剛腕のフリーレン   作:ベルゼバビデブ

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今回は短め


第3話 銅像の錆を綺麗に落とす魔法

[勇者ヒンメルの死から26年後]

 

[中央諸国ターク地方]

 

 私とフリーレン様は冒険者として少し困っている人々を魔法で助けて生活していました。…かぼちゃの収穫の手伝いなどの地味な仕事ではありますが。

「報酬は民間魔法の《温かいお茶が出る魔法》だったよ。後で実験しようかフェルン」

「はい」

 …フリーレン様から大体の手解きは受けましたが最近はこうした変な民間魔法ばかり覚えています。《甘い葡萄を酸っぱい葡萄に変える魔法》なんていつ使えばいいのでしょう「アイゼンは酸っぱい葡萄が好きだからいつか会う時の贈り物にちょうどいいんじゃないかな」…なるほど。…いや、待ってください。

「フリーレン様、私の心を読むのやめていただけませんか」

「ごめんごめん、つい癖でやっちゃうんだ」

 全く…。

「それにしてもフリーレン様は変な魔法ばかり集めてますよね。」

「うん。筋トレと同じで趣味だからね」

 フリーレン様と旅をするようになって本当に色々な民間魔法を教わりました。使えるようになったものばかりではありませんが、《鳥を捕まえる魔法》なんかもいつか使い所があるのでしょうか。

 

〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜

 

 とある村に着き、いつも通り冒険者として依頼がないか聞いて回ります。すると、薬草家のお婆さんが頼み事があると言っていました。

「本当に頼み事をタダで聞いてもらっていいのかしら…。私は薬草家だから教えられる民間魔法は無いのだけれど」

「構わないよ。この辺の植生についてはおおよそ把握できたからね」

 …あ、フリーレン様…勝手に薬草家のおばあさんの心を読みましたね…?…今顔逸らしましたし…。

「ここよ」

 お婆さんに案内されたのは雑草が繁茂し、少し木々も鬱蒼…を通り越してるくらいの荒れた広間…?と銅像でした。力強いモストマスキュラーをする男性の像…そう、勇者ヒンメル様です。

「酷い有様でしょう?」

 銅像のポージングがですか?

「整備しようにも年寄り一人ではもうどうにもならなくてね、村の人達は自分の筋肉を鍛えるのに夢中で関心がないのよ。ヒンメル様は村が魔物に襲われた時は颯爽と現れて拳一つで村を救ってくれたのに…」

 せめて剣使ってくださいヒンメル様。

「こんな仕打ちはあんまりだわ」

 フリーレン様を見ると、早速雑草を引き抜いていました。

「さっさと片付けようか」

「はい」

 私が木々を魔法で手入れしていると、フリーレン様が《銅像の錆を綺麗に落とす魔法(マッスルクリーニング)》を使い磨き上げていました。

「助かったわ。魔法ってすごいのね。銅像に錆一つない」

「…彩りが少し寂しいね。何か花でも植えようか」

「花ですか、花ならフリーレン様から教えてもらった《花畑を出す魔法》で何か適当に色鮮やかな花を…」

 折角ですしグラデーションなど凝った花畑にしましょうか。

「…いや、蒼月草の花が良い。」

 …聞いたことのない草です。私の知らない花なのでそれでは私は咲かせることができません。

「それはどのような花なのですか?」

「知らない。見たことないから。でも…ヒンメルの故郷の花らしいんだ」

 なるほど、確かに折角なら故郷の花の方が良いかもしれませんね。薬草家のお婆さんなら何か知っているかもしれませんし。

 

〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜

 

