ネムガキがアイドルやるイベントはいつですか?
それともあのCGは私の幻覚でしょうか。
「あ...!ミヤコちゃん...!」
「ミユ!」
D.U.のはずれにある、カイザーの息がかかっていない病院。
不良との戦闘も長引き...ミユの通信を受けて到着した頃には、既に日が暮れていた。
「お知り合いの方ですか?」
「はい。それで、容体の方は...?」
担ぎ込まれたという3人を観てくれているお医者さまが、神妙な面持ちで話してくれる。
「コノカさんは先ほど目を覚ましました。しかし、お2人は...」
窓から病室を覗く。
人工呼吸器といくつかの管に繋がれた2人の姿が...痛々しく映る。
ヘイローは消えたまま。
「...あれ、SRTの人っすか...?」
「!?こ、コノカさん!安静にしてないと...!」
別の病室から扉をガラッと開けて顔を覗かせたのは...元公安局副局長の、コノカさん。
元公安局長と共に逃走し、行方不明...ということになっていた1人。
「は、初めまして。SRT特殊学園RABBIT小隊の月雪ミヤコです。あの、無理をしない方が...」
「あたた...だ、大丈夫っす。こんなの、姉御たちに比べたら擦り傷っすよ...」
彼女はよろけながら壁際のベンチに座り込む。
身体中に巻かれた包帯や絆創膏が痛々しい。どう見ても無理をしているというのに、彼女は笑顔を作っている。
「...何が、あったんですか。」
あの日の真相。どの資料を見るよりも...張本人が1番知っているはずだ。
「あの日...元々行動を制限されていた公安局に色んな嫌疑がかかって、それが全部姉御のせいになって。」
目を細めて、悔しさを滲ませながら彼女は話し出す。
「姉御は投降するって言ったんすけど。でもアイツら、他の公安局員にまで嫌疑があるとか言って暴力振い出したんです。それで、後は大暴れっすよ。」
...公安局の逮捕騒動の発端はこれですか。彼らはカンナ元局長に手を出させるためにワザと暴挙に出たのでしょう。
カイザーの手口は、あまりにも悪辣です。
「結局SRTが来て、私たちはお縄になったんすけど...その後カイザーに引き渡されて...その後は...酷い尋問で...」
彼女は俯き...歯を食いしばる。
「ああ、クソッ...情けないっす。姉御にも、キリノちゃんにまであんな目に合わせて...っ」
音の聞こえるような握り拳と、涙の跡。彼女の無力感がひしひしと伝わってくる。
あの場で別の選択肢なんてなくて...4人揃ったFOX小隊に勝てる可能性もない...
そんなことは、彼女も分かっているだろう。
それでも、どうしようもない悔しさを煮えたぎらせている。
「あー...えっと、そういえばまだお礼言ってなかったっすね。助かったっす。ミヤコさんに、ミユさん?」
「い、いえ、そんな...」
少し、気まずい。彼女を直接逮捕したのはSRT特殊学園なので...
「あの、私たちはSRTですが、えっと...」
「大丈夫っすよ。RABBIT小隊のことは姉御から聞いてるんで。」
カンナ元公安局長から?
「私たちのことを...ですか?」
彼女は少し困ったように、懐かしむように、微笑んだ。
「はは...私たちより正義やってる、元気な新入生がいるってね。」
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「ひぃぃっ!!」
「痛っ...カヤ代行、闇雲に銃を撃つのはやめてちょうだい。跳弾が来たわ。」
カイザーに追われてがむしゃらに走り抜ける。
最初に連邦生徒会から脱出するときも思いましたけど、もしかして私体力不足なのでしょうか?
いえ、そんなことありませんね超人なので。
「ぶへっ!?」
そんなことを思っていたら、曲がり角でツルッと滑って床に激突してしまいました。
清掃係は何をやっているのですか?お金を渡しているのですよ...!?
