ブルーアーカイブ Day After Day   作:燃え殻の灰

13 / 23
今週分となります
なかなか進まない気がしますがご容赦ください。



第10話 ブラックマーケット

 

 

 ブラックマーケット 入り口

 

 忙しなく人々が行き交い、雑多に物を並べている店もあれば、堂々と重火器を並べる店等、多種多様なショップが並ぶ混沌とした空間。それがここブラックマーケットである。

 

「ここがブラックマーケット……」

 

「わぁ☆ すっごい賑わっていますね?」

 

「本当に。小さな市場を想像していたけど、街一つ位の規模だなんて思ってもみなかった」

 

「うへ~。普段私達はアビドスにばっかりいるからねー。学区外は結構変な場所が多いんだよー。あんまりキョロキョロしてると怪しまれるよー」

 

「はは。確かに物珍しいかもしれないな。しかし以前よりは数段綺麗になっているんだよ」

 

「本当に。私達が手伝う前なんて、荒れ放題でしたものね」

 

「……確かに。ずっと前に比べれば、かなり見やすくなってる」

 

 そう言いながら、対策委員会の面々を先導するように歩く先生の姿は、少しも雰囲気に臆した様子はない。その姿に、謎が深まるばかりだとホシノは内心でため息をこぼしていた。

 ハウンズに所属しているジナイーダや、キヴォトス全域で暴れていたワカモならば、こういう場に慣れているから特に不思議ではない。

 しかし先生に至っては、外部から来た人だと言うのに、余りにも違和感がない。あれほどまでに陽だまりの様に優しい人なのに、ブラックマーケットと言う裏の世界に違和感なく溶け込んでいる。一体全体、この人は何をしてきた人なのだろう? と言う疑問が尽きないホシノであったが、少しばかり周囲が騒がしくなり、そちらに視線を向ける。

 

「おい、お前。さっきから何をこそこそ……あっ、待て!! 逃げるな!!」

 

「あわわわ。まずっ、まずいですー!! ついてこないでくださいー!! 怪しい者じゃありませんー!!」

 

「それなら大人しく止まれ!! 逃げるんじゃない!!」

 

 そう言ってこちらに走ってくる、あまりにも場違いな雰囲気の少女と、追いかけてくるブラックガードの集団。

 ホシノが厄介事かなぁと考えていると、先生は特に迷う素振りも見せずに、走ってきた少女を背中に庇ってしまった。

 

「そこの君、こちらに来なさい。制服を見ると……ああ、トリニティの生徒か。また随分と場違いな娘が居たものだ」

 

「へ、あ。えっと!?」

 

 突然庇われた少女は目を白黒させているが、直ぐにこちらに向かって走ってくるブラックガードの集団を見て、先生の陰に隠れて様子を伺う。対策委員会の面々も何事だ!? と驚きつつ、大人しく成り行きを見守っている。

 

「なんだお前たちは……って、鴉の旦那と狐の姉御!?……げぇ、ジナイーダまでいる!?」

 

「え、ブラックマーケット潰しに来たってことですか!? 我々は代表の下でちゃんとやってますよ!?」

 

「ははは。久しぶりだね。しかし、鴉ではなく先生と呼んでほしいんだがな。……しかし、なんでそんな物騒な考えになるんだろうな」

 

「潰しに来たわけではありませんよ。ここが無くなればどうなるか、重々承知しておりますのでご安心を」

 

「……そんなに警戒しなくても何もしない」

 

「け、警戒するなって言われても……あんたら、自分達の戦力ちゃんと把握してるか……?」

 

「そ、そうですか。……そちらのトリニティの生徒は先生のお連れで?」

 

 ブラックガード達の視線が自分に向いていると察した少女が、ひぃっと小さく悲鳴を上げながら袖を握る。

 先生は苦笑を浮かべながら、再度少女を庇う様にしてブラックガード達の視線を遮る。

 

「ああ。少し用事があって来たんだが、逸れてしまってね。見つかって良かったよ。それに他の娘達も私の連れだ。あまり脅さないでやってほしい」

 

「そうでしたか。先生のお連れとは知らずに失礼を。それで用事とは一体どのような?」

 

「代表に用事があるんだが、会えるかな?」

 

「姉御にですか。何時ものビルにいると思いますが、案内しましょうか?」

 

「いや、場所は分かっているから大丈夫。さぁ、みんな私の後についてきてくれ。逸れて彼女達に追い掛け回されないようにね」

 

