『ハリー・ポッターとか読んだことのないわたしが曇らせて死ぬ話』   作:銀杏鹿

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39 『河豚』-2

 

 

「おいやめろってダフネ」

「いいじゃないかマルフォイ」

「え、何?私も手を挙げる?」

「パンジーはガムでも食ってろ」

「わーい!」

「……すぅ……んぅ……」

 

 愉快なお友達は放っておくとして。

 

 素直に正答すれば、ハリー・ポッターは無知で侮辱が取り柄の英雄という事になり、グレンジャーさんのように自己顕示欲を満たせるだろう。

 教科書を読めば理解できることを、賢しらに専門家に述べるなんて真似、恥ずかしくて出来そうにないけど。

 

 或いは、マグル的な"正義"を武器に、彼を糾弾することも出来る。

 教授の権威に傷を付けることで、自らを上位者だと錯覚できるかも知れない。

 悪のレッテルを貼り付けて他者を貶める行為に快感を覚えるタイプだったら、という仮定の話ではあるけれど、私はそこまで暴力性に飢えた弱者ではない。

 

 さて、教授には何を──

 

「──グリーングラスの回答は却下する」

 

「……はい?」

 

「配慮が足りなかっただろうか。〈血の呪い〉の影響が聴覚にも及んでいるとは知らなかったが……もう一度言おう。却下する」

 

 ……何故?私はスリザリンで、しかも純血なのに?

 

「いや、トロールにも理解できるように言おう。ミス・グリーングラスに対して、公平に機会を与えることを自体が不公平となる」

 

「回答が加点にしかならないからですか?」

 

 ……クィレル教授は前の授業で私が好き勝手に振る舞ったのが許せなかったらしい。

 この私が厄介な生徒だとか伝えていたのだろう。

 それか、この単に私のことが嫌いなのか。

 

「随分な自惚れぶりだな。ならば尚のこと一年生への問いが答えられないとは言わんだろう?」

 

 なんて素晴らしい詭弁だろう。

 私に能力がある前提で、答えさせない建前を持ってくるなんて。肯定すれば教授の言う通りになるし、否定したら回答できない。

 しかも、ここまでの態度を見るに彼にとって重要なのはこの空間を支配していることだ。

 

 ……初めてかもしれない。ここまで私に否定的な大人は。

 

 仕方ない。少し頭を使うしかなさそうだ。

 

 変身術で別の場所に脳を増やして……よし。

 

 物凄く疲れるし、やりすぎると倒れるから数秒しか維持出来ないのが課題だけど……うん、これで行こう。

 

「──では、私以外の答えられそうな生徒にも回答する機会を与えて頂けませんか?回答が間違っていれば私が訂正しようと思いますし、私の訂正に問題があればお教え頂きたいです。一年生程度の問題は答えられると言っても教授のように魔法薬学の知識が豊富なわけではありませんから」

 

 ……鼻血が出そうなのをなんとか堪えて変身術を解除しつつ答える。

 私に回答させるか否かを争点にはさせない。最初から答えさせるつもりなどないのは分かりきっているから。

 

「…………。時間の無駄になる可能性の方が高いが許可しよう。ただし、講義の妨げになると我輩が判断した場合はその時点で次へ進む」

 

 表情に嫌悪感を隠しもせずに黙っていた教授は、条件付きとは言え許可を出した。

 

 よし。脳内で話したくも無い相手との会話を何度も試した甲斐がある。

 体裁的にも教授が許可してやったということにできる筈だし。

 

 私は純血かつ慈愛に満ちた子供なので、自らの立場を誇示したい満たされない大人や、自身の無知さ加減を開陳したくて仕方のないトロールにも、このように配慮出来てしまうのだ。

 

 脳内のアストリアも誉めてくれている!……『流石ですお姉様!』──と。

 

 ……まあ、本物はそう安易に褒めてはくれない。アストリアの方が才能に溢れてるし、皮肉になるのを理解しているのだろう。

 

「では改めて聞くが、アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるか。これを答えられる者は?」

 

 ──私以外にこの問題に答えられる生徒は、私が視線を送っている一人しかいない。

 

「はい!」

 

 水を得た魚のようにグレンジャーさんが手を上げた。さあ、もう誰に憚ることもない。

 教授が私になるべく自由にさせないためには、別の回答者に正解してもらわないと困るわけだ。無視したくても無視できないだろう。

 

「……グレンジャー、では答えてもらおう」

 

