北の艦隊興隆記   作:あおみかん

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続きです。


引き金をひくために(2)

 作戦の立案から一週間足らず。第二遊撃部隊は北方の洋上にいた。北方全域を掌握するための第一段階。それを行うためだ。

 

「今回は遊撃戦デース。弾薬、燃料がなくなるまで暴れてくだサーイ!!」

 

 旗艦である金剛は上機嫌の口調で皆に指示を与える。自由に戦えるというのは彼女にとって天国だった。北の荒れる海のイメージとは一変して、晴天の見通しの良い海域に瑞鶴は少しホッとする。

 

「ってことは夜戦もできるってこと?」

 

 金剛の言葉を受けて、川内が期待を込めた眼差しで見つめる。金剛は答える。

 

「そこまで弾薬が持てば、の話デース。まぁ不可能ではないと思いマース。」

 

 その歯切れの悪い回答に川内は「な〜んだ」と軽く息を吐く。朝からの仕事で、夜まで続いたことは一度もない。それを知っていた彼女は気落ちした。

 

「そもそも夜まで戦うぐらい敵がいたら大問題……。」

 

 時雨が若干呆れた声でツッコミを入れる。

 

「大丈夫だよ〜。段取りはもう決まってるんだし。」

 

 瑞鳳が自身が確認するために書いたメモを取り出してみせる。

 

「瑞鶴が聞いたときとは結構違うんだっけ?」

 

 時雨が瑞鶴に問いかける。

 

「うん。一日だけで終わらせるんだって思ってたけど、入念になったみたい。」

「ヘ〜。」

 

 質問した立場であるのに時雨は興味がなさそうに相槌を打つ。拍子抜けの瑞鶴は不満げな顔になりながら周囲に意識を配らせる。気を紛らすためだった。

 

「瑞鳳、索敵機の方には何か引っかかりましたカー?」

「ん〜……どの子も無いって言ってます。」

 

 出撃から移動を含めて約二時間。一同は未だ接敵していないことに違和感を持ち始めていた。

 

「本当にいるんだよね?」

 

 時雨が怪訝そうな顔で瑞鶴へ聞く。

 

「私が知るわけないでしょ……。」

 

 困り果てた顔で瑞鶴は答える。時雨は「確かに……」と当たり前のことに納得しながら肩を落とす。

 

「僕は退屈だよ。」

 

 そう彼女が呟いた時、今まで一言も喋ってこなかった村雨が声を上げる。

 

「艦影……?」

 

 その言葉に金剛はすぐさま反応する。

 

「どこデース。」

「方位六十から七十程です。黒い影が見えた気がして。」

 

 報告を受けて時雨が双眼鏡を金剛へ手渡す。

 

「見当たらない気がしマスが……。瑞鳳、一応索敵機を重点的に回してくだサーイ。」

「了解です。」

 

 瑞鳳が艦載機へ指示を送る。手持ち無沙汰な瑞鶴と川内はあたりを軽く見回すことしかできなかった。

 

「生憎、視力はそこまでいいわけじゃないからなぁ。夜には強いんだけど。」

 

 川内の発言に触れるものはいない。皆索敵に熱中しており、反応する者は誰一人していなかった。「少しくらいは触れてよ」と真顔で言うと、時雨から「今はそんな暇ないでしょ」と真っ当な意見が返ってくる。

 

「いました。水雷戦隊に近い編成です。ここから北東の地点にいます。」

 

 しばらくして、瑞鳳は敵を捕捉した。その報告を受けて時雨と村雨が確認するが双眼鏡を使った肉眼では目視することができない。距離はやや離れていると金剛は見積もった。

 

「大型艦は。」

 

 彼女からの質問に瑞鳳は答える。

 

「いません。強いて言うなら重巡が一隻くらいですね。南方で見られるタイプではないのですぐにでも奇襲を仕掛けましょうか?」

「こちらで補足するまではステイでお願いしマース。」

 

