午後6時頃のとあるアパートの一室。キッチンでご飯を作っている男性と、それを見守る少女の姿がありました...
「ご飯食べたい!」
「今準備してるから、ちょっとぐらい待て」
俺は
「むぅ...早く作ってくれないと遠吠えするよ?」
「しばくぞ。この前大家さんに怒られたの覚えてないのか?」
「ばっちり覚えてるよ!」
「ならなぜしようとするんだ...」
「うーん...本能?」
「そっか、本能か。本能なら仕方ない、とはならないよ?」
「がるるるる!」
「威嚇しても、作れてないもんは作れてないんだから大人しく待っとけ」
そう言って、俺は味噌汁をかき混ぜて味を確認する。うん、良い感じだ。すると、女の子はキッチンの様子を見ることをやめ、リビングへと移動する。
「じゃあ、早くご飯作ってよね!それまで遊んどくから」
「せめて大人しく待ってろや!」
...そして、さっきから元気盛んなこの女の子はナナ。この家に来て間もない癖に、自分がこの家の長ですよ、と言わんばかりにくつろぎ遊んでいる。
「全く、片付けが面倒くさいことはしないでくれよ」
「はーい!」
キッチンからリビングにいるナナにそれだけ言って、俺は料理へと集中を向ける。といっても、大したものは作っていないのだが。鮭の塩焼きと、味噌汁、あとはひじきだ。今は鮭の焼き加減を見ているところ。そろそろいいかな、と思ったところで、鮭を二匹別々の皿へと盛り付ける。そんなこんなで、今日の晩御飯が出来たタイミングでリビングに目をやると、なにやら白い大量の何かが舞っていた。
「あう!あう!」ガブッ
「...おい、ナナ?お前何してる?」
リビングへと移動しその全貌を見てみると、どうやらナナがティッシュを大量に散らかしたようだった。
「あう?」
ティッシュを噛みながら、ナナが此方を向く。
「...ナナ?何をしているのかな?」ゴゴゴゴゴゴゴ
俺がそう問いかけると、ナナは犬の声から、人の声に戻った。
「あ」
「...」
「...ごめんね☆?」
「飯抜き」
「ああ!お許しを!お許しをご主人!」
「ダメ」
「あうあうあうあう!」
「散らかすなって言ったろ?」
「本能!本能だから許して!」
「ダメ」
「あうあうあうあうあう!!」
尻尾を左右に激しく振りながら許しをこいてくる少女。そういえば、まだ大事なことを言っていなかったな。
このわんぱく少女ナナは、人間と犬とのハーフだということを。
これは、そんなナナと俺の物語。