元勇者の先生日誌   作:Ruve

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vol.1 第1章 日の傾く砂漠の学校にて
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 1つ。これはとても重要なことである。

 アビドスからの支援要請は、手紙で来ていたということである。返送することは出来るが時間はかかるだろうし、他に連絡先と思わしきものも記入されていない。

 

「あっつ……」

 

 リーリァ・アスプレイは、市街地を1人歩いていた。アビドス自治区の市街地は、砂漠化の影響もあってか気温が高い。

 アビドス自治区に訪れて最初に感じたのは、まるで廃墟のようだ、という感想。強大な怪物(モンストラス)の大群の襲撃に遭い、放棄せざるを得なくなった村や街というものは見たことがあるが、そういったものに近いような。人の気配がしないし、当然店も開いていない。

 リーリァの人生において、1人の時間はそれなりに長い。正規勇者(リーガル・ブレイブ)の戦いについていける人間というものは他にいないため、余程広域の作戦だったり、政治上の理由でもなければ1人で戦うことがほとんどだった。

 悪い意味で、孤独に慣れている。

 

『私がいますから、1人じゃないですよ!リーリァ先生!』

 

 街に入った際に、アロナから言われた言葉だ。……本当に困った時は、話し相手にでもなってもらおうか。

 逆に言うと、今はそれくらいしか役に立たない。アロナの案内で向かった先は、既に廃墟になった校舎。どうやら移転しているらしく、しかもその先を知らないため自力で探すことになったのだ。

 一応、ユウカにヘルプを求めてみたが既読がつかない。忙しいのだろう。

 

 ……どうせ誰にも見られてないし、思いっきり跳んでみて探してみるのはどうだろうか。

 

 まるでその横着を止めるかのように、リーリァの耳へ音が聞こえてくる。

 これは……自転車の走っている音。しかもこちら側に向かってだ。

 振り返ってみると、予想通り誰かがこちらに向かってきている。灰色の髪に、犬や猫のような獣の耳がぴょこりと生えている。

 最初はそういったものに違和感はあったものの、キヴォトスにおいてそれは亜人ではなく人間だ。そういうものだと無理矢理飲み込んだ。

 そして重要な点はもう1つ。制服を着ている、ということである。どうやら2日程彷徨ったかいはあったようだ。

 

「おーい!」

 

 救助を求める市民のように、大きく手を振りながら声を上げる。

 自転車は当然、リーリァの前に止まった。

 

「ん、誰?」

 

 自転車から降りず、若干の警戒と共に見る。自分で言うのもなんだが、私の赤い髪は目立つ。ましてやこれだけ人のいない地域に暮らしているのなら、アビドスの外から来た人間というのは一目で分かることなのだろう。

 なので、手っ取り早く説明するために鞄の中を漁る。そして取り出したもの、名札を見せながらリーリァは挨拶をする。

 

「連邦捜査部『シャーレ』より来た、リーリァ・アスプレイです」

「シャーレ……連邦生徒会の?」

 

 連邦捜査部シャーレは、独立した権限こそ持っているが所属としては"連邦生徒会の部活"である。名札にも、連邦生徒会のマークが記されている。

 そして、シャーレであると名乗ってもピンと来ていない辺り、彼女は手紙の差出人である奥空アカネという子ではないということも分かる。

 

「『アビドス』に用事?」

「そんな所だよ」

 

 少女は、小さくだけど笑った。

 

「……そっか、久しぶりのお客様だ」

 

 まあ、こんな所に来るまともな客も、そういないだろう。

 

「それじゃあ、私が案内してあげる。すぐそこだから」

 

 こんな人もいないような場所の近くにある学校。知れば知るほど、アビドス高等学校のピンチさが伺えてくるなと思った。

 

 

ーーーーー

 

 

 その部屋のプレートには、『アビドス廃校対策委員会』と書いてある紙が貼っていた。

 炎天下の中の長時間の移動で着崩していたスーツを整え直してから、少女……砂狼(すなおおかみ)シロコに続き、足を踏み入れた。

 