 第四戦速に一行は切り替えて、見えない敵に接近する。緊張感のあるピリピリとした空気があたりに漂い始めた。

 

「見えました。」

 

 村雨が見張員からの相手の色に関する報告を金剛へ伝達する。二隻ほど黄色のオーラを纏ったフラグシップ級がいるが、それ以外は大したことはない。それを受けて金剛は瑞鳳に発艦を行うように指示を出す。

 

「えっと……。私は?」

 

 瑞鶴には言われなかったことに戸惑っていた。川内が横から説明を入れる。

 

「継戦能力を上げるには無駄な弾薬は消費できないでしょ。瑞鶴は主力でもあるんだから強力な艦隊のために温存しておくの。」

「That’s right。敵の主力に遭遇した時にも退却戦で役に立ちマース。切り札は隠しておくのがセオリーネ。」

「切り札って……。。」

 

 川内と金剛からの言葉を聞いてもなお、瑞鶴は困惑していた。確かにその発言の意味は理解できるが、それ以上に瑞鶴に向けられている期待に対して応えられるかという不安感が勝っていた。

 

「もっと自信つけた方がいいよ。演習でちゃんと活躍してるんだから。」

 

 時雨の励ましを貰うが、それに返答する間もなく敵の姿が先にくっきりとあらわになる。

 

「雑談は後デース。目の前の敵にconcentrationしてくだサーイ!!」

 

 その戦闘開始とも取れる言葉が発せられると隊列は崩れる。瑞鶴と瑞鳳は後方で航空支援に徹し、金剛が中距離戦闘を、川内たちが前衛で格闘戦を行う。皆の慣れているスタイルだった。

 

「瑞鶴は回避に専念してていいからね。」

 

 瑞鳳の余裕のある表情から繰り出される艦載機を瑞鶴は眺めることしかできなかった。駆逐艦から的確に処理していく川内、時雨、村雨のコンビネーションに合わせて爆撃、雷撃を行う。敵に空母はいないから戦闘機隊は手持ち無沙汰だ。瑞鳳の搭載数で十分殲滅可能な敵の戦力は、みるみるうちに数を減らして行った。

 

「全砲門、Fire!」

 

 金剛が最後の重巡洋艦を一撃で仕留めて戦闘は終わった。バラバラに散りかけていた一同は集まってくる。始まったのは残弾確認だった。

 

「魚雷何本使った?」

 

 最初の川内の質問に対して時雨と村雨は答える。

 

「僕は使ってないよ。」

「私は一本だけ。とどめをさすために使ったわ。」

 

 続いて瑞鳳が報告する。

 

「航空魚雷も爆弾も、残弾はまだまだあるよ〜。」

 

 初戦の消費量はほぼほぼ最低限のレベルといって差し支えないものだった。節約の限りを尽くす技術に瑞鶴は感心しながら、同時に自身の負っている役目のことを思い出し軽くため息をつく。

 

「このままの調子で仕事を果たしまショウ。榛名たちに負けていられないネ。」

 

 この日、北方海域をアルフォンシーノ方面で南北に分割した形でより北部の方で赤城たち第一艦隊が展開していた。剣城からの情報では瑞鶴たちの方が敵主力に遭遇する可能性が高いということだったが、提督は躊躇いもなくゴーサインを出していた。

 

「後ろの方には幌筵の水雷戦隊がいるんだっけ。」

 

 時雨が確認すると川内がうなずく。過剰戦力。そんな言葉が出そうなものだったが、入念に計画された作戦に口を出す者はいなかった。漸減作戦を取った上で敵の主力を十割の火力で叩き潰す。その考え方に間違いはない。そう剣城は考えていたからだ。

 

「また少し暇になりそうですね。」

 

 瑞鳳はまた索敵機を周囲に散らばらせていた。気の緩む瞬間が訪れる。空模様は未だ青いままだった。

 

「そういえば、敵の主力にあったら一応逃げろって言われてるけど編成はどうなの?」

 

