綾小路が朝霧海斗みたいな感じだった時の話   作:なか115

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第2話

「……とまあ、こんな感じらしい。すごいね、堀北さん。浮かれてしまっていた自分が情けないよ」

 

端正な顔立で少し苦笑いをするのは平田洋介。

少し変わり者で、何故か俺に良く話しかけてくるため自然と仲良くなった。

とはいえ、彼はクラス全員と仲良くあろうとするため、俺にとっては一番話す相手でも平田からすれば大勢のクラスメイトの中の一人、といったところだろう。

 

入学から2週間といった短い期間にもかかわらず、平田はクラスメイトと交流を深め更に部活動に精を出していた。

基本クラス単位で行動する学校なのだが、部活動は普通に他のクラスや上級生とのかかわりもあるようで、上級生からこの学校のルールを聞くことが出来たらしい。

 

「積極的に教えることは禁止されていても、質問されれば答えても問題ない、とのことらしいよ。この学校は常に監視されているらしく、見てないと思っててもどこかで誰かが見ているらしい。基本的に遅刻や欠席、態度が悪いなどマイナスポイントがあればクラス単位で責任を取ることになる。うちのクラスはお世辞にも素行がいいとは言えないから、今のうちに手を打たないとあっという間にもらえる金額は0になるだろうね」

 

平田の言葉に考え込むように拳を口に添える堀北。

この学校は、ポイントというシステムに管理されているようで、スタートは全クラス共通で1000ポイント。試験やらで加点することもあれば生活態度や言葉使い、クラスメイトの退学などでもポイントの減点があるらしい。

つまり、減点をへらしつつ加点を加えていく、というのがこの学校の攻略法なのだろう。

 

「今やるべきことは減点をくいとめることね…加点がある試験の内容は?」

「それは課題のようなもので毎年違うらしい。でも、普通にテストとかはあるみたいだからテストで加点がくるかは分からないけど、減点はありそうだよね」

「…確かに。でも今は、他のクラスメイトの学力も分からないからまずは減点を食い止めることに尽力を尽くすべきね。クラスのみんなに伝えたいけど…みんな聞いてくれるかしら?」

「それなら櫛田さんに話してみたらどうかな?彼女の発言ならみんな耳を傾けてくれると思うよ」

 

櫛田というクラスメイトがいるらしいが、俺はどうにも覚えていなかった。

確か話しかけてきた気がするが、その時はスマホというものを弄るのに必死だったからだ。

 

「分かった。私から櫛田さんに話してみる。ありがとう、平田君。こんなに早く情報を集められると思ってなかった。もっと早くに言ってたら良かったわね」

「クラスの事だから。これからも、僕に出来ることがあれば協力するから遠慮なく言ってよ。僕はクラスメイトみんなで仲良く卒業したいから」

 

笑顔の平田と、今回獅子奮迅の働きを見せ今後のクラスの動向に多大な貢献をもたらしたことに胸を張る俺。

そんな胸を張る俺に堀北はやや冷めた目線で

 

「あなた何もしてないじゃない。何(´―`*)ウンウンみたいな顔してんのよ」

 

使うだけ使っておいて役立たずみたいな扱いを受けるのは納得がいかないな。

 

 

 

 

綾小路が朝霧海斗みたいな感じだった時の話 2

 

 

 

 

櫛田というクラスメイトはみんなの信頼を集めているようで、彼女の言うことは皆素直にしたがった。

一部の男子が多少の反発を見せたものの、スタートの2週間とは比べ物にならないほど真面目なクラスへと変化していた。

「5月1日までだからな!」と威勢のいい言葉を放ったのは須藤という男。

赤髪で長身、バスケ部の男。割と問題児で遅刻など平気でしていたが、今回櫛田の説得により遅刻やサボりをしなくなっていた。

 

対処が早かったおかげでマイナスを食い止めることが出来た。

現在Dクラスのクラスポイントは324。他のクラスに比べたら低いことは確かだが、あのまま時が過ぎたら0だったおそれもあるので上出来だろう。

 

「あなたの無断欠席がなかったらもっとポイント高かったかもしれないのに…何をしていたの?」

「すまない。今は話せない。大したことはしてないんだが…いつか話す」

 

どことなく不満気な堀北。

そう、俺はあの話し合いがあった次の日に思いついてしまったのだ。

話し合いが始まりうまくいってから欠席などをすると目立ってしまう。

つまり、サボるならあそこしかなかったのだ。

 

もしかしたら強力粉や薄力粉を使わなくて、米を使えば疑似的なピッツァを作れるんじゃないかという事実だ。

醤油やケチャップなど、特殊ではない調味料なら無制限ではないが無料で提供してくれる。そこに俺は目を付けたのだ。

幸いこの街の草は中々いい草をしていて、野菜の代わりになる。

だがしかし、いくら電気石窯を使ったからと言っても草と米で果たしてピッツァと呼べるのかどうかを俺は考えたのだ。

 

そこで俺は昆虫を採取することにした。

昆虫にはタンパク質が含まれており栄養素もいい。

しかし、整備が行き届いている学園の周りにはそんなに昆虫がいなかったのだ。

 

ということで街の昆虫を探す旅に出ていたため学校を休まなければならなかったのだが、いちいち説明しても理解もされないだろうし怒られる可能性もある。

 

「本当はスズメとかがベストだったんだがな…」

 

肝心な味の方はイマイチといった結果になった。

まあ、俺からしたらご馳走みたいなものなのだが。

 

 

 

 

 

茶柱佐枝の独白

 

 

―――綾小路清隆。

 

入学試験の用紙を確認する。

全てのテストの点数を50点にした彼の答案を見た時、こいつが何かを隠していることに気が付いた。

点数だけていえば決して高くない。

運動能力も並。

 

「経歴不明…か」

 

気になることがあり、彼の出身校を調べることにしてみた。

が、詳細不明。そんなことがあるのだろうか?

理事の一人である佐竹という男の推薦でこの学園に入った、という噂を聞いた。

 

この男が何者でもどうでもいい。

Aクラスに上がるための駒として働いてくれるなら茶柱は問題ないと思っていた。

 

しかし、茶柱は頭を抱えた。

この男が学園に来て間もないが、優秀どころか誰よりも問題児の可能性の方が高い気がしてきた。

 

「高校生で虫取って喜んでいる男がいるなんて…」

 

監視カメラに映る一枚の写真。

写真の男は爽やかな笑みと共に昆虫採集にいそしんでいるのであった。

 

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