ブルーアーカイブ Day After Day   作:燃え殻の灰

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今回も短めです。
ネストの活躍を少し書いてみました。


第16話 特別部隊 ネスト

 

 

 

 

 

 アビドス高校 校庭

 

 市街地からカイザーPMCを追い出し、ホシノを奪還する為に戦闘準備を終えた対策委員会が校庭に出ると、上空から複数の輸送ヘリが降下してくるのが見えた。

 PMCがここまで来たのかと思い、迎撃態勢を取ろうとするがヘリの側面に描かれたエンブレムを見て、銃を下ろす。

 そこに描かれているのは【先生】が纏っていたコートに描かれていた【渡り鴉】とシャーレの文字。

 

「総員、兵装の最終チェックを行いなさい。それが終わったら隊列を整えて待機です」

 

 ヘリから続々と降りてくる見慣れない制服の生徒達に指示を出すワカモの姿を確認し、その生徒達がどんな存在なのか、察することが出来た。

 そして対策委員会がこちらを見ていることに気が付いたワカモは、隊員達に指示を出して、対策委員会の元に足を進める。

 

「さて、対策委員会の皆さんも準備は万全の様ですね」

 

「あれが、先生直属の特別部隊ネスト……。それにワカモさんも来てくれるのでしたら心強いです!」

 

「この人達が先生の言ってた援軍なんですね、頼もしそうです!」

 

「まだまだ課題は山積みですけどねぇ。まぁ、少なくともある程度の基準には達していますのでご安心くださいな」

 

 黒いシャツに暗い赤色のネクタイ、そして【先生】のコートとは違い、シャーレの短い白いジャケットに描かれた【渡り鴉】のエンブレム。

 彼女達こそ、【シャーレ特別部隊 ネスト】である。

 

「ん、先生やワカモの満足する基準って凄いことになりそう」

 

「確かに……。けど、ネストの隊員の人達、なんか何処かで見たことあるような気が……?」

 

 セリカの言う通り、何処となく見たことある生徒達がチラホラと見えるが、何処で見たのかが思い出せずそれぞれが首を傾げている。

 それに気が付いたネストの隊員の一人が少しばかりバツが悪そうな雰囲気で対策委員会の方に近づき、何を言うべきか迷いつつ口を開いた。

 

「あー……。なんだその……シケタ面してたら文句の一つでも言ってやろうと思ったけど……元気そうじゃねぇか」

 

「ぷ……なんですかそのセリフ。素直に元気そうでよかったと言えば良いものを」

 

「わ、笑わねぇでくれよワカモさん。あたしだって、どんな事言えばいいのかわからねえんですから……」

 

 クスクスと笑うワカモに対して、反論する隊員の姿にますます誰だったかと疑問を浮かべている対策委員会に気が付き、はぁっとため息をこぼして隊員は素直に白状することにしたようだ。

 

「……元カタカタヘルメット団だよ。アタシだけじゃない、他のメンバーもネストに居る」

 

「「「「カタカタヘルメット団!!??」」」」

 

 驚く対策委員会に、その隊員は自分達の居場所が欲しかった事やカイザーPMCに利用されていた事、そして【先生】に拾われて新しい道を歩き出したことを説明し、勢い良く頭を下げる。

 

「許してくれ、なんて虫が良すぎることは分かってる。けど元カタカタヘルメット団として、キチンと謝らせてくれ。本当に……本当にすみませんでした!!」

 

 その言葉を聞き、この場にいる元カタカタヘルメット団の隊員たちも一斉に頭を下げて、謝罪の意を示す。

 その姿に対策委員会も顔を見合わせて、一つ頷くと代表してシロコが前に出て、手を差し出す。

 

「ん、その謝罪、ちゃんと受け取った。そっちも大変だったみたいだし……私達も派手に色々とやったから、この握手で終わり。てことで良い?」

 

「うんうん☆それにこうして助けに来てくれたんですし、水に流しましょう☆」

 

「まさかバイトの後輩達もそうだったなんて……。けど、今も柴関守ってくれてるみたいだし……ああもう、次はもうないからね!! ワカモさん、ちゃんと見張っといてよ!!」

 

「ふふ、セリカちゃんも素直じゃないなぁ。バイトの後輩さん達にも慕われてるから、邪険に出来ないんだよね?」

 

