剛腕のフリーレン   作:ベルゼバビデブ

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クヴァールとフリーレン、強力な魔法使い同士の対決です。

今回は長め


第5話 自身を無敵に変える魔法 

 流石は魔王様を打倒せんと挑む勇者一行、と言うべきか。『腐敗の賢老』とさえ呼ばれるワシをここまで追い詰めるとはのう。

「《人を殺す魔法(ゾルトラーク)》」

 青い髪の…勇者はこれを剣で弾き、ドワーフの戦士も斧で弾きよるし、メガネは巧みに避けよる。それにしても白髪のエルフの女…女…?おん…な、と、言うのじゃろう。恐らく。ワシは人間の生物学的性別の判断には詳しくないが、あれは恐らく分類上は女のはずじゃ。

「まさかこれを人間に素受けされるとはな」

 有り得ない。いや、現に耐える…というか、防ぎ切っている。この女エルフ…《人を殺す魔法》を腕をクロスするだけで防ぎよる。本来腕が吹っ飛んでもおかしく無いはずなのに、血こそ出るが擦り傷程度とはのう。恐らく自らの肉体に作用する《防御魔法》の類に違いない。

「フリーレン!同時に行くぞ!」

「≪岩を弾丸に変える魔法≫!」

 見た目はただの岩だが、当たれば魔族のワシでも衝撃により内臓が破裂し四肢が爆散することは必然の威力、当たるわけにはいかない。それに

「これを躱すのか…!」

 勇者の剣技も恐ろしいものだ。更にその剣撃は少しだけだが、前より早くなっている。まずいのう…勝てるビジョンが見当たらぬ。それに先ほどからこちらに何も仕掛けてこないドワーフとメガネ…。ドワーフは兎も角メガネは恐らく僧侶…女神の魔法による搦手を用意しているに違いない。時間的猶予はあまり無いか。

「…仕方あるまい」

「何か仕掛けてくる…!気を付けろフリーレン」

「そっちもね」

 今のワシでは敵わぬことは必定、ならば時を稼がせてもらうとするか「ッ!させるか!」速いな、女エルフ。しかしもう遅い

「《自身を無敵に変える魔法(アストロン)》」

 《人を殺す魔法》を完成させた後、マハトの魔法をワシでも扱えぬかと研究し始めた…魔法としては未完成じゃが、実用には足る。

「ッ!私の《高速で拳を突き出す魔法(マッスルランス)》が通じない…!?」

 左様。この魔法はワシの肉体を無敵の物質へと変える。無敵となったワシはあらゆる攻撃も魔法も跳ね除ける。

「遅かったようですね…女神の封印魔法も効きませんね…」

 無敵となったワシはあらゆる状態異常にもならない。故に封印も受け付けん。

「…でも、さっきからピクリとも動かないね。それにこれだけ強力な魔法だ、ギリギリまで使わなかったってことは何かデメリットがあるはず。…例えば、自らの意思で解除も出来なければ体を動かすこともできない、とか」

 …鋭いなフリーレン。正解じゃ。ワシはこの魔法を使うと一切動くことが出来ない上に魔法も使えぬ。そしてワシの意思では解除できず、自然に解除されるまで時を待たねばならない。

「しかしフリーレン、そんな魔法になんの意味が?負けはしないが勝てもしない魔法じゃないか」

 ふふ、甘いのう勇者。

「ヒンメル。私やクヴァールにあってハイターやヒンメルにない物って何かわかる?」

「え?イケメンさで言えばハイターは無いし」

「はっ倒しますよヒンメル。…なるほど、時間。ですか。50年…いや、100年近くこのままなのであれば我々は老いて死んでいるでしょうね」

 そう、おおよそ100年前後…このままではあるが、100年後は勇者も僧侶もおるまい。魔法使い1人ではワシには勝てぬ。

「なるほど…時間稼ぎか」

「ここでこうしていても仕方がない。クヴァールが動けないうちに他の魔族と魔王を…」

 さて、どうせ体も動かぬのだ。しばらく物思いにでも耽るかのう…

 

〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜

 

[勇者ヒンメルの死から27年後]

 

[中央諸国 グレーゼ森林]

 

 フリーレン様の《岩を弾丸に変える魔法》を《防御魔法》で弾く。最近の魔法の修行は主にこの《防御魔法》に関するものが多かった。

「うんうん、《防御魔法》にも大分慣れてきたね。じゃあ応用と行こうか」

 フリーレン様がおおきく振りかぶって投げた。それをいつもの様に前面に《防御魔法》を展開…しましたが、放られた《岩を弾丸に変える魔法》は軌道が曲がりました。

「痛っ」

 《防御魔法》を掻い潜って私にブチ当たりました。痛いです…。

「防御の隙を狙った。模擬戦じゃなかったら死んでたよ」

 そう言うとフリーレン様は両手を翳し、指の間に挟んでいる8つの石ころを見せつけてきます。…まさか

「どう対処する?」

 フリーレン様の魔法なら当たれば痛い、8方向から迫り来る射出された石ころに対し、《防御魔法》を私を覆う様に球状に展開して防ぎます。

「こうします。」

「そうだね。球状に展開すれば防御の隙は無い。でも、《防御魔法》は強力な分、魔力の消費が激しい。そんな風に展開してたら数十秒で魔力切れだよ。」

 確かに、これは模擬戦でフリーレン様が次の攻撃をしていないから防げただけ、もしもフリーレン様が間髪入れずに第二、第三の攻撃をしていればすぐに魔力切れをして攻撃に当たってしまうだろう。…展開する時間はより短く、より短い範囲であれば良い…

「よし、じゃあもう一回行くね」

 再び射出された8つの石ころを当たる瞬間だけピンポイントに《防御魔法》を展開して弾きます。

「うんうん。よく見てるね。正確な箇所に完璧なタイミングで展開できてる。80点はあげられるかな」

「え、じゃあ残りの20点はなんですか?」

 そう訊ねるとフリーレン様は人差し指をクイクイと2回動かしました。

「撃ってこい、と言うことですね?」

 フリーレン様の真似をして8つの《一般攻撃魔法》をフリーレン様に放ちます。しかし、着弾する前にフリーレン様は横っ飛びで回避しました。…え?避けるんですか?それ、ずるくないですか?

「今のが残りの20点だよ。そもそも相手の攻撃を防御する必要がない様に動けば良いんだ」

 えぇ…

「じゃあはい」

 また8つ射出されたので私もフリーレン様の真似をして横っ飛びで回避…でも、私はフリーレン様ほど運動能力が高く無いので回避後の隙に3つ程当たりそうです。なのでその3つだけを《防御魔法》で防ぎます。

「あとは回避動作中にも《防御魔法》を展開したり《一般攻撃魔法》が正確に撃てる様になればまぁこの時代の魔法使い相手なら勝てる様になるよ」

 魔力だけではなく体力も使う…中々ハードです。息も切れてしまいます。

「よし。じゃあ今日はここまでだね。フェルンはコントロールが良いからすぐにこなせる様になるよ。体力と運動慣れは反復練習すればいずれ身につくからね」

 アブドミナルアンドサイですか、今日も筋肉が犇いてますねフリーレン様。それにしても、フリーレン様は多彩な魔法を使うのに私は実戦に使える魔法は《一般攻撃魔法》と《防御魔法》くらいしか教えてもらってませんね。「さっきも言ったけど、その二つがあれば十分だからね。…まぁ詳しくはその時が来たら教えるね」…む、また私の心を読みましたねフリーレン様…いつもやめて下さいって言ってるのに…

「…最近は《防御魔法》の練習ばかりですね」

「生存率に直結するからね」

 確かに、《防御魔法》一つで《一般攻撃魔法》を始めとする殆どの魔法は防げてしまう…ただ、フリーレン様が本気で放つ魔法には大体持って1、2秒ですぐ破壊されてしまうんですけど。

