『ハリー・ポッターとか読んだことのないわたしが曇らせて死ぬ話』   作:銀杏鹿

17 / 59
お気に入り人数が500人を突破しました!皆様ありがとうございます!!
惜しくも総合日間ランキングは18位になってしまいましたが、それでも日間に乗り続けていられるのは皆様のおかげです!ありがとうございます!!

今回の副題が続く間、ダフネ自身の偏見に満ちた"独白"が続くので、長かったり退屈と思った方は読み飛ばして頂いて問題ありません。




14『杖 一神教 竜』序

 

 

 

 

 さて、ゴブリン犇く遥か地下深く。突然目の前にドラゴンが現れて、退路はなし。

 未熟な魔法使い二人でドラゴンが倒せるだろうか?

 

 ドラゴンの厚い鱗で覆われた甲殻は魔法をまるで通さない。力でも当然敵わないし、子供には何も出来ることはない。

 

 私達がどうなったのか話すには、先ずはドラゴンについて語らなければならない──けれど、その前に歴史の話をしよう。

 

 何事にも順序というものがあるのだ。

 

 

1.アーサー王伝説以前の時代

 

 グレートブリテンおよび北アイルランド──というのはマグルの領域の名前ではあるけれど──この土地がそう言った"統一されたような"名前で呼ばれるよりもはるか昔。

 ただ、ブリテンとだけ呼ばれていた頃。

 

 この島は"ローマ"という大陸からやってきたマグルの群れが暮らしていた。しかし、マグルは野蛮なのですぐに仲間割れしてしまうもの。

 当然ローマも西と東に分かれたり、さらに東に住んでいたもっと野蛮なマグルたちと争ったりするので忙しくなったので、このローマの軍隊は島から去った。

 そうなると残ったのは軍隊も何もない原住民達。ローマが何だかんだ群れを統率していたらしく、残ったのは烏合の衆。可哀想に。

 

 結果、大昔の部族や諸侯が並び立っていたような時代へ逆戻り。簡単に殺し合ったり、生贄で何でも解決すると思っていた頃だ。

 北からは何言ってるか分からないスコット人やらピクト人が攻めてきたり、大陸からはゲルマン系が渡ってきたりしたので、ブリトン人を自称していた原住民達は、"朝起きたら家の周りが〈禁じられた森〉になってた"ようなものだった。無論彼らも危険な生物なのだけれど。

 

 マグルの歴史が何の関係があるのか?

 もちろん、私は優れた純血なので無関係な話はしない。

 

 そんなマグルにとっての暗黒の時代。

 ブリトン人の君主はマグルに加担していた魔法使い達の助言で、まだ幼かったマーリンを生贄にしようとした。

 後のスリザリン寮卒業生であり、いずれアーサー王を勝利に導く偉大なる魔法使いを、だ。

 尚、マグルの御伽噺と違って魔法使いに伝わるアーサー王の話は"歴史"だ。彼は実在したし、円卓にはガトガン卿というメンバーもいた。

 

 さて、彼は夢魔が父親だったというけれど、マグルからすれば魔法使いも夢魔も然程変わらないように見えるのだろう。

 

 さもなければ偉大なるマーリンが、純血どころか半分人間ですらないことになる。

 果たして創立者達がまだ存命していたであろう時期に、特にサラザール・スリザリンがそう言った人間でないものを自分の寮に迎え入れるのだろうか?

 穢れた血や半純血を入学させるか否かという方針の差で学校を去ったような男が、人以外を自分の寮に?