「蒼月草、懐かしい名前ね。昔はあの森の奥にも群生地があったのだけれど」

 お婆さんにの言い方が何か引っ掛かります。まるでもう…

「…もう絶滅してしまったのよね。この大陸での目撃例は何十年も無いわ」

「そうですか…」

 では残念ですが、諦めた方が良さそうですね…。すると、フリーレン様が何かを感知したらしく動き、その手に何かを掴みました。可愛い小動物のようです。

「これはシードラットと言ってね、種を食べてしまう害獣なんだ。でも一部の地域ではあえて果物の種を与えて太らせて食べる地域もあるんだ。食べさせた種によって風味が違うし高タンパク低脂肪で…」

「も、森へ返しましょうフリーレン様」

 フリーレン様からシードラットを掠め取り、森へと返します。そしてフリーレン様は早く涎を拭いて下さい。

「まぁ安心してよフェルン。思ったより早く蒼月草は見つかりそうだよ」

 フリーレン様が微笑むので私は首を傾げました。もう何十年も目撃例の無い花…そんなあるかもわからないものをなぜ確証を得たかのように…

「着いてくれば分かるよ。…さっきのシードラット達を追おうか」

 フリーレン様の《生命を感知する魔法》でシードラットを追跡し、たどり着いたのは森の中の建造物でした。

「100年くらい使われてない見張り台かな。さっきのシードラットはこの上に行ったみたいだ」

 私が見上げると、1枚の花びらな落ちてきました。…先程本で見た蒼月草の花びらにそっくりです。

「シードラットはね、外敵に襲われない安全な場所に種を植える習性があるんだ」

「…賢い動物なのですね。」

「それがそうでもないんだ。いろんなところに隠してしまうから自分で埋めた種をどこに埋めたか忘れてしまう事もあるんだ。」

 そう言ったフリーレン様は飛び上がりました。私もその後を《飛行魔法》で追いかけます。見張り台の塔の上に降り立ったフリーレン様の横に降りると目の前には大量の蒼月草が咲いていました。

「フリーレン様…よくこの場所に蒼月草があると分かって…。…もしかしてシードラットの心も読めるんですか…?」

「心というかこの場合だと記憶に近いかな。でも完全に読み取ることはできないけどね」

 それにしたって凄いことには変わりがない。

「ふふん、尊敬した?」

 そう言ってフリーレン様はラットスプレッドフロントを決めました。いつもに増して凄い筋肉のキレです。肩に見張り台でも乗っけてるのでしょうか。

 

〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜

 

「折角だからね」

 そう言ったフリーレン様はヒンメル様の銅像の近くに蒼月草の花を1つ植えました。そして私は《花畑を出す魔法》で蒼月草の花畑を出します。

「あとはこれもあげないと」

 フリーレン様の腕輪かと思いましたが、どうやらそれは花冠だったようで、ヒンメル様の頭に被せていました。

「まぁまぁ、まさかもう一度蒼月草の花を見れるなんて。本当に綺麗…ありがとうねフリーレンさん。」

 すると、筋肉隆々の村の若者達がやってきてそれぞれポージングを決め始めます。つられたフリーレン様も負けじとポージングを決め始めます。なんなんでしょうこの空間

「こんなところにこんな見事な筋肉の像があるなんて知らなかったぜ」「この像よく見たらヒンメル様じゃないか?」「それにあそこの女エルフ、なんて筋肉のキレだ!」

 

「「「「ナイスバルク!!!」」」」

 

 …。まぁ、これでヒンメル様の銅像が忘れ去られることもないでしょう。多分。

 




《銅像の錆を綺麗に落とす魔法(マッスルクリーニング)》
 フリーレンが使用する魔法。フリーレンの【魔力】により、触れた銅像の表面に存在する錆を綺麗さっぱり引き剥がす。なお、《しつこい油汚れを落とす魔法(マッスルクリーニング)》もある。



次回以降の更新はまばらになるかと思います。そもそもされるかもわかりません。対クヴァールとか対アウラとか一級魔法使い試験編なんかは書きやすそうなので、もしかしたら《作者に都合の悪い時間を吹き飛ばす魔法(キングクリムゾン)》を使うかもしれません。
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