 燃費の良い速度で航行していると、不意に川内が問いかけた。金剛が答える。

 

「すべてフラグシップ級で、空母二、戦艦一なのは教えてもらいマシタ。それ以下は覚えてないデース。」

「案外勝てちゃったりするんじゃない。」

 

 時雨の冗談まじりの言葉に川内は大真面目に共感する。

 

「確かに、それぐらいなら勝てそうだな……。」

 

 焦った様子で時雨は発言を取り消そうとするが、川内は明確な根拠を持っていた。

 

「だって私たち南方に出る新型相手に勝ってるんでしょ。」

「それはそうなんだけどさ。」

 

 川内の勢いに時雨は飲み込まれそうになる。しかし金剛が先になだめた。

 

「実力的には私たちでも余裕を持って戦えるかもしれまセーン。しかし今は他にも敵の艦隊が潜んでいるという懸念が取り除けないのデスカラ行動は謹んでおいた方がbetterデース。」

 

 落ち着いた様子の金剛の言葉に川内も「まぁ、そうなるか」とあっさり引いたかと思えば、魚雷を引っこ抜いて指を使って軽く回し始める。瑞鶴は突然のことにギョッとなったが、他の皆の反応を見ると至極落ち着いていたために心の中にその動揺は留めておいた。

 波をかき分けて進む音だけがあたりの空間を支配する。北の荒波がその顔を覗かせつつあった。

 

「……!!」

 

 瑞鶴の体感で二十分程経った時、不意に瑞鳳が反応を見せる。

 

「敵艦隊を発見しました。編成は……。雷巡、重巡の比率が多いですね。」

「航空戦力がいないのは助かりマース。位置はどこか分かりますカ?」

 

 金剛の質問に瑞鳳はやや黙った後に答える。

 

「ここから真東に進んだところですね。やや海域深部に近づきます。」

「厳戒態勢の方が良さそうね。」

 

 川内の発言に金剛は共感する。

 

「私もそう思いマース。戦闘中に主力と出会うこともあるかも知れまセン。」

「瑞鶴、今度は出番あるかもね。」

 

 時雨の言葉に、瑞鶴は全く嬉しくなかった。激しい戦闘は好ましいものではない。そう思っていた。渋い顔をしていると艦隊の速度が二段階ほど上がる。

 

「念には念を入れて、瑞鶴は直掩機を発艦する準備だけしておいて下サーイ。空の警備は任せマース。」

「わかりました。」

 

 選りすぐりの部隊を瑞鶴は選んでおく。初めて戦った時の相手ほどの強力な個体がいないとはいえ、正規空母が二隻もいる艦隊相手に制空権が不利になるのは明白だ。退却する時間稼ぎができるほどの練度は欲しかった。

 

隊長機(あの子)は……。温存でいいよね。

 

 最後の頼みの綱になる大切な人材だ。瑞鶴は宝物のように大事にしていた。

 空に雲が少し見えてきた頃、一行は接敵した。予定通りの戦闘を有利に金剛は進めて行った。敵の本拠地が近い海域だったこともあり、あまり長い滞在は嫌っていたらしく、弾薬消費を気にせず速攻で沈めにかかる。

 

「時雨、雷撃お願い。」

「了解。」

 

 川内が砲撃で敵のコースをしぼると、そこへ時雨が流し込んだ魚雷がやってくる。それによって二、三隻の軽巡と駆逐艦が撃破された。残りは三隻。そう瑞鶴は考えていると、敵の二隻の雷巡が瑞鳳と瑞鶴めがけて数多の魚雷を射出する。弾道丸見えの攻撃に二人は適当に対応した。

 

「無駄な足掻きは意味ないのに。」

 

 村雨の正確な砲撃が片方の雷巡に命中する。魚雷を放てなくなった“彼女”はすぐに水底へと金剛によって叩き落とされた。わけのわからない言葉を発しながら重巡が反撃を試みる。

 

「そんなやわな攻撃は効かないネ!!」

 