「今だ!」
「うひぃっ!?」
立ちかけたところを狙われ、あわやクリーンヒットというところでアオイ財務室長に引っ張られて回避する。
「ぐあっ!?」
「少し落ち着きなさい。」
振り向きざまに2発、財務室長がカイザー兵士に射撃を命中させた。
「さあ急ぎましょう。リン行政官のところへ。」
「え?あ、はい...」
この人、さっき七神リン元連邦生徒会長代行の名前を出してから急に素直についてくるようになりましたね。
これは...収監された哀れな前任者すら救う私の『超人』すぎる清らかな精神に心打たれた、といったところでしょうか?
まあ何でも構いません!
「行きますよアオイ財務室長!リン元代行を救い、カイザーの手から連邦生徒会を取り戻すのです!」
「カヤ代行、そっちは食堂です。矯正局はこっちです。」
知ってます!超人なので!
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キィ────
少し錆びた扉が音を立てて開く。
『フブキちゃんなら、屋上っすよ。風に当たってくるって...言ってたっす。』
「...公安局長。」
「ん?...ああ、ミヤコ小隊長。作戦乗ってくれてありがとね。」
何の気なしに振り返った彼女が、月明かりに照らされる。
「その...2人は...」
「うん。意識不明って...参っちゃうね。」
目を逸らしながら、乾いた笑いを残す。
彼女が追い求めていた真実は...あまりにも残酷な結末になってしまいました。
表情から読み取ることのできない彼女の心中に、触れることすら躊躇ってしまう。
「...私たちはこの後連邦生徒会に戻ります。そしてカイザーの手から、全てを取り戻します。」
「...そっか。」
伝えるべきか、仕舞っておくべきか、私にはすぐ判断することができない。
「あ...貴方も...!」
「はい、これ。」
彼女は私の手を取り、1束の書類を握らせた。
「こ、これは...」
「これ、シャーレ爆破事件とか連邦生徒会癒着とかの資料。カイザーPMC基地に保存されてたやつで、プレジデントの捺印もバッチリ。」
カイザーが今までひた隠しにしてきた悪事の証拠が、これでもかと詰められた文章たち。
これを、私に...
「貴方は...!」
「私は、もういいかな。」
彼女はフェンスに背をもたれさせて、上を見上げる。
「元々こんなのキャラじゃないし...私はさ、こんなふうにドーナッツを食べながら、ぐうたらみんなと過ごしていられればそれで良かったんだよね。」
ガサゴソと、彼女は上着のポケットを探った。
「...ああ、あの冷凍ドーナッツはあの時落としたんだっけ。飴も持ってないし...」
ため息を吐きながら、ポケットをひっくり返す。
「何もないね、もう。」
そういって笑った彼女の目元は、月明かりのせいでキラキラと輝いている。
「...資料、ありがとうございます。」
「うん。」
再び彼女は背を向けて、 月を眺める。
今にも消え入りそうな背中を見て、私は。
「...私は!」
「...?」
あの日のお返しと言わんばかりに、大きな声を出した。
「過去の私たちを『信念持ってやっている』って貴方が言ってくれたあの日!」
「......」
「それは、あの時の貴方だと思いました!絶望的な状況で、考えることをやめなかった...!」
あの日。月は隠れて見えなかったが、今なら見える。
「信、念...」
「...待っています、公安局長。」
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屋上を降りて、病室へ。
物音ひとつしないこの部屋。横たわる2人の少女を見つめる。
「...キリノ。」
思い浮かぶのは、純粋な彼女の笑顔。
ぐうたらな私を引っ張って...生活安全局として、地域の安全からちょっと危険なところまで、共に駆け回った思い出。
今、目に映るのは...衰弱した彼女の姿だけ。
「カンナ局長...」
思い浮かぶのは、凛々しい後ろ姿。
隅っこにある違う局にだって...その武勇は轟いた。
ヴァルキューレ公安局の『狂犬』。
獲物を逃さず、何よりも公安局を体現した彼女は、本当は生活安全局志望だったらしい。怖い顔のせいでこっちになったらしいけどね。
そんな彼女は...公安局になってから分かる。
誰よりも強く見えた彼女は、誰もよりもがんじがらめになっていた。
その末路が、『狂犬』とは思えない静かな姿。
「...私は。」
私だけ、ここに1人だね。
ガラッ───────
「っ...局長!!!」
「.......後輩ちゃん?」
気づくと私は、まっすぐな瞳に貫かれていた。
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