もしも綾小路がAクラスだったら 作:綾小路が一番のヒロイン
そして、いつの間にかUA7000突破&お気に入り200件が突破してて驚いています(゜o゜;。高評価もたくさんついていて嬉しい限りです。
オレの高校生生活も早くも二週間が経とうとしていた。最初の一週間は水泳部への入部が受理され、部活に顔をだしたり、水泳用品を購入して約1万2千ポイントを使用してしまったりと慌ただしい日々だった。
後半の一週間は学校生活だけではなく、クラス内でも動きがあった。有栖と葛城がAクラスのリーダー(学級委員のようなもの)に立候補し、方針や性格の違いから二人が敵対。そしてクラスが有栖派閥と葛城派閥で真っ二つに割れてしまった。
オレは中立の立場でありたかったのだが、有栖に「この間スペシャルランチを奢りましたよね?」と詰められてしまい、言葉が詰まった。
とはいえ、有栖と葛城の能力の差は明白。最初は互角に戦えたとしても徐々に葛城が押され、最終的には葛城と有栖の軍門に下るだろう。そうなった場合、敗軍の将として有栖派閥に加わるよりかは古参の将として属していた方が発言に重みがある。つまり、有栖を追い落とす事も可能であり、多少の人心掌握も簡単に行えてしまうということだ。…というわけでオレにも不服はない。喜んでとはいかないが有栖派閥に加わった。
と、二週間の事を纏めていると教室へと続く廊下で一人の女子生徒に話しかけられた。
「私は一年Dクラスの櫛田桔梗って言うんだけど、この学校の生徒全員と仲良くなることが目標なの。だからあなたの連絡先と、あなたの友人に私の事を紹介してもらいたいの。ダメ…かな…?」
勿論です!と言いそうになったが、一旦我慢だ。この櫛田桔梗という少女、見るからに裏がある。一見ニコニコしているように見えるが、心と目が笑っていない。普通の生徒には愛想が良い生徒のように見えるが、オレにはとても心からの笑顔には見えない。
だが、連絡先くらいは良いだろう。…オレだって知っている連絡先を増やしたいのだ。
「別に構わないぞ。だが、オレには連絡先を知っている友人は一人もいない。済まないな」
そう、オレには友人がいない。…有栖?そんな友人知らないな。
「ううん!連絡先を教えてくれるだけでも嬉しいよ!名前は…綾小路くんって言うんだね!これからもよろしくねっ!」
「これからもよろしく頼む」
…めっちゃいい子やん、と思うが、内心「何このボッチ、使えないな」とか思われてそうで少し怖いな。これだったら有栖の方がまだ話しやすいかもしれない。…いや、それは言い過ぎだな。
兎も角、オレの手に握りしめられている端末の連絡先には、新しく『櫛田桔梗』という連絡先が追加されていた。
今日の体育の授業では水泳が行われる。折角水泳部に入部したのだ。良いところをクラスに見せて、あわよくば友人を作りたい。
水泳部のオレはそう張り切っているが、他の部活のAクラスの生徒達からしたら面倒この上ないらしい。有栖の見学は確定事項だが、他の生徒が見学するとなると話が変わってくる。来月の振込ポイントは、生活態度や授業態度などを学校中に仕掛けられている監視カメラで監視し、オレ達の行動次第で増減する筈だ。でなければ、真嶋先生が言葉を濁したのと防犯にしては過剰な量の監視カメラの説明がつかない。
授業態度となれば、当然体育での見学者数もマイナスに働く筈だ。今後クラスの上下を賭けて何かしらのイベントが行われる時にポイントは必ず役に立つ。なんせ、この学校内でポイントで買えないものはないのだからな。
「おはようございます、清隆くん」
「…有栖か。何か用か?」
「そう焦らずに。…とは言っても、私自身清隆くんとここ二週間あまり話していなかったので少々興奮していますが」
有栖が茶番を始めたが、そんなことに付き合う義理はない。こちらも予定*1というものがあるのだ。
「――っとそんなに怖い顔をしないでください。少々熱が入ってしまっただけですので」
「………」
「――手短に言うと、清隆くんは水泳の授業で本気を出しますか?」
そうか、有栖は殆ど気づいているようだな。そうでなければこの結論に辿り着けない。
「本気を出す場面なんてあるのか?」
「勿論ありますとも。景品はポイントと言ったところでしょうか?」
「もし、そんな場面があるのなら水泳部としても負けられないな。個人ポイントは大切にしないとだしな」
「っそうですね。私は見学させて頂きますので、見学席で応援していますね」