 重厚な装甲を巧みに使いながら浅い角度で命中させることで砲弾を弾く。効果的な攻撃を行えなかった敵の重巡の末路は、言うまでもない。

 

「あと一匹ね。」

 

 川内の眼は捕食者さながらの様相を示していた。深く突き刺す眼光は最後の雷巡の動きを鈍らせ、容易に照準に捉えられるような動きへと萎縮させる。

 

「これでとどめよ!!」

 

 水上艦に気を取られていた“彼女”は直上の爆撃機に気づかずその重い一撃をくらい、バランスを崩す。そこへ流し込まれる完璧な川内の魚雷は、絶命の爆発を演出した。

 

「あと何戦行けそう?」

 

 機械的な戦闘が終わり、恒例の残弾報告会が始まる。一切仕事がない瑞鶴は燃料がただただ消費されていくだけだった。有り余る弾薬類とは対照的に空虚な思いを感じながら、少々楽しそうに語り合う他の五人の姿を見つめていた。

 そして、それらも終わりまた敵を探そうという方向性になった時、瑞鳳が真剣な眼差しで報告をし始めた。

 

「今、敵の主力が接近してるみたいです。」

 

 それを受けて金剛はすぐに決断を行う。

 

「ひとまず西に向かって逃げマース。距離はどの程度離れていマスカ?」

「すでに捕捉されてるみたいで、連絡が返ってきていません。」

 

 返答に答えぬまま、金剛は機関の速度を上げてすぐに動き始めた。それに合わせて艦隊の一同が同時に出せる限界の速度でもってついて行き始める。

 

「もしかしたらすでに近くに来ている可能性もありそうね。」

 

 村雨の懸念に川内は同意する。

 

「私もそんな気がする。閃光が見えたらすぐに回避行動できるようにしておかないと。」

 

 緊迫感のある空気の中、瑞鶴は前から三番目の位置にいた。前後からの攻撃があった場合、一番被害は避けやすい所のためだ。

 そうしてしばらく航行していたが、結局敵の索敵機すら現れなかった。常に瑞鶴が警戒機を出していた労力が報われず、徒労に終わる。

 

「今日は珍しく瑞鶴は運がないなって思ったけど……。今考えたら出会わない方が運がいいのかな。」

 

 時雨のお情けの言葉に瑞鶴はため息をつきながら答える。

 

「それならいいんだけどさ。」

 

 悪運を引かないのであれば問題はない。問題はないのだが、しかしどうしても瑞鶴は何も仕事をなせていないことが気になっていた。

 しかしそんな一瞬気の緩んだ瞬間、真横でヒュッと風を切るような音がしたかと思えば水柱が目の前に大きく三本立った。

 

「瑞鶴!!」

 

 金剛の声に即座に瑞鶴は反応して直掩機を空へ上げる。砲撃は長距離なため当たりづらい。そう判断した金剛は空を警戒していた。同時に落とした速度を一気に上げる。

 突如として始まった逃走劇はすぐに佳境を迎えた。夥しい数の敵艦載機が艦隊に襲い掛かってきたのである。あらかじめ輪形陣をとっていたことや、瑞鶴の戦闘機隊が上がっていたこともあってある程度撃墜することは可能となったが、それでも数は減らなかった。

 

「これ、先に潰した方がいいんじゃないの!?」

 

 回避行動をしながら対空射撃を行う時雨の顔はまだ余裕があるものの、至近弾の炸裂で艤装に小破程度の損害が出ていた。他にその傾向が見られたのは瑞鳳と川内だ。また、重点的に狙われたのは主戦力である金剛、瑞鳳、瑞鶴の三人だった。金剛は要領よく避け続けていたが、瑞鶴と瑞鳳は飛行甲板を意識しながらの回避行動となっていたためぎこちない形となっていた。

 

「このままだと追いつかれそうね。」

 

 村雨の言葉に反応できるものはいないが、皆そのような意識を持ちつつあった。確実に一同は艦載機への対応によって退却速度が低下している。回避行動を取る分の距離がかさんでしまうために、実質的な進行距離は少ないからだ。