「おかえりなさい、せんぱ……」

 

 黒い髪の、同じく獣耳の生徒がこちらを見て停止する。

 

「ん、お客さん」

 

 同じく部屋にいる、黒い髪で眼鏡をかけた生徒と、ブロンドの生徒も視線がこちらに向く。

 

「おかしいですね、今日は来客の予定はありませんでしたが……」

 

 予定をメモしていると思われる手帳を確認しながら、眼鏡の生徒が呟く。

 

「あ〜、連絡取ろうにも取れなかったから……」

「?」

「私は連邦捜査部『シャーレ』から来た先生、リーリァ・アスプレイだよ」

「!?もしかして、支援要請が受理されたのですか!?」

 

 驚きながら声をあげる。どうもこの様子だと、受理されるとはあまり考えていなかった様子。

 

「わあ☆よかったですね、アヤネちゃん!」

「やった!これで補給が受けられる!」

 

 わあわあと喜んでいる。手紙の内容からしてそうだったが、余程ピンチだったらしい。

 これは後で聞いた話なのだが、シャーレ設立前から連邦生徒会に難度も要請を送っていて、一度も受理されなかったようだ。

 

「じゃあ、これのサインだけして欲しいんだけど……誰が代表かな?」

 

 予め作成してきた書類を端末ーーシッテムの箱ではないーーに表示し、サインを求める。

 

「ホシノ先輩なんですが……」

「今隣の部屋で寝てるから、起こしてくるね」

 

 黒髪獣耳が、あ〜もうと言いながら部屋を出ていく。あの感じだと、ホシノという人物は普段からそうなんだろうなと想像がつく。

 

「そうですね、今のうちに紹介しましょうか。私は委員会で書記とオペレーターを担当してます、奥空アヤネ、1年生です」

「ああ、君が手紙の差出人」

「はい。そして、今先輩を呼びに行ったのが私と同じく1年の、黒見セリカ」

 

 それからアヤネは、部室に残っている2人を続けて紹介する。

 

「こちらは2年の、ノノミ先輩とシロコ先輩です」

「はい☆私は十六夜ノノミです、よろしくお願いします」

「ん、私はさっきしたけど改めて。砂狼シロコ。よろしく」

 

 和やかな空気で、迎え入れられる。彼女達がいったいどんな生徒なんだと少し気にしていた部分はあったが、みんな素直でいい子のようだ。

 私のようなひねくれ者はいないらしい。……と、この時は思った。

 まるで自己紹介が終わるのを待っていたかのように、扉の開く音。

 

「ほら、先輩」

「んもう、そんなに強引にされたらおじさん怪我しちゃうよ〜」

 

 セリカに手を引かれるようにして入ってきた、この場で一番小柄な生徒。かなり長い桃色の髪に、黄色と青のオッドアイがこちらを捉える。

 ふんにゃりとした様子に、そんな様子に見合った声色で挨拶した。

 

「やあやあ、おじさんは小鳥遊ホシノだよ〜」

「よろしくね。もう聞いたかもしれないけど、私はシャーレの先生、リーリァ・アスプレイだよ」

 

 もう一度、ホシノの瞳はこちらを捉えた。

 

「それで、サインすればいいんだよね〜」

「……はい、どうぞ」

 

 端末とペンを渡す。

 ………なんというか、正直意外だった。この小鳥遊ホシノという少女、この部屋に入ってこちらを見た瞬間から、敵意のようなものを感じる。害意や悪意といったものではない。あくまで警戒とか、そういった範疇のものではあるが。

 先生を名乗ってここまで警戒されてたのは初めてだ。

 

「……うへ?先生、笑ってる?」

「ん?ああ、おじさんとか言うからさ」

 

