剛腕のフリーレン   作:ベルゼバビデブ

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第4話

[勇者ヒンメルの死から27年後。]

 

[公益都市ヴァルム]

 

「じゃあ手分けして旅の物資を補充しようか」

 そういうフリーレン様のモストマスキュラーにはいつもよりキレがありません。

 

 …これは…怪しいですね。

 

「手分けって必需品ほぼ私ですよね?食糧、水、プロテイン、日用品…。フリーレン様は何を買うんですか?」

「…薬草とかだよ」

 今二の腕の筋肉が澱んだ気がします。これは…嘘を吐いていますね。フリーレン様は凄い魔法使いであると同時に世界最高峰と思われるボディビルダーでもある…故にその筋肉はフリーレン様自身に何か後ろめたいことがあるとすぐに揺らぎ、キレを失い澱んでしまう。つまり、私に何か隠し事をしている時の筋肉ということになる。…フリーレン様と2人で旅をしてそれなりになりますが、こういう時は決まって碌なことが無い。決まって余計なものを買ってくるんですよね…。

 

『買っちゃった』と言って竜の頭の骨を。今ではフリーレン様の杖の一部になってますけど。

『この薬は服だけ溶かすんだよ』と言って変な薬を買ってきたり。すぐに返品に行かせましたけど。

 

「それじゃ後でね」

 そう言って駆け出されてしまうとフリーレン様には追い付けない。…私も《高速で移動する魔法》覚えた方が良いのでしょうか。ジルヴェーアの方ですけど。でも、速度では追い付けなくてもフリーレン様を見張る方法は幾らでもあります。

「すみません。身長2メートルくらいの女エルフを見ませんでしたか?」

 路銀だって無駄遣いできませんからね。

 

〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜

 

「…本当にいた」

 フリーレン様を見たという人たちの情報を追っていくと、アクセサリーを売る露天商のところにいたと聞いた。フリーレン様は美しい筋肉を保つことという意味ではお洒落ではあるものの、装飾品などと言った分野に関しては点で興味がないと思っていた。すごく悩んでいるけど…。…あ、やっと買った。ずいぶん時間掛かったな…でも、アクセサリーを買うくらいならまだ良い方かもしれない。変な物を買われるよりはよほどマシだ。…さて、私もそろそろ買い出しに戻ろうかな。

「ここら辺に美味しいスイーツの店ある?」

 は?フリーレン様?キレキレのアブドミナルアンドサイ決めつつなんですかそれ。いくらなんでもずるすぎるでしょ。

「できるだけヘルシーな奴」

 何その注文。そんな都合のいいスイーツないでしょ。あとサイドチェストにポージング切り替えるのやめてください。

「それならそこの酒場で聞くといいよ。あとナイスバルク!」

「ありがとう」

 そうしてフリーレン様は酒場に入って行きました。中を覗き込んでみますが、明らかにガラの悪い人たちの溜まり場です。スイーツについて聞けるような店ではない事は確かです。

「ここか。この街の美味しいスイーツの店について聞きたいんだけど。出来るだけヘルシーな奴」

 流石フリーレン様、相手が荒くれ者ばかりなのに一切動じてません。

「スイーツの店だぁ?舐めてんの?」「HAHAHA!!」「この街には美味いスイーツが山のようにあるぜぇ」「ヘルシーな奴もな。ところでアンタ…」

 あるんだ…。

「「「「「ナイスバルク!!」」」」

 フリーレン様と荒くれ者(?)の皆さんはそれぞれポージングを決め互いの筋肉を称え合っていました。

「ヘルシーな店も知ってるんだ」

「ヘルシーなスイーツは俺たちボディビルダーの活力だからなぁ」

 あ、この人たちもボディビルダーだったんだ。荒くれ者にしか見えなかったけど。…それからフリーレン様は宿の方に向かったので買い出しをすることにしました。…駆け足ならなんとか間に合うでしょうか

 

〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜

 