「ねえねえフェルン。もしかして私が渡した魔法の本読んで無い?実践は確かに大切だけど、魔法は歴史や理論なんかの座学的部分も大切なんだよ?筋肉がトレーニングと食事と睡眠によって作られてるのと同じだね」

 なんかソレは違うと思います。

「まったく、やっぱり寝る前に読み聞かせした方が良かったかな」

「自分で読むのでやめて下さい。フリーレン様に読み聞かせさせると一々ポージングがコロコロ変わって全く頭に入ってこないんです。」

 一行読むたびにポージングが変わるので集中力が削がれるんですよね。

 

〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜

 

 フリーレン様の趣味である魔法収集の旅ですが、今は村に向かっているんでしたか、目の前に見える村が今回の目的の村なのでしょうか

「また魔法の収集ですか?」

「いや、今回は違う」

 サイドトライセップスしつつ振り返らないで下さいフリーレン様。すると、フリーレン様は村の人達に声をかけ始めました。

「ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

「白髪」「ムキムキ…」「エルフ…」

 村の人達がフリーレン様の格好にあたふたしていると、麦わら帽子を被り白い歯を輝かせる1人のお爺さんが見事なラットスプレッドフロントをしつつ声をかけてきました。

「もしかしなくてもフリーレン様ですね?」

 フリーレン様を知っている様です。そしてフリーレン様はその問答に口で答えることはせず、アブドミナルアンドサイを返します。…どういうことですか?

 

「「ナイスバルク!!」

 

「…クヴァールの居場所ですよね、ご案内します。」

 今のやり取りなんなんですか?そしてフリーレン様と麦わら帽子のお爺さんは軽やかな兎跳びで移動し始めました。…何この光景…。

「あの、クヴァールって誰ですか?」

「クヴァールとは『腐敗の賢老』の二つ名で呼ばれる魔族の事じゃよお嬢さん」

「80年くらい前にヒンメル達と一緒に戦ってね。倒し切れなかった強敵なんだ。そろそろ動き出す可能性があるから今度こそ倒そうと思っててね」

 ヒンメル様達…つまり、フリーレン様がハイター様やヒンメル様、アイゼン様と協力したのに倒し切れなかったと言うことでしょうか。…想像がつきませんね

「30年ほど前までヒンメル様が毎年この村を訪れては『魔族殺し』と呼ばれる大剣で切り付けていたのですが全く歯が立たなかった様で…。あと、フリーレン様の事もお話ししていました。様子も見にこない薄情者だと…しかし、村を見捨てるほど薄情では無いとも言っていましたね」

 フリーレン様が薄情…。私にはそんなこと無いと思うので少し意外な評価です。

「…そう言えばクヴァールは80年前のヒンメル様達と闘っても倒せなかった相手なんですよね?…その、今回はフリーレン様だけなのに勝てるんですか…?」

「何言ってるの。今回はフェルンが一緒にいるでしょ」

 …私ではヒンメル様やハイター様のように助けられる事は無いと思いますけど…

「確かにクヴァールは強かったし、何よりこちらの攻撃を受け付けない鉄壁の守りを持ってた。魔王軍の中でも屈指の魔法使いと言って良いだろうね。…《人を殺す魔法(ゾルトラーク)》、奴の開発した史上初の貫通魔法はそれまでの人類の防御魔法や装備の魔法耐性を貫通して破壊した。当時の私の《防御魔法》すら破壊して傷を負うくらいだしね」

 フリーレン様を傷つける…!?

