冬も深まっていたその日は少し暖かかった。一ヶ月間の度重なる戦闘の中でも俺らはしぶとく生き残り、俺は中尉に昇進を果たしていた。明石はそのままの階級だったがその後のポストは確約されており、宮本は下士官一歩手前に、日比谷は一等兵になっていた。だからと言って第三分隊のメンバーは変わることはなかった。
「さて、今回は重大な任務だ。」
勝坂は執務室の机に両肘を乗せ、そう言った。明石が「何回目だろうねこの下り」と隣の日比谷に小声でささやく。俺が小突くと背筋がピンと伸びた。
「まず、結論から入ろう。遂に海軍が動く。」
その言葉にその場にいた全員が目を鋭く光らせた。何年もかかるかと思われていたこの戦闘に終止符が打たれるかもしれないのだ。
「度重なる空襲を受けていた横須賀鎮守府も、その回数を減らしている。何故なら君たちが確実に奴らの戦力をすり潰したおかげだ。敵もこちらの粘り強い抵抗で少しずつだが弱ってきている。そこを叩く。」
勝坂は陸軍が扱うにしては珍しい、海図を持ってきた。三浦半島と房総半島の間に挟まれる浦賀水道が主に描かれている。
「今や敵は浦賀水道への入り口を封鎖するだけにとどまっている。内側に入って艦砲射撃や上陸をしようにも俺ら陸軍が邪魔だからだ。だからこの駐屯地に空襲が多いわけだが、こちらは地の利がある。」
勝坂が三浦半島の先と房総半島の間を結ぶ線を書き入れた。そこから主要な軍の施設への空襲ルートを矢印で示す。
「そして昨日、海軍の戦力が整ったという連絡が秘匿無線で入った。反撃の合図だ。だから俺らで彼らが深海勢力へ甚大な損害を与えられるように海上封鎖を行っている奴らに対して圧をかける。榴弾砲や戦車を利用して思いっきり注意を引くんだ。」
三浦半島の南に大量の自軍の駒が立てられる。それに対して勝坂は敵の予想反撃ルートを書き入れた。
「君たち第三分隊は金田湾沿岸部で遊撃に当たってほしい。海上に存在する深海勢力には機甲師団や迫撃砲部隊、山の上からは砲台による砲撃が行われる。どちらかといえば陸上でも活動できる個体への対処が主とした活動となるだろう。」
俺は発言権を得るために手を少し上げた。勝坂がそれを許可する。
「陸上でも活動できる個体とはどのような範囲を示すのでしょうか。今まで相対してきた個体は陸の上で動けるだけであって本来得意とする戦場は海でした。中佐が指す個体は陸での戦闘を得意とするタイプなのですか?」
その質問に勝坂は苦笑をしながら答えた。
「今まで通りの個体という見解で問題ない。海軍からも陸に特化した深海棲艦の情報は入っていないからな。」
答えを受けて、俺は頷いた。万が一の事態に備えて、と思っていたがそれほど大変な任務になるとは思えなかった。
「加えて、敵の補給基地になっている館山湾の解放も同時進行で行うことになった。今回横須賀鎮守府所属の艦娘が最終的に目指すのはそこだ。俺らはその援護も兼ねて陽動作戦を依頼されたというのを覚えておいて欲しい。」
房総半島の南端付近にある館山湾に勝坂が印をつける。俺は作戦の規模の大きさに少し驚いたが、これが今後の戦争の命運を分けるものであることに少し高揚感を覚えていた。
「作戦開始は二日後の早朝五時だ。この戦いで日本の運命が決まる。大規模な戦闘になるだろう。生き残ってくれよ。」
勝坂は一瞬優しい目を向けると海図を折りたたんでまとめた。