有栖はそう言い残して去って行った。わざわざ本気を出すのか?なんて事を聞きに来るのは有栖らしくないが、答え合わせの為に来たと考えれば納得出来る。
それにしても本気、か。あの男の教えが脳裏にちらつく。
――力を持っていながら、それを使おうとしないのは愚か者のすることだ
あの男の本質はこの教えから容易に理解できる。それ故、どうしても小者に見えてしまう。本来的敵であろうが味方であろうが自身の本質は晒してはならない、他人を率いる者は自身を偽らなければならない、というのがホワイトルームで学んだ掌握の鉄則だが、あの男のはオレという敵にもなりうる存在に本質をさらけ出している。
無意識のうちに放った言葉かもしれないが、詰めが甘いと言わざる得ない。総理大臣を目指していると豪語しつつもホワイトルーム関係でアキレス腱を作り続けている。そういったところがあの男の弱みなんだろうな。
柄にもなく長考してしまった。ホワイトルームにいた時は無駄な事を考えずに淡々と判断を下せていたが、この学校に来てから――いや、有栖と関わり始めてからか。確実に心が弱くなってきている。これも感情と言われる物のせいだろうか?もしそうだとしたら、青春を送るというのも考えどころだな。
オレはそれ以上の思考はせずに残りの授業を受ける事にした。
午前中の授業を終え、いよいよ体育の授業となる。オレは更衣室で手早く競泳水着に着替えると、更衣室を出てプールに向かった。
そして、スイムキャップとゴーグルを片手にプールサイドに出ると既に数名の生徒が集まっていた。
「見学者は――一人か」
見学者は意外にも有栖一人だけであった。朝の時点では見学を考えていた生徒も多かった筈だが、有栖や葛城が自派閥の生徒に呼びかけたのだろうか。だとしたら葛城も授業態度を監視されている事に気づいているのだろう。葛城は生徒会には入れなかったらしいが、思っている以上に優秀なのかもしれない。
「よーしお前ら集合しろー」
体育教師の声でオレの思考が中止される。体育教師と言っても水泳部顧問なんだが。
それから程なく教師のもとに生徒が集まり、教師が話し始める。
「見学者は一人、か。随分と少ないな。――やはりAクラスは優秀だな」
教師が呟いた一言。それは普通の人間には聞き取れない程の大きさであったが、オレにははっきりと聞こえた。オレも答え合わせが出来た、か。
「――と早速だが、お前たちの実力が見たい。ウォーミングアップとして50Mを一本泳いだ後、50Mのタイムを計測する。一位には特別ボーナスとして5000ポイントを支給することとする。遅い奴は補習があるから手は抜くなよ?それと泳げない奴は先に言ってくれ、先生が夏までに必ず泳げるようにしてやるからな。それに泳ぎは将来、絶対に役に立つぞ」
予めタイムの計測があると予測していた生徒が多かったからか、不満の声は上がらなかったが泳ぎに自信のない生徒の顔はくもっていた。が、棄権を申し出る生徒は一人もいなかった。Aクラスの生徒は運動に置いてもそこそこのスペックを持っているのだろう。
それから50Mを全員が泳ぎ終え、再び教師の前に集まる。
「全員上がったな。まずは女子からレースを行う。女子は自分のコースの前に整列するように。男子はプールサイドで女子の応援だ」
テキパキと教師は指示を出す。タイムレース*2で行う旨も伝えられ、オレは他の男子たちに紛れてプールサイドへ向かった。
それから程なくして笛が鳴り響く。スタート台に立っていた女子生徒達が一斉に水に飛び込み、水中キックを打つ、又は浮上してくる。
男子から声援が送られる中、先頭を泳ぐのは…確か神室真澄だったか?有栖と葛城どちらの派閥にも属していない珍しい生徒だった筈だ。手を回す速度も速く、体幹をしっかりと使って真っ直ぐ進んでいて、とても初心者とは思えない。
レースはそのまま神室が独走し、27秒9という水泳部顔負けのタイムを叩き出した。*3教師も水泳部顧問として興奮していた。
その後の女子のレースでは神室に迫るような生徒は現れず、可もなく不可もなくと言った感じであった。
そしていよいよ男子のレースが始まる。オレは水泳部であることが考慮されたのか最終組である4組目の中央のレーン*4であった。
女子が泳いでいる間に他の生徒の体の観察をしたが、葛城と鬼頭隼、橋本正義という生徒はそこそこ動きそうな体をしていたというだけでオレの脅威にはならなそうであった。とはいえ、有栖に本気でやると遠回しに宣言した以上手を抜くことはできない。22秒*5を目標に泳ぐか。
