ブルーアーカイブ Day After Day 作:燃え殻の灰
相変わらずキャラの口調がつかめておりませんタスケテ
アビドス市街地
『カタカタヘルメット団のアジトがあるエリアに入りました。敵のシグナルを多数検知! まだこちらは捕捉されていないようです。皆さんのご武運を祈ります!!』
「任せてよアヤネちゃん。さぁ、サクッと片付けてお昼寝だぁ」
「……ターゲット確認。これより殲滅する」
「ん、全部蹴散らす。日頃の恨みを晴らす時」
「ですねー☆ さあ、覚悟してくださいよー!」
「何時までもやられっぱなしだと思わないでよね!!」
アヤネの通信を皮切りに、アビドスの面々とジナイーダがそれぞれの武器を構えて一斉に走り出し、接近に気が付いていなかったヘルメット団に攻撃を仕掛け始めた。
「アビドスの奴らだと!? て、敵しゅう――へぶ!?」
「ま、また狙撃――あふん!?」
「あ、アジトで待機してる奴らも呼び出せ!! 迎撃――きゃふん!?」
『私が援護するから、君達は構わず前進してくれ』
「ちくしょー!! 狙撃なんて卑怯だぞー!! 正々堂々戦えー!!……いってー!!」
「補給が出来なかった少人数の私達に襲撃を仕掛けておいて、それはないと思う」
慌てふためくヘルメット団を、ビルの上に陣取った先生が
実際、シロコの言う通り少人数で物資も底を突きかけていたアビドス高校を襲撃していたカタカタヘルメット団に容赦するつもりがないのか、一発一発が正確に命中している。
(うーん、凄い射撃精度だね。一発で気絶させてるから、余計な怪我を負わせてない。優しいと取るか、容赦がないと取るか、なかなか難しいところだねぇ)
狙撃されてヘルメットが割れ、額を真っ赤にして目を回して気絶しているヘルメット団の姿に、若干の同情も感じてしまう。
最初、アビドスの駅で彼の姿を見たときに感じたのは【火】であった。しかし、見間違いだと再度見てみれば、そこにいるのは
その後も注意深く観察しても、やはり先生は先生でしかなく、ただの錯覚だとホシノは結論付けて、その出来事は胸の奥に仕舞い込むことにした。
しかし、彼女はまだ気が付いてない。その【火】が消えず、奥底で燃え続けていることに。
「……ホシノ、考え事? 余裕そう」
「そ、そんな事ないよ~。ジナイーダちゃんの方が余裕そうだよー」
「……まぁ、余裕かな。あんまり強くない」
いつの間にかホシノの隣に並んでいたジナイーダは、淡々と
「わー、ジナイーダちゃん凄いですね。私もガトリング使ってますけど、片手では持てませんよ」
「……私は特別だから。けど、ノノミも振り回されずに使ってるから、凄い」
「ふふ、ありがとうございます。褒められちゃいましたし、もっと頑張りますよ☆」
「……シロコ、手榴弾投げて。蹴り飛ばして威力上げる」
「ん、了解。投げるよ。……蹴り飛ばす?」
シロコが連れてきたジナイーダも、ホシノにとっては異質な存在でもあった。自身やワカモに匹敵する戦闘能力に、逸脱した身体能力。
現にシロコが投げた手榴弾を曲芸師の様に
そんな彼女がアビドスを訪れたのは、そこにいた先生に会いに来たから。そこで発した【鋼鉄と硝煙の人】と言う言葉。
それを聞いた瞬間、確かにこの先生にはその言葉が似合うと納得すらしてしまった。穏やかそうな人なのに、何故これほどまでに戦場が似合うのか。相変わらず、先生と言う人物の謎は深まるばかりである。
「そう言えば先生、ワカモちゃんはどうしたの? さっきまで居たよね?」
『ああ。ワカモにはちょっと別件を頼んでね』
カタカタヘルメット団 アジト
「アビドスの奴らの攻撃だと!?」
「奴らが攻めてくるなんて……」
「返り討ちにしてやれ!! みんないくぞ!!」
(さて、全員迎撃に出て行ったようですね)
待機していたヘルメット団全員が迎撃に出て、人気のなくなったアジト。
その天井裏から、スルッと静かに廊下に降り立ち、周囲を見渡す人影。先程、ホシノが探していたワカモである。
(表では先生達が引き付けていますし、その間に武器や資金の流れなど掴んでおきましょうか)
当初はワカモも戦闘に参加するつもりだったが、先生がアジトに潜入して情報を掴んでほしいと指示を出したのだ。
無論、先生の実力も知っているし、ジナイーダとホシノと言う特級戦力もいるので心配はしていない。なにより……
(ふふ、一番信頼している私にしか頼めないなんて……ああ、先生。貴方の為ならこのワカモ、どんな任務も達成して見せますわ!!)