「そんなの強すぎるじゃ無いですか」

「うん。そうだね、強すぎた。だからこそソレが仇になった。…その訳はすぐ分かるよ。案内はここまでで良いよ、あとはやっておくから」

 強すぎるのが仇に…?よくわかりませんが、森を抜けた丘に佇む黒くて光沢を放つ塊がクヴァールという魔族なのでしょうか

「じゃあフェルン。油断しない様にね」

 フリーレン様は力強くダブルバイセップスのポージングを取りました。

 

〜〜〜〜 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜

 

「…油断しない様にね」

 …む、そろそろ《自身を無敵に変える魔法》が切れるか。今回はざっと80年と言ったところかの

「…ほう、流石と言うべきかの?フリーレン。久しいの」

 ワシが目覚めると目の前にはダブルバイセップスを決めているフリーレンとその隣に見知らぬ小娘が立っておった。しかしフリーレン、約80年振りじゃがなんと猛々しいダブルバイセップスじゃ。肩に魔王様でも乗っけておるのかのう。

「80年振りだね、クヴァール。」

 ふむ、今度はモストマスキュラーか、思わずナイスバルクと声をかけてしまいそうになるわい。

「魔王様は?」

「殴り殺した」

 ふむ、魔王様でもフリーレンを含めた勇者一行は倒せなんだか。時間稼ぎをして正解だった、と言うべきか。

「そうか、では…敵討ちと行こうかの」

 ワシが前方に手を翳すと、フリーレンではない小娘が杖を構えた。相手はあのフリーレンが連れる魔法使い。…最初の一撃は確実に防がれるだろうが仕方あるまい。

「フェルン、前方に《防御魔法》」

「《人を殺す魔法》!」

 そして、予想通りワシの魔法は防がれていた。フリーレンではなくフェルンと呼ばれた小娘の術によって。ふむ、随分高度な防御術式…と思うところではあるが、この80年で人類も進化したと言うことだろう。つまり、今時代ではこれくらいは当たり前にやってくる。ただ魔法を撃つだけでは勝てぬと言うことだ。

「…フリーレン様、これは一体どう言うことですか…?今のは《一般攻撃魔法》です。」

 なるほど、ワシの魔法を解析し、研究し、有効な防御方法を作り、更には自分達が一般的に用いれる様にしたか。一般攻撃とは随分な言われようだのう。しかし…

「攻撃に同調し威力を分散させる仕組み、と言ったところか。確かにそれならば《人を殺す魔法》を防げるじゃろう。」

 ふむ、こんな感じか。なるほどのう。

「…じゃが、高度ではなくとも複雑な術式には変わりあるまい?つまり、魔力の消費も激しいと言うこと」

「…!」

 フリーレンは無反応じゃが隣の小娘の反応が雄弁に物語っておるのう。80年という時間の経過による人類の魔法の進化は恐ろしいものだ。だが、それはあくまで技術面の話。

「昔の人間と魔力量はそう大して変わるまい」

 最初の1撃は小手調べ。本番はここから…全方向からの波状攻撃で確実に仕留める!

「《人を殺す魔法》!」

「フェルン、対処できるよね」

「はい」

 全て防いだ…いや、違うな。回避しつつそれでもなお当たる物だけを防いだ…。しかも当たる直前という絶妙なタイミングにピンポイントで展開…

「流石はクヴァール。一目で《防御魔法》の弱点を見破るとはね。確かに魔力の消費も大きいよ。それに人類の魔力量の平均値も変わらない。でもね、当たらなければどうと言うことはないんだ」

 なるほど…全方向からの波状攻撃をも回避し続け、どうしても躱し切れない時のみピンポイントで防ぐと、これならば一度の防御の魔力消費が多くとも長く対処できる…。しかも小娘は回避しつつ杖をこちらに向け、《一般攻撃魔法》を放ってきよる。まぁ、それらは《防御魔法》で防ぐとして…。

「どこ見てるのさ」

 ッ!フリーレン…意識を外した一瞬のうちに背後に…!?じゃが、ワシとてこの80年ただ眠っていたわけではない…!