「〈生ける屍の水薬〉です!睡眠薬の一種で服用者を死んだような深い眠りに──」

 

「もう良い。聞かれた以上の回答は無用だ。さて、どうだろうかグリーングラス。何も言うことはないな?」

 

「いいえ。不正解です」

 

「……自分が回答するためならば手段を選ばないわけだな?素晴らしい。その浅ましい野心に免じて訂正を聞いてやろう。精々、我輩の時間を無駄にしないことだ」

 

 嫌な笑みを浮かべていることから察するに、もう既に方針は決まっているらしい。

 

「答えは──"わかりません"」

 

 でも申し訳ない。私はあまり素直な方じゃない。

 

「はぁ!?」

 

 グレンジャーさんの疑問と苛立ちを他所に、スリザリンやグリフィンドールの誰かが吹き出す音が聞こえた。それに微かな笑い声も。

 

「……」

 

 そして教授からは笑みが消え、凍りついていた。

 

「……静かに。わざわざ詭弁を弄して得た回答の機会を、減点されるために使う愚か者など存在しまい?」

 

 そう尋ねる教授の声色には全く感情が乗っていなかった。

 

 流石に予想外だったかな?

 

 とはいえ、わざわざスリザリンから減点する理由を作りたくはない、と言うところか。

 

「申し訳ありません、専門家に対しては小賢しいひけらかしに聞こえると思いまして、無駄な説明は控えました」

 

 誰がそう言うことをしているのかは言わないけど。

 

「……。お前の意図はトロール達には理解できていないようだ。彼らにも分かるように展開するといい。それが本当に出来るのならばな」

 

 まだ話を打ち切らない以上、別の方向性で講義の一環に組み込むやり方に切り替えた……と見る方が妥当だろう。

 

 スリザリンであることに感謝して、教授の思惑に大人しく乗らせてもらおう。純血万歳。

 

「教科書に書かれている〈生ける屍の水薬〉の製法ではご質問の段階は途中の工程です。製作途中のそれが何なのか"分かりません"」

 

「……左様。教科書の文字が読めるだけでは意味がない。文章や文脈を理解して初めて役に立つと言うのが諸君にも理解できただろう」

 

 教室の子供達からは何の反応も出てこなかった。出来なかった、と言う方が正しいかも知れない。

 

「では次の問題だ。ベゾアール石を見つけてこいといわれたら、どこを探すか、答えられる者は?」

 

「……はい!」

 

 若干迷いつつも、グレンジャーさんが手を挙げる。いいぞ!そう来なくては困る!

 

「グレンジャー、今度は余計なことを言わずに答えると良い」

 

「ベゾアール石は山羊の胃から採れます!ですからどこを探すかと言う問題の出し──」

 

「残念だが忠告が理解できなかったらしい。……さて、文句はあるかグリーングラス?」

 

「ええ、彼女の答えを訂正します。答えは──"わかりません"」

 

「また!?なんなの!?」

 

 また誰かしらの笑いが起こった。

 

「……静粛に。またトロール達が理解できていないらしい。お前には言葉が足りないようだな?詳細を述べろ」

 

 視界の端でドラコが頭を抱えているような気がする。そんなわけないけど。

 

「"探してこい"と言われているのに、ベゾアール石なんて希少なもの、"教科書通りの場所"を探しても望みはありません。医務室か、教授の戸棚を探した方が無難ですが、不確かです。よって──"現実的"な正解はわかりません」

 

「……。諸君、この小賢しい屁理屈自体は加点には値しないが、減点するほどでもない。なぜならば、教科書通りに回答もしくは実践すれば正しいわけではないからだ。そして──〈アクシオ 来い〉」

 

 教授が杖を振るうと、薬品の棚から飛び出した石が彼の手に収まった。

 

「彼女は穿った見方をしているが、講義で扱うものは資料として用意するのが当然である上に、殆どの場合に解毒薬となる薬品を常備していない訳があるまい。次の問題だ、モンクスフードとウルフスベーンとの違いが分かる者は?」

 

「はい!」

 

「グレンジャー……まだ自分の愚かさを披露したいのならば答えると良い」

 

「答えは"分かりません"!」

 

 グリフィンドールとスリザリン双方から笑いが聞こえた。今度は拍手すら聞こえるし、ハリーも笑っている。

 

「……そうか。愚かさの披露をご苦労。……ではスリザリンへの公平さを保つために、グリーングラスに応えてもらうとしよう」

 

 そうなるでしょうね。

 

「……え?」

 