「フェルン、おかえり。」

「買い出し終わりました。フリーレン様」

 魔法の修行としていつも走り込みとかしてて助かった…

「荷物置いたら少し出かけようか。たまには甘い物でも食べに行こうか」

 そしてフリーレン様に着いて行き、着いた店で私達は眺めての良いテラス席に案内されました。

「良い眺めだね。それに風も気持ちがいい」

「だからと言ってテラス席でダブルバイセップスするのはやめてください」

 他のお客さんからナイスバルクと声をかけられちゃったじゃないですか。…どうやらフリーレン様が街でスイーツの店を聞いていたのは私と食べに行くためだったようです。…疑ってすみませんでし…。…?そもそもフリーレン様って《生命を感知する魔法》が使えるから常に私の位置把握してたんじゃ…?あ、目を逸らした。心も読んでたんですね…?

「…好きなのを選んでいいよ。お金のことなら大丈夫、ヘソクリがあるからね」

 やっぱり、私が路銀のこと気にしてるのも知ってての発言だ。いつも心を読むのはやめてくださいって言ってるのに…。こうなったら心を読まれるのがどれくらいの嫌か少し体験させるべきでしょう。

「フリーレン様は何にしますか?」

 私はそれなりにフリーレン様と一緒に過ごしてきました。まだ《心を読む魔法》は使えませんが、今日の気分くらい言い当てる事は出来るはず。

「そうだね、今日の気分は…(メルクーアプリンにしようかな…)」

 …!なんとなく何を考えてるかわかった気がします。

「…メルクーアプリンですよね?」

「…」

 フリーレン様は少し驚いた顔をした後、少し元気がなくなりました。心なしか筋肉のキレも悪くなった気がします。少しは反省してくれてると良いのですが。

「フェルン、ごめん」

「いえ、わかってくれたなら良いんです」

「私はフェルンの事、そばに居れば心を読めば何を考えてるのか分かるけど、その場に居なければフェルンの事何もわからない…だから、どんな物が好きなのかわからなくて…」

 そう言われて手渡されたのは…アクセサリーショップで悩んで買っていた物のようです。自分のためではなく私のためだったんですね。箱を開けるとシンプルな見た目の腕輪でした。フリーレン様の美的感覚は時に独特なので動物の骨をあしらった物じゃなくて良かったです。

 

 ところでなぜこの腕輪はめちゃくちゃ重いのでしょうか

 

「綺麗な髪飾りと迷ったんだけど、フェルンは結構無駄を嫌う性格してるから実用的なトレーニング用の重りの方が良いかなって」

 …。

「フリーレン様。フリーレン様はどうしようもなく脳筋な方なのではっきりと伝えますね。私のことを知ろうとしてくれたのは嬉しいのです…が、普通に綺麗な髪飾りが欲しかったです。」

「そっか…」

 まぁ、腕力は杖の保持に大切な要素なので、ありがたく使わせては貰いますけど…うわ、これ本当に重い。

「5kgあるからね」

 両腕で合計10kgかぁ…。結局この後髪飾りも買ってもらいました。朝起きて髪飾りを付けようとすると5kgの腕輪のせいで腕が震えてなかなか上手く付けられません。

「そろそろ出ようか」

 待ってください。まだ髪飾りつけられてないんです。

 

〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜

 

「ところでフリーレン様、この旅って何か目的があるんですか?」

「特にないよ?魔法の収集の趣味の旅だからね。でも、出来りはヒンメル達との鍛錬の痕跡を辿っていきたいかな、風化する前にね」

 フリーレン様はサイドチェストしつつ振り返り私にそう言いました。…いつの間にか冒険の旅が鍛錬にすり替わってる…。

「それはフリーレン様にとって大切なことなのでございますね…」

「そうだね。でも、フェルンとの旅も大切な鍛錬だよ。筋肉には鍛錬が不可欠だからね」

 そう微笑むフリーレン様ですが…なんか良いこと言った風にしてませんか…?




本作のフェルンはフリーレン式の魔法使いの修行を積んでいるので引き締まったボディをしてると思います。
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