俺とナナの出会いは突然だった。
たしか、金曜日の仕事帰りだったかな。俺は夜の住宅街を歩いていたんだ。すると、路地裏から犬の鳴き声が聞こえてきた。「くぅ~ん」そんな感じだったと思う。俺は大の犬好きだから、声が聞こえてきた方に行ってみたんだ...
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「ここら辺から聞こえたんだよな...」
「くぅ~ん」
「もう一個奥か?」
そう思いながらもう一つ先の通路へと進み、のぞき込んでみる。
「ワンちゃ~ん?ここにいるのか...な...」
「くぅ~ん?」
そしたら、そこに声の主はいた。いたんだが、それは犬じゃなかった。力なく倒れこむ、ボロボロの白い服を着た薄汚れた少女。そして、頭からは耳が生えており、時たま尻尾が姿を見せている。
「...は?」
俺は、とっさにそんな言葉を吐いた。だって、犬の声がすると思って探してみたら少女が居たんだぞ?それも耳と尻尾が生えた。驚かない方がおかしいだろう。そんな困惑する俺を、少女?は見ているだけだったが、しばらくすると、立ち上がって近づいてきた。
「...えーと...大丈、夫?」
立ち上がる時も、近づいてくるときも、ふらふらと左右に揺られる少女に、俺はそう問いかけた。
「くぅ~ん...」
だが、返ってきたのはそんな返事。
(えーと...人...ではないだろうな...人の言葉は分かるのかな...)
そう思いながら、俺はもう一度問いかける。
「君...大丈夫?」
「た...けて...」
「え?」
「たす...けて...!」
「!」
この子が初めて発した言葉。目は潤んでおり、今にも泣きだしそうだ。こんな様子を目にした俺は、断れるわけもなく。
「...わかった、俺が助けるよ」
そう少女に伝える。
「...ほん...とに?」
すると、さらに少女の目が潤む。泣き出しそうというか、もうほぼ泣いている。
「ああ、ちゃんと助けてやるよ」
俺はそれだけ言うと、カバンを地面に置いて、少女に背を向けてしゃがむ。少女も、わかったように背中に抱き着いてくる。しっかりと抱き着いたのを確認したら、俺は立ち上がる。
(軽っ...こりゃ飯食ってないな...)
直感でそう察した俺は、今後の事を色々と考える。
(こいつの飯作るのは確定として...アパートの大家さんとか隣人にはどう説明すっか...隠すのは多分無理だろ?。養子縁組...あぁ、もう、面倒くさいことになりそうだな...)
そう考える俺の背中で少女は、
「...あり...がとう...!!」
そう、俺に泣きながら呟いていた。それを聞いていた俺は、
(...ま、細かいことはどうでもいいか...とりあえず、家に帰らないとな)
カバンを持ち、少女を背中に背負いながら、再び帰路につくのであった。