 呆然としているグレンジャーさんは私のやり方を模倣して理由を答えようとしていたのだろう。

 

「ありがとうございます、ではグレンジャーさんの答えを訂正させてもらいます。モンクスフードとウルフスベーン、それはどちらもトリカブトの別名で違いはありません。ですから……グレンジャーさんやポッターように分かりませんと答えても間違いではないでしょう。もし本当に知っていたら、という話ですが。私はこのくらいしか分かりませんが、なにか補足はないでしょうか教授?」

 

「……〈脱狼薬〉などの原料になることは当然知っておくべき知識だ。覚えておくと良い。では最後の問題だが……毒と薬の違いだ。ポッターの為に追加した問題だが、分かるものはいるだろうか?」

 

 もう流れが分かり切っているスリザリンの面子はもとより、グリフィンドールの生徒は誰一人として手を上げなかった。

 

 あれだけ元気だったグレンジャーさんでさえ。

 

「……いないようだな。……不本意だがグリーングラスに答えてもらおう」

 

「この問題の答えも、わかりません──"毒でないものなど存在しない。その服用量こそが毒であるか、そうでないかを決める"──なので違いは分かりません」

 

 教科書どころか、蛙チョコのカードになるくらいには有名な魔法使いの言葉なので、カードの裏側の解説を見る機会が有れば誰でも知っていておかしくない。

 

「……下らん引用ではなく自分の言葉で言うべきだな。さて、正確性は魔法薬学に必要な素養と言えよう。愚鈍な諸君らに言っておくが、この多弁極まる生徒の回答は、内容の正確性のみが評価できるもので、あくまでポッターの回答とは異なる。真に無知であること、自らが無知であることを認めるのは違う。鶏にでも分かるように言えば、ポッターは前者だったということだ。また、今後ジョークと誤解される言動やグリーングラスの模倣も平等に減点対象とする。残念ながら、我輩の講義では笑いという薬は取り扱ってはいない」

 

 私はスリザリンから1点減点した。(心の中で)

 

 "平等"なら最後の一言は減点対象でしょう、と言わなかった代わりに。

 

「さて、ミス・グリーングラスの"小賢しいひけらかし"も聞けたことだ、講義の本題へ入るがその前に──」

 

「最後に、質問よろしいでしょうか?」

 

 まだ、しておかないといけないことがある。

 

「疑問はお得意の論文にでも書いておくと良い。血の呪いに屈しないことを大層評価されるだろう」

 

 ……おお、スラグホーン氏のお世辞に比べると本質的な皮肉で素晴らしい。面白い男だ……!

 

「ええ、死ぬまでに暇があれば。ですが"いつ死ぬかも分からない病人"には質問の機会は頂けないのですか?であれば仕方ないので墓場へ持っていきますが」

 

 さて、そちらが持ち出した話題だけど、どうだろうか。

 

「……哀れな血の呪いに免じて質問を許そう」

 

「──グリフィンドールの皆さんは何か面白そうですが、"私のように、積極的に講義に参加しようとしている生徒"を笑いものにしようとするのは"グリフィンドール的"な行いなのでしょうか?」

 

「愚問だな。お前の感想が減点に影響する余地があるとでも?ポッターのような思い上がりは控えるべきだな」

 

「これは失礼致しました」

 

「──では再開するが、その前にポッターの回答と、グリフィンドールの無礼な振る舞いと無知の為に、グリフィンドールからは5点減点する」

 

 グリフィンドールから笑い声が消えた。

 

 意図を理解してくれてよかった。

 

 いやぁ、本当によかった。

 

「ありがとうございます──"これまで魔法薬学に関わりのなかったマグル生まれ"でも答えられる質問とは言え、回答も挙手も出来ないトロールに笑う資格なんてありませんから」

 

 教授が見事に"引っかかってくれて"笑いが堪えきれそうにない。

 

「……。ノートを取る者がまるで居ないように見えるという事は皆、答えが分かっているのだろうか。ならば別の質問を行っても良いが──まさか、"分からない"とは言うまい?」

 

 慌てて羽根ペンと羊皮紙を取り出す音がした。それが自分がトロールだと認めることになるとも考えないのだろう。流石だ。

 

 しかし不思議だ。文句の一つくらいは言いそうなものなのに、教授は皮肉を返さなかった。何故だろうか?