二日後の朝は快晴だった。俺はまだ暗い空を見上げながら作戦区域に向かっていた。
「これで戦局が変わればいいけど。」
ふと、明石がぶっきらぼうに口を開いた。宮本がそれに応じる。
「変わるさ、きっと。」
希望を持っていながら、強い闘志を秘めているようなその足取りを俺は無感情のまま静かに見つめていた。
作戦が始まる前日は横須賀鎮守府で一度だけの顔合わせが行われた。目的は作戦内容の確認だ。その際、勝坂の護衛役として第三分隊が抜擢された。だが、そもそもあの時点ですでに『碧』に所属する分隊は一隊だけとなっていたから選ばれるのは必然であった。
鎮守府では初めて艦娘というものを見た。明石の時と同じ感情だった。どうして少女が戦闘に駆り出されるのか意味がわからなかった。無念と同時に不快感的なものがうっすらとこみ上げてくる。
「私はあの娘たちの力をもらったのねぇ……。」
ただ唯一、明石が感慨深そうな声でそう言ったのだけは耳に残っていた。
そうして、前日のことを少し思い返しているうちに目的地に着いていた。作戦開始の時刻になるまで勝坂から貰った弾頭が黒色の弾薬を取り出して弾倉に詰め込む。
「本当にこれ効果あるんですかね。」
「中佐がそう言っていたんだ、信用するしかないだろう。」
日比谷が素朴な疑問に俺はそう答えた。俺自身もこのちっぽけな黒い弾頭を信用はできなかったが勝坂がいうことには「深海棲艦には非常に強力な効力を示す」だそうで、数は少ないながらも四本ほどの予備弾倉を確保することができた。
「とは言えこれが生身の人間である自分らの生命線だ。大事に使わなければならん。」
宮本がいつも通りの硬い口調で答えた。その手には六四式小銃が握られている。
「ま、いくら努力しても私の『これ』には敵わないけどね〜」
明石が自身の武器を見せびらかす。
「お前の装備はズルをしているようなものだろう!こちら側と一緒にするな。」
宮本の指摘に明石は少し不服そうな顔で地面に座り込んだ。すでに見慣れた光景とは言え少しだけ分隊内の空気は和らいだように俺は感じた。
「それよりも隊長、時刻は今どうなっていますか。」
質問を受けて俺は左腕につけている支給された腕時計を確認する。その長針はもうすぐ開始時刻になることを告げていた。
「四時五十八分だ。もうそろそろ出番だな。」
俺が立ち上がると背後から声がした。振り返ると階級が高そうな人物が近づいてくるのが見えた。目を凝らして見てみると肩章に金色の星が三つ入っている。
「諸君らが噂の対深海棲艦部隊の第三分隊かね?」
その問いかけに対し、俺を含めた第三分隊の全員が敬礼をした後背筋をピシッと伸ばし気をつけをする。そうして俺は答えた。
「はい。」
考えていた答えよりも淡白とした言葉に俺自身はびっくりしてしまったが彼はあまり気にしていない様子で続けた。
「私は第三師団所属第二歩兵連隊の指揮官を務めている竹城だ。今回の作戦実行にあたってお願いがありここにきた。」
そう話す彼の背後では、作戦開始の低い砲撃音がどこからともなく響いてくる。静かな風が俺の頬を一瞬流れた。少しの間をおいて竹城は深く息を吸って言った。
「私の歩兵大隊を指揮してくれないか。一人部下が精神病にかかってしまって指揮官が足りないんだ。」
予想外の仕事に俺は茫然としてしまった。横を見ると口を開けている明石の姿が見えた。
「あの、自分は中尉なんですが……。」
