綾小路が朝霧海斗みたいな感じだった時の話   作:なか115

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第2章
第1話


Side 龍園翔

 

「……時期もいいな。そろそろ遊んでやるとするか」

 

夕暮れ時のCクラス。

クラスの中には、数名のクラスメイトと写真、資料の束が並んでいる。

 

「やっと何かしらするんだ。調べるだけ調べて、なにしてんのかと思った」

 

少しトゲのある言い方をする伊吹。

俺に対してまだ反抗的な態度を目に見えてみせるのはコイツくらいか?

しかし俺は、そんなところが割と気に入っていた。

 

入学から2カ月以上が経過した。

俺がまずやったこと。それは、クラスの中を掌握することだった。

この学校はシステム的にクラス単位で競うことになる。つまり、クラスの中である程度統率が取れるリーダーが必要になる。

課題を行っていく過程で自然とリーダーが決まる…そんなことをしていては遅い。

 

手元の資料に目をやる。

Aクラス…坂柳、葛城

Bクラス…一之瀬

Dクラス…櫛田、平田、堀北

 

上記のメンバーが今のところクラスのリーダーと呼べるものたちらしい。

Aが二人いるのは、派閥化してるから。しかし実際は坂柳が既に掌握しているとみていい。

しかし葛城も実力者らしく、これからの課題次第でどうなるか、といったところか。

 

Bクラスは既に一番の団結を誇る。

俺の暴力と違い、仲良しクラスとしてクラス全員からリーダーとして選ばれた一之瀬。

その信頼感というものは高いものがあるだろう。

 

「ま、一番怖くねえがな…」

 

そして一番わからないのがDクラス…か。

 

「Dクラスは櫛田を筆頭にある程度のまとまりをみせています。遅刻やサボりなど、問題行動が多く見えたおかげでクラスポイントは現在最下位。しかし、気になるのは2週間が経過したタイミングで生活態度が変化したことです。これは普段の生活態度とクラスポイントの関連性に気が付いたものがいたということでしょう」

 

その際に一番の働きをみせたのが櫛田…ということらしい。

彼女はBクラスの一之瀬に似ていて、誰とでも仲良くなれる能力がある。

その際に、上級生の誰かから情報を得て、クラスの引き締めにかかったとしても不思議ではない。

 

「次に、須藤という生徒です。この生徒は高度育成高校でも類を見ないレベルで成績が悪く、小テストの結果から退学が危ぶまれていたとのこと。しかし、蓋を開けてみれば赤点ラインを軽々通過したということ。中間テストのカラクリに気が付いたのも櫛田という話です。よって、現在はリーダーと呼べる存在は櫛田である、というのが私の見解です」

 

眼鏡をクイッと上げて金田は言う。

須藤というのはバスケを始めとした運動能力は高いが頭は悪いといった典型的な体育会の人間らしい。見た目は赤髪の大男。

 

「…なるほど。こりゃバカっぽい顔だな」

 

彼の資料と写真を見る。

龍園は自身がクラスを掌握してから他クラスの情報を集めることに専念していた。

彼は理解していた。この学校で戦うのに何より必要なのは情報だということを。

 

「…仕掛けるなら、コイツからかな…」

 

ピン、と須藤の写真をはじく。

頭は悪くても身体能力が高いのは武器になる。

この先身体能力を問われる課題が出た時に、コイツも消しておくに限る。

 

Dクラスは比較的問題がある生徒が多い。

上を目指すにあたっては必要ないように思えるが、こいつらが早々に戦線離脱してくれると助かる。後ろを気にせず前だけ見ていればいいからな。

 

須藤以外にも仕掛けるべき人間を探すため、Dクラスの資料を見つめる。

 

「…………オイ、石崎。こりゃなんだ?」

「ヘイ…ああ、これは分からないですよね。これは恋のマイアヒって踊りらしいですよ。へへへ、聞かれると思って調べておきました」

 

得意げに顎を触る石崎の頭を、俺は思いっきりひっぱたいた。

 

