ブルーアーカイブ Day After Day 作:燃え殻の灰
繋ぎ回なので山無し谷無しとなります。
相変わらず、キャラの口調が掴めておりませんが、ご容赦を。
便利屋68 事務所
「アビドス、中々に手ごわかったわね。ジナイーダが居るとはいえ、ここまで苦戦するなんて思わなかったわ」
「と言うか、日雇いの傭兵達、定時だから帰るって言ってたけど、社長、どんな契約したの?」
アビドスでの戦闘の翌日。少しばかり高いオフィスで、机に突っ伏しているアルと、ソファに座りコーヒーを飲んでいるカヨコの姿があった。
先日のアビドス襲撃では、ジナイーダを爆薬トラップに嵌めたのだが撃破とならず、救援として合流してきたホシノを交えた銃撃戦を展開。そこまではまだ良かった。
追加戦力として連れてきていた日雇い傭兵達が、定時と言う事で勝手に戦闘を切り上げて撤退。さらに傭兵達と交戦していた残りの対策委員会の面々も合流してきたので、不利と悟り撤退したのだ。
それに関して、
「今回の依頼、受けたのは失敗じゃない? あのクライアント、かなりきな臭いし、手付金も貰ってないし、報酬も成功報酬で話付けてあるんでしょ? なら、断ってしまってもいいんじゃない?」
「そうね……手付金を貰うとクライアントの命令に従わざるを得なくなるし……それに、華麗に仕事を終えてから依頼料を受け取る。それが法律と規律に縛られないハードボイルドなアウトロー、便利屋68ですもの。……ただそうすると資金が……」
「それはそうなんだけど。まぁ、手付金に関しては同意するよ。あのクライアント、こっちを使い潰す気満々みたいだし。さっき提示された報酬の金額、明らかに初回より下がってるよ」
実際に手付金も前払いも断っており、便利屋68はアビドス襲撃依頼を降りることも出来る。しかしそうすると、ただでさえ高いオフィスをレンタルしている便利屋68の資産がカツカツになってしまうのだ。
ただ、この高いオフィスにしたのはアルなりに理由があり、ちゃんとしたオフィスを構えることで実績と信頼をアピールする狙いがあった。それに関してはカヨコ達も納得しており、異論はないのである。ただ少しばかり高い気がするとは思っているが。
「また新しく作戦立てて、アビドスと一戦交える?」
「どうしたものかしら。向こうにジナイーダが付いてるとなると、他のハウンズも合流するかもしれない。それにシャーレに先生も付いているとなると……悩むところね」
「うーん。少なくとも最初にクライアントに提示された成功報酬と、仕事の難易度は割に合わないとは思う。安く買い叩かれてるよ、あの金額は」
最初こそ、アビドスの面々だけを相手にすると思っていた便利屋68だが、ジナイーダと言う超特級戦力が向こうについており、更に未知数のシャーレの先生まで付いているらしい。そう考えると、提示された依頼料に0が幾つか足りない気すらしてきた。
「全員集めて会議するしかないわね。ハルカとムツキは?」
「ムツキはアビドスの様子を見に行って、なんか途中でシャーレの先生達と、メガネっ娘ちゃん? と会ったから少しお喋りするって連絡が入って来た。ハルカは入り口の花壇に水あげてるよ」
「相変わらずね……。まぁ、ムツキなら悪いようにはならないでしょう」
ムツキのコミュニケーション能力の高さはアルも良く知っているので、そこは心配してない様だ。
さて、今回の依頼を続けるかどうするか――と、カヨコと共に悩んでいると、花壇に水やりをしていたハルカが来客を連れて戻ってきた。
「アル様、お客さんがいらっしゃいました」
「来客? そんなアポあったかしら……。良いわ、通してちょうだい」
「は、はい。わかりました。すぐにお連れしますね」
新しい依頼人かしら――と首を傾げながら少し待っていると、ハルカが杖を突いた男性を連れてオフィスの中に戻ってくる。
それは【何でも屋ハウンズ】の代表でもあるウォルターであった。流石に予想外だったのか、アルだけでなくカヨコも目を丸くして驚いている。
「伊草、案内ご苦労。さて……久しいな、陸八魔、鬼方。……む、浅黄は居ないのか?」