「分かっている。」
俺の反応を見越していたかのように竹城は落ち着いた様子だった。
「君はあの忌々しき深海勢力と互角にたびたび渡り合ってきた分隊の隊長なのだろう。別に全てを丸投げするわけではない。教えてやって欲しいのだ。奴らと戦う術というものを。」
そう言った彼の目は強く真っ直ぐとしていた。俺は思わず息を飲み込んだ。
「すでに配備は完了している。頼んだぞ。」
拒否権はない。だが、俺は朝焼けに染まる空の方向へ無言で足を進めた。
「お前が俺らの指揮官なのか?」
戦地に着いて早々、俺は危機的状況に陥っていた。竹城に任された部隊は確かに実力者揃いなのは理解できた。戦場にいたとしても怖気付かない胆力というものは雰囲気で感じ取れるものだ。だが、それはつまり同時に俺の力量も見定められるということだ。
「こんな新人に務まるのか?しかも分隊員も頼りない気がするんだが。若すぎるぞ。」
ヤジが飛んではいるが、俺は息を吸って言った。
「俺は対深海棲艦部隊の部隊長を務めている**というものだ。中尉をしている。階級は低いかもしれないが奴らを殺す術は陸軍の誰よりも知っている。どうか俺にその命を預けてくれないか。」
我ながら良さそうな挨拶だと思ったが、好評ではないようだった。だが俺は竹城大佐から正当なルートで持ってこの歩兵大隊を任せれた人間だ。逆らうような真似をする者はいない。そんな状況で、俺はすぐに仕事にかかった。
「すでに作戦開始時刻は過ぎている。未だ金田湾に侵入する敵は見当たらないが警戒を解くな。今現在南部の城ヶ島周辺地域では大規模な機甲部隊と迫撃砲部隊による攻撃が行われているが直に彼らは後退するはずだ。そうして持久戦に持ち込んだ際には恐らくこの金田湾から敵は上陸、もしくは接近を試みるだろう。それは絶対に阻止しなければならない。今までの漸減作戦で敵も消耗している。多量の戦力をこの三浦半島にかけることになるはずだ。断言しよう、ここがこの戦争の天王山になる。」
その言葉に大隊のざわめきは鳴り止んだ。たとえ俺がぽっとでの指揮官だったとしても奴らの弱点を一番知っているのは俺であり、戦況を一番俯瞰視点で見れるのも俺だ。その力を得るために陸軍の学校で切磋琢磨したのだ。ここで使わなければいつ使うのか。
「陣地作成は仮組みでいい。基本奴らは艦砲射撃で制圧してから上陸や接近を行う。そうして残りものをいたぶって殺す。だから俺らは廃墟を利用した陣地を沿岸寄りの位置に作り、艦砲射撃を耐え抜く。観測員は海上の戦力を確認してくれ。主力がそこにいたら意味がない。敵が油断して全ての戦力を近づけた瞬間に仕掛ける。いいな。」
合理的かつ効果的な作戦を俺は考えた。そう簡単にうまく行くとも思えなかったが、生身の人間にできる最大の攻撃は肉薄して火力でもって叩き潰すことだ。深海勢力に効果的な武器や弾薬が開発されてない以上既存のもので対応するしかない。俺の持っている黒い弾丸は確実な止めに使う。そう決めていた。
この指示で大隊は実際に仮陣地を作り来るべき時に備えた。観測員は後方の山の中腹に待機し監視の目を張り巡らせる。いかに耐え抜けるかがこの戦いの勝敗をわける。そう俺は思っていた。
そうして待っている最中のことだった。秘匿無線が俺のもとに入る。
「そろそろですか。」
宮本が廃墟の壁にもたれかかりながら話しかけてくる。