「それは言わなくてもいいでしょ!?」

 

「心配はいりませんよ、先生や私がしっかりと見ておりますし、第一もうそんな真似をすることもないでしょう」

 

「……ああ、ありがとう。こんなアタシらを信じてくれる先生やワカモさんを絶対に裏切る真似はしない」

 

 それを聞いた隊員はシロコの手を両手で握り何度も頭を下げる。

 和解が出来たようで何よりだと思いながら、ワカモは後ろで隊列を整え終わった隊員達の前に立ち、言葉を紡ぐ。

 

「総員、準備は完了しましたか。これより我々ネストは対策委員会と協同し、市街地のカイザーPMCを殲滅し、先行している【先生】に合流します」

 

 本当はワカモは【先生】と離れたくなかったのだが、【先生】にとって彼女は一番頼りにしている存在なのである。

 だからこそ、【先生】の期待に応えるべくワカモはネストの隊員達をまとめ上げ、カイザーPMCを殲滅するのだ。

 

 今まで外していた狐面を被り、そこから覗く金色の瞳をランランと輝かせ、ワカモは指示を出す。

 

「我らの、そして先生の前に立ちふさがる奴らは容赦なく殲滅します」

 

「これより状況を開始します。全てを焼き尽くしなさい」

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アビドス市街地

 

「進め進め!! 前に出ろ前にぃ!! 数こそ多いが、ゲヘナの風紀委員やトリニティの正実に比べりゃ雑魚ばっかりだぞ!!」

 

 激しい銃撃戦の中、対策委員会に頭を下げた元カタカタヘルメット団の生徒【重角(じゅうかく)クレス】は左手に装備して盾で銃弾を防ぎながら、右手のマシンガンを乱射して突っ込んでいく。

 ネストの隊員達の中でもメキメキと戦闘能力を上げ、今では中核戦力に数えられる元カタカタヘルメット団の少女は、自分達を拾い上げてくれた【先生】やワカモの力となるべく、前へと進む。

 時には盾で殴り飛ばし、粉砕するその戦い方を見た他の隊員達は軽口をたたきながら、その後に続いていく。

 

「クレスさんの戦い方、まるで救護騎士団のミネさんっぽいですね!」

 

「参考にさせてもらったからな!! 何時か、あの人みたいに拳で戦車の装甲ぶち抜けるようになるつもりだよ!! そんでもってジナイーダの蹴りに対抗してやる!!」

 

 ……何時でもかかってこい。と脳内でクイクイと挑発してくるジナイーダに拳を叩き込む……が、しっかりと躱されて蹴りを叩き込まれそうになり、慌てて頭を振ってジナイーダを脳内から追い出す。

 それを隙だと捉えたPMCの兵士達が一斉にクレスを狙おうと銃口を向けるが、その前に後方から放たれてきた銃弾を受けて全員が倒れてしまう。

 

『おーほっほっほ。敵の前でおふざけとは、相変わらず荒いですわねクレスさん!』

 

「けっ、盾役としてあえて狙われてんだよ。それも分からねぇのか、この似非お嬢様が」

 

『だ、誰が似非ですか誰が!! これだから突撃バカは!』

 

 後方のビルに陣取りクレス率いる前線部隊を援護している部隊の隊長でもある少女【流仙(りゅうせん)ミラ】は高笑いしながらスコープを覗き込んでいる。

 どうやら先ほどクレスを狙っている兵士達を撃ち抜いたのは彼女らしい。それに気が付いたクレスは小さく舌打ちしながら、返事するがそこからは売り言葉に買い言葉。

 周囲の隊員達が苦笑してるのも無視して、挑発やら罵り合い、煽りだす始末である。

 

「よーし、マッハでハチの巣にしてやんよ!!」

 

『その前にドタマぶち抜いてやりますわよこんちくしょー!!』

 

 ギャーギャーと騒ぐクレスとミラであるが、それでも手を止めずクレスが後方に狙いを定めていたスナイパーを盾で殴り飛ばし、大暴れている彼女に銃を向ける者たちをミラが狙撃すると言う謎のコンビネーションを発揮。

 この二人は基本的には合わないのだが、組ませると異様に相性が良いと言う評価を受けているが断固として両者は認めていない。

 中核メンバーとしては重角(じゅうかく)クレス、流仙(りゅうせん)ミラは戦闘部隊、有澤ネスはグレートウォールの総指揮官。そしてもう一人、()()()()()()()()()()()()()が居るが、それはまたの機会になる。