実際、先生が一番信頼しているのはワカモである。戦闘能力や事務作業等、【シャーレ】で一緒に仕事して、彼女がどれ程有能なのか、先生が一番わかっているのだ。なにより彼の持つ様々な知識をワカモは吸収し、成長している。
だからこそ彼女は、己を信じてくれている先生の為に行動しているのだ。貴方の役に立って見せます。だから、もっと私に頼ってください。と。
(ふむ、生きてる端末はこれだけですか。……やはり、幾つものダミー企業を経由しているようですね。武器に関しても同じですか。先生の読み通りですね)
カタカタヘルメット団に資金や武器の提供をしている【黒幕】がいると言うのは共通の認識であり、このアジトで何か掴めればと思ったのだが、どうやら繋がりを残すほど【黒幕】も馬鹿ではない様だ。
他には何かめぼしい情報は無いかと探していると、一つの文章にワカモの目が止まった。
(ブラックマーケットに関する資料? ブラックマーケットを経由して流しているなら足も付きにくいと……なるほどなるほど……そうなりますと、あの娘が役に立ちそうですねぇ)
『ワカモ、そろそろこちらの戦闘は終わりそうだ。なにか情報は見つかったか?』
「残念ながら、直接的な情報は残されておりませんね。ただ、ブラックマーケットに関して幾つか面白いものが見つかりました。抜き出しておきますので」
『ブラックマーケットか。確かに良い隠れ蓑になっただろう。彼女が仕切る前なら……ね』
「はい。あの娘が仕切っている以上、黒幕とやらに利用されるのは業腹でしょう」
【シャーレ】専用の秘匿通信で話しながら、先生とワカモの脳裏に浮かぶのは、ブラックマーケットを牛耳るサングラスをかけた胡散臭い笑みを浮かべた一人の少女。
何かしらの手土産があれば、カタカタヘルメット団と【黒幕】の繋がりが分かるかもしれない。
端末から情報を抜き取ったワカモは、その足でアジトの武器庫や補給庫に爆薬を仕掛け、そのまま悠々とアジトから姿を消した。
その直後、アジトは大爆発を起こし、それと同時にカタカタヘルメット団はアビドスの市街地から完全に叩き出されてしまうのであった。
『敵の退却を確認!! ワカモさんからも、ヘルメット団の補給所や武器庫の爆破完了のメッセージも確認!』
『みんなお疲れ様。作戦は成功だ』
「ふう……これでカタカタヘルメット団もしばらくは大人しくなるはず」
「そうだねー。みんなお疲れ様。それじゃ学校に戻ろっかー」
先生side
アビドス対策委員会 教室
「みなさんお帰りなさい。ご無事でなによりです」
「アヤネちゃんただいまー。そしておやすみぃ……」
「ちょっとホシノ先輩、すぐに寝ようとしないで!! アヤネちゃんもオペレートお疲れ」
「……ホシノ、一緒に寝る?」
「わぁ、良いですね。火急の事案のヘルメット団も片付きましたし、一息つくためにみんなでお昼寝タイムです☆」
「そ、それもいいですが、まず他にも片付けるべき案件が……」
「案件とは、借金の事でしょう? 既にゲヘナの風紀委員会から、ある程度の話は聞いております」
「皆が良ければだけど、その話を詳しく教えてもらってもいいかな?」
まさか借金の事まで知られているとは思わなかったのだろう。先程までの穏やかな雰囲気が一転し、どこか硬い雰囲気をアビドスの面々は纏ってしまうが仕方がない。恐らく、これこそがアビドスの抱えている真の問題なのだろう。
そこに踏み込まなければ、彼女達の助けにはなれない。
「ありゃ~、そこまで知ってるんだねぇ先生。ゲヘナの風紀委員会かぁ、随分と顔が広いね」
「色々と業務を手伝ってあげたからね。それにアヤネからの手紙を貰ってから、情報も少しは集めたのさ」
「ま、まってホシノ先輩!! それ以上は!」
「……セリカちゃん、隠すようなことでもありませんし、先生に話して協力してもらった方が……」
「ん、そうだね。先生は私達を助けてくれた。だから信頼していいと思う」
「けど、先生は部外者でしょう!! 今までの大人達が、この学校がどうなるかなんて気にも留めてなかったんだよ!? 自分達の事情しか考えてない大人が!!」
「その部外者に助けを求めたのはどこの誰なんですか? 先生を、【シャーレ】を頼っておいて、自身の事情だけになれば話もせずにさよなら。と、随分と都合よく考えられたものですねぇ」
私の後ろに控えていたワカモの冷たい声が、部室内に響く。確かに、私達は部外者だろう。しかし、現状、内部の彼女達だけでは片付かない案件ならば、外部からの協力も必要になるとは私は考えている。
