あれ、覚えて意味あるんですかね...
「12×13は?」
「えーと...156!」
現在、俺はナナに勉強をしている。
「正解!じゃあ、21×39は?」
「うーんと...あー...819!」
ただ...一つ、悩みがある。別に、ナナが勉強嫌いとかそういうものではない。
「すごい...正解...。393×84は?」
「...ちょっと待ってね」
「...」
「...33012!」
「...正解」
「ふふん!褒めて褒めて~♪」
「ああ...えらいぞ」
(ナナ賢すぎない!?)
ナナが頭を差し出してきたので、それを撫でながら心の中で叫ぶ。そう、悩みとは、ナナが賢すぎること。別に良いじゃないかって?。うん、確かに賢いに越したことはないよ?でも、成長スピードがおかしいよ。だって、最初のうちは...
ーーーーーーーーー
「掛け算って知ってるか?」
「?何それ?足し算の仲間?」
「掛け算知らないのか...じゃ、教えてあげよう」
「?よくわかんないけど、わーい!」
ーーーーーーーーー
ぐらいの可愛いものだったのに、今となっては、二桁の掛け算は暗算でパッと計算するし、三桁同士の掛け算も時間は少しかかるけど、暗算で出来るようになっている。おかしいよ!?掛け算初めて教えたの二週間前くらいだよ!?なに?天才かなんかなの?
「...負けた」
「?どうしたのご主人?」
「いや、何でもない」なでなで
一緒に暮らし始めて早1ヶ月ほど。いや、薄々感じてはいたよ?犬モード(勝手に自分で名付けた)以外の時はなんか普通に賢くね?って。買い物に連れてったりしたときに、妙に計算が早かったり、一度言ったことはすぐに覚えるし、俺がお菓子を隠しても、すぐに場所を探し当てるし...最後のは違うか。
(ま、なんにしろ...)
「むふぅ~♪」
(この笑顔だけは守りたいな)
頭をすりすりしてくるナナを、俺は撫でながらそう思う。
「...そういえばご主人?」
「ん?なんだ?」
撫でてる最中だが、ナナが俺を見上げながら聞いてくる。
「ちょっと前に言ってた、会議の資料。明日までじゃないの?」
...俺は少し硬直した後、ナナを撫でるのを止め、机の引き出しを開いてみる。
「...あ、やっべ。俺死んだ」
中に入っていたのは、明日提出するはずの資料。まだ、完成していない部分があって、このまま会議に突入していたら、俺はもれなく
「...間に合うかな」
魂が抜けた声でそう言う俺に、ナナは心配そうに、
「手伝おうか?」
と言ってくる。
「いや...流石に会社の仕事だから...」
「書類の整理とかぐらいならするよ?ほら、普段の恩返し♪」
「...お願いします」
(...本当にナナは良い子だな)
そのナナの行動に、俺は感動するのだった。あと、会議にはギリギリ間に合った。