あれやこれやで時は過ぎ、気付けば転校先の校門前。
色々な事情によりまずは此処で待っている様に手続きの際に言われたので大人しく待っていることにする。
さて、これから転校する戦精小学校は全校生徒が800人位のそれなりに大きな学校……転校する前の大体2倍くらいの生徒が居るらしい。
それにしてももしかしてスピリットファイトというカードゲーム世界だから戦精小学校なのだろうか。……前世の記憶のせいで変な思考になってしまった。
なんにせよやることはただ1つ。大人しい子達の用心棒だろうがなんだろうが完全には周囲から浮かない事。あわよくばそれから仲良く話せて友人と言える程度の関係が作れる子がいる事を願うだけかなぁ。
志が低いと思うかもしれないけれども、現状維持を目標としてそれ以上は高望み……とまでいかなくても今後に期待しましょうくらいの心持ちの方が私の精神的に良い気がする。
そうして少し待っていると
「ごめんなさい、待たせちゃったね。
えっと夜薙 呪樹さん、で良かったよね?」
「あ、はい。」
若い女性の先生が迎えに来てくれた。
「夜薙さんが編入する5年2組の担任をしています、田中 瑠璃と言います。悩み事とかあったら気軽に相談してね。」
「はい、こちらこそよろしくお願いします。」
「じゃあ朝のホームルームまで職員室で待っていましょうか。
職員室はこちらなのでついて来てくださいね。」
……………………………………
特に職員室では何かある訳も無く、時間になったとの事で再び田中先生に着いて行き、5-2と書かれた教室前まで来た。
「申し訳無いけれど、少し此処で待っててね。
準備が出来たらこちらから呼ぶからそうしたら入って来てね。」
「分かりました。」
そう言うと田中先生は教室に入っていった。
教室から漏れて聞こえてくる声は元気に溢れていて、とてもじゃ無いけれども私とは大違いである。
それにしても、友達……出来るのかなぁ。
こう思い返すと、変に前世思い出したせいであまり共有できる趣味って持ってないからなぁ……。正直、今何が流行ってるんだろう。多少は話に着いていける様にしないと……。
「夜薙さん、入って来て。」
おっと、呼ばれたみたい。
田中先生に呼ばれて教室に入れば沢山の視線。
正直、ものすごく緊張する。
「えっと、夜薙 呪樹と、言います。
よろしく、お願いします……。」
「……それで終わり?
好きな事とかも教えて貰えるかな……?」
申し訳無いけれども私は内弁慶なので。
初対面の人達の前でそんな気の利いた自己紹介は無理です。
それにしても好きな事……、好きな事……。
「一応スピファイは好きだと思い、ます。
最近はあまり出来てないですけれども……。」
「……はい、そういう訳で夜薙 呪樹さんです。
夜薙さんの席は廊下側から2列目の1番後ろです。
2組のみんなも仲良くしてあげてね。」
最後にもう一度お辞儀をして、こそこそと席に向かう。
それにしても好きな事でありきたりなことしか言えなかったなぁ……。
私の転入で朝のホームルームは終了した。
そして向けられる沢山の視線再び。
「夜薙ちゃんって前は何処に住んでたの?」
「夜薙ちゃんっておっきいけど身長いくつ?」
「夜薙ちゃんって何属性のデッキ使うの?」
「夜薙ちゃんのこと呪樹ちゃんって呼んで良い?」
「夜薙ちゃんってスピファイ強い?」
ちょっと待って、対応出来ない。
えっとどうすれば……。
「ちょっとみんな!
そんなに一気に訊いても夜薙さん答えられないでしょ!」
1人の女の子のお陰でみんなちょっとは落ち着いてくれたみたい。
とりあえず1人ずつ質問してくれるようになった。
前に住んで居たところは?
───隣の〇〇県の✕✕って所。
身長はどのくらいあるの?
───前測った時には161cm。でも多分また伸びてる
スピファイの使うデッキは?
───それは戦うまで内緒と言うことで……。
呪樹ちゃんって呼んでも良い?
───嫌でなければ是非。
スピファイ強い?
───多分弱くは無いけど、どのくらい強いかは分からないです。
じゃあ今からスピファイしようぜ!
───え、あ、はい。……はい?
どうしてこうなった……?
目の前にはプレイ用のマット。
そしてお互いのデッキ。
最後にお互いのデバイス、ファイトギアだったかな……がある。
勢いに流されてしまったけれどもこれからスピファイをすることになってしまった。
前の学校ではほぼ学校内トップレベルの強さだったのでぼろ負けする事は無いと思いたいけれども……。
「「スピリットファイト、エキサイト!!」」
次回、スピファイの説明回だと思います。