「うぉ、ウォルターさん!? どうしてここに!? ……って、まずはそこのソファ使ってちょうだい」
「久しぶりだね、ウォルターさん。今コーヒー淹れるから座ってて。ブラックで良かったよね?」
「室長は少し外に出ていまして……あ、荷物お預かりします!」
「ああ、お言葉に甘えさせてもらう。伊草、それはお前達への手土産だ。浅黄が戻ったら、皆で食べると良い。……チョコレートとカステラを選んでみたが、気にいると良いのだが」
「何時もありがとうウォルターさん。それで今日はどう言った要件で来たのかしら?」
突然の来訪に驚いた二人だが、直ぐに気を取り直すと、コーヒーやら対応の準備を始める。少しばかり足の不自由なウォルターに、直ぐにソファを勧めるあたり、アルの人の好さがにじみ出ていた。
その後ろで、手渡されたお土産を見てハルカとカヨコは固まってしまった。どちらも超有名店の商品ばかりであった。
「こ、これ、超人気店のチョコですよね!? 広告で観ましたが、わ、私みたいなのが食べてもいいんでしょうか!?」
「こっちのカステラも即日完売の商品だけど、良いの? ハウンズの皆と食べなくて?」
「あいつらの分も購入してあるから気にするな。伊草、自身を卑下するな。お前たちに食べてもらうために持ってきたのだ」
ちゃんとハウンズの分も確保してあるし、何より喜んでもらえたようで何よりだと、ウォルターも内心では胸をなでおろしている。どうにも若い娘達の好みがわからず、甘いもので良いかと少しばかり安直に選んでしまい心配していたようだ。
しかしその内心を知らないアル達からしたら、静かに頷いているその姿は渋くてかっこよい大人の姿である。
「昨日、621と派手にやり逢ったそうだな。ジャケットが少し焦げたと愚痴を零していたぞ」
「う、それに関しては仕方がないわ。こちらも依頼があったし、まさかジナイーダが向こうについてるとは思わなかったわよ!! もしかして、ウォルターさんの指示だったの?」
「いや、あいつが自主的に付いている。どうやらシャーレの先生に会うのが目的だったらしいが……それとは別に何かあるのだろう。やりあった事自体に文句はない。仕事でのぶつかり合いならば、今まで何度もやっている事だ」
「……そうね。確かに今までも何度もあったわね。あら、それならますますウォルターさんが私達の所に来た理由に心当たりがないんだけど……?」
最初こそ、ジナイーダとやりあった件で宣戦布告されるのかと内心で焦ったアルだが、それとは違うらしい。依頼内容で何度もぶつかり合ったことがあるし、その後に何事もなかったかのように食事会しているので、流石に公私の区別は付いてるか――と納得も出来る。
「今、お前達が受けている案件であるアビドス襲撃の依頼。それから手を引け」
「……理由を聞いてもいいかしら?」
まさかの言葉にアルだけでなく、後ろに控えていたハルカとカヨコにも緊張が走る。ウォルターと言う人物がそんな事を冗談でも言う訳もないし、何かしらの理由があるのだろう。
ウォルターも静かに口元に手を当て、説明すべきだろうなと考え、口を開く。
「今回の依頼のクライアントはカイザーPMCだろう。今、俺達ハウンズがそこと揉めているのは知っているな?」
「ええ、それは知ってるわ。まさか巻き込まれたくないなら手を引け……なんて言う事じゃないでしょうね?」
「いや、その逆だ。お前達にも手伝ってほしい事がある」
そう言ってウォルターは懐からタブレット端末を取り出すと、そこにカイザーPMCとの交戦記録や襲撃してきた基地など、様々なデータをアル達にも見えるように表示し始める。
「現在、カイザーコーポレーション内では、俺達ハウンズと抗争を続けるか和解するかで揉めている。俺達としては降りかかる火の粉を払っているに過ぎんから、和解となれば異論はない。だが、カイザーPMCに関しては別だ。連中はアビドス全域を手中に収め、完全にこちらを潰す気でいる」
「……え、カイザーPMCってそこまで無謀なの……? どうやってジナイーダやサオリ達を倒すつもりなのよ」