「《フリーレンを殺す魔法(ゾルトラーク)》!」

「ッ…!?」

 空中で体を捻ったため、狙いの心臓ではなく当たったのは腹だったか。不意打ちに対するカウンターを躱すとは流石と言っておこうかのう。

「フリーレン様!」

「80年前よりも強化した《防御魔法》すら貫く魔法とはね、久し振りに派手にやられちゃったよ。…放つ魔法を螺旋状に回転させ貫通力に特化したってところかな」

 それだけではない。汎用性を捨て、人類の筋肉の破壊に特化させておる。《自身を無敵に変える魔法》は体も動かず魔法も使えぬが、頭は働く。故にこの80年間フリーレンを殺す為に魔法の改良術式をずっと構築しておったのよ。

「80年間鍛えたことでワシの魔法では傷一つつかぬ筋肉を得たのだろう?驕ったなフリーレン。」

「…でも腹を貫かれた程度じゃ私は殺せないよ」

 なるほど、傷口を筋肉による締め付けで止血し、更に人間の筋肉…その筋肉の超再生により傷を回復させたか。…?筋肉の超再生ってそう言う意味だったかのう…?だが、《フリーレンを殺す魔法》であればフリーレンを殺すことは可能と証明された。…当てさえすれば、だが。フェルンなる小娘を相手しつつ回避するフリーレンに魔法を当てるのは至難の技、さて…どうするかのう

「《一般攻撃魔法》」

 ふむ、術者が小娘とはいえ、元々はワシの作った魔法、当たればワシとて無傷とはいかぬ。人間どもの作った《防御魔法》。これはまだまだ改善の余地がある。例えば、同調し威力を分散させることで防ぐと言う考え、そもそものこの考えを逆転させる。

「《反射魔法》」

 同調して分散させるのではなく、一点に弾き返す。これならば威力を殺す必要もなく相手の攻撃をそのままこちらの攻撃に変換させられる。そして弾くのは小娘にではなく、フリーレンへだ。

「ならこっちも…《反射魔法(マッスルカウンター)》」

 ほう、流石はフリーレン。一目でこちらの魔法を模倣するとはな。じゃが、《反射魔法》で反射された《人を殺す魔法/一般攻撃魔法》は再度《反射魔法》で反射できる。そして…

「《フリーレンを殺す魔法》」

 先程は理論構築のみで実践が初だった上に不意打ちで兎に角即座に発射することを優先したため1発しか撃てなかったが、通常の《人を殺す魔法》同様に複数を同時に放つなんぞ簡単なことよ

「防御は任せるよフェルン」

 ほう、回避運動するフリーレンに合わせて着弾する《フリーレンを殺す魔法》のみ《防御魔法》で防ぐか

「小娘、中々やるでは無いか」

 《フリーレンを殺す魔法》は対筋肉特化、《防御魔法》であれば簡単に防がれる。では、これならばどうだ?

「《反射魔法》」

「!」

「フリーレン様!」

 ワシの放つ《フリーレンを殺す魔法》を少し手を加えたワシの《反射魔法》で反射し軌道を変える。当たる直前にピンポイントで反射角を設定すれば予測できまい。…しかし恐ろしいのは反応したフリーレンの方、片腕を犠牲に防ぐとはのう

「フェルン、少しだけ時間を稼いで欲しい」

「わかりました」

「させぬ」

 何をするかはわからぬが《反射魔法》込みの《フリーレンを殺す魔法》を再度叩き込んで…なっ!?《防御魔法》を球状に展開だと…!?

「これならばどう反射させても無駄ですよね」

 魔力切れ覚悟の全面展開では《フリーレンを殺す魔法》は当てられぬ。

「《岩を弾丸に変える魔法》」

 《防御魔法》が切れると同時にフリーレンの魔法による攻撃か。

「《防御魔法》」

 ふむ、やはりこの《防御魔法》は物質を射出する様な質量弾の攻撃魔法には弱いのう。軌道を逸らした程度で破壊されるとは。

 フリーレンめ…右拳を引き絞って…確実にワシにとどめを刺すつもりか…。

「《高速で拳を突き出す魔法》」

 だが、無意味よ。

「《腕を無敵に変える魔法(アームアストロン)》」

 フリーレンが魔法により高速で突き出した拳をワシも両腕をクロスさせ防御する。80年もあれば複数の魔法の改良くらい造作もないことだのう

「…全身じゃなくて腕だけを無敵にしたってことか。」

 

「《一般攻撃魔法》」

 

 ふむ、フリーレンに注意が行ったところを背後から狙撃か、悪く無い連携じゃがヒンメルとフリーレンの連携を見たワシにとっては対処は容易。

「私は80年間鍛えてきた。この意味がわかる?《高速で拳を突き出す魔法》

 …!?腕が、砕かれた…!?