 

 私の一言がグリフィンドールへの減点を"グレンジャーさんに対する嘲笑への減点"へすり替えたのは分かってるだろうに。

 

 まさかマグル生まれが揶揄されたことが気に食わないなんてこと、あるわけないし……

 

 ……きっと、グリフィンドールがマグル生まれを馬鹿にしたって言うところが大事なのだろう、全く、素晴らしい性格だ。スリザリンの寮監は伊達ではないらしい。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 教授は二人組を作っておできを治す簡単な薬を調合するように指示した。

 スリザリンの皆には止められたけど、私は誰ともペアを組めずに孤立していたグレンジャーさんの机まで行った。

 

「……なんで?」

 

 蛇の牙をすり鉢で砕きながら、グレンジャーさんが尋ねる。

 

「少なくとも、貴女がトロールではないから」

 

「……そうかしら。先生はマルフォイの方がお気に入りのようだけど」

 

 スリザリン側の机では、教授がドラコの手際の良さを誉めている。

 

「ドラコは当然でしょう」

 

 私のすり鉢では蛇の牙が少しずつ粉になっていく。

 

「純血の御曹司だから?」

 

「いいえ、トロールとペアでも調剤出来るから」

 

 ドラコのペアは小トロールの……クラッブかゴイル……どっちだろう。どっちでもいいか。

 

「……ノブレスオブリージュね」

 

「むしろ、彼らを放置する方が危険かと」

 

「……これ、最初にやるレベルの薬よね?」

 

「それと、私がこちらに来たもう一つの理由は、貴女がスリザリン的だったから」

 

「私が?なんで?」

 

「教授に侮辱されているハリーより、自分の成績を優先したでしょう?」

 

「そんなつもり、ないわ」

 

「貴女がどう思っていても、グリフィンドールからはハリーへの侮辱に加担した生徒で、もう得点を下げた原因だと思われている。だからペアも組めなかったのではなくて?」

 

 私たちを見る周囲のグリフィンドールの生徒からの視線には、物珍しさと子供らしい敵意が込められていた。なんともいえない表情のハリーを除けば。

 

「私は間違ってない……」

 

 手が止まっている。仕方ないな。

 

「"簡単"と言う割に進んでないようで。すり潰すのはこうやるの」

 

 背後に回って、手を握って動かしてあげる。

 

「ひゃっ……ちょっと……!」

 

「大丈夫。私は貴女の味方ですから」

 

「……嘘よ」

 

 ……私がすり潰しているのは、蛇の牙なんかじゃない。もっと別の何かだ。

 

「って、貴女もそんなに変わらないじゃない……!」

 

 何を言っているのだろうか。私は一人で透明薬だって作れるのだ。下手なわけがないだろう。

 

 それから材料を醸造し始めたあたりで、教授が様子を見に来たけれど、無表情のまま手順に従ったのか確認しただけ。

 残念ながら私達の分の皮肉は用意されていなかった。他の生徒に配り過ぎたのだろうか。

 

 注意を受けなかったのは私達とドラコくらいのものだった。

 

「諸君、ミスター・マルフォイが角ナメクジを完璧に茹でた。諸君も見習──」

 

 次の工程でドラコがまた褒められていた時、突然教室に耳障りな音が響いて、強烈な異臭と緑色の煙が広がり──

 

 その煙を吐く鍋が薬剤を撒き散らしながら、こちらに転がって──

 

「──」

 

 私はグレンジャーさんに泡頭呪文を無言呪文で掛けて──

 

「グリーングラスさん!?」

 

 ……あれ?……?鉄の味……?

 

 ああ……自分にも掛けるのを忘れてたか。うっかり死のうとしてしまった。反射的に。

 

 流石に……会話のために脳を増やすのはやり過ぎだった……変身術の精度も落ちてるな……反省だ。

 

「血が……先生!グリーングラスさんが!」

 

「あ、ぁぁぁ!!ぅぁぁぁ!!」

 

 誰かの呻き声が聞こえる。

 

「このトロールが!!」

 

 教授の怒鳴り声。トロールが出た?それは大変だ。

 

「答えろ、大鍋を火から降ろさないうちに、山嵐の針を入れたか?」

 

 誰か私を抱えて……大きな腕……

 

 視点が上がる。抱き上げられたらしい。

 

 頭の上の方から舌打ちが聞こえた。……教授かな?

 

 見えたのは、身体中、赤い吹き出物に覆われて呻き声を上げる少年。確か……ロングボトム家の長男か。

 

 ……何故わざわざ、持ち上げているんだろう?