「その前に、マザーウィルをどうやって攻略する気なんでしょう……?」
「ハルカ、多分マザーウィルの事知っているの、外部では私達だけだから、あまり名前出しちゃダメだよ」
カヨコの言う通り、ハウンズの拠点がスピリットオブマザーウィルと言う超巨大移動要塞だと外部で知っているのは限られており、便利屋68に関してはマザーウィルでハウンズとお泊り会等したので知っている。
そして、教えてはいないがシャーレの先生に関しては、何でもお見通しのようで知っているのだろう――とウォルターは考えている。
それ以外だと、こちらに追手を放っていた【あの女】位の物だろう。散々に撃退したので、手出しはしてこないだろうが、それが却って不気味でもあった。
「こちらに牙を向くなら容赦はしない。それにアビドスに手を出すという事は、シャーレに――あの先生の怒りを買う行為でもある」
「あ、あの先生が怒るって、相当な事じゃないの……?」
アルの脳裏に浮かぶのは、優しい笑みを浮かべる穏やかな先生の姿。少ししか話していないが、あの先生が怒る姿が想像できない。そんな人が怒るとなると、一体これからカイザーPMCは何をやらかすというのだろう。
「確実に奴らは先生の逆鱗に触れるだろう。その時、俺達と一緒に各地のカイザーPMCの拠点を襲撃してほしい。裏で人員を募っている最中でな。お前達にはその指揮も執ってほしい。それが依頼内容だ」
「……社長、悪い話じゃないと思う。カイザーPMCの依頼も昨日の一件しか受けてないし、継続するかどうか保留中だから断っても問題はないよ」
「わ、私はアル様の命令なら、どんな事でも従います!」
確かに、このまま勝率の低い戦闘を続けて無駄に資金を浪費する訳にもいかない。手付金も貰っていないし、初日の襲撃失敗でカイザーPMCからも一応は再び依頼が届いているが、成功報酬も下げられている。恐らく期待されておらず、すんなり断ることができるだろう。
それに比べてウォルターの提示した報酬金額は充分であり、更には撃破目標に対してボーナスも付いてくるのだ。なによりハウンズとはそれなりに付き合いがある。アウトローらしくないが……
「分かったわ。便利屋68、その依頼、受けることにするわ!」
「礼を言う、陸八魔。ただ、まだ準備は完全には整っていない。全ての準備が完了したら動き出す。それまでは待機していろ」
「ええ、分かったわ。それまでは……ええ、なんとか資金はやりくりできるわ!」
「まぁ、本当ギリギリになりそうだけどね。ウォルターさんの依頼なら信用できるから、後はタイミング次第?」
「ああ。まだ話を付けねばならんところがあるからな。全ての準備が整ったら連絡しよう」
そして要件は終わった――とウォルターが帰ろうとするが、ふむ……少しばかり考える素振りを見せて口を開く。
「全てが終わったら、またお前達とハウンズで食事でもしよう。そうだな……すき焼きでもどうだ?」
願わくば、ハウンズと便利屋に末永い友情を。
友人は、大切にすべき存在なのだから。
市街地
「待たせたな、ミサキ」
「おかえり、ハンドラー。話はうまく纏まった?」
「ああ。便利屋を味方につけれたのは大きい。後はブラックマーケットだが……そちらは先生に任せるとしよう」
ミサイルランチャーを構えた猟犬が描かれたジャケットを着ているミサキと呼ばれた少女の運転する車に乗り、ウォルターは首元のネクタイを緩める。便利屋の実力の高さは、彼とハウンズが一番よく知っており、敵に回すと厄介だと思っていたようだ。そんな彼女達の実力も分からず、一戦だけで見限ったカイザーPMCは哀れだとすら思えてくる。
「アル達は強いからね。敵に回らないのなら良かったよ。けど、随分、あの先生って人を頼りにするんだね。何か理由があるの?」
「理由か……。口ではなかなか説明できんな。お前も会ってみれば分かるかもしれんぞ」
「別にいい。ジナイーダ達は会ったことあるみたいだけど、興味ない」
淡々とするミサキに、ウォルターは内心でため息を零していた。他人に興味を持たないミサキが、ハウンズの中で一番気難しいのかもしれない。まぁ、そんな彼女が便利屋と仲が良いのは、偏にアル達の人柄のお陰なのだろう。
