もしも綾小路がAクラスだったら   作:綾小路が一番のヒロイン

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※投稿後、部活動見学を部活動説明会に変更しました。


買い物と食事と出会い

 

 自己紹介を終えた後、まだ初日ということもあってホームルーム後すぐに解散となった。時刻はまだ昼頃だが、生活用品を備えなければならないし、どの場所に何があるのかも把握せねばならないから順当と言えば順当だ。

 有栖に見つからないように生徒たちに紛れて教室の外に出たのが功を奏したのか、有栖には見つからずにケヤキモールまで辿り着けた。

 

 早速、ケヤキモール内の店に入り、歯ブラシやシャンプーなどの日常品を手に取りカートに入れていく。しばらく歩いていると『無料商品』という棚を見つけた。そこには状態の悪い商品や不良品だと返品された商品が並んでいるのかと思ったが、棚の中を覗くと新品同様傷一つ無い商品が並んでいた。

 ポイントを浪費し過ぎた生徒への救済なのだろうか?だが、来月のポイントの支給額が確実に下がることは確認できたが、幾ら何でも0ポイントまで消費する生徒は居ないのではないかと思う。

 

 Aクラスの様子を見ていてもこれと言った問題のある生徒は見受けられなかった。バスの中ではこの学校の問題性*1を頭の中で指摘していたが、政府が運営しているだけあってこれと言った問題がある生徒は、躊躇なく面接で落としているのだろう。

 そう考えを纏めて、必要な物を揃えたオレは会計に向かう。

 

 会計は真嶋先生が言っていたように学生証を機械に通す事で会計が済んだ。スムーズだな。

 合計1万ポイントほど使ってしまったが、寮生活初日なのでそれも仕方がないだろう。とはいえ、無駄なものは一切購入していない。縫いぐるみやテレビなど生活するにあたって、必ずしも必要というわけではないものは手に取っても購入には至らなかった。

 

「スゲー!ゲーセンもあるぞ!!」

 

「まじかよ!ここは天国か?」

 

「ス○チャもどきもあるぞ!」

 

 寮に向かおうと店を出たところ、店の前を駆け抜けていったのは三人の男子生徒だった。一人は赤髪の不良のような生徒で、もう一人は茶髪の小柄な生徒、あと一人はなんの特徴のないモブのような生徒だった。

 大声を発しながら走っているため、周囲からは迷惑がられている。

 

 …必ずしも全生徒が優秀というわけではないようだ。そうとなればただ単にオレのクラスが優秀であっただけだろう。このように叫び回るような生徒は一人もいなかった。

 考えを改めさせられたが、気を取り直してオレは寮に向かった。

 

 寮に着いてからオレはフロントの管理人から自分の部屋のカードキーと、寮でのルールなどが書かれたマニュアルを受け取り、エレベーターに乗り込んだ。エレベーターの中に有栖がいる…というのはオレの杞憂だったようだ。

 部屋に着いてからはマニュアルに目を通していく。ゴミ出しの日や時間、騒音には気を付ける。無駄な電気や水道の使用は控えるなど、生活の基本の事柄ばかりが記載されていた。この寮特有のルールなどが記載されていると思ったのだが、そうでもないようだ。電気代やガス代が無料ということには驚いたが、さすがに不純異性交遊は禁止しているようだ。…そこらへんはしっかりしているのだな。

 

 マニュアルに一通り目を通し終わり、部屋を見渡す。8畳ほどの広さで一人暮らしを始めるには丁度良い広さだった。この学校は説明などにいやらしいところはあるが、生徒の事を考えているのは本当の事なのだろう。

 開放感と感動に浸りながらオレはベッドにダイブする。制服から着替えてもいないし、買った物をしまったりしていないが、今はただこうしていたい。

 

 有栖に絡まれることもなく、監視されているわけでもなく、カリキュラムをこなさなければならないわけでもない。自由な生活を求めていたわけではないが、一人というのは思っていたよりも心地良い。改めてオレは高校生になったのだと自覚する。…親父殿も偶には良い発想をするのだな。

 学校生活初日はしばらく寝転んだあとに、買った物を部屋に収納、配置してあっという間に終わってしまった。

 

 

 学校生活二日目。今日から授業が開始なのだが、入学したばかりなのでその殆どが勉強方針の説明だった。先生たちは名門校だからといって堅苦しい感じではなく、フレンドリーな先生が多くいた。この事には多くの生徒が拍子抜けしたことだろう。オレもホワイトルームの教官たちと、雰囲気が比べ物にならない事に驚きを隠せなかった。

 そんな先生たちには好感を持てるが、中には冷たい先生もいた。その筆頭が一年Dクラス担任の茶柱佐枝だろう。社会科の歴史の時間に登場したのだが、淡々と説明をするだけで生徒との関わりを持とうとしない。説明は簡潔で内容はよく纏まっているのだが、どこか生徒たちとの交流を拒絶しているように感じた。…これが普通なのだろうか?

 

 説明は正直眠くなるものばかりだったが、Aクラスの生徒は誰一人として眠いというような素振りを見せなかった。他クラスには全ての授業を眠りこけているという猛者がいるらしいが、どうせあの三人組だろう。

 そんな事を考えていたらいつの間にか昼休みになっていた。生徒たちは思い思いに立ち上がり、顔見知りとなった生徒たちと食堂に向かって行く。お弁当を作ってきた生徒たちもいるようだが、その生徒たちも互いの友人たちと合流していた。友人がいないオレはただその光景を羨ましそうに眺める事しか出来なかった。

 

「清隆くん。一緒に食堂で食事を摂りませんか?」

 

 あまりの友人欲しさに幻聴が聞こえてきた。…ここで反応したら、オレには幻という名の友人ができるのだろうか?