 

 ……お得意の呪文で吊り上げればいいのに。

 

「うぅ、あ……ぁぁ」

 

 呻く少年と、床に散らばった薬品、変形した鍋。

 

「ポッター、何故何もしなかった?グレンジャーがお前を助けなかったからか?グリーングラスがスリザリンの生徒だからか?グリフィンドールから一点減点する」

 

 教授は私を抱えたまま杖を一振り……撒き散らされた薬が消え……

 

 薬程度で私がこうなるわけが……これは私の失敗でしかない……

 

「グレンジャー、グリーングラスは煙を吸っただけか?」

 

「や、薬品を少し浴びてるかも、知れません」

 

「……私はグリーングラスを医務室へ運ぶ。着いてこいロングボトム。講義はここで終わりにする」

 

 ……教授がまた杖を振るうと……鍋を煮ていた炎が全て掻き消えるのが見えた。











tips

・〈生ける屍の水薬〉

お馴染みの非常に効力が強い睡眠薬で、成分を強めに調剤すれば、"2度と"不眠に悩まされることはないだろう。

原作6巻に登場する『上級魔法薬』によると、製作には以下の工程が必要。

1.大鍋に煎じたニガヨモギを加える
2.アスフォデルの球根の粉末を加える
3.二度、時計回りにかき回す
4.ナマケモノの脳味噌を加える
5.催眠豆の汁を加える
6.反時計回りに水が澄んでくるまでかき回す

しかし、原作一巻でスネイプの質問では

「煎じたニガヨモギにアスフォデルの球根の粉末を加えたものは何か?」

スネイプの性格やこの後の出題から考えるに、もしハリーが正解したとしても、"まだ工程の全てを終えていない物を薬とは呼ばない"と指摘して嘲笑っていた可能性が高い。

完全に余談ではあるが一部のファンの考察によると、このレシピが彼の心境の暗喩なのではないかと言われている(※要出典:誰から?)
以下はそれに些細な私見を加えたもの。

ニガヨモギの花言葉

「離別と恋の悲しみ」
「不在」
「冗談」
「からかい」

アスフォデル(ユリ科)の花言葉は

「私は君のもの」
「わが後悔は死ぬまで汝につきまとうであろう」

「離別と恋の悲しみ」に、「自らの後悔」を加え、時計回りにかき混ぜ(時間を経過させ)「怠惰な脳」と共に、「記憶を失う」催眠豆の汁を加え、反時計回りにかき混ぜる(時を戻そうとする)と、生ける屍の水薬(永遠の眠りを齎す薬)が完成する。

流石は魔法薬学の天才だと言えよう、彼は自分自身の人生を使って"目覚めることのない眠り"を精製したのだ。尚、詳細を語るのは無粋なため、この記述が何を指しているのか不明な場合は、原作を参照されたし。


・〈ベゾアール石〉

山羊の胃に稀に見られる、しなびた内臓のような物体。貴重で入手が困難。

原作でのスネイプの質問は、

「ベゾアール石を見つけてこいといわれたら、どこを探すか」

仮にハリーが教科書通りの回答が出来たとしても"見つけてこいと言っているので、どこで見つかるかを聞いてはいない"と言って一蹴できる質問だった。

・モンクスフード/ウルフスベーン/トリカブト(アコナイト)について。

 全て同じ物を指す。スネイプの質問は、

「モンクスフードとウルフスベーンの違いはなにか」

同じ物だと答えれば"呼び方が違うことすら分からないのか?"と揚げ足を取れる上に、その単純明快な皮肉は生徒達を沸かせたことだろう。しかし残念な事にハリーは植物には興味がなかったので、そうはならなかった。


・薬と毒について

「用法良量を守って正しくお使い下さい」

 作中でダフネが言っている有名な魔法使いというのはパラケルススのことを指す。「薬と毒の違い」という問題は原作には存在しない。


・パラケルスス

フィリップス・アウレオールス・テオフラストゥス・ボンバストゥス・フォン・ホーエンハイムのペンネーム。

スイスの錬金術師であり、魔法使い。ハリーが手にした蛙チョコのカードの中には彼のカードも入っていた。
魔法界の医学に貢献した人物であり、パーセンタングの発見者とされる。

実在の人物でもあり、16世紀に活躍した錬金術師。
当時、金を錬成することを目的としていた錬金術に対し、万能薬或いは不老不死の霊薬──賢者の石を生成すべきと主張していた。

原作ではほぼ言及されない。


・スネイプの出題意図

問.スネイプの気持ちを140字以上で答えよ。
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