剛腕のフリーレン   作:ベルゼバビデブ

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打ち切りです()

供養のために先に書いていた対アウラ戦のみ投稿します。


第18話 服従させる魔法

 

第18話 服従させる魔法

 

 

「この私の前でそんなに多くの魔力を消費して大丈夫なのかしら?」

「…」

 フリーレンは無言、か。だが、その視線を見れば何を警戒しているのかは丸わかりよ。この私が左手に持つ『服従の天秤』…天秤に互いの魂を乗せたが最後、より魔力の大きい方が相手を服従させられる。仮に私の方が魔力量が少ない場合、当然私が相手に服従することになる。そんなリスクのある魔法を使えるのはこの私の絶大な魔力があってこそ。この500年以上生きた大魔族である私が生涯のほとんどを費やして鍛錬し続けてきたのは魔力とは鍛錬を積み重ねた年月に比例して増加していくものだから。それに、服従させた相手を不死の軍団として運用し、私の魔力を使うことなく戦うことを可能としている。これにより仮に初めは相手の魔力の方が多くともその魔力を消耗させることで魔力量を逆転させ、服従させることができる。

 

 80年前に突如表舞台に現れ、勇者一行に加わり魔王様を倒した魔法使い。魔法使いに似つかわしくない私の胸囲よりも太い腕部が特徴的なことから『剛腕のフリーレン』と呼ばれる謎に満ちた年齢不詳の魔法使い。先ほどから私の軍団を蹴散らしているようにコイツの魔法は物語っている…。フリーレンは優秀な魔法使いであることには変わりがない、と。しかしながら、ここで問題なのが、コイツの魔力量が80年前・会敵時・今現在…全く変わりが無いということ。

「どうしたの?《服従させる魔法(アゼリューゼ)》は使わないの?」

 …昔、部下だった魔族…名前は忘れた…から聞いた事がある。『魔力量を偽る魔法使い』の話。その時はなぜそんなことをする必要があるのかわからなかったし、ただの噂だと思っていた。…だが、今目の前にして分かった。コイツがそうに違いない。魔法使いとして誇りも何も無い行為だから、なんでそんなことをするのか理解はできないけれども。

「使わないならこっちから行くよ。《岩を弾丸に変える魔法》」

 不死の騎士を盾にして防ぐ…が、一撃で鎧がひしゃげ、おまけにぶっ飛んだ。…アレはもう使い物にならないわね。結構苦労して手に入れたんだけどな。

「フリーレン、どういうつもり?魔力量を偽るなんて。しかもご丁寧に制限特有の魔力のブレすら発生させずに」

「驚いた。魔族はそこまで正確に魔力を観測できるのか」

 この反応、どうやら私の考えは正しそうね。そして《岩を弾丸に変える魔法》を使っても魔力量が変わっていない。ブレもなく一定量に制限…仮にフリーレンが私を確実に倒そうとしていたとする。では一体どうやって私に勝つか…単純な物理攻撃?あのヒンメルと同時に襲われた時は肝を冷やしたけど、あの時だって逃げ切れた。今回だってしたくはないが逃げるだけならできるだろう。では魔法による攻撃?そんなリスクは負えないはず。多少減ったとは言え、不死の軍団はまだ居る。範囲魔法を使えば魔力が尽きて《服従させる魔法》を喰らうことになるし、だからと言って攻撃しなければ不死の軍団による攻撃で消耗させられる。つまりフリーレンには本来勝ち筋はない。…が、先ほどの魔力量の偽装、これを考慮し始めると私に対してのみ使用可能な勝ち筋が現れる。それはある程度消耗した時点で魔力量を見誤った私にあえて《服従させる魔法》を使わせ、逆に服従させること。相手はクヴァール爺さんを屠った魔法使いだ。魔法の腕も魔力量も知恵も相当だと考えるべきね。つまり私がとるべきは…

「お前達、行きなさい!」

 不死の軍団の殆どを使い切ってでもフリーレンを消耗させ、確実に服従させる!

「物量で押しつぶすつもりか。《岩を弾丸に…いや、《高速で移動する魔法》」

 何…?今の衝撃波…!!

「ハイターからは街中では使うなって言われてたんだけどね、まぁここは街中じゃないし良いかなって」

 なるほど、高速で移動しつつ前面に《防御魔法》を展開する事で自分自身を弾丸に…。今の移動速度で強固な《防御魔法》を押し付けられればその物理的衝撃はかなりの破壊力のはず。でも、その分消費した魔力も多いだろう。

「《岩を弾丸に変える魔法》」

「私を守りなさい」

 肉壁を構築しつつ、フリーレンを目で追う。弾丸になった岩ならなんとか躱せてもフリーレン自体が私に突っ込んできたら魔法を使わないと対処できない。…私の魔力を消費させて《服従させる魔法》を使わせない魂胆ね、させないわ。

「《高速で…」

 今ッ!

「…移動する魔法》」

 私の下をフリーレンが通過した…大地を抉るなんてとんでも無い威力だわ。

「なるほど、操っている彼らに自分を投擲させたのか」

「そうよ。」

 飛び上がっていればフリーレンが如何に高速で地面を移動しても私に当たる事はない。しかし…

「だいぶ減ってきたね」

「それはお互い様でしょう?」

 フリーレンは魔力を、私は不死の軍団を消耗している。だが、これだけやれば仮に相手が私以上に生きる…それこそ倍の1000年を生きる魔法使いだとしても相当の魔力を消耗しているだろう。不死の軍団はまた補充する必要があるが、これだけの力を持つフリーレンを私が支配すればそのときは支配したフリーレンだけで街でも国でも容易に制圧できる。

「やれ!」

 不死の軍団で攻撃させるが、フリーレンの《防御魔法》に阻まれる。

「《岩を弾丸に変える魔法》」

 そして今ので不死の軍団はほぼ全滅した。でも、だからこそ確実に《服従させる魔法》は防げない!!確かにこの魔法に掛かっても強い意志を持ったものは一瞬だけ抵抗が可能…しかし、その為の盾は少数だが残してある。私の作戦に抜かりはない。

「《服従させる魔法》」

 フリーレンから抜き出された魂が天秤に乗せられる。アレだけ消耗したのだ。当然私の魂の方が重い。よし!これで…「『勝った…!』と思っているの?アウラ」勝っ…何ッ!?

 

「《魔族を殴り殺す魔法》」

 

 ッ!?服従させたのに…こんな一瞬で…!?

「盾になりなさい!」

 不死の軍団の残りである10体を私の前に展開し肉壁を構築する。一瞬でこれほどの守りを突破することなんて不可能なはず!

「正直、最初から《服従させる魔法》を使われたら危なかったけれども、お前が慎重な魔族で良かった。やっとお前を倒せる。」

 …どういう事…?なんで、フリーレンが目の前に…それに、わ、私の…私の腹部を、フリーレンの魔法が…腕が貫通しているの…!?

「最初から魔力量で私は負けていた。お前は見誤ったんだアウラ。私は生きてきた時間の殆どを魔法ではなく肉体の鍛錬で過ごした。筋トレしてるのが自然になるほどに」

 私は…読み負けた…?500年以上を生きる大魔族の私が…?

「アウラ、お前の前にいるのは…1000年以上鍛えたボディビルダーだ。」

 力強いモストマスキュラー…ナイス、バル…

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