「ッ!《全身を無敵に…」

 

「無駄だよ。《魔族を殴り殺す魔法(マジパンチ)》ッ!!」

 

〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜

 

 フリーレン様の魔法がクヴァールの顔面に突き刺さり、クヴァールは倒せました。

「お疲れ様、最後の《一般攻撃魔法》は完璧なタイミングだったね」

「ですが結局クヴァールには防がれてしまいました」

「あれはクヴァールが私とヒンメルの連携を見たことがあるからだよ。大抵の相手ならアレで倒せてる」

 そうなのでしょうか。…それから私たちは村へ戻り、クヴァールを倒したことを伝えました。

「ヒンメル様のッ!フンッ!言葉をッ!!ハァッ!!信じてッ!!!どっせいッ!!!待ったかいが…………あり、ましたァッ!!!!」

 喋ってる間にコロコロとポージングを変えまくって最後にモストマスキュラーをするのはよくわからないですが、きっと感謝されているのでしょう。多分。

 

「「ナイスバルク!!」

 

 フリーレン様もサイドトライセップスで応えてますし、なんでそんなことするのかよくわからないですけど。

「フリーレン様、感謝されてましたよね?」

「…なんで疑問系なのさ。」

 

 

 





《自身を無敵に変える魔法(アストロン)》
 己を光沢のある黒い塊へと変化させ、あらゆる攻撃を無効化する魔法。マハトの魔法を参考にクヴァールが作成した魔法であり、まさに無敵と言えるほどの強固な守りの反面、クヴァール自身が優秀な魔法使いであるが故に魔法の効力強過ぎるため、自然に解除される100年前後この魔法を解除できない。無敵になっている間は僧侶による封印なども無効化できる。元ネタはドラゴンクエストの勇者の魔法アストロン

《腕部を無敵に変える魔法(アームアストロン)》
 己の腕部のみを光沢のある黒い塊へと変化させ、あらゆる攻撃を無効化する魔法。この状態の腕でブン殴ればもちろん痛い。但し、80年前打ち破れなかった為に【魔力】を鍛えたフリーレンにより破壊された。

《フリーレンを殺す魔法(ゾルトラーク)》
 クヴァールが80年間の間理論構築していた対フリーレン専用の《人を殺す魔法》の発展型。フリーレンの防御魔法の根幹を成す筋肉の破壊に特化しており、主にフリーレンのみに対して絶大な破壊力を持つが、それ以外に対しては殆ど無力(衣服程度なら貫通可能)

《反射魔法》
 人類が《人を殺す魔法》に対抗して生み出した《防御魔法》をクヴァールなりに改良した魔法。《一般攻撃魔法/人を殺す魔法》を受けると任意の反射角に跳ね返すことが出来る。

《反射魔法(マッスルカウンター)》
 クヴァールの《反射魔法》に対抗してフリーレンの使用した魔法。フリーレンの【魔力】により、相手の魔法を受け止め、そのまま射出し返す。フリーレンでも難しいコントロールが必要な為、手の部位でのみ使用可能。

《高速で拳を突き出す魔法(マッスルランス)》
 フリーレンが使用する、己の【魔力】を込めた拳を高速で突き出して相手を攻撃する魔法。

《魔族を殴り殺す魔法(マジパンチ)》
 フリーレンが用いる対魔族専用の切り札的魔法。フリーレンの【魔力】を腕部に集中させ、思い切り相手にぶつけて魔族を抹殺する。一応魔族以外にも使用可能だがフリーレンは己に制約をかけている為魔族以外には使用しない。
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