 なので当然、マーリンも純血としか考えられない。

 

 その"純血の血"を捧げることを要求した魔法使い達。これは半純血かマグル生まれと読むことができる。

 魔法使いにはマグルのように国をどうこうする必要もないし、王に傅く意味もない。生きるのに必要なことは魔法で解決できる。

 そういうことをするのは、"初めから"そう言った文化圏の価値観を持った者達、あるいはそれに育てられた者だけだ。

 

 つまり、この逸話は魔法使いがマグルに加担した結果起こる問題を歴史として残しているのである。その後のマーリンが恋人に封印される結末や円卓の最後を含め、マグルに関わることの危険性を説いているのだ。

 純血主義を否定するのであれば、まずは歴史を勉強しなおせと指摘されて当然だろう。

 ブリテンの初期ですらこうなっているのだから、未来にこうならないとは限らないのだ。

 この歴史がドラゴンと一体何の関係があるのか、本題に入っていこう。

 

 

 

2.ドラゴンの源流と蛇

 

 ドラゴンと言えば、巨大な身体に蝙蝠のような翼を持ち、爬虫類の頭に鋭利な牙、手足、尻尾を持ち、口から火を吹く怪物、と言えば大体想像できるだろう。

 古今東西あらゆる物語にドラゴンや龍と呼ばれる存在は描写されている。

 しかし何故、ドラゴンなのか。魔法使いが直接目撃したというのならそれほど不思議はない。

 けれどマグルが見たはずもない翼の生えた蛇を何故描いたのか。少なくとも、マグル達の中ではドラゴンというものは空想の産物とされている程には目撃されてはいない。現代は記憶処理がされているとしても、歴史上常にそれがなされていたとは考え難い。

 ならば、その空想の源泉は何なのか。

 

 恐竜の骨を見た者達がそれが生きていた姿を想像したという説がある。確かに、このブリテンには化石がやたらと埋まっているし、それを見つけたマグルは見当違いの標本を作り上げたりもしていた。正しく並べ直したことによってまるで違った姿となったことも多々ある。

 だが、それは恐竜の骨に限らない。つまり、動物の骨から正確に元の姿を想像するのが困難であるのだから、多様な別の怪物を描いても良いはずだ。一様に恐竜の骨がドラゴンあるいは龍の姿として想起されるのは不自然ではないだろうか。

 例えば、クチバシのように尖った口を持つプロトケラトプスの頭骨から、間抜けなマグル達はそれがグリフィンの骨であるとしたように。

 或いは、象の頭骨の空洞を見て、一つ目の巨人を想像したように。

 多種多様な姿で表される方が自然ではないだろうか。

 

 では、ドラゴンは一体どこからやってきたのかを考察していく。

 ここで話を先ほどの歴史と合流させよう。

 

 ブリトンの君主はサクソン人達に対抗するための城を建てようとしたが、建設中に必ず崩れてしまい、建設できなかった。

 それを解決するためにマーリンを生贄にしようとしたわけだが、マーリンは敷地の地中に池があることが原因だと指摘する。

 掘り返すと言葉通りの池があり、その中から赤い竜と白い竜が現れ、相争った──と、そう残されているが、この島には赤い竜も白い竜も生息していた記録がないため、何か別のものと考えるのが妥当である。

 

 ここにローマの残した影響があった。ローマ軍は進軍の際、あるものを携帯していた。それは"ドラコ"と呼ばれる蛇を模した旗である。取り残されたブリトン人達はそれを象徴としたのだ。これが後のウェールズにおける赤い竜である。

 また、大陸でローマと敵対していたゲルマン系の蛮族──サクソン人達はローマを真似て白い竜の旗を掲げた。

 この赤い竜と白い竜というのはいずれも、旗であり蛇を指していたのだ。化石から創造したものではない。

 ヨーロッパでのドラゴンは一般的には邪悪な存在として描かれていることが多いが、ブリテンでの扱いが異なるのはこう言った背景である。

 

 このように、ブリテン島のマグルにとってのドラゴンは蛇の象徴から派生したものだった。また、その由来はローマが征服した地──ダキアよりもたらされたものである。

 この変遷の根幹を辿ると、さらに問いが生まれる。何故、蛇がドラゴンになったのか。

 

 それこそがマグルのあらゆる神話や御伽噺にドラゴンが登場する根源的な理由を解き明かす鍵となり、ひいては私達の結末を導くことになる。








妙なお話をここまでお読みいただいてありがとうございます!!
評価やお気に入りをこの内容で催促するのは憚られます!
続きをお待ちの方はこの話が終わるまでお待ち下さいませ!
少なくとも本日の午前中にはささっと終わると思います!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。