「ワカモちゃんの言う通りだよ、セリカちゃん。先生はもう知ってるんだし、パパっと解決してくれるような問題じゃないかもしれないけどさ。でも、この問題に耳を傾けてくれる大人は、もう先生くらいしかいないじゃん? カタカタヘルメット団のアジトを攻撃した時みたいに、なにか解決策を考えてくれるかもしれないよー」
「……けど、これまで学校の問題は私達だけで解決してきた!! なのに今更、大人が首を突っ込んでくるなんて……私は認めない!!」
ホシノが冷静に諭しているが、セリカは納得できない様子で教室から飛び出して行ってしまった。
実際、彼女達が困ってるときに手を差し伸べる大人とやらは居なかったのだと考えられる。それが大人への不信感となり、私と言う個人にも向いている――と言う所だろう。
それはそうだ。必死に足掻いている自分達を見捨てる、或いは見て見ぬふりをして来た大人と同じ存在が、いきなり協力しようと言い出して信頼できるだろうか。
無条件で私を信頼しているシロコ達や、何かしら感じ取っているホシノはともかくとして、セリカの反応が一番正しいとは思うが。
「私、様子を見て来ます。ホシノ先輩、先生に事情の説明をお願いしますね」
「うん、ノノミちゃんお願いね。いや~、若い娘の相手はおじさんにはつらいねぇ」
「まだまだホシノだって可愛い盛りだと思うけどね」
どうにか場の雰囲気を和らげようとしているホシノに乗っかってみるが、キョトンとした顔をされた後、顔を真っ赤にされてしまった。
「可愛いなんて、照れるよ~。先生って結構ナンパな人?」
「先生はナンパではなく、事実を……いや、ここでそれを認めてしまうと、私以外にもそう思ったと言うことに……?」
「ワカモ、戻っておいで。さて、ホシノ。借金について詳細を教えてもらえるかな」
何やらワカモが暗黒面に落ちそうになっているので、頭を撫でて呼び戻しておく。流石にここで手当たり次第に暴れ回られるのは少し困ってしまうのだ。
「もう知ってるらしいけど、この学校には借金があるんだ。よくある話なんだけどさー。でも問題はその金額で……9億円くらいあるんだよね」
「正確には9億6235万円です。アビドス、いえ私達対策委員会が返済しなくてはならない金額であり、真の問題点です」
その金額の大きさに、流石の私やワカモも言葉が出なかった。10億近い借金だと……? 予想外の金額すぎる。それをこの少人数で返済するだと……?
「……10万COAM。先生持ってそうだけど」
「ジナイーダ、それに換算してしまうとややこしくなるから止めなさい」
1COAMは大体現金1万ほどのレートではある。確かに、私が肩代わりしたらすんなりとこの問題は解決するだろう。しかし、それでは意味がない。これは彼女達の戦いなのだ。金だけ出して解決、とはいかないだろう。
「これが返済できないと、学校は銀行の手に渡り、廃校手続きを取らざるを得なくなります。ですが実際に完済できる可能性は0%に近く……殆どの生徒は諦めて、この学校と街を捨てて去ってしまいました」
「それで私達だけが残った」
「学校が廃校の危機に追いやられたのも、生徒がいなくなったのも、街がゴーストタウンになりつつあるのも、すべてこの借金のせいです」
「ヒナさんから砂漠化が急速に進んでいると話を聞きましたが、それが借金の原因ですか?」
「はい。数十年前、この学区の郊外の砂漠で、大規模な砂嵐が発生しました。以前から砂嵐が多発する地域だったのですが、その時の砂嵐は想像を絶する規模の物でした。学区のいたる所が砂に埋もれ、砂嵐が収まってからも砂が溜まり続けてしまい……その自然災害を克服するために、我が校は多数の資金の投入をせざるを得ませんでした。
しかし、こんな片田舎の学校にそんな巨額の融資をしてくれる銀行はなかなか見つからず……」
「結局、悪徳金融業者に頼るしかなかった」
「はい。最初はすぐに返済できる算段だったと思います。しかし砂嵐はその後も毎年巨大な規模で発生し……学校の努力も虚しく、学区の状況は手が付けられない程、悪化の一途をたどってしまい……そしてついにアビドスの半分以上が砂に吞まれて砂漠となり、借金もみるみる膨れ上がってしまったのです」
「その金融機関の名前は?」
「カイザーローンだよ。キヴォトス最大の企業カイザーコーポレーションの傘下」
