似非なんで違和感あったら意見オナシャス
呪術高専、姉妹校交流戦。
東京校と京都高に所属する術師の卵たちが二日間にわたって競い合い研鑽する場。
一日目は団体戦。二日目は両校の学長によってその都度決められるが大抵個人戦である。
という名目だが、正直なところ―
「つまんないもんだったんだけどね。」
「去年センパイは出たんでしょ。どうだった?強い奴いた?」
そう問いかけてくる五条。今年初参加だが緊張しているそぶりはなくむしろワクワクしている。まあ高専に来て初めて夏油という対等の友人を得られたので期待しているのだろう。
もしかしたら夏油のような奴がいるのではないかと。
「いないね。一発殴ったら全員動かなくなったし。」
まあそんな奴がいたらもっと噂になっている。
京都という場所が悪いのかあそこは保守派の人間ばかりだ。団体戦の途中話しかけられたからなんだと思ったなら、嫁にしてやるとか光栄に思えとか。此方の知らないところで品評会があったらしい。キモ過ぎて強めに殴ってしまった。
話してやると最近一般常識を身に着けてきたお坊ちゃまもその親友もドン引きしていた。まあそうなるよね。
「あーでもセンパイが目に着けてるやつ。禪院家のやつがいるんでしょ。あそこの出身とか全く期待できないけど。」
御三家の五条家と禪院家の中の悪さは有名な話だ。散々嫌がらせを受けてきたのだろう。口にもしたくないと歪んだ顔が語っている。
「気持ちはわかるけどね。でも五条は気に入るよ。夏油も、呪術に明るい直哉はいい相談相手になるんじゃないかな。」
「は~?傑には俺がいますけど~?御三家は一回しか選べないんですけど~?」
「ああ、ポケモンやってくれたんだ。今度対戦しようよ悟。」
夏油のほうは少し緊張しているが戦闘に影響が出るほどじゃないだろう。五条はその夏油に対しての重たい矢印を何とかしろ。あと、
「興味を引くような言い方しといて悪いけど直哉の相手は私がするよ。」
「いや譲ってよ。センパイは高専に入る前にさんざんやったんでしょ。」
「五条、譲ってくれるなら前言ってたやつを見せてやる。」
「…なんからしくないけど。何、恋人だったりすんの?」
何を言い出すかと思えば。夏油は、先輩って恋とか興味あったんですかとか言うな。こちとら花の女子高生やぞ。
まあらしくないと思うだろう。ただ五条達には見せていなかっただけで。私はこんなもんだ。自分が強くなるチャンスにはすぐに首を突っ込む。じゃなきゃ禪院家当主の部屋に入り込もうとしない。
あいつは絶対強くなっている。何か新しい武器を携えてやってきているに違いない。それを最初に見るのは私だ。最後にそう約束した。次会うときは互いに強くなったところを見せようと。
「さあね。まあずっとあいつのことを考えてはいるよ。」
悪いがもう話しは出来ない。呪力を練るのに忙しいんだ。
息を吐きながらゆっくり体を伸ばしていく。全体の確認が終わったが特に問題はなし。まあ一か月前から意識して準備してきたので問題がある方が困るが。
「あーその。直哉様はどうなさるおつもりで?」
この前椅子だった一人がこびへつらいながら聞いてくる。本当ならどの面下げて話しかけれるんだと言ってやりたいがここで手を出すと交流戦が中止になる可能性もある。
「僕は宝火ちゃんの相手をするから君らは適当に足止めしてや。」
「しっしかし、我々では五条悟と夏油傑を止めることは」
「なんで僕が君らを手助けせないけんの?交流戦やし殺されることはないんやから体張って止めろや。」
マシなのを残して僕が出れるように篩をかけてきた。だがこのようなら対した時間稼ぎにもならないかもしれない。せっかくの再開がつまらないものにならないといいのだが。
「僕から君らに言うことは一つだけ。邪魔をすんな。もし僕があの子と闘っているときに顔を見せたら本気で潰す。」
二日目もある。我慢できなかったから集団戦で戦おうとしているだけだ。限られた時間だが目一杯楽しむことにしよう。
「僕はこんなに君のことを考えとるけど。君はどれくらい返してくれるやろか?」
まあ返してくれるからこの関係は続いとるんやけどね。
「姉妹校交流戦!開始!」
合図と共に森の中をかけていく。行先は決めてないがただまっすぐに。そのうち気をよけることすら面倒になって呪力強化でなぎ倒していく。そうして進むうちに懐かしい呪力の巡りがちらりと。やっぱり速くなってる。そうでなくっちゃね。
「久しぶりやね宝火ちゃん。」
「久しぶり。随分速くなったね。」
「そう?そう言ってくれるなら嬉しいわ。」