「あぁ、シナリオ通りだ。」
俺は半ば睨みつけるような形で海の方角を見ていた。一時も油断はできない。
その時だった、俺の無線に連絡が入る。
『敵補足!戦力は…なんだあれは!!』
俺は急いで廃墟の屋上へよじ登った。双眼鏡を持って確認すると、そこに居たのはおびただしい数の奴らだった。だがそれだけではなかった。見たこともない青い光を放つ深海棲艦が海には居た。明らかに今まで遭遇してきたやつとは違う、圧倒的なオーラを纏っていた。
「どうかしたんですか?」
日比谷が下から心配そうな声を響かせる。
「未知の艦種だ。完全な人型なんて見たことねぇよ……!!」
その時だけは口調も変わっていたのを覚えている。なんとも言えない悔しさ、憎しみが心を支配していた。
「どうする。」
俺が降りた時の明石の顔は険しかった。
「このまま続行するしかない。退いたところで不利になるだけだ。だが、今は仕掛けるべきじゃない。」
すぐに俺は無線を大隊にいれた。観測員からの報告がフルタイムで舞い込んでくる。
「………」
だんだんと奴らが近づいているのが分かる。不快な金属音が浜辺を満たしている。
「まだだ。」
一人でに口は動いていた。
「あともう少し…。」
顔を伝って冷たい汗が流れ落ちる。砂を掻き分けて進む音がコンクリートと擦れるガリガリした音となった。その音が二十秒ほど続き、近くで聞こえた時、俺は動いた。
「撃て!!」
重い発砲音が空を切って空間を満たす。目前にまで迫ってきた敵は全てが破壊された。主力艦ではないのが一目でわかる。
「まだ主力艦は来ていない!!次の艦砲射撃を切り抜けるぞ!!」
無線にそう叫び、事前にコンクリートを割って掘った穴に潜り込んだ。
ここまではセオリー通り、想定内だった。敵は必ず戦力を見るために先遣隊を送る。馬鹿ではないのだ。それをきっちり潰して艦砲射撃を引き出す。それを耐え抜いて油断してやってきたところを襲う。そういう算段だった。
まもなく、空気を揺らすような砲撃音が海の方から鳴り響いた。時間差で大きな衝撃が俺らを襲う。次弾装填、もう一発。それが奴らの徹底した攻撃だ。だからまだ地上には顔を出さない。
「次よね……。」
明石が息をのみ機が熟すのを待っている。宮本が静かにその時を待っている。日比谷が覚悟を決めた顔で待っている。
—もう一発……こい!!
だが、いつまで経っても砲撃はやってこない。土の湿っぽい匂いが鼻の中を満たす。焦ったくなって俺は観測員に無線で聞いた。しかし返答が一向に返ってこない。
「まさか。」
すぐに俺は地上に出た。外を音を立てずに後方を覗き込む。山に立ち込める黒煙。敵も優先順位をつけていたのだ。思わず俺の口から舌打ちの音が漏れる。
「何か起きたの。」
明石が顔を半分出しながら聞いてくる。
「目がやられた。時間の猶予はない。俺が一度索敵する。」
そうして海の方を見ようとした瞬間だった。体のバランスが崩れ落ちる感覚に至る。
—時間差の砲撃……!!
衝撃が間髪入れずにやってくる。コンクリートで作られている廃墟を選んでいるとはいえ一部の壁が崩れ落ちた。
「被害状況。」
無線はうんともすんとも言わない。
「被害状況!」
無線機に対して俺は怒鳴りつけた。ノイズ音だけが微かに聞こえてくる。
「何か問題発生ですか。」
宮本が出てくる。
—都市部にいるせいで不安定なのか?どちらにせよこのままだとまずい!