 そう言って先生が歩き出すと、黒服達は直ぐに道を開け、一斉に頭を下げて見送るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ありがとうございました。こっそり学園から抜け出してきたので、何か問題を起こしたら大変な事に……」

 

「随分とアグレッシブな事だ。無用なトラブルに巻き込まれる前に帰った方が良いと言いたい所だが、黒服達にああ言った手前、私達の用事が終わるまでは同行してくれるかな、ヒフミ」

 

「はい。大丈夫です。助けてもらったのですから、お付き合いしますよ!」

 

 先ほどのトリニティの生徒――ヒフミと軽く自己紹介をしながら、目的地まで歩く一行。

 どうやらヒフミは何か探し物があるらしく、トリニティの学区からこっそり抜け出してブラックマーケットまで来たようだ。そこでコソコソと探し物をしている姿が逆に怪しくなり、ブラックマーケットを警備している黒服の集団に追いかけられていたらしい。

 

「しかしトリニティの生徒が、こんな場所に何を探しに来たのです?」

 

「あはは……えっとですね。ペロロ様の限定グッズと、新キャラのぬいぐるみを探しに来たんです」

 

「ペロロ様? それは一体なんでしょう?」

 

「えっと、これですね!! ペロロ様とアイス屋さんがコラボした限定のぬいぐるみなんです!!」

 

 首を傾げるワカモだが、ヒフミは鞄から一つのぬいぐるみを取り出し、満面の笑みでワカモに見せる。

 だが、かなり特徴的な見た目に引いてしまい、ワカモは先ほどのヒフミの様に先生の陰に隠れてしまった。

 流石に、アイスクリームを無理やり口に突っ込まれている謎の鳥のぬいぐるみは難易度が高かったようだ。

 

「限定生産で100体しか作られてないグッズなんですよ。可愛いでしょう?」

 

「の、ノーコメントでお願いします」

 

「よしよし、ワカモ。そんなに怯えなくても大丈夫だよ」

 

 何故かプルプルと震えるワカモを撫でながら苦笑を浮かべる先生と、何故怯えてるのか分からず疑問符を浮かべるヒフミ。

 だが同じようにペロロ様――と言うか、そのシリーズの総称であるモモフレンズが大好きなノノミと話が盛り上がっていた。その姿にホシノですら、どこか達観したような表情を浮かべていた。

 

「いやぁ~。何の話だかさっぱり分からないねぇ。若い娘の話題にはついていけないよー」

 

「……これ可愛い……? ワカモ、どう思う?」

 

「ですから、私はノーコメントと言ってますでしょう!!」

 

「新キャラも可愛いですよね☆ 確か名前はベイ太郎とアーキ坊やでしたよね!」

 

「はい、そうなんですよ!! ベイ太郎は丸いフォルムが可愛いですし、アーキ坊やの少し抜けた表情も最高なんですよね!! ただこの子達、よく喧嘩するのが玉に瑕なんですよね」

 

「確かにすごい大喧嘩しますよねー!」

 

 そう言ってニコニコしながら、ヒフミが新キャラのぬいぐるみを取り出すが、それを見た先生も少しばかり「可愛いか……?」と疑問を感じる見た目だ。

 ベイ太郎は模様が入った丸に雑に手足を付けただけであり、アーキ坊やはAを少しデフォルメしたような見た目の、気の抜けたゆるキャラのような物であり、見ようによっては可愛いかもしれない。

 

「あとはこの子、レイレイカラスさん!! この鋭いけどどこか優しい眼つきが素敵なんですよね!!」

 

「あ。確かに。その子は素敵ですわ。持ってみても良いでしょうか?」

 

「あ、是非是非!! レイレイカラスさん、すっごい羽根が柔らかくて気持ちがいいんですよ!」

 

 鋭いけど優しい眼つきの、モフモフとしたレイレイカラスと呼ばれたぬいぐるみを受け取り、その手触りにワカモの口元に小さく笑みが浮かぶ。

 そして何故だか先生とレイレイカラスを交互に見て、何故か一人で納得したように頷いていた。

 

「ヒフミさん、このぬいぐるみ譲っていただけませんか? もちろん、代金は支払いますので」

 

「そんな、良いですよ!! 布教用に持っていたぬいぐるみなので、是非もらってください!」

 

 新たにモモフレンズの魅力を伝えることができたと喜ぶヒフミであるが、ワカモはどちらかと言うとレイレイカラス単推しのようだ。だが、そこは気にしないようだ。

 

