよ。生まれとか僕もどうでもいいと思っとるからな。」

 

 

下の誰かと目線が合う。随分と驚いているようだ。まあ禪院家嫡男からそんな言葉が出てくれば驚くか。

 

 

「ただ弱いこと。これはあかんね。術式やら何やら自慢してくるからさぞ強いと期待してみれば。」

 

 

「ええか。僕はお前らよりひどい環境で強くなった子を知っとる。お前らより使い勝手の悪い術式で強くなった子を知っとる。」

 

 

「それやのにお前らは何なん。ご自慢の力に振り回されて満足に戦えもせん。強くなれないとあきらめて現状を打開することを諦めとる奴もおる。」

 

 

「僕はな、弱い奴が嫌いや。弱いくせにいっちょ前に自分の意見を垂れ流す奴とか死んだらええと思っとる。」

 

 

「弱者がやるはただひたすらに努力することや。周りの言葉に耳を傾けずその身が擦り切れるまで力を磨く。それだけや。」

 

 

「この世界に強者として生まれ落ちた奴やってやっとることや。それやのに弱者がせんとかおかしな話やろ。」

 

 

「まあ長くなったけどな、お前らなんて術師でも人間でもないねん。そんな当たり前のことができん劣等品なんやからな。」

 

 

「いままで我慢してたけど目に余るから言ってやったわ。これからは人様に迷惑かけんよう縮こまって下向いて生きてこな。」

 

 

屑山の上から飛び降りて部屋に戻る。待ちに待った再開の日が近づいているのだ。彼女が高専に入学してから三年。どれほど強くなっているだろう。

 

 

「姉妹高交流戦、終わったら東京案内してもらおか。」

 

 

ああ、楽しみだ。




先輩ぼこしたら交流戦できなくね?

真依について

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