山登りに行ってから3日後。俺が患っていた風邪は治ったのだが、今度はナナが風邪になってしまった。朝起きたら、ナナが体調不良を訴えたので、熱を測ってみたところ、38.2度。ナナの平熱が36.7〜37.0ぐらいなので、これは発熱で確定だ。だが、問題はここからで、俺はナナを病院に連れて行こうと思ったのだが、それが出来なかった。
(...ナナの耳と尻尾はどう説明すれば...!!)
そう、一般の病院にナナと一緒に行こうものなら、「耳と尻尾が生えている少女がいる」と、大騒ぎになる。耳だけなら隠せないこともないが、尻尾が厳しい。
しんどそうに寝ているナナを見ながら、俺は頭をフル回転させて、ある一つのことを思いつく。
(...そういえば、あの人って医者やってるんじゃ...一か八かで頼んでみるしか...!)
とにかく、いち早くナナを診てもらいたいので、早速俺は思いついた方法を実行に移す。
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「まさか、山野が僕の医院に来るとはびっくりだよ」
「はは、今回は助かりましたよ」
白い白衣に身を包む、少し髪を金メッシュに染めた、高身長のイケメン。
「にしても運がいいね、まだ開院してから一ヶ月ぐらいしか経ってないよ」
「そうなんですか。なら、ホントにタイミング良かったんですね」
彼の名は、
「で、ナナ?ちゃんだっけ」
雑談から打って変わって、真面目な話の顔になる金原先輩。
「はい」
「彼女の診断結果なんだけど...」
「...」
「...」
「...溜めないでもらえます?」
俺が、長い間を取ったことにツッコむ。すると、先輩は笑いながら言った。
「はっはっは、そのツッコミ。変わってないな、お前は」
その行動に、俺はため息をついて、(先輩も変わってないなあ...)と思う。
「そうですか、で?ナナはどうなんですか?」
そろそろ、ナナの様態が聞きたいので、先輩にそう言う。
「ああ、ただの風邪だよ、心配はしなくていい」
「そうですか...良かった...」
先輩のその言葉を聞いて、俺は胸を撫で下ろす。
「薬は出しとくから、向かいの薬局で貰ってきな」
「ええ、ありがとうございます。先輩」
先輩にそう言うと、俺は椅子から立つ。そして、部屋から出ようとした時、最後、先輩から一言だけ言われる。
「また、ナナのことでなんかあったら、言ってくれてもいいぞ」
「ええ、頼みます」
振り向いて、そう返すと、先輩は手を握り、親指を立てて笑顔を作った。そんな先輩に、懐かしみを覚えながら、部屋を後にする。外には、女性の看護師さんが、一人立っており「山野さんですか?」と、聞いてきた。
「はい、そうですけど」
「では、ナナさまのところに案内させてもらいます」
そう女性の看護師さんが言うと、受付の方ではなくて、廊下を奥に進んでいく。俺も、それについて行き、突き当りの一個前にある右側の扉に入る。中は電気がついており、ベットにはナナが寝転がっていた。
「ナナ?立てるか?」
寝転がるナナに、俺は声を掛ける。
「...ご主人?...おぶって...」
いつもの声ではなく、元気があまりこもっていない声でナナはそう言う。
「わかった。ほら、起き上がって背中に乗って」
「うーん...あうあう」
看護師さんの手も借りながら、起き上がったナナは、俺の背中にしがみつく。しっかりとしがみついたのを確認した後、俺はゆっくりと立ち上がる。
「よし、これでオッケー。ありがとうございます看護師さん」
「ありがと...看護師さん...」
「いえいえ、誰であろうと患者さんは患者さんですから、ナナちゃんも早く元気になってね」
「うん...わかった...」
「後、処方箋がございますので、車の中などでお待ち下さい」
「わかりました、ありがとうございます」
その後、女性の看護師は処方箋を取りに行き、俺はナナと一緒に車の中でそれを待つことになった。ちなみに、車は医院の裏口の方にある駐車場に置かせてもらっている。
「...ご主人、私、薬飲んだら良くなる...?」
「ああ、良くなるよ。もうしばらくの辛抱だ」
「うう...わかった...」
「...ナナは偉いな」
そんなことを言いながら、ナナを撫でる。額には、熱のせいか少し汗をかいている。それを見た俺は、持っていたハンカチで額を拭いてやる。しばらくすると、処方箋を持って、女性の看護師がやってきて、それを俺に渡す。その後は、向かいの薬局で薬をもらい、家に帰ってナナに飲ませ、その後は安静にしてもらった。
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〜次の日の朝〜
「ご主人!元気になったよ!!」
「早っ」
一日でナナの風邪は治るのでした。なんか早くね?