と、目標を定めているうちに2組ほどが泳ぎ終わり、3組が始まろうとしていた。2組目には鬼頭が居たはずだが、教師がそれほど興奮していないことからあまり速くなかったのだと推測する。
3組目には橋本がいるが、鬼頭よりかは劣っているように見えたので最早興味はない。4組目――オレの隣のレーンには葛城がいる。葛城は全身が高密度の筋肉に覆われているような体つきだが、動きを見ていても筋肉の使い方に置いてはオレに大きく劣っている。葛城のタイムはざっと25秒〜26秒と言ったところだろう。高校生としては速いが、オレには届かない。心配することはない、既に勝ちは揺ぎない。
3組目が泳ぎ終わり、オレたちの番になる。教師の合図と共に飛び込み台に乗り、この組の全生徒が飛び込みの姿勢を構える。
そして、笛がなりオレは即座に飛び込む。入水してからは飛び込みの勢いを殺さないように水中キックを打ち、12Mほどで水面に上がる。動きは最小限に留めて素早く水を掴み後ろに押す。足は深く細く動かす。この時点で葛城はオレの視界にはいない。オレはそのまま加速を続け、いつの間にか迫っていた壁に手を伸ばす――。
水から顔を上げると、待っていたのは感心したような教師の顔と驚いたようなクラスメイトの顔。教師の手に握られていたストップウォッチを見ると22秒フラットであった。無事目標達成だな。
全員が泳ぎ終わり、オレがプールから上がると他の生徒に囲まれる。
「綾小路!お前凄いな!」
「綾小路くんって水泳得意なんだね!」
運動は得意な方なんだ、水泳部だからな、と生徒達に返しつつ教師から表彰式があるからと呼ばれたのでそちらに向かう。遠くから手を振っている有栖は取り敢えず無視だ。
「綾小路、水泳部で初めてお前を見た時は驚いたぞ。速そうには思えない綺麗な泳ぎなのにあんなに速いんだからな。そして、今日。お前は歴代でも一番速い記録を残した。先生は嬉しいぞ。これからも頑張ってくれ」
教師のもとに行くとそう褒められ、端末に2万5000ポイントを送ったと言われる。本来の賞金より2万ポイント多いのは教師からのサービスだそうだ。
最終的な順位は一位がオレ、二位が葛城、三位が鬼頭といった形であった。
「綾小路、一緒に泳いだ身としてお前の泳ぎに興味を持った。一体、どんな鍛え方をしたのだ?是非とも教えて欲しい」
「勿論だ葛城。連絡先、交換しないか…?」
「別に構わないぞ」
そして、オレと葛城の間には友情?が芽生えた。連絡先も交換できたし、これは友人と言っても良いのでは?良いのでは?
有栖以外での友人ができたオレは立派な高校生だろうか?この流れで休日に葛城とジムに行く約束もできたので、遂に休日ボッチを卒業だ。
異常なまでのテンションの昂ぶりに驚きを感じつつもオレは更衣室に向かった。
今回の補足と原作との違い
・綾小路が坂柳派閥に入った。
原作の堀北のような手口で清隆はしてやられた。この世界線でも清隆は油断していた模様。
・櫛田の本性に気がついた。
原作とは違って緩み切ってはいないため、奇跡的に気がついた。が、連絡先はきっちり交換している。
・プールの授業で全力を出した。
この世界線だからこその出来事。高円寺より速い。
・神室の方が堀北よりタイムが速い。
2年生時のOAAの身体能力が神室の方が高いため原作の堀北よりも少しだけタイムが速い。
綾小路をAクラスに移動させたらDクラスが物凄く弱体化してしまった…。どうしよう?
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高円寺くんが本気らしいよ?
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南雲先輩はDクラスを狙っている?
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オリキャラ(綾小路妹とか)ぶっこもうよ?
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1年Aクラスに従属したらしいよ?
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堀北さんと櫛田さんの協力?
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何もなし。そのまま底辺なの?