そして話はミサキの学校生活の話に移る。それはまるで不器用な父親と無愛想な娘との日常会話の様だ。
「最近のミレニアムはどうだ? 順調に通えているようだが」
「別に普通。……ただ最近、セミナーの会計に睨まれてる」
「……一体何をした?」
現在、ハウンズのメンバーはトリニティ、ゲヘナ、ミレニアムと情報収集も兼ねて別々の学校に通っており、学生生活を満喫している所である。
サオリも本来は学校に通っていたのだが、
ジナイーダに関しては、あっちにふらふら、こっちにふらふらとしているので、ウォルターが勉強を教えたり、通信教育も行っているのだ。
「私は何もしてない。ただ、同じ部活の
「ああ。あの元気な双子か……。しかしお前が部活に入るとはな。いや、悪いと言ってるわけではない。そう睨むな」
思い出すのは、この少しダウナーなミサキの両手を引っ張って遊びに出かける双子と、その後ろに続く部長の姿。随分と仲が良さそうに見えたので、ウォルターとしても嬉しい限りである。
部活に所属した経緯も、【双子の姉】の方の勢いに押されて入ってしまったのだから、少しばかり笑みがこぼれてしまう。そんな彼を少し睨むミサキだが、それでも学校の話をするのは少しは楽しいらしい。色々な出来事をウォルターに話してくれているのだ。
「……この前は、同級生と先輩にメイド服着せられそうになった」
「ああ、あの娘達か。かなりの実力者なのだろうが……何故メイド服なんだ?」
「それ、私に聞かれても分からないよ」
メイド服と言う少しマニアックな集団なのだが、戦闘能力はかなりのものであり、ミレニアム最大勢力と言われるほどだ。ジナイーダに匹敵する実力の小柄な少女やら、大型犬の様に人懐っこい少女やらと、色々と特徴を持った人物に、何故かミサキは好かれており、部活以外で仲のいい同級生もメイド集団の一員らしく、事あるごとにメイド服を着せられそうになっているらしい。
「まぁ、うん。悪い気はしないよ。楽しく通えてる……とは思う。他の皆も、たぶん似た様なこと言うと思う」
「そうか……。お前達が楽しく過ごしているなら、俺からは何も言う事はない」
それぞれが笑いあい、そして優しい日々を送れるように。それこそがウォルターや先生が願っている事である。故に、その邪魔となるであろうカイザーコーポレーションや【あの女】は確実に先生の逆鱗に触れる。
あの鋼鉄と硝煙を纏った人物を敵に回した者の末路は、哀れなものとなるだろう。何時の時代でも、渡り鴉と敵対した者はその全てが悉く焼き尽くされてきたのだから。
対策委員会 教室
「なるほど。ブラックマーケットの調査か」
「はい。先日セリカちゃんを襲ったヘルメット団が所持していた各種戦略兵器。それを調べた結果、殆どが現在は生産されていない型番だと判明しました」
アヤネが次々とホワイトボードに調べた兵器の型番を張り出し、各自が渡された手元の資料を見比べるが、確かに生産中止された物ばかりである。
そんな物を手に入れる方法は多くはない。その中で一番可能性が高いのがブラックマーケットなのである。
「けど、ブラックマーケットはとても危ない場所だと聞きましたよ?」
「はい。ノノミ先輩の言う通り、かなり危険な場所です。様々な理由で学校を辞めた生徒達が集団を形成し、連邦生徒会の許可を受けてない非認可の部活も沢山活動していると聞きました」
「確かに、あそこには合法・非合法問わず多数の武器やら物資やらを取り扱っていますわね。それに情報も流れ着きますし、調査するには良いかもしれませんわ」
「ですが、危険と隣り合わせと言う事でもあります。なので調査するとしても、慎重に行動してほしいと思います」
「ああ。それなら大丈夫かもしれない。ブラックマーケットの代表に話を通しておこう」
事も無げに凄まじい発言をする先生に、対策委員会の面々が目を丸くして驚いていた。色々と謎の多い先生ではあるが、まさかそんな繋がりがあるとは思っても居なかったのだろう。
「ブラックマーケットの代表って。先生そんな人とも知り合いなの~?」