 どうやら、思っていたことが顔に出ていたらしい。……"先生"というのが、無条件で信頼されてしまうような肩書ではないと、安堵していたから。

 そして、このホシノの、取りようによっては巫山戯ているとしか思えない態度だが、咎めるものがいない辺り平常運転らしい。いつも、こんな態度を"被っている"のか。

 とんでもない捻くれ者が、いたものである。

 ……先生としては、彼女のことは知っておくべきだろう。

 

 それはさておき。

 "2つ"持っていた鞄の内、片方を部屋の中央にある机に置く。中にあるケースに携行出来る量の物資を詰めてきた。

 

「まずはこれ、確認して」

 

 ケースを開き、5人に見えるようにする。

 おお、と驚きそれぞれが手に取る。

 

「こんなに貰っていいんですか!?」

「う〜ん、これ結構高かったんじゃない?」

「ありがとう、先生」

 

 さて、これでとりあえずは仕事完了かな。

 と、思ったのも束の間。聞こえてきたの銃声。

 

「なっ、まさかこんな時に!?」

 

 セリカとシロコが窓に向かい、アヤネがタブレットを確認する。そしてノノミとホシノはタブレットを横から覗く。

 リーリァも窓際に向かってみると、ヘルメットを被った集団が校庭へと侵入していた。

 

「ひゃーはっはっ!」

 

 凄く典型的な、悪役の笑い声が聞こえてきた気がする。

 

「攻撃!攻撃だ!奴らは既に弾薬の補給を絶たれている!今日こそ占拠させてもらうぜ!!」

 

 リーダー格と思われる赤いやつが、宣戦布告をする。

 幾つか気になることはあるが、どうやらまずはこのトラブルを解決しなければならないようだ。

 

「カタカタヘルメット団!」

「あいつら、性懲りもなく……!」

 

 もういい加減相手するのもうんざりだ、と言わんばかりの雰囲気。あのカタカタヘルメット団というのが手紙に書いてあった集団で間違いなさそうだ。

 

「幸い、補給は受けられました。今回も追い払いましょう」

「出撃です☆」

 

 てんやわんやと4人が出撃していく。オペレーターを担当している、と言っていたアカネはこの部屋に留まったままだ。

 

「先生、よろしければサポートをお願いします」

「よし、指揮は任せなさい!」

 

 こうなるだろうなと予測して、仕事の合間に銃撃戦の基本といった指揮に関わる知識は仕入れておいた。

 それからこっそり、シッテムの箱を起動する。

 

『アロナもサポートお願いね』

「分かりました!先生!」

 

 怪しまれないように文字入力で伝える。アロナは元気よく答えるが、どうやら私以外には認知できないようなので、そこは問題ない。

 

 

ーーーーー

 

 

「う、うわー!覚えてろよーー!」

 

 捨て台詞を吐きながら、ヘルメット団は撤退していった。

 

 結果だけ言うと、問題なく制圧はできた。足が早く撹乱のできるシロコと、盾を持っているホシノが前衛。狙撃が得意なセリカと弾幕形成のできるノノミが後衛。更にアヤネがドローン操作で補給を始めとした援護を行う。

 長らくこの5人で戦っていたのだろう。最低限の指示だけで上手く連携を取れていた。

 

「先生、ありがとうございました」

「まあ、先生だからね。それよりもさ、落ちている武器の回収お願いしていい?」

 

 カタカタヘルメット団が落としていったーーあとついでに放り投げていったーー武器が、戦場となったグラウンドに幾つも転がっていた。

 これはちょっと、確認しないといけない。

 

「先生の指揮、とても良かった。普段よりも動きやすかった」

 

 戻ってきたシロコが、開口一番そう言った。

 

「そんなことないよ。皆の連携の賜物だよ」

「ふふん、そうでしょ!」

 

 実際、シャーレ奪還作戦で見ていた戦闘よりも、個々の練度も連携の上手さも違ったように見えた。個々の練度、という意味ではホシノの動きに違和感はあったが。

 

「でも、先生の指揮が良かったのは本当。補給もしてくれたし、これが()()()()なんだね」

 