俺は少し焦っていた。統率が取れていない状態で作戦など正常には行えない。戦場の状況というのはいくらでも変容する。リアルタイムでの緻密な連携が勝利には肝心なものになる。今はそれが全て失われている。
外に出ると同じような状態の兵士が多数いた。ただ、実践経験はあるのか焦らず独自に考えて動こうとしているようだった。俺の姿を見るとすかさず指示を乞う。
「どうすればいい。観測員が居ないのだろう?山を見れば分かる。」
だからといって退却はできない。今あるものでなんとかするしかない。
「まずは現状の確認、その後すぐに反撃の態勢を整える。」
「了解。」
俺の指示に近くの兵士たちは呼応する。通信兵は連絡網の復旧を試み、手の空いているものが他の小隊へと伝えに行く。無論、敵がいつきてもいいように周囲の警戒は怠らない。
「ちょっと。」
ふとした瞬間に肩を叩かれる。振り向くとそこには宮本と明石が立っていた。
「うわ、目が血走ってる。怖いよなんか。」
明石の言葉に答える余裕はなかった。どのようにして挽回するか、勝つかを考えていた。だが、それにお構いなしに明石は続ける。
「まずは戦力確認、その次に作戦を立てて実行する。情報を整理するべきよ。」
「分かってるさ、だが時間が足りない。」
俺の発言に不敵にニヤッと彼女は笑った。
「だったら作ればいいのね。」
それを言ったと同時に彼女は武器を取り出し、外へと出ていく。その意図を俺は理解した。
「おい、待」
「大丈夫ですよ。」
宮本が俺を制止する。
「これは戦争です。誰かがハズレを引かないと行けない。明石は覚悟を決めてるんです。」
「勝つために部下を失いたいわけじゃない!」
少し調子に乗っているようなところはあっても部下は部下だ。俺は守りたかった。全員が生きている状態を誇っていた。壊されたくない、汚されたくない。指揮官としての責務を全うしたかった。そして、一度深海棲艦によって奪われてしまった者としての自分を変えたかった。しかし、宮本は強い視線で真っ直ぐと俺の目を見つめて言い放った。
「あいつは強いんです。分隊を組む前から自分らが知らないところでひたすらに研鑽を重ねて今まで生き残ってきた本物の強者なんです。絶対に生きて帰ってきますよ。」
俺は根負けした。普段は少し仲が悪そうに見える二人でも信用はしているようだ。その言葉を俺は信じた。
「えっと……。この後は?」
忘れた頃に日比谷がやってくる。
「まずは上に登って索敵をしてくる。その後指示を出す。」
そう言って俺は崩れかけの足場をよじ登って双眼鏡を取り出し、覗いた。青いオーラを放つ奴は未だその場から動く気配はない。他の深海棲艦は上陸を開始しているようだった。戦艦や重巡級が遅いながらもやってくるのが見える。小さい個体もいるようだった。空母もいるのか空に黒点が浮かび上がっている。大規模な攻略部隊だ。
すると、その一角で大きな爆炎が上がる。恐らく明石だろう。連鎖して起きる爆発はみるみるうちに索敵を困難にさせた。しかし煙幕と見ればちょうどいい。
そうして俺は降りて態勢の立て直しに取りかかった。まずは通信設備からだ。近くの小隊へ宮本たちを引き連れて会話を試みる。
通信兵が話し始めた。
「都市部の鉄筋に反応してるのかと思いましたがどうやら違うようです。おそらく敵による電波妨害かと。」
「その妨害電波を発している装置へ逆探知はかけれるか?」
俺が聞くと彼は少し苦い顔をした。
「専用の装置、電探などがあればいいのですが、無線機だけだとなんとも。とりあえず周波数を切り替えて繋がる回線は割り出しました。」
「そうか。」
今現在においてジャミングに対する手はなさそうに見えた。俺はその通信兵から無線機が作用する周波数帯を教えてもらい、変えておいた。ほぼ全ての周波数が網羅されて潰されているらしいが唯一数ヘルツほどの穴があったようだ。若干怪しい気をするが、頼るしかない。
「このまま通信の復旧作業を続けてくれ。」
そう言って俺はすぐに海の方角を向いた。日比谷がが反応する。
「気が早くないですか。」
「あいつが頑張ってるんだ。仕事は済んだ、加勢するぞ。」
明石が意志を貫いたように、俺もその覚悟は変わりなかった。仲間の勇気を無駄にするわけには行かない。宮本も本音では同じ気持ちだったようで加勢には賛同してくれた。
「待ってくれ。」
背後から声がかかった。振り向くとそこに居たのは大隊の兵士だった。小規模な部隊の指揮官なのか、他にも引き連れている。
「行くのであれば自分も同席させてくれ。小隊のものにも伝えてある。直に他の大隊も一斉に攻勢に出るそうだ。」
「あぁ、分かった。」
俺は躊躇わず協力を得た。全員が勝つことを考え、精一杯の努力を行っている。深海棲艦に負ける気など一切ない。
そうして、強い闘志を心のうちに秘め、俺ら反撃部隊の一群は青く染まり始めた空に鎮座する日が照らす戦場へと勇み足で向かった。