「うーん、確かにそのレイレイカラスさんには何か惹かれるものがあるね~。抱き枕にしたら良さげ?」

 

「……確かにモフモフしてて手触りは良さそう。けど、レイレイカラス……あっ」

 

 ホシノもヒフミが再び取り出したレイレイカラスのぬいぐるみを触りながら、少しだけ迷っている。隣でジナイーダが何かに気が付いたように先生を見るが、見られた本人は「ん?」と首を傾げるだけである。

 まぁ、気が付いてないなら良いか――とジナイーダも「なんでも無い」と言う様に首を振ると、未だに貰うかどうするか悩むホシノに熱烈に布教するヒフミと、レイレイカラスのぬいぐるみを抱いて少し嬉しそうなワカモを眺めるのである。

 なお、後日ネストの隊員達がレイレイカラス推しになるのだが、それは別の話である。

 目的地のビルはすぐそこだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ブラックマーケット シリウス商会

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁやぁ、先生。良く来たねぇ。それに珍しいお客さんも連れてきたようだ」

 

「代表、久しぶりだね。いきなり来てしまったが、時間は大丈夫かい?」

 

「なぁに。先生の様な上客の為ならば、時間なんて幾らでも空けようじゃあないか」

 

「助かるよ。皆、こちらはブラックマーケットの代表だ。恐らく大抵の情報は持っているはずだ」

 

 にこやかに話す相手は、このブラックマーケットを牛耳る少女。最初こそ小さな商会の長でしかなかった彼女だが、類まれなる商才と先見の明――そして何より先生を一目見ただけで特異性を見抜いて接触。

 権力争いや治安悪化の一途を辿るブラックマーケット改革の為に、先生とワカモに協力してもらい、ブラックマーケット統一を果たした女傑でもある。

 それ以降シャーレとはそれなりに良い関係を築けており、先生がネストを使って修理している【超巨大な装甲列車】の修理パーツ等もここに依頼しており、ウハウハらしい。

 

「しかし、そちらはアビドスの生徒となると……なるほどなるほど。情報を求めてきた訳かね?」

 

「ああ。先日撃破した改造された重戦車の事でね。アヤネ、説明してくれるかい」

 

『あ、はい。実はこの戦車に関してなのですが、こちらの戦車のデータ、見覚えはないでしょうか?』

 

「ふむふむ……それなら心当たりがあるねぇ。今データを呼び出すから待ってな。……ちなみに支払いはどうすんだい? アビドスと言やぁ、大層な借金こさえてる様じゃないか」

 

『お、お金取るんですか!?……な、なんですかこの金額!?』

 

「はっ、当然さ!! あたし等だって商売でやってんだよ。言っとくが、ビタ一文まける気はないよ。しっかりと支払いな!! その分の金額に見合う情報を提供してやるよ」

 

 情報の精度と、それに伴う金額の一覧を見せられたアヤネが通信機器の向こうで絶句しているが、代表は不敵な笑みを崩さない。伊達に抗争の激しかったブラックマーケットで商会を営み、そして統一した商人ではないのだ。

 

「代表、今回は私が支払うから、一番良い精度の情報を貰えるかな」

 

『そんな先生!? 結構な金額になりますよ!?』

 

「毎度ありぃ!! いやあ、先生は何時も金払いが良くて助かるよ。ほら、そっちのオペレーターの娘に情報送っとくよ。ここに居る連中は、このタブレットで見てみな」

 

「ありがとう代表。ほら、みんなこの情報を見てみるといい」

 

 そう言いながら情報の写ったタブレットを受け取る対策委員会の面々だが、その表情は何処か戸惑いが含まれていた。

 

「先生って銀行強盗とか拉致には反対してたけど、ブラックマーケットとかの存在は気にしない人なの~? ここって結構と言うか、ほとんど裏にどっぷりじゃない?」

 

「ふむ、ブラックマーケットを利用することについてか」

 

 そんな戸惑いを代弁するかのように、何時もの調子でホシノが問いかけてくるが、その眼の奥にも戸惑いが見える。あれほどまでに犯罪行為に関して止めていた人物が、裏の世界を許容しているどころか、積極的に利用しているのが不思議で仕方がないのだろう。

 しかし問いかけられた先生は、少しだけ考える素振りを見せるが、特に抵抗なく言葉を続けた。

 