「ああ。少し前にブラックマーケットの組織統一化を手伝ってあげてね。それ以来、色々と付き合いがあるからね」
やはりこの先生は底が知れない。最初に出会った時から、気配を消していた自分に気が付いているし、異様な戦闘能力の高さ、そして隠し切れない鋼鉄と硝煙の気配。一体どれほどの死地を潜り抜け、ここにいるのか。ずっと先生を観察しているホシノですら見当がつかないのだ。
そしてなにより、この人は表だけでなく裏の深い所まで知っている。それこそ悪意や殺意すら平然と受け止めて飲み込む――否、焼き尽くしていくだろう。
その底知れなさが恐ろしく、そして頼もしい。そんな少しばかりの複雑な想いを胸に秘めるホシノであった。
ブラックマーケット カイザーPMC傘下の銀行
そこの一室で作業している支店長は、数日前にブラックマーケットの代表と話した内容を何度も何度も思い返していた。
「我が銀行がマネーロンダリングに利用されているだと……? 確かに金利に見合わない貸し出しや融資が行われているデータもある……。だが支店長たる私の目を誤魔化して行えるものなのか……?」
それは商売人としての彼のプライドを痛く傷つけた。商品に見合った金額を提供し、そして金額に見合った商品を提供する。それが彼の商売人としての在り方だ。
「……馬鹿な。私の権限では取引情報にアクセスできないだと……? 支店長クラスでは、そこは知ることは許さんと言う事か!? くそ、上の連中は相変わらずか!! どんな教育受けてきたんだ!!」
そんな彼だからこそ、カイザーコーポレーション内部で煙たがられており、何度も左遷され、カイザーPMC傘下の銀行の支店長と言う地位まで追いやられてしまったのだ。
しかし、そんな彼を自由にさせるわけもなく、コーポレーションから与えられた権限は張りぼてであり、全てはカイザーPMCの理事が実権を握っているのであった。
「ふざけた真似をしてくれる!! 我々が取り扱っているのはお金だぞ!!?? 多くの市民が汗水たらして稼いだお金を預かり、適切に運用し、それを還元してこその銀行だろう!! それを不正に利用し、あまつさえ……マネーロンダリングに使うだと!!?? 顧客への裏切りではないか!!」
バンと机を叩き、怒りを露わにする支店長だが、それに一部とは言え加担してしまったことを思い出し、頭を抱え座り込む。
「とは言え、私も気が付かなかった間抜け。ええい、こんな場所でやってられるかと腑抜けている場合では無かったか……!!
私の権限で知りうることは……今日はアビドスからの入金がある日か。何故現金オンリー……そうか、電子データでは私の目につくかもしれないという事か。
しかし書類ならば、理事直属の者を使えば私の許可などいらない――と言う事か」
しかし、彼とて元は本社で辣腕を振るった存在だ。すぐに自身の持ちうる権限を駆使して情報を集めだす。
「ここでサインしたとなると、その書類はここに保管されるはず……。確かここの資料室、私ですら立ち入りを制限されていたな。つまりここにアビドスに関する他の資料もあると見ていい。
そしてこの金額ならば、恐らくメインではなくサブの金庫に保管されるはずだ。そうか、あそこの警備が異様に厳重なのは、後ろ暗いお金を隠すためか。
だが、情報を集めてどうする? ブラックマーケットの代表に流そうにも、ここ最近のハウンズとの抗争で監視が厳しくなっている。正規の手段で取り出したアビドスのデータは問題なかったとはいえ、これが見つかるわけにいくまい」
そして支店長は、窓から澄み切った空を見上げて呟くのであった。
「
以下蛇足説明文
支店長
優秀過ぎて、本社から最近左遷されたきた。お金を大切さを知っている商売人。
色々と不貞腐れていたが、自身の銀行の実態を調べ上げ、唖然とした模様。どうにかして、情報を誰かに託したい模様。
戒野ミサキ
ミレニアムサイエンススクールに通っている模様。どうやら、双子と引っ込み思案の部長が居る部活に所属しているらしい。
なお、メイド服を着せようとしてくる集団曰く「ダウナーメイドは鉄板」との事。