 

「ここは先に瑞鶴達が先行してくだサーイ!!艦載機を残しておいてくれれば後で合流できるはずネ。」

 

 打開策を金剛は提案する。

 

「でも、直線で逃げたら」

「それは援護するから!!」

 

 瑞鶴の反論を時雨が静止する。時雨と村雨は確実に危険な敵機を狙って落とすことができる。早朝の練習で培った技術は偽りのものではない。

 納得はしていなかったが、瑞鶴は一杯にまで機関を上げて高速で海域から離脱を試みる。瑞鳳も同じくして置き土産を残しながらついてきた。単調な軌道を狙って敵の爆撃機や雷撃機が近づくが、その追随は水上にいる二人と空を駆ける烈風が許さなかった。

 そうして四人が殿を務めることで、瑞鶴と瑞鳳は敵の追跡を回避することに成功した。

 

「大丈夫かな……。」

 

 瑞鳳の心配する声に、瑞鶴は不安になりながらも励ましの言葉を送る。

 

「金剛さん達なら絶対大丈夫だよ。自分たちでどうにかできる人だし、それに私たちの艦載機が頑張ってくれるんだから。」

「それもそうよね。」

 

 その言葉に普段の調子を取り戻したのか、瑞鳳は呼吸を整えて一度索敵機へ意識を向けた。目的は味方が無事かどうかの確認だ。

 

「主力を捕捉した子は落とされちゃったけど、残してきた方はちゃんと生きてるみたい。金剛さんたちも無事に切り抜けられてる。よかった〜……。」

 

 ほっとしたため息が二人で被る。すぐに瑞鳳は妖精と会話をすることで位置の情報共有を行い、瑞鶴達は合流するために足を進めた。

 

「主砲の弾薬は残ってるけど、対空射撃用の残弾は結構削られちゃった。」

 

 島も見えない大海原で再会を果たした際の一言目は時雨だった。瑞鶴以外は小破である事実に少し本人は疎外感を感じとりながら、奮闘した艦載機たちへの補給を行う。数がやや減っていることに心の影がまた一つ広がっていた。

 

「このままの状態ならまだ戦えるとは思うけどね。」

 

 川内が使えなくなった艤装を自らの手で確認する。傷ついた主砲は一つだけ。他に異常はない。時雨や村雨も似たような状況だった。

 

「消耗はしてないようですしこのまま戦闘は継続しましょう。索敵します。」

 

 瑞鳳の言葉に金剛もうなずいて肯定の意を示す。

 

「敵主力もある程度西に逃げれば勢力範囲的にやってこないみたいデース。距離を保ちつつ駆除活動を行いマース。」

 

 そういって金剛が進路を決めようとした時だった。低い風切り音が真上から聞こえてくる。全員が反射的に見上げると、比較的丸い形をした白い艦載機が三機、急降下してきていた。その形の歪さからすぐに深海のものだとわかる。

 

「回避!!」

 

 すぐに全員が機関に負担をかけて回避動作を行う。ただ、一人だけ遅れた人物がいた。

 

「いやーっ!!飛行甲板が……。」

 

 中破。瑞鳳は意識を他に向けていたために咄嗟の判断が遅れてしまったのだ。この瞬間から実質的な航空戦力は瑞鶴だけになった。その事実に瑞鶴は今までの気持ちも相まってどこか絶望感が感じられた。

 

「この……!!」

 

 時雨がすぐに対空射撃で撃ち落とすが、瑞鳳の損害が元に戻るわけではない。

 

「まだ敵の主力が……!?」

 

 川内の懸念を金剛は否定する。

 

「あの艦載機は今回のTargetではありまセーン。恐らく……もっと強力な艦隊デース。」

 

 声のトーンが落ちる。それを聞く川内の顔は笑顔でも絶望した表情でもなく、ただ悔しさがにじむようなものだった。

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