久しぶりに会った直哉は随分と背が伸びたようだ。体格と骨格は近接戦においてアドバンテージとなる。よく寝てよく食べろと言ったのは随分と昔だが律義に守っているらしい。
「うん。強くなっとるね。体を巡る呪力の質が段違いやわ。」
「よく見てるね。そっちも昔から呪力の流れは綺麗だったけどさらに洗練されてる。」
再開を楽しみながら、互いの成長を嬉しがりながら自然体で近づいていくそうしてお互いの手が届く距離になった瞬間。ノーモーションで突き出された拳がぶつかり合う。
心情的には後輩とやっている組手と変わらない。ただそこに織り交ぜられる誘いやフェイントの数が大違い。相手の攻め方や癖を知っているが故に一杯食わせてやろうと思ったらギアを数段上げないといけない。
術式の性能で言えば五条のほうに軍配が上がる。ただ現時点では近接戦闘なら直哉の方が上だ。密度と精度が上がっていく戦いに思わず笑みがこぼれる。つられてか直哉も笑う。
「いや構わんわ。僕はこんなに一生懸命やっとんのに笑っとるんやもん。」
「せめて口元のゆがみを直してから言えよ。まだ余裕あるくせに、狸め。」
「おぉひど。まあこのままやってもいいけどお披露目したいもんもあるしな。」
「第二ラウンドか。いいね。使いなよ術式。」
そういった瞬間直哉の姿が掻き消える。
投射呪法。一秒を分割してあらかじめ作った動きをトレースすることで、一秒間に分割した分動くというもの。そして触れた相手にも分割のプロセスを強制し、出来なければ一秒間フリーズしてしまう。
最後にあった時は現当主である直毘人さんと同じく二十四分割して動くことが出来ていた。そして直哉ならば
「当然分割数を増やそうとするよな。」
「防いどいてよう言うわ。」
姿は見えなかったので呪力の残り香を見てとっさに防御した腕に直哉の蹴りが突き刺さる。投射呪法は連続で使用することでスピードを上げていくが逆に最初はそこまでスピードが出ない。しかし今の動きは記憶の中の直哉よりも速かった。
「足軽も使ってるな。そんなに自由に動けてたっけ?」
「そら猛練習したからな。もう空中でフリーズするような恥ずかしい真似はせんよ。」
拡張術式、足軽
空中にいるとき足で触れている空気に対して術式を発動し足場とするもの。足で術式を発動させるため、そして加速中の足場とするためにフリーズする時間は十分の一間で減らしている。なので直哉でも最初は苦戦していたが成功すると三次元の動きをできるようになるとともにフリーズした空気を割った時の衝撃でさらに加速することが出来る。
すぐさま移動する直哉に向け、足元の石を砕きながら術式を発動。ショットガンのような威力で石片が飛んでいくがかすりもしない。すぐさま靴に術式を使い大地を砕く。
「空中を走れるんやで。そんなんで止まらんよ?」
「知ってるよ。でもこれなら?」
舞い上がる土煙を強化した腕でかき回しながら術式を発動。やすりのようになった土煙で直哉を削る。
「でもやっぱ触ったっていう意識が薄いからかな。強化率も微妙だ。」
「さらっとすごいことしとるの分かっとる?解釈次第って言っても限度があるやろ。」
「効かないなら意味ないしね。」
でも時間は稼げた。怖がって近づいてこないおかげでこっちも準備できる。両手で木の枝を拾い術式を発動。そこにさらに呪力を流し込む。
「硝子の鉄槌。」
そのままくるりと一回転しながら枝を振るった瞬間空気が破裂し爆ぜる。大体五十メートルくらいだろうか。私を中心として円状に障害物のないコロッセオの出来上がり。開けた視界の奥に直哉の姿が見える。上手く避けたらしい。流石だな。
「いやヒヤッとするわ。呪詞無しでも発動出来るようになったんやね。」
「逆さ。呪詞をとなえないと出力を制御できずに毎回百パーセントの威力が出てしまってたんだ。」
「ククッ。まああんなん毎回打ってたらお仕事なくなるわな。」
雑談しながら次はどう攻めるかを考えているとこちらに向かてくる呪力の塊を二つ捉える。
「チッ。やっぱ時間稼ぎにもならんか。」
「あの二人相手なら仕方ないんじゃない。それとね直哉。言い忘れてたけどあいつらと邪魔しないって約束したからまだやれるよ。」
「ほお。ええこと聞いたわ。じゃあお言葉に甘えて本邦初公開ってやつやね。」
再び直哉が加速していく。私も刃をつぶした刀に術式を発動し構える。直哉の態度に余裕があった理由がようやくわかる。邪魔をするなど無粋な真似はしない。
「―写像、独白、夜風と隼」
「投射呪法、
分かっている人もいそうですが、呪詞については歌や小説からとってきてます。
ちなみに橘の花言葉は追憶です。
真依について
-
クランクアップ
-
キャスティング