 騒ぎながら兵士達を蹴散らしている二人だったが、一際大きな爆発音を響かせ、そちらに眼を向けると多数の戦車を単騎で破壊し、その爆炎を背負う憧れの先輩(狐坂ワカモ)の姿がある。

 

「……相変わらず、ワカモさんは強えなぁ」

 

『ああ、今日も素敵ですわワカモお姉様!!』

 

「お前、本当……毎回ワカモさんに避けられてんじゃねぇか学習しろよ」

 

『だまらっしゃい!! 私のワカモお姉様に対する愛は誰にも止められませんわ!! ……まぁ、先生なら許してさしあげないこともなきにしもあらず?』

 

「おーし、ジナイーダの前にてめぇの顔面陥没させて目を覚まさせてやる」

 

『はっ! ならのスッカスカのお胸に綺麗な風穴あけてさしあげますわ!』

 

「なんだぁ……てめぇ……?」

 

 クレス、切れた。

 

 再びギャーギャーと騒ぎそうになる二人だが、ため息を零しこちらに視線を向けているワカモに気が付いて、慌てて口を閉じて戦闘に戻る。

 

「まったく……。お二人ともまだまだ粗さが残りますね。あの娘は……ふむ、次のステップに進めても良いでしょう。あちらの娘は……少し問題ありですね、次の訓練はそこを重点的に指導しましょうか」

 

 自身の周囲で戦っているネストの隊員達の能力を把握しながら、ワカモは今後の訓練の内容などを考えている。

 戦車数台を相手にしようが、彼女にとってそれ程までに余裕がある。カイザーPMCはその程度の相手でしかないのだ。

 

【先生】とシャーレで過ごした日々とはワカモにとってとても楽しく、そして実りが多い時間であった。

 単体での戦闘方法だけでなく、集団を生かした戦い方。そして他者に興味が薄かったワカモだが、一緒に様々な学園を訪れ、何時しか災厄の狐(狐坂ワカモ)ではなく、【シャーレの狐坂ワカモ】として認識されるようになってきた。何より自分を慕う者達や、ヒナを始めとした友達も出来てきた。

 それを話せば【先生】はとても嬉しそうに笑い、ワカモの頭を優しくなでてくれたのだ。それがとても嬉しくて、嬉しくてたまらない。

 

「優しくて、優しくて……それでも火と鋼鉄と、硝煙を纏う方。この身、この心。私のすべてをあなた様に……」

 

 少しずつ、少しずつ変わり始めている自分にワカモも気が付いているが、悪い気はしない。その日々は楽しくて、美しくて、とても大切な宝物。

 ここアビドスでもその宝物は増えている。シロコやアヤネ、セリカやノノミもその宝物(友達)だ。

 だからこそその宝物(友達)を傷つけ、そして奪おうとするカイザーPMCは絶対に許さない。そして奪い返すのだ、もう一つの宝物(友達)を。

 

「ホシノさん……。もう少しの辛抱です、きっと先生が貴女を助け出してくださいます」

 

 ホシノの気の抜けた、そして少しばかりの悲しみの籠った笑顔を思い出し、ワカモの銃を握る手に力が入る。

 彼女がどう思っているかは分からないが、ワカモにとってホシノも大切な宝物(友達)である。

 その思いを抱き、ワカモは次の標的へと足を向けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 

本作オリジナル生徒

重角クレス
元カタカタヘルメット団。
かつてはミレニアムの生徒であり、荒い口調だが、理系でありそれなりに頭は回る。
ネストの切り込み隊長を務めており、愛用武器はマシンガンと盾。
盾の戦闘方法はトリニティの蒼森ミネを参考にした模様。
ミラとは犬猿の仲
元ネタは3系の企業クレスト

 
流仙ミラ。

元トリニティの生徒。
自分からネストに入隊してくるというかなり珍しい生徒。どうやらトリニティは退屈だったらしい。同じように退屈だと思っている友達が居たようだが……?
お嬢様ではあり、ワカモをお姉様と慕っている模様。
クレスとは犬猿の仲
愛用武器はスナイパーライフル
元ネタは3系の企業のミラージュ。
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