「表と裏は文字の如く表裏一体だ。確かにここは犯罪行為が横行する場所だろう。しかし、それは表の社会で必要になる事柄も多くある」

 

 表社会と裏社会は共存共栄である。彼女たちブラックマーケットの住人は、しばしば表の社会では解決できない仕事を引き受けて解決している。それこそ【何でも屋ハウンズ】がそれに該当するだろう。まぁ、ハウンズは表裏どちらでも有名なのだが。

 なにより裏社会だからと言って表社会を軽視しては、即座に潰されてしまう。

 

「なんで潰されるかって? はっ、そんなの決まってんじゃないか。ブラックマーケットとは言え、キヴォトス全域で見ればちっぽけなもんさ。そんなのが一つだけ調子に乗ったところで……ねぇ?」

 

「当然、裏社会より表社会の方が人数が多くなります。さて、人数がどれ程までに強大な力か。皆さんだってお分かりでしょう?」

 

 代表は不敵に笑い、その後にワカモが静かに続ける。

 表から落ちた多数の人間が所属しているとはいえ、ブラックマーケットを始めとした裏社会の人数など知れている。それ故に彼女達は表すら支配しようとは思わない。

 自分達は表社会を支える裏社会の存在であり、表社会から零れ落ちてくる利益で生活している。

 そして表社会はそんな裏社会を黙認しつつ、自分達では対処できない問題をブラックマーケットや【何でも屋ハウンズ】を始めとした裏の勢力に、莫大な依頼料、物資を始めとした金やら情報やらを提供して解決してもらう。

 故にどちらも持ちつ持たれつの関係性だと先生は告げる。

 

「まぁ、今すぐに納得しろとは言わないさ。だが、そう言う世界があるのだと君たちも知っておいた方がいい」

 

「ん……わかった。納得はまだ出来ないけど、ちょっと考えてみる」

 

 そう返事をするシロコだが、やはりまだ呑み込めていないようだ。だが、それでも良いさと先生は笑う。自分の様に裏の深淵まで知るには、まだまだ若すぎる。

 誰よりも戦場を駆け抜け、裏社会を知っている。そこに潜む悪意や殺意がどれ程凶悪なのかすらも知っている。だからこそ、この娘達には、生徒達には、この透き通った青空の下で優しい毎日を願っているのだ。

 

「さて、一通り情報には目を通したかい?」

 

「カイザーPMC……。ここがカタカタヘルメット団を使って私を拉致させた黒幕なのね。ああもう、思い出しただけで腹が立つ!!」

 

「けど、カイザーと言うことはカイザーローンの上の方の会社ですよね? なんでこんな手の込んだことをしたんでしょう?」

 

 セリカが拉致された事を思い出し怒りに震えている隣に、ノノミが疑問を口にする。何故、カタカタヘルメット団を使い自分達を襲わせたのか理解できないようだ。

 

「そりゃあ決まってんじゃ……あー、そうだな。よし、着いてきな。先生が情報を高く買ってくれたんだ。少しばかりおまけしてやるよ」

 

 そう言って歩き出す代表の後ろを、慌てて追いかける対策委員会の面々なのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 ブラックマーケット 雑居ビル屋上

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見えるかい? あれがここの闇銀行さ」

 

「み、見てください……あの人……」

 

「あれ……あの車、うちに来てた輸送車!? それにあいつ、毎月うちに来て利息を受け取っていく銀行員じゃない?」

 

「ありゃ本当だ。なんでこんな所に……?」

 

「……どういうこと?」

 

『ナンバーや車種の照会完了しました。確かに今日の午前中に利息を支払った時の車と同じものです。それが何故ブラックマーケットに……?』

 

「あの、もしかしてあれってカイザーローンの車ですか?」

 

「ヒフミちゃん、何か知ってるの?」

 

「カイザーローンと言えば、あのカイザーコーポレーション傘下の高利金融業者なのは知ってますよね? カイザーコーポレーション自体は、合法と違法の間のグレーゾーンで上手く立ち回っている企業なのですが……最近トリニティにも進出してきているので、生徒達への悪影響を考慮してティーパーティーでも目を光らせています」

 

「あいつらも節操ないねぇ。本当、何でもかんでも手広くやりゃ良いってもんじゃないだろうにさ」

 

「……あっちの搬入口でなんか揉めてるみたいだけど」

 

「あん?……あれ、あいつなにやってんだい?」

 

 そんな事を話していると、ジナイーダの言う様に銀行の搬入口が騒がしくなり、全員がそちらに視線を向ける。

 そこでは平の銀行員たちに羽交い絞めにされながらも、輸送車から現金を下ろすカイザーPMCの兵士達に噛みつく銀行員(支店長)の姿があった。

 

「だから!! この現金はどのような理由で集めてきたのか説明しろと言っている!!」

 

「理事の指示だ。お前に説明する義務はない」

 

「義務は無いだと!? 私はここの支店長だぞ!! 全てのデータとお金を管理する責任と義務がある!!

