時刻は六時頃...
『クリスマスイブイブの時間や!お前!』
「えーっと、帰っていただける?」
インターホンにの中の敬三に、俺はそう言う。だが、敬三は勝ち誇ったような顔をしてこう言う。
『ふふん、そうはいかへんで』
「全く、どうするつもりだ」
『ナナちゃーん!』
「あっ、その手があったか」
「はーい!」
インターホン越しに敬三に呼ばれたナナは、ドアを開けに玄関へ行く。別に止める気もないので、俺はインターホンの通話を切り、リビングへ行って寝転ぶ。
ドアがガチャっと空いた音が聞こえた後、ナナと敬三はリビングへやってきた。
「おい!クリスマスイブイブやで!」
「お、そうだな」
ハイテンションな敬三をいなしながらスマホを弄る俺。その時、ナナが、
「ご主人、クリスマスって何?」
と聞いてきた。俺は答えようと思ったが、いかんせん彼女いない歴=年齢の俺。(クリスマスってなんだっけ?何するんだっけ?確か、元はキリスト教の云々だった気がするけど...)みたいな思考に陥ってしまい、答えることが出来なかった。すると、敬三が「うーん...」と少し考えた後、
「そうやなあ...クリスマスっていうのはなあ、好きな人同士で遊びに行ったりするんやで」
とナナに言った。ナナはそれに納得した表情を見せた。そしてその次に...
「じゃあ、ナナはご主人と一緒に遊びに行きたい!」
「!?」
「おやおや?」
衝撃の一言を放った。それを聞いた敬三はニヤニヤしだす。
「これはこれは...ナナちゃん山野の事好きなの?」
「うん!大好き!」
「はは、愛されてるなあ!山野!」
「うん、分かったから。一回黙ってくれ」
敬三に冷やかすようなことを言われ、動揺してしまう俺。ナナが俺のことを好意的に思ってくれているのは自覚していたが、ここまで直球で言われると色々くるものがある。主に羞恥心とかの関係で。
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あれからなんやかんやで一時間。敬三が鍋をするために食材を持ってきたらしいので、それ+α冷蔵庫に入っていたもので鍋をしている。
「おい、俺の肉だぞ」
「はっ、お前にこの肉の所有権は渡さへんで!」
自分の皿に肉を盛り付ける敬三。
「あうぅ...お肉ほしい...」
「あっ、俺のあげるで、いっぱい食べやナナちゃん」
「いや、ナナに甘っ!」
まあ、そんな具合で楽しく鍋をして、食べ終わった後敬三は帰ったのだが。
「わふぅ~♪このケーキ美味しい!」
最期に、「ほな、お前ら二人に俺からのクリスマスプレゼントや。味わって食べてな」っと言って、チョコケーキを置いていった。
「うん、美味しいな」
そして、俺たちは今それを食べている最中だ。
「あ、食べ終わっちゃった...」
...ナナはもう食べ終わったようだが。すると、こちらのケーキを羨ましそうに見てくる。いや、さっきまで食べてたでしょ。
「...くぅ~ん」
「...はあ...」
悲しそうな鳴き声を出すナナに、しょうがなくケーキを載せたフォークを差し出す。
「はい、あーん」
「!わうわう!」
ナナは、そのフォークごと食べる勢いでかっさらっていき、ご満悦の表情をする。
「...そういえばナナ」
「ん?何ご主人?」
そんなナナに、俺は一つ提案をする。
「クリスマス、何かしたいことはあるか?」
「クリスマス...ご主人と一緒に遊びに行きたい!」
「...ホントにそれでいいのか?」
「うん!...もしかして、ご主人はナナの事が嫌い...?」
少し悲しそうな顔をして、尻尾もしょぼーんとしてしまうナナ。
「いや、俺はナナの事嫌いじゃないぞ」
「...なら好き?」
「...」
ナナの質問に黙り込んでしう俺。
「...答えて」
「...」
「...やっぱり嫌いな「あー、もう!好きだよ!好き!」!。ホントに!ナナも好き!わうわう!」
ナナが質問拒否を受け入れてくれないので、なかばやけくそでそんなことを口走る俺。
「はあ...まあ、遊びに行きたいんだな?」
とりあえず、脱線した話を元に戻す。
「うん!」
「そっか、じゃあ行こう。クリスマス、街に」
「...え、ホントに?」
「ああ、その耳も尻尾も何とかするさ」
「えへへ...ありがと!」
尻尾をぶんぶんと振り回すナナ。でも、言い出したはいいものの、尻尾と耳をどうしようと、俺は悩むのでした。