「……カイザーコーポレーション?」
今まで黙って説明を聞いていたジナイーダが、カイザーコーポレーションの名を聞いて反応を示す。ああ、そう言えば、ヒナが言っていたな。紅い猟犬が描かれた白いジャケットを着ているのだ。十中八九ハウンズの関係者だろう。
「カイザーコーポレーションは【何でも屋ハウンズ】と敵対しているらしいが……ジナイーダは何か知ってるかい?」
「……最近、喧嘩売られたから基地とか補給路とか潰してる。けど、確かに最近はアビドスの砂漠で何かやってる。そこも数か所は殲滅したけど」
「ま、待ってください!! 砂漠で何かしているとはどういうことですか?」
アヤネの疑問も最もだ。シロコとホシノの眼光も鋭くなっている。まさか自分達の借金で絡め取っている存在が、砂漠で怪しい動きをしているなら気になるだろう。
だがまだ情報が少ないし、知らせるべき内容ではない。
「カイザーの動きに関しては私の方でも調べてみよう。それに【ハウンズ】とやりあってるなら、向こうの動きも制限されているはずだ」
「そうだね。まずは目先の事を考えないと。ヘルメット団って言う厄介な問題は解決できたから、借金の事について考えられるよ」
「うん、先生が対策委員会の顧問になってくれれば嬉しいけど、十分助けてくれた。これ以上は迷惑かけれない」
迷惑……か。私は欠片もそう思わない。彼女達は子供で、私は大人だ。子供が大人に頼るのは迷惑な事だろうか。答えは否だ。
なにより、彼女達は諦めてはいない。砂漠で何かが起こっているかもしれないと話を聞きながら、まだその魂には強い【火】が灯っている。ならば私が大人として手助けをすべきだろう。
「私も対策委員会の一員として協力させてほしい。君達を見捨てて戻る、と言う選択肢は最初から持ってないな」
「色々と気になることもありますし、協力して差し上げます。先生が居ればこのような問題、直ぐに解決できますわ」
「……私も手伝う。仲間にも共有しておくから、新しい情報が入ったら伝える」
「そ…それって……あっ、はい!! よろしくお願いします!! ワカモさんやジナイーダちゃんもありがとうございます!」
「先生も変わり者だね~。こんな面倒なことに自分から首を突っ込むなんてさ」
「面倒なものか。君達が必死で足掻き、ここまで繋いで守って来たんだ。それはとても素晴らしい事だ。だからこそ私は手伝いたいし、護りたいと思っている」
「うん、ここはみんなの大切な場所だから。だから私は守りたい」
「そうですね。シャーレが、先生が力を貸してくれるんです。これで私達も、希望を持っていけます」
シロコの決意、アヤネの少し涙声のことを聞いて、ホシノは私を見ながら言葉を紡ぐ。
「先生、みんなの事、よろしくお願いするよ?」
「ああ、勿論だ。だけど、ホシノ。私の護りたい人の中には、君も入っているんだから、それは忘れないように」
「……そっかぁ。うへぇ、そう言われると嬉しいような、照れるような……けど嫌な感じじゃないよ。先生、ありがとね」
そう答えた彼女の笑顔は優しく、そして透き通るような笑顔を浮かべていた。ああ、やはりホシノには笑顔が似合う。
トリニティ総合学園
「アズサ、ここの問題はわかる?」
「ここの式をこっちに入れて……こ、ここはこうか?」
教室の片隅に二人の少女の姿があった。一人はノートに書かれた数学の問題を解いており、もう一人は隣に座って勉強を教えてあげているようだ。
そんな二人の少女を、周囲の生徒達は遠くから見守っている。
「姫様、今日も勉強教えてあげてるね」
「ねー。勉強もできるし、おしとやか。そして儚げな雰囲気。この前、花壇を眺めてた姫様見たけど、絵になりすぎてるよ」
「けど話すと結構、話しやすいし……次期ティーパーティーに指名されるかもしれないって言うのも納得よね」
そんな周囲に噂されている二人組に近づく人物がいた。
「やっほー、ダブルあっちゃん!! 今日も勉強中?」
「ミッちゃん。うん、そろそろテストも近いからアズサのテスト対策。私は復習も兼ねてる」
「おおー、偉いねー! そう言えば、ナギちゃんが赤点には特別な補修をするとかなんとか言ってたから、気を付けないとね」
「……よし、これでどうだ!」
「不正解。こっちはこの式だよ」
「あはー……こっちのアッちゃんはちょっとまずいかなー……?」
ホシノも推しの一人です。しかしシャーレに所属させるかどうするか……