 

「私ですよ〜無視しないでくださいよ」

 

 …オレオレ詐欺ならぬ私私詐欺がオレは襲われているのかもしれない。このままスルーして食堂に向かうのが得策か…?

 

「そろそろキレますよ…?」

 

「……すまない、少し気を失っていたようだ」

 

 結局、オレは有栖の圧に屈する事となった。有栖は少し怒っている様子だったが、オレは今気絶から目が覚めたのだ。何も知らない。

 

「はあ、最初から返事をしていればよいものを…。改めて、私と食事を摂りませんか?」

 

「か、構わないぞ」

 

 既に多くの生徒が教室を出ており、残っているのはオレと有栖含め数人だ。この調子だと、食堂は混雑しているのだろうな。…席が取れるか心配だが、それよりも足の不自由な有栖の食事と自分の食事の両方を運ぶ方が骨が折れそうだ。

 

 

 有栖との食事は他愛のない話をして終わった。また絡まれるのかと思いきや、何の裏もない世間話だった為拍子抜けした。有栖が食事を運んだ事に対するお礼なのかオレにスペシャルランチを奢ってくれたのは以外だったが、遠慮なく頂いた。

 

 有栖はオレと食事を摂ったことで満足したのか、何処かに行ってしまったからオレは学校の中庭で一人寂しく散歩していた。コンクリートで整備された道の横には美しい花が咲いており、心なしか空気も新鮮に感じた。

 少し歩いているとコンビニが見えていたので、デザートでも食べようかと中に入ろうと思った矢先、校内放送で放課後に部活動説明会が体育館であると知らされた。

 

 有栖は部活動に所属するか分からないが、オレは友人を作る為にも部活動には所属しておきたい。男らしい青春を送るにはやはり運動部に所属するべきだろうか?運動部と言えばサッカーや野球、テニス、水泳などが浮かぶが、オレ個人の能力を活かすならば個人種目が好ましい。…各部活の説明を聞いてから決めるか。

 

 部活動についてオレは考えを纏めると同時にオレは『しゅーくりーむ』という物を手に取り、購入する。口にした事は当然ないが、人気商品とポップが貼ってあったのでそこまで心配はしなくても良いだろう。

 ホワイトルームでは決して口にする事のなかった物に期待を膨らませながら、封を切りしゅーくりーむなる物を取り出す。そして、そのままオレは口をつけた。

 歯を食い込ませると同時に中からクリームが溢れ出し、物凄い甘みを感じた。美味いという言葉では形容しきれない甘さ。じっくりと堪能したいが、顎の動きが止まらない。その調子では直ぐになくなってしまうのは分かりきったことだが、オレには止めることなど出来なかった。

 

「誰かは知らないけど、下品ね」

 

 その一言でオレは我に返った。しゅーくりーむから顔を上げると『さんどいっち』を持った長い黒髪が目立つ少女がこちらを見つめていた。

 

「すまない。初めてしゅーくりーむに感動していて我を失っていた」

 

「そう」

 

 短い一言を残して少女が立ち去ろうとしたが、名前くらいは名乗ろうと思って少女を引き止めた。

 

「何よ?」

 

「自己紹介くらいしておきたくてな。オレは一年Aクラスの綾小路清隆という。よろしくな」

 

「そんな事の為に呼び止めないでくれるかしら?自己紹介なんて時間の無駄よ」

 

「え…」

 

「それじゃあ、ね」

 

 少女はそう言い残してさんどいっちを片手に去って行った。残されたオレは自己紹介が無駄だと言われたショックで呆然としていた。

 …入学前に読んだ本には自己紹介は友達作りの第一歩と書かれていた筈なのだが…先程の少女は例外だったようだ。名前すら教えてもらえないとは、何と言うかこう…来るものがあるな…。

 オレは暗い気持ちでしゅーくりーむを平らげ、教室に向かった。

 

 

 午後の授業を終えた後、オレは体育館に向かった。勿論部活動説明会に参加する為だ。有栖を部活動説明会に誘ったのだが、やはり部活に所属するつもりはないと断られてしまった。

 そうなると必然的にオレはボッチとなる。その事に憂いを感じながらもオレは足を進めた。

*1
"入学するだけ"で進学率がほぼ100パーセントだという点




今回の補足

・ケヤキモールで三馬鹿が登場した。
 時系列としては、原作で須藤がコンビニで学生証を忘れるイベントの前。

・綾小路がシュークリームを食べた。
 清隆はシュークリームやサンドイッチを食べ物としては知っているが、味については全く知らないのでわざと平仮名で表現している。

・堀北とコンビニで出会った。
 清隆がAクラス所属の為、これが初対面。なお、清隆は落ち込み過ぎて有栖に心配されていた模様。

綾小路をAクラスに移動させたらDクラスが物凄く弱体化してしまった…。どうしよう?

  • 高円寺くんが本気らしいよ?
  • 南雲先輩はDクラスを狙っている?
  • オリキャラ(綾小路妹とか)ぶっこもうよ?
  • 1年Aクラスに従属したらしいよ?
  • 堀北さんと櫛田さんの協力?
  • 何もなし。そのまま底辺なの?
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