 まあ、大人ではないけれど。

 

「……とりあえず、現状を整理しようか」

「現状、ですか?」

 

 話題を変えるという意味も含めて、一回整理することにする。

 

「来る前に、ある程度は調べてきたからね」

 

 聞けば、アビドス高等学校廃校対策委員会、通称対策委員会のメンバーはここにいる全員であり、またアビドスの生徒も同じくここにいる全員のようだ。

 シロコ曰く、昔いた生徒もだいたい転校や退学し、更に学園都市からも人はいなくなっていったそうだ。

 そんな状況下で、更にはヘルメット団の定期的な襲撃も起きている、とのこと。

 

「うん、まあ裏があるよね」

 

 ひとまずの結論は、それだ。

 

「裏、ですか?」

「いくら不良共とはいえ、人も金もない学校を襲撃する理由がない。一度だけならまだ理由は探せるけど、定期的な襲撃となると話は別。それに……」

 

 対策委員会のみんなに回収してきてもらった銃を、おもむろに1つ取る。

 

「あんな荒い使い方してた割に、状態がいい。買ったばかり、或いは貰ったばかりだと思っていいでしょ。しかもこんなに落としていく割には、何度も襲撃し直せている。つまり、結構大きなバックが付いてる」

「ん、確かに言われてみればそうかも」

「こちらの物資ばかりに気にかけて、そこまでは考えてませんでしたね……」

 

 多分それも、狙ってのことだ。

 ヘルメット団が弾薬が尽きかけていることを知っていたのなら、それを教えただろう者も当然知っている。

 限界まで追い詰めて、守ること以上に手が回らなくする。そうすれば何度か攻めている間に確実に落とせる。

 

「つまり、アビドスを狙ってる何者かがいる、ってことですか!?」

「……やっぱり凄いね、先生」

「それほどでも」

「じゃあ、それが誰なのかって分かってたりするの?」

 

 ……沈黙。セリカは露骨に落胆した様子だし、ホシノも一瞬だけだが目を細めてこちらを見ていた。

 状況証拠からの推理はしたものの、正体が誰かという点に関してはヒントがないに等しい。そもそも、砂漠に飲まれかけていて多額の借金もあるこの土地を狙う価値がない。

 まさか理由なき侵攻ということでもあるまい、怪物(モンストラス)でもあるまいし。

 

「うへ、それならおじさんに一つ計画があるんだ」

 

 沈黙を破るように、ホシノが言う。

 

「ホシノ先輩が計画……!?」

「うそっ……!?」

 

 そしてその反応はあんまりなものであった。或いは、そう思われるように振る舞っているのか……まだ分からない。

 

「おじさんでも、それはちょ〜っと傷付いちゃうなあ。おじさんだって考える時は考えるんだよ?」

「で、どんな計画?」

「つまり、裏に誰がいるか分からないなら、ヘルメット団から聞き出しちゃえばいいんだよ」

 

 なるほど〜、といった雰囲気になる。しかし経験上、ああいう下っ端は尻尾切りされるだけだろうし、そういう奴らが上について把握してるとも思えない。

 計画の内容次第では反対しようと思いつつ、まずは聞いてみる。

 

「ヘルメット団はまた数日もすれば攻撃を仕掛けてくるはず。ここんとこずっとそういうサイクル続いてるからね〜。だから、消耗が一番激しい今このタイミングで前哨基地を襲撃してやろうかなって。先生の予想が正しいなら、防衛してるだけだとキリないみたいだしね〜」

 

 その考えが今思い浮かんだ、ということでもないだろう。ただ補給が出来たこのタイミングで提案してみたということだ。

 ……凄く攻撃的な計画。こちらも防衛で多少は消耗しているはずのこのタイミングで攻勢に出るという、リスクのある行動。ただメリットがそれを上回るというだけ。

 なるほどな、と思う。ホシノの戦い方に感じていた違和感の正体はそれだ。これほど攻撃的な思考が出来る人間が、大盾で防衛を重視した戦い方をしていた。だからちぐはぐ、とまではいかなくても少し妙な戦い方になったのだろう。