 いいか、貴様らは何もわかっていない!! こんな事を続けてみろ、必ず手痛いしっぺ返しが来るぞ!?」

 

「ししし、支店長落ち着いてください!! 相手は理事直属の部隊です!! 歯向かったらやばいですって!!」

 

「ええい離さんか!! 第一、アビドスの土地の価値を考えてみろ!! 昔の土地価格を考慮しても、あんな金額になるものか!!」

 

「妥当な価格だ。貴様はそんな事考えなくてもよい」

 

「ふざけるなよ貴様!! 我々は顧客のお金を大切に預かり運用する存在だ!!

 第一、何も怪しくないならば正規のルートを通れば良いだろう!! 何故毎回毎回ルートを変えている!!」

 

「馬鹿か。ここはブラックマーケットだぞ? 何時、現金輸送車が襲撃されるか分らん場所だ。貴様の言う大切な『お・か・ね』とやらを慎重に輸送するために、ルートを変えているだけだ」

 

「貴様らこそ馬鹿か!? それならば何故こんな場所にお金を運び込む!! ちゃんとした表の銀行に運び込めば、こんな過剰な戦力もいらんのだ!! 人件費やら考えているのか!!」

 

 必死に言葉を続ける支店長に、輸送車を護衛してきた兵士達は冷たく笑う。何を必死になっているのか理解ができないのだろう。

 

「なんだ、お前。アビドスの連中に情けでもかけてるのか? 見た目は良いからなぁ!」

 

「はっ、だったらてめぇが金出して買ってやれよ。そうすりゃぁ少しは借金返済の足しに何だろう?」

 

 その言葉を聞き、対策委員会も銃を構え、先生がスナイパーライフル(WH02RS-WYRM)で兵士を撃ち抜こうとするが、支店長の言葉を聞き引き金から指を離す。

 

「情けとかそういう問題ではない!! 良いか、それはな、アビドスの連中が汗水たらして必死に稼いだお金だぞ!!

 それを我々は大切に扱う義務があると言っているのだ!! 手厚く運び込むとかそういう事じゃない!! しっかりと……」

 

「いい加減、うるせぇよ」

 

「ごはっ!? き、貴様……!!」

 

 まだ言葉を続けようとする支店長の腹を、兵士の一人が銃床で殴り倒し、彼の頭を踏みつける。

 それには流石に、何時もの胡散臭い笑いを引っ込めて、代表も目付きを鋭くして兵士達を屋上から睨み付けていた。

 

「お前は黙ってろ。いいか、これは理事の指示なんだよ。もう一度言うぞ? これは、理事の、指示、なんだよ。

 お前みたいな底辺の銀行の支店長如きがギャーギャー騒いでんじゃねぇよ!!」

 

 そう言って倒れている支店長の腹を蹴りつけると、兵士達は現金の入ったトランクを輸送車から降ろし、銀行へと搬入し始める。

 

「し、支店長……」

 

「……ぐぅ……ぐぅぅぅ……!! 何故だ、何故分らんのだ……!!」

 

 支店長は悔しそうに何度も何度も拳を地面に叩きつけている。その姿に、銀行員達も兵士達に怯えながらも、悔しそうに拳を握り締めていた。

 

 そんな彼らの姿を屋上から見ていた対策委員会と先生達の眼には、強い怒りの火が燃えているのであった。






ベイ太郎・アーキ坊や

モモフレンズに仲間入りした謎のキャラクター達。
例のあれである。
良くすさまじい殴り合いをしている模様


レイレイカラス

こちらもモモフレンズの新しい仲間
鋭いけど何処か優しい眼つきをしたフワフワな羽根が特徴的なカラス。
何故かワカモが一目で気に入り、そのぬいぐるみと一緒に寝ているらしい。
そしてネストの隊員達もレイレイカラスを気に入り、ネスト内でブームになったりならなかったり。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。