「オイコラ。俺は気が付かれないように写真を撮れと言っただろうか!?なんで思いっきりカメラ目線なんだよ?」

 

これから仕掛ける相手の資料はできるだけ正確に共有したい。

なので、間違えることがないように顔写真を撮ってくるように命令しておいたのだ。

だが、あくまでも分からないようにと厳命していた。いかがわしいものを撮っているわけではないが、盗撮と言える行為だ。まだもめ事を作るには早い。

 

「し、しかし龍園さん!見てくださいよ」

 

石崎がバラッと取り出したのは数枚の写真。

盗撮の相手――綾小路は全ての写真でカメラ目線で映っていた。

 

「オイコラ。なんでこれ無意味に服はだけてセクシーポーズしてんだよ?」

「し、示し合わせてないですよ?撮ろうと思ったら突然そのポーズになったんですよ!」

「こっちは何だ!?葉っぱ体操してるじゃねえか!?」

「これは俺も意地になったんで100M先でも撮れる望遠レンズで撮ろうとした時の写真ですね。シャッターを下ろす瞬間、いきなり葉っぱ体操始めたんですよ。俺の指より早くに全裸になる、これは神業でしたね」

「なんで全裸になってんだよ!?逮捕されんだろ!?」

 

他の写真を見てもどれもこれも何かしら変な行動共にカメラ目線。

そんな写真を見て、隣の席で椎名はクスッと笑った。

 

「とても面白い方なんですね。同じクラスだったら良かったのに」

「面白さと引き換えにクラスポイント無くなりそうだけどな。…まあ、いい。コイツはスルーだ」

 

どちらにせよ、コイツは素性が知れない。

今攻めるべきは…やはり須藤なのだろう。

 

さて、やっと楽しくなりそうだな。

 

 

 

 

 

 

綾小路が朝霧海斗みたいな感じだった時の話 2

 

 

 

 

 

「綾小路君、ちょっといいかしら?」

 

堀北が俺を呼び止めたのは放課後の事だった。

 

「長くなるか?」

「ええ…そうね。対策が必要な案件よ」

「ちょっと待ってくれ。スケジュールを確認する」

 

俺はスマホのスケジュールのアプリを起動する。

俺たち学生にとって、テストやイベント、プライベートなど忘れるとポイントに直結することはキチンとスケジュール表に記入することになっている。これは、クラスで決めたことだ。

 

「真っ白じゃないの。というか、ちゃんと記載しなさい。全く」

「……人のスケジュールを勝手に見ないでくれないかな」

「まあいいわ。このやり取りしてる時間が無駄だから早速本題に入るわね」

 

堀北が目線をやるその先には…須藤の姿。

 

「オス。悪い、また迷惑かけるかもしれねえ」

「お、リーダーか。どうしたリーダー」

「茶化すのはやめなさい。まずは私の口から話すわね」

 

須藤はバスケ部で1年で唯一レギュラーメンバーに選出されたらしい。

しかし、それをよく思わない小宮という生徒がいて、いきなり因縁をつけられた。

他クラスだから仲良くはしてなかったが、それでも入学当初はそれなりに仲良くしてたらしい。

 

「正直、そんな悪い奴じゃなかったんだけどよ…先月辺りから態度がいきなり変わってよ」

 

部活中もよく因縁つけてくるようになったとのことだった。

そして、レギュラーに選ばれたのが裏工作でもしたんじゃないかって問い詰められた。

Cクラスのメンツ、3人を引き連れて囲まれたらしい。

 

「そのうちの一人が、須藤君に暴力を振るわれたって言ってきたのよ。実際に殴られたような怪我もしている」

 

暴力を振るわれたと証言したのは石崎という生徒らしい。

須藤はそれまでかかわりがあったこともなく、そいつに会ったのも因縁をつけられた一回だけだった。

 

「かなりしつこく絡まれた。だけどよ、俺は手を出さなかったぜ。クラスのリーダーとして、では出しちゃいけねえって思ったからよ。そしたら今朝茶柱先生に呼び出されて…最悪停学もあるって言われちったよ」