 

「い、今からですか?」

「そう。今なら先生もいるし、補給とか面倒なことも解決できるし」

「なるほど。ヘルメット団の前哨基地はここから30kmくらいだし、今から出発しよっか」

「良いと思います。あちらも、まさか今から反撃されるなんて、夢にも思っていないでしょうし」

 

 みんなは困惑していたが、すぐに納得させてしまう。そして私自身、別にこの計画に反対する理由はなかった。

 ヘルメット団から直接黒幕を聞き出せる可能性は低いが、例え聞けなくてもこちらが動いたという結果が残る。どう転ぶかはまだ分からないが、何もしないよりはいい。

 

「先生も、これでよろしいですか?」

「皆が大丈夫なら私も構わないよ。ちゃちゃっとやっちゃおう」

「……提案したおじさんが聞くのも変だけど、本当にいいの?先生」

「別に気を遣ってるわけじゃないよ?」

「まあ、そうなんだろうけど」

 

 そう言うホシノは、神妙な表情をしていた。しかし、瞬きした直後にはもう先程の表情に、どこかにへらっとしながらも好戦的な雰囲気を感じさせる笑みを取り戻していた。

 

「よっしゃ、先生のお墨付きももらったことだし、この勢いでいっちょやっちゃいますか〜!」

「善は急げってことだね」

「はい〜、それではしゅっぱーつ!」

 

ーー好戦的なのは、どうもホシノだけではないようだけど。

 

 

ーーーーー

 

 

 ドカーン!

 

 派手な爆発音と共に、ヘルメット団の補給所と弾薬庫が消滅する。同時に突撃の合図でもあった。

 シロコとセリカが急襲し、ホシノが退路をコントロールする。そして、頑張って逃げ出した先にはノノミのミニガンがお出迎え。随分とあっさりと制圧は完了した。

 

「あんた達に資金提供してたの、誰なのよ!」

 

 捕縛に成功した、このアジトではリーダー格と思われる人物にセリカが詰め寄る。

 

「し、知らねえって……」

「ふ〜ん……?」

「ん、嘘は良くない」

「蜂の巣にしちゃいますよ☆」

 

 アビドスの精鋭4人に詰め寄られ、先程の奇襲の件もありヘルメット団のリーダーはガタガタと震えだす。

 

「ほ、本当に知らねえよ!援助を言ってきたやつも、誰なのかは言ってなかったし!」

 

 まあ、そんなとこだろうな……とリーリァは頭を抱える。なんというか、見知らぬ人間の援助を素直に受けてしまう無警戒さがあるから都合よく利用されるのであろう。

 

「嘘は吐いてなさそうだし、離してあげようか」

「ん〜?逃がしちゃうの?」

 

 縛っていた縄を解くと、ぴゅ〜と風のように走り去る。ホシノがとぼけるが、これは警戒させないためのものであろう。事前に一つ、アヤネに指示を出していたからだ。

 解放した団員を可能な限りドローンで追跡をして、と。もし別な隠れ家があるなら、教えてくれることになるだろう。

 

「まあ、念には念をね?」

 

 

 ん、弾薬庫の弾薬、全部回収したかった。

 うへ〜、泥棒は感心しないな〜。

 

 黒幕こそ分からなかったが、カタカタヘルメット団の襲撃という目先の問題が解決したため、割と和やかな雰囲気で帰還することになった。

 ……しかし、セリカだけは少し不満そうな顔になっていた。




『先生、まさか遭難してませんよね』
『待ってください、出発したの一昨日ですよね?』
『救助が必要なら今すぐヘリを飛ばさせます』

 ……めちゃくちゃ心配している、ユウカからの返信があったことに気がついたのはアビドスに戻ってからのことである。
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