 

…なるほど。

これは、嵌められたってことなのかもしれない。

Aクラスに上がるには、自分が上がる必要のほかに、相手に落ちてもらえばいい。

素行が悪く、比較的気が短そうな須藤をターゲットにしたってわけか。

 

「事情は分かったが、何故俺にこの話をもってくる?」

「最後まで聞きなさい。石崎君はやられた、須藤君はやってないと言っている。どちらも証拠がないってのが現状。でも、一緒にいたCクラスの人たちも須藤君が殴ったところを見たと証言してるのよ」

「まあそういうだろうな。監視カメラでも調べたらいいんじゃないか?」

「呼び出された場所は監視カメラがない場所だったそうよ。だから、今のところは須藤君は不利ってわけ」

 

まあそうだろうな。嵌めるなら、それなりに場所くらい選ぶだろう。

俺が須藤をチラッと見ると、

 

「何回も言うけど、俺はやってねえ。殴ってもない。ただ、その場から立ち去っただけだ。その時に通せんぼされたから強引に通ったけどよ、殴るとか怪我は絶対になかったぜ」

「今さらリーダーを疑うことはないんだけどさ、俺にこの話を持ってきた理由は?」

「最後まで聞いてって言ってるの。お互い言うことが平行線なんだけど、先生たちもハイそうですかと須藤君を簡単に罰することはしないわ。こういったケース、以前にもあったみたいだし。かといって放置できる問題でもないとなった時に、須藤君が思い出したことがあったみたいなのよ」

「ああ、俺がそいつらに囲まれたとき…誰か見てた気がしたんだ。俺もチラッと見たくらいだからハッキリ誰かは分からなかったんだけど…女子生徒だったと思う」

「はあん…」

 

―――展開が読めた!

俺はすぐさま踵を返し脱出を試みた。

 

―――だが、回り込まれた。

 

「そこで、綾小路君には目撃者の女の子を探してほしいのよ」

「何事もなかったかのように話を進めないでもらいたいんだが…」

「引き受けてくれるのね。ありがとう。貴方くらいしか暇そうな人がいなかったので助かるわ。櫛田さんと平田君が協力してくれるから、よろしくね」

 

 

……まあ、別に退屈をしかけていたの別に引き受けるのは構わなかった。

仮に須藤が停学になればやはりクラスポイントにも影響が出る。

実際もうポイントは全て使ってしまったので次振り込みがないと辛くもなる。

 

いよいよ、高度育成高校の課題とやらが始まってくるのだろうか?

Cクラス、か。

 

「少しは退屈が紛れればいいがな…」

 

 

 

 

 

Side ???

 

 

偶然だった。

SNSを見ていた時に、僕は発見してしまった。

 

それは、この学園の新入生に雫がいるということだ。

雫は、僕が活動初期から注目していたアイドル。

そんな子が、僕の目の前にきた。こんな子がいたら僕はもう…!

 

多分雫は僕に会いに来たんだと思う。

僕は彼女にDMを何回も送っていたし、きっと彼女も僕が好きだろうから。

 

しかし、あの学園は特殊な人が多いと聞く。

国内最高の進学校の名の通り、優秀な人やそれぞれの分野で活躍できる人が多いって聞く。

しかも突然裸になって踊りだす奇人もいるらしいので、きっと彼女は不安になって僕の前で素直になれないのかもしれない。

 

やっと会いに来てくれたというのに、まるで他人のように接するキミに違和感を感じたが、きっとコイツのせいなんだと思った。

 

たまたま彼女が落とした写真に写ったのは、カメラ目線でキザなポーズを決めるやたらイケメンの写真

 

「雫は言っていた…私はイケメンって苦手だって」

 

SNSでそう言っていたのを僕は覚えている。

コイツが僕たちの愛を邪魔してるって言うのかい?

 

だったら…僕に任せてほしい。

 

 

スタンガン(熊用)

ガスガン(熊用)

スタングレネード(熊用)

……etc(熊用)

 

この熊に特化した装